2012.02.12

芯の強さが思い出させる(生チョコ:シェ・シバタ)

 心に残るもの、には、忘れられないものと、思い出すものがあるようです。
 相も変わらず、試食をして、美味しいな、と思って、小箱を一つ購入して、帰る途中で我慢できずに箱を開け、一つ口に入れ、美味しいな、と思って、二つめを口に入れ、を繰り返すと、小箱なので、あっという間に無くなりました。
「ああ、美味しかったなあ、たらふくたらふく」
 と思って、途中だった帰り道を継続させました。このあとはあれに寄らないと、明日はあれをしないと、この前のあれをするのを忘れていたな、冷蔵庫のあれはまだ大丈夫のはず、などの多種多様の雑多な日常のあれが頭に浮かんでは消えていきました。
 その継続中に、猛々しいまでに思い出されたのです。先ほど空けてしまったチョコレートの味。
「わあ、美味しかった! あれは、美味しかった! もう無い! 美味しかった。食べたい! どうしよう!」
 この思い出し力は、帰り道を行き道に変化させるほどの力を持っていました。あれに寄らないと、を放擲して、きびすを返しました。

シェ・シバタ 生チョコ 外箱
 ピンク+型押し+銀のリボン

 そして、二箱目のこれです。
 生チョコレートは、彼らの柔らかさそのもののように、最近は人々の中にとけ込んでいます。シェ・シバタさんのこれも生チョコです。商品名は「生チョコ」。なんと飾り気の無い、と思われるかもしれません。しかし、奇をてらわない真摯さ、と思うこともできるのではないでしょうか。
 真摯さは強いです。
 その強さは、ひとたびは心の片隅に退いて、姿をひそめていても、失せてしまうことはありません。
 3cm四方を取り上げると、生チョコです。くちびるに近づけます。その1cm手前。軽く開けた口から鼻へと、鼻からのどへと、香りが動きます。甘みと苦みがすっきりとしなやかに通っていきます。

シェ・シバタ 生チョコ 3個入
 ココアパウダーが柚子味で粉砂糖がアールグレイ味です

 歯触りは、ねっとりと絡みつくよう。先だっての香りにしては重い、と感じながら、もくもくと溶かしていると、絡んだ食感は潔くほどけます。
 歯から舌へ。ぽってりとした重さ。生クリームの重さ。重さは口から胸へと下りていきます。甘みもあります。しっかりしたカカオの香り。そこに柚子のわずかな酸味とクセが徐々に強まっていきます。
 甘み、苦み、酸味、柑橘のクセ。これらは芯の太い風味です。でも、次の一個へ移るまでの短い時間のうちに、快く去っていきます。
 アールグレイ味の方が、いくらか甘みが強く感じられました。同じく、歯にねっとりと絡みつき、舌に移り、とろける。その頃に来る味は、華やか、絢爛。瑞な風が口を満たします。
 甘さと茶葉の香りが渾然となります。ミルクティーに似ているようで、それには如かず。温和に、鮮やかに後から後からアールグレイが連なってきます。でも、それも、形が無くなり、少しの間までです。にこやかに涼やかに風合いは去っていきます。
 自らの重みをさしでがましくなく感じさせ、頃合いを逃さず、密度を一気に低くし消えていきます。

シェ・シバタ 生チョコ 柚子&アールグレイ
 自然な形の内にある強さと潔さ

 重くて、消える。これが、この生チョコの持ち味です。
 そして、しばらく、また、しばらくと、時間を置いたときに、彼の力が発揮されます。
 拡散した風味が一気に集まります。ぎゅっ、と密度が高くなり、そこにあるかのような重さがよみがえります。
 そうなると、居ても立ってもいられません。「思い出す」のです。一度、心に浮かび上がると、抑えられないほどの衝動の強さです。
 それで、もう一箱、となりました。今また、思い出しています。居ても立ってもいられない思いで、書いています。
 この生チョコに籠められたであろう念の強さと、味わいを思い返しますと、陶然となり、目が潤みそうです。
 これだけ「強い」チョコレートですが、季節のお品としてはお手頃な価格です。ぜひ多くの方々に味わっていただきたいと思うのですが、残念ながら、岐阜県・多治見市か、名古屋市の店舗、もしくは、名古屋の催事会場でしか、入手できないということでした。
 忘れられない味。頭の中で現せるのですから、素晴らしいです。
 思い出す味。すぐに手に入れ、味わうことができない場合は……、罪作りな味です。


 ◎店舗・商品データ
 ・商品データ
  商品名:生チョコ(3個入)
  価格:\580

 ・店舗データ
  購入店
  店舗名:ジェイアール名古屋タカシマヤ 催事「アムール・デュ・ショコラ」
  住所:名古屋市中村区名駅1-1-4 10階
  営業時間:10:00-20:00
  定休日:期間中無休
  アクセス:JR名古屋駅直結
  公式サイト:http://www.jr-takashimaya.co.jp/
  ※「アムール・デュ・ショコラ」は2012年2月14日まで。最終日は18:30閉場

  主要販売店
  店舗名:chez Shibata Nagoya(シェ・シバタ 名古屋)
  住所:名古屋市千種区山門町2-54
  営業時間:10:00-20:00
  定休日:火曜日
  アクセス:名古屋市営地下鉄・覚王山駅1番出入口から、栄方向(西方向)へ約40m、「覚王山」交差点を右折し、日泰寺参道に沿って約120mの右手。
  公式サイト:http://www.chez-shibata.com/

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2012.01.24

なんていい陽気だったのだろう ―キルフェボン名古屋店へ惜別の辞

 小春日和。桜匂いぬるキャンパス。日の光を映した噴水。高く広く薄青いドームの中心。季を経るたびに、そのようなものたちが見えて聞こえて触れていったとき、何の気無しに浮かぶことばがあります。
 厳しい冷たさの中、激しい暑さの中、それらが緩む瞬間、固まっていた身と心が、はらん、解けて、頭を上げて甘い空気を吸い込める場所がありました。
 栄駅で降り、セントラルパークに行こうか、サカエチカからデパートを巡ろうか。北へふらりふらりと歩き、服を眺めたり、雑貨を見たり。久屋大通駅に着いたら、アネックスに上がり、フランフラン、プラザ、無印良品、東急ハンズをチェックして、南へ引き返します。三越までくると、少し疲れたかなあ、休もうか、いや、もう少し見てから、と、丸善だったり、ロフトだったり。大津通を歩く頃には、本格的に足は重く、日も傾いていて。
 そして、目に留まります。西から光を受けて白くてぴかぴかと眩しい松坂屋南館一階。
 全面ガラス張りで大津通からは丸見え。そのガラス越しに白いお皿と白いカップと小さな色と色。
 どうしても惹きつけられます。松坂屋南館のドアを押し抜けると、背の低い白い壁。今度はガラス越しではない色と色と嬉しそうな人たち。
 やっぱりここで、と決まります。でも、すぐに入ることができたためしは無かったように思います。いつ行っても、入り口の横、向かって左に並べられた銀色の椅子で待たないといけませんでした。けれども、その待ち時間も楽しく、渡されたメニューを見て、
「あ、今はこういうのが季節限定になっているのか。でも、いつものこれも美味しいし」
 などと、考えているうちに、どうぞ、と促されて店内に。
 白と青。清清しくあたたかい。
 入り口の前のショーケースには、先ほど渡されたメニューの本物が並んでいて、写真と本物はやっぱり違うなあ、これが良いような気がしてきた、となるようにお店が作ってあって、あっさりと気分が高められます。
 お店の中はちょっと窮屈なような、席と席がくっつきすぎているような、でも、必要十分な間というか、きっちりぴしりと詰まっていても、いや、詰まっているからか、お隣さんは気にならず。
 テーブルに運ばれたタルトは、とんがった方にフォークを入れます。果物とカスタードクリームの間を通って、底のタルト生地を、かしり、と割って、タルト生地の破片とカスタードクリームと果物、三位一体に絡めて、を繰り返し。
 最後、タルトの縁を上手く食べられたことが一度もありません。底よりも堅いそれは、フォークを立てても割れず、突いても割れず、ぐっ、と力を入れると、ぱきり、と、二つ三つに割れてお皿に広がり。もうカスタードクリームは残っていないので、タルト生地はなかなかフォークと馴染んでくれず、右に追って、左に追って、やっとすくって、少し口を近づけて、放り込みます。
 お水を飲んで、ふっ、と息をついて、そろそろ出ようか。きびきびと動く、真っ白いエプロン、青と白のストライプのパンツ、チェックのバンダナ、の明るさと元気が目に染みます。
 こういう一連の流れが、キルフェボンの美味しさです。外から丸見えなのも、(ほぼ必ず)待つのも、あれもこれも、何もかも全部込みで、美味しかったです。
 キルフェボンのタルトは、決してお手頃とは言えません。手が出せないほど高価というわけではないけれども、これ1ピースで、夕ごはん、たらふく食べようと思えばできるなあ、くらいなので、迷います。
 なので、「ここぞ」というときのキルフェボン、でした。だから、白い壁の前で待っているだけで満たされていました。今日はここのタルトを食べてもいいんだ、という心の浮く感じだけで美味しかったのです。
 キルフェボンを出て、矢場町駅へ。
「僕は、あっちから乗るから」
「分かった。ここで乗るから。じゃあ、また」
 その時、雨がしとしと降っていても、じっとりとしていても、風が冷たく強くても、思っていました。
「なんていい陽気なんだろう!」

Merci! Qu'il fait bon Nagoya


 ◎店舗・商品データ
 ・商品データ
  商品名:季節のフルーツタルト
  価格:¥672

 ・店舗データ
  店舗名:キルフェボン・名古屋店
  住所:名古屋市中区栄3-16-1 松坂屋名古屋店南館1階
  公式サイト:http://www.quil-fait-bon.com/
  ※2012年1月24日閉店


(本文中の各店舗の敬称は略しました。ご了承下さい)

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2011.12.23

喫茶マウンテンのメニュー・2011年12月版・PDFファイル化

 前記事のメニューを原本に近い形でPDFファイル化しました。
 以下のファイルをダウンロード(IEの場合「対象をファイルに保存」)してお使いください。

 pdficon_large喫茶マウンテン2011年12月版メニュー・PDFファイル

 なお、マウンテンのメニューのPDFファイル作成にあたり、「PrimoPDF Ver.4.1」(http://www.xlsoft.com/jp/products/primopdf/index.html,フリーウェア)を使用いたしました。
 また、PDFファイルの閲覧には、「Adobe Reader X」(http://www.adobe.com/jp/products/reader.html,無償)が必要です。

 get_adobe_readerAdobe Readerのダウンロード

―――――

 それでは、これらのファイルが登山の予備知識の一助となり、皆様が、遭難することなく、楽しくたらふくになられることを願っております。

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2011.12.22

喫茶マウンテンのメニュー・2011年12月版

 喫茶マウンテン・2011年度冬版のメニューです。メニューブック内は「全くに近い」ほど変化はありません。ほんの少しだけ変化がありました。それについては後述いたします……。
 次の記事で、できるだけ本家のものに忠実に作ろうと試みたPDFファイルを用意しています。プリントアウトする場合、スマートフォンなどでご覧になる場合は、そちらをご利用頂くと良いと思います。

――――――――――

○1ページ

喫茶マウンテンメニュー・デザート

デザート


イチゴ … 700
夕張メロン … 700
小倉 … 750
抹茶 … 750
宇治金時 … 800
ミルク … 750
ココナッツミルク … 700
青リンゴ … 750
グレープフルーツ … 750
パイナップル … 700
バナナミルクフラッペ … 800
マンゴスペシャル(辛口) … 800
ピーチ … 700
マスカット … 700
クランベリーミルク … 750
バラカルピス … 700
ミルクチェリー … 750
スイカ … 700
巨峰 … 800
イカスミ … 800
グロセージャ … 700
マメイー … 700
タマリンドウ … 750
ウメ … 750
黒ザクロ … 750
洋梨 … 800
カルピスラベンダー … 750
ブルーベリー … 700
フルーツフラッペ … 800
いちじく … 800
ゴーヤ … 700
レモン … 700
ライム … 700
エメラルドカクテル … 750
熊五郎(アルコール入り) … 750
もも子(アルコール入り) … 750
ハマイカ … 700
ミルクのトッピング … 50UP

アイスクリーム
バニラ … 400
チョコレートアイス … 450
抹茶アイス … 450
チョコレート&バニラ … 450
抹茶&バニラ … 450

パフェ
チョコレートパフェ … 700
フルーツパフェ … 700
クリームパフェ … 700
キウイパフェ … 700
イタリアントマトパフェ … 700
和風パフェ … 700

喫茶マウンテン

名古屋市昭和区滝川町47-86
営業時間 AM.8:00~PM.10:00
オーダーストップPM.9:40
定休日 毎週月曜日
(祭日の月曜日は営業いたします
翌日は休業させて頂きます)
電話(052)832-0897

氷のオーダーPM.9:30まで

ご注文はお一人様一品以上お願いします。
(中学生以下、高齢者を除く)
代金は、まとめてお願いします


○2ページ

喫茶マウンテンメニュー・スパゲッティー

スパゲッティー

ホワイトソース
きのこツナクリーム … 800
サーモンスパ … 750
カルボエグ … 800
ベーコンほうれん草スパ … 750
サーモンほうれん草スパ … 750

和風
和風スパ … 750
山菜スパ … 700
納豆スパ … 750
納豆山菜スパ … 800
焼きスパ … 700
きのこスパ … 700
高菜スパ … 750
アサリスパ … 700
なべスパ … 700

甘口
甘口抹茶小倉スパ … 800
甘口バナナスパ … 800
甘口メロンスパ … 800
甘口キウイスパ … 800
しるこスパ … 800
甘口イチゴスパ(冬、春限定) … 1000

スープスパ
とりスープスパ … 800
うどん風カレースパ … 700
みそ煮込みスパ … 800

コーンスープベース
コーンスープスパ … 700
ベーコンほうれん草スープスパ … 750
ツナきのこスープスパ … 750
シーフードスープスパ … 750

ワンコイン
ミートボールナポリタン … 500
ミートボールクリーム … 500
ハンバーグスパ … 500
ウインナーナポリタン … 500
とりのナポリタン … 500
まいたけととりのスープスパ … 500
山菜スープスパ … 500
きのこのペペロンチーノ … 500

トマトソース
なすベーコンスパ … 800
なすトマトスパ … 800
イカトマトスパ … 800
きのこサーモンスパ … 800
トマト味ツナスパ … 750
ペスカドール … 800
イタリアン … 650
イタリアーノ … 750
アマトリチアーナ … 750
サボテンスパ … 900

その他
ミート … 650
ミートスペシャル … 750
みそミート … 700
ナスみそミートスパ … 750
メンタイコスパ … 700
イカメンタイコスパ … 750
クリームメンタイコ … 750
うめスパ … 750
ボンゴレ … 750
アボカドスパ … 800
グラタン風アボカド … 800
アラビアン … 700
ヤングスパ … 700
シャンピニオンスパ … 700
ヤサイ&ベーコンスパ … 700
オリエンタル … 700
納豆サボテン玉子とじ … 900
ウインナースパ … 700
ツナサラダスパ … 750
玉子とじスパ … 700
バジルスパ … 750
カントリー … 700
コスモスパ … 750
コスモセット(卵、ライス付) … 900
アボカド&えびクリーム … 800
インディアン … 750
豚ベジタブルカレー … 750
ナスカレースパ … 800
イカスミスパ … 1000

ご注文はお一人様一品以上お願いします。
(中学生以下、高齢者を除く)
代金は、まとめてお願いします。


○3ページ

喫茶マウンテンメニュー・ピラフ

ピラフ

ホワイトソース
えびピラフスペシャル … 700
ベーコンほうれん草ピラフ … 750
きのこチキンクリームライス … 800
ウインナーライス … 700
サーモンピラフ … 750
ツナクリームピラフ … 750

和風
和風ピラフ … 700
山菜ピラフ … 700
納豆ピラフ … 750
和風サーモンピラフ … 750
焼きピラフ … 700
きのこピラフ … 700
高菜ピラフ … 700
うめピラフ … 750
みそピラフ … 750
みそ納豆ピラフ … 800
豚きのこみそピラフ … 800
高菜ベーコンピラフ … 750
お茶ピラフ … 750
チキテリピラフ … 700
マカライスペスカド … 800

辛口
タコスピラフ … 750
テリポジョピラフ … 750
メンタイコピラフ … 700
ヤングハラペーニョピラフ … 750
ニワトリピラフ … 700
シーフードメキシカンピラフ … 750
ドライカレー … 750
シーフードドライカレー … 750
カレーライス … 750
カレーピラフスペシャル … 750
ハンバーグカレーライス … 800

トマトベース
トマトピラフ … 650
マカライスハンバーグ … 750
シーフードトマトピラフ … 750
ピカンテピラフ(激辛) … 800

その他
バジルピラフ … 750
ハムバターライス … 700
森のバターライス … 800
大人のお子様ランチ … 800
チャーハン風ショートパスタ … 600
アボカドピラフ … 800
アボカドとツナのピラフ … 800
サボテンピラフ … 900
コーンピラフ … 700
イカスミピラフ … 1000

ぞうすい
えびぞうすい … 800
みそ肉入りぞうすい … 800
シーフードぞうすい … 800
とりぞうすい … 800
バジルぞうすい … 800
きのこぞうすい … 800
山菜ぞうすい … 800
カレーぞうすい … 800
ほうれん草ぞうすい … 800
和風ぞうすい … 800
しるこぞうすい … 900
イカスミぞうすい … 1000


和風ハンバーグ丼 … 700
カルネ「牛丼」(卵入り) … 550
焼肉丼 … 700
トマト丼 … 700

ワンコイン
ミニハンバーグカレー … 500
オムハンライス(赤) … 500
オムハンライス(白) … 500
トマトハンバーグ丼 … 500
パン … 150
ライス … 150


○4ページ

喫茶マウンテンメニュー・ドリンク

ドリンク

コーヒー
ストロングコーヒー … 350
ソフトコーヒー … 350
アメリカンコーヒー … 400
ミルクコーヒー … 400
ウインナーコーヒー … 400
カプチーノ … 400
アイスコーヒー … 350
アイスコーヒー無糖 … 350
アイスミルクコーヒー … 400
アイスウインナーコーヒー … 400
コーヒーセーキ … 400
ジョッキコーヒー(アルコール入り) … 400

紅茶&ミルク
紅茶 … 350
レモンティー … 350
ミルクティー … 350
シナモンティー … 400
アイスティ(ストレート¥100up) … 350
アイスレモンティー … 350
アイスミルクティー … 350
ミルク … 300
アイスミルク … 300
ココア … 400
アイスココア … 400

トースト、サンドイッチ
バタートースト … 300
ガーリックトースト … 350
ジャムトースト … 350
玉子トースト … 400
ハムトースト … 400
野菜トースト … 400
小倉トースト … 450
ツナトースト … 450
玉子サンド … 550
野菜サンド … 550
ハムサンド … 550
ミックスサンド … 600

フロート
オレンジフロート … 400
クリームソーダ … 400
コーヒーフロート … 450
紅茶フロート … 450
コーラフロート … 450
抹茶フロート … 450
ココアフロート … 500
チョコレートフロート … 500

ジュース
★印はプラス50円でスカッシュにできます
ウーロン茶 … 350
コーラ … 350
ソーダ水 … 300
オレンジジュース★ … 300
うめジュース★ … 300
タマリンドジュース★ … 350
グレープフルーツジュース★ … 350
キウイジュース★ … 300
ピーチジュース★ … 300
巨峰ジュース★ … 350
チェリージュース★ … 300
パインジュース★ … 300
グロセージャジュース★ … 300
イカスミジュース … 400
スイカジュース★ … 350
ゴーヤとウコンのジュース … 350
マメイージュース★ … 350
黒ざくろジュース★ … 350
ココナッツミルクジュース … 350
洋梨ジュース★ … 350
クランベリージュース★ … 300
ブルーベリージュース★ … 300
ライムジュース … 300
エメラルドジュース … 350
黒酢ジュース … 350
セニョリータ(アルコール入り) … 400
熊五郎(アルコール入り) … 400
もも子(アルコール入り) … 400
サムライマウンテン(アルコール入り) … 400
レモンジュース★ … 400
バナナジュース … 400
ミックスジュース … 450
ブランデーレモン … 450
赤のコーラ … 400
青のコーラ … 400


○欄外メニュー・1(レジカウンター横)

喫茶マウンテンメニュー・欄外1

喫茶マウンテンメニュー・欄外2


ストラップ … 1000
CD … 1500

大人のラムネ …400
ラムネ妹 … 400

新デザート
火山 … 700

(中)あつげしょう … 1350
(大)あつげしょう … 2500

なすライス … 600
ロバライス … 800
スパイス合衆国 … 800
黒いチャーハン … 1000
赤いワンピース(激辛) … 700
ハリケーントースト … 500
バナナライス … 800
ヨガスパ … 1000

マエストロ … 750

酢氷 … 700

新メニュー
飲む酢 ヒメ … 400

新メニュー
大葉青汁カクテル氷 … 700
大葉青汁スカッシュ … 400


マウンテンのジュース
マンゴジュース … 400
庭ジュース … 400
インカコーラ … 400
梅一番しぼりジュース(微アルコール) … 400
アステカパインソーダ … 400
ピスタチオジュース … 400
青汁ゆず味 … 400
名古屋コーラ … 400

きしめん風チョコスパ[平日限定] … 1000

新メニューデザート
ギャラリー … 700

甘口イチゴスパ[冬・春限定] … 1000
イチゴパフェ … 700

○欄外メニュー・2(入り口横のボード)

喫茶マウンテンメニュー・欄外3

喫茶マウンテンメニュー・欄外4


甘口イチゴスパ[冬・春限定] … 1000
イチゴパフェ … 700

あつげしょう
(大) … 2500
(中) … 1350

きしめん風チョコスパ[※平日限定] … 1000

新しいメニュー
抹茶しるこ … 1000

新メニューデザート
ギャラリー … 700

マエストロ … 750

ヨガスパ … 1000
赤いワンピース(激辛)スパ … 700
黒いチャーハン … 1000
なすライス … 600
スパイス合衆国 … 800
ロバライス … 800
バナナライス … 800
ハリケーントースト(激辛) … 500

新デザート
火山 … 700

NEW 氷
八丁味噌氷 … 700

新メニュー
名古屋コーラ … 400
八丁味噌氷「黒ずきん」 … 700

しんはつばい
大葉青汁カクテル氷 … 700
大葉青汁スカッシュ … 400

―――

 寒くなりましたので、「甘口イチゴスパ」と「イチゴパフェ」が復活です。イチゴパフェは綺麗です。美味しいです。おすすめです。
 夏メニューで消えていたものでは、「アボカド&えびクリーム」が復活しました。もしかしたら、これもイチゴと同じような扱いなのかもしれません。しかし、他のアボカドを使ったもの、えびをつかったもの、には変化がありません。謎です。
 ドリンク・デザート系では、「大葉青汁」が新登場。前面に押し出されています。健康に良さそうです。
  酸味ジュースに、新たに「ヒメ」が参入です。相変わらず素敵なネーミングセンスです。
 デザート「火山」は、美味しいです。名前の激しさにはひるみますが、運ばれてくるお品には奇をてらったことは無く、甘くしっかりボリュームがありますので、マウンテンの甘味として、堂々たる存在だと思います。
 今回の新メニューで、一番の注目は、なんと言っても「きしめん風チョコスパ」でしょう。名前は知られていましたが、長らく「試作」でしたので、お目にかかれない一品でした。「平日限定」ですので、遠出の方は出会うことが難しいかもしれません。
 そして、私が、ショックを受けたのが、「フレサラ(冷)」が消えていたことです。暑かろうと、寒かろうと、定位置に居ました。「頼む方、いらっしゃるのだろうか……」と思いつつ、私も「また今度」と、手を出せずにいたお品です。見たこともありません。たぶん冷製スパなのだと思います。日差しが強くなる頃、復活することを祈ります。復活したら「復活したっ!」と嬉しくなるでしょうが、オーダーするのかと問われると自信がありません。
 あと、ひっそりと、店歌『霊峰マウンテン』が再入荷していました。Amazonさんでも購入できますが、価格は変わらないので、登山の記念にどうぞ。

 相変わらず、期間限定メニューの入れ替わりが多いです。いち早く限定メニューを召し上がりたい方は、マウンテンの公式ブログ及び公式Twitterアカウント(@kissa_mountain)をチェックしてください。

 2012年のバレンタインデーは、火曜日です。平日です。是非、きしめん風チョコスパでたらふくになってください。

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2011.12.20

クリスマスケーキの予約を逃した方のために、デコレーションういろのご案内(4)

 クリスマスケーキの基礎は、スポンジケーキが一般的です。それを、富士の高嶺なる雪のような真白き生クリームで覆います。それが、テーブルに運ばれたとき、人々に清らかな歓びをもたらします。
 よって、


 伊勢虎屋ういろさんの「白」

 白ういろです。名古屋で白い和菓子といえば、白ういろです。しかも、


 白さに見惚れます

 今回は二本です。一本だけでもなかなか食べきれるものではないのですが、今回は二本です。贅の限りを尽くします。
 名古屋を中心とした中京地域では、たくさんの種類のういろが販売されていますが、今は「虎屋ういろ」さんの白ういろです。虎屋ういろさんのういろは一本ごと個別にパックされておらず、店頭で「二本くっつけて並べてください」という購入方法が取れるためです。ういろの味が良いのは言わずもがなです。
 ういろをそのままお皿に置いたのでは、やや寂しい感じがしましたので、笹の葉を敷きます。
 笹の葉は、濡らしたクッキングペーパーで表面を拭き、ハサミで切りました。文字型のちまちまでやや疲れていたのと、私に芸術的才能が無いため、ただの長方形です。


 10枚入りだったので8枚残っています

 お寿司の職人さんのばらん切りを見ると、感嘆の声が漏れてしまいます。まな板に置いたばらんを、さらしに巻いていたであろう包丁一本で華麗に切っていきます。濃緑の葉が七色に変じたかのように見える妙技は、その修得にさぞかしご苦労もおありだったであろうと、胸中涕泣いたします。
 ばらんの上に白ういろ二本をぴったりと並べ、その上に、長かった道のりを想いながら、あれこれを飾っていきましょう。


 美術的センスを強く欲します

 飾りの第一は、ちまちまの祝い言葉からにします。祝い言葉は「妙香園」さんのお抹茶で書きます。店員さんに、
「お菓子用にお抹茶を使いたいのですが」
 とお伺いしたところ、一番お手頃価格のお抹茶で十分美味しく綺麗にできますよ、ということでしたので、そのご助言を取り入れ、「宮の森」20gです。開けてみると、一番少ない20gで十分さ加減が分かりました。思う存分、文字を作ることができます。


 妙香園さんでお買い物をすると、お茶を振る舞っていただけます

 文字を切り抜いたトレーシングペーパーを白ういろ(二本)にぴったりと張り付かせ、その上から、茶こしで、とんとんと宮の森を降らせます。


 最高級のお抹茶の香りはどれだけ素晴らしいのでしょう…?

 こんなに緑色たくさんでいいのだろか、失敗は許されないのだけれども、と少し不安を覚えつつ薫り高い緑をさらに降らせます。十分に行き渡った後、トレーシングペーパーを、ちまちまと外すと、


 文字が出てきた

 文字が浮き出ていました。良かったです。あとは、肩の力を抜いて飾り付けられます。
 黒蜜を垂らします。
 粒を潰さないように、小豆を乗せます。
 小豆の上に、寒天をまとった金時人参を載せます。
 できました。


 ようやく完成

 クリスマスデコレーションういろです。
 白ういろを二本も使うという贅沢をして正解でした。
 「祝 御降誕」のお祝いの言葉。アップにしてみると、細かい部分が表現しきれていないことが露呈してしまいます。何卒、お許しいただきたく存じます。


 

 イチゴに見立てた金時人参、その土台となる粒あん、甘さを引き立てる黒蜜、の組み合わせです。黒蜜は、作ってから少し時間を置いてしまったので、固まった部分がありました。つぶつぶが悔しいです。再度湯煎して、漉して掛けるべきでしたが、気力に余裕がありませんでした。


 赤と緑のコントラスト

 では、白ういろ入刀。


 弾力が強い…

 ……ひっつきます。ケーキナイフよりも普通の包丁の方が良かったようです。それでも、できるだけ形を崩さないように、お皿へ。
 こうすると、白ういろに見えません。まだ、白ういろに見える方は、一旦眼鏡をお外しください。


 カット版・デコレーションういろ

 しばらくの鑑賞の後、いただきます。
 一口目は、ういろ、黒蜜少し、粒あん乗せ、お抹茶です。おお、あれだけ主張の強かった黒蜜が大人しくなっています。粒あんの甘さと、宮の森の香りの雅やかさが、長く長く、口からのどへと、ふうわり渦巻きます。白ういろは、甘さは彼自身のものを最低限保ちつつ、多くは他に任せましょう、という姿勢のようです。でも、もっちりねっちりの食感だけは誰にも譲れない、という気概が見て取れます。
 金時人参の甘露煮は、もう少しきび砂糖を入れて、甘さを強くして然るべきでした。金時人参そのものの味は良いですし、食感も白ういろとは違い、柔らかくとも、しゃっきりとしていています。ただ、私の腕不足により、お菓子としての役を十分に果たせなかったようです。金時人参に、ただただ叩頭するのみです。
 三分の一くらいいただいたところで、少し味に変化を付けてみることにしました。このようなものも作っていました。


 「蜜」です

 柚子蜜です。決してジャムではありません。蜜です。和風です。


 柚子に頑張ってもらいます

 柚子の皮をむき、細かく刻みます。私は、調味料柑橘類は、かぼすで育ちました。よって、柚子とはあまり付き合いがありません。でも、嫌ってはいません。むしろ、好ましく思っています。冬場、お猿さんが柚子湯に入っているニュースは、ほほえましく観ております。かぼすは、その鋭さから、目の覚めるような酸味を提供しますが、柚子はひんやりとした落ち着いた酸味だと思います。これからはお料理で使い分けたいと思います。
 皮と果汁とその他の部分(果汁をしぼった後のもの)に分けて、あとは、お砂糖を入れて、順繰りに煮ていけばいいのですが、これも少し下準備を。


 三つの部分に分けます

 皮は、何度か茹でる、湯切りを繰り返してえぐみを取ります。かぼすよりえぐみが無さそうなので、これが必要なのかな、と思いながら、ジャ……、蜜の作り方のレシピを見つつ茹でます。


 クセを取るために湯がきを三回繰り返しました

 次に、クッキングペーパーで包んだその他の部分をお湯で気が済むまで煮ます。ペクチンというのを出すためらしいです。今作っておりますのは、ジャムではありません。蜜です。
 ペクチンが出たのかどうか分かりませんが、その他の部分を上げてから、皮を入れて煮て、果汁を入れて煮て、温め効果を期待したショウガ(一かけ。刻みとすり下ろし汁を半々です)を入れて煮て、砂糖を入れて煮て、さらに煮て、煮詰まったら、蜜、できあがりです。


 今度は、柚子と生姜の風味で

 こうしてできたのを添えて、一口。
 ……確かに、クセがありますね。もう少し、皮を湯がいたら良かったかもしれません。お抹茶と合わせると、味がかち合うようです。白ういろには、別々に添えると良いと思います。

――――――――――

 白ういろ(二本)をいくつかの味でいただきました。二本なので、たらふくになるかと思いきや、少しの時間で、また、おなかが空きました。意外と腹持ち力を有さないのか、私が食いしん坊なのか。
 ぐー、とおなかの音を聞き、不器用に切られた笹の葉が残ったお皿を見つつ思いました。煮豆、甘露煮、柚子、お抹茶……。

「これは、おせちだ」


 緑バージョン・名古屋テレビ塔

 皆様、メリー・クリスマス。


 ◎主な店舗・商品データ
 ・商品データ
  商品名:白ういろ
  価格:¥315

 ・店舗データ
  店舗名:伊勢虎屋ういろ 名古屋三越栄店
  住所:名古屋市中区栄3-5-1 地下1階
  営業時間:名古屋三越・栄店に準じる
  定休日:名古屋三越・栄店に準じる
  アクセス:名古屋市営地下鉄・栄駅から、サカエチカ6番出入口直結
  公式サイト:http://www.torayauiro.co.jp/


 ・商品データ
  商品名:宮の森 20g
  価格:¥500

 ・店舗データ
  店舗名:妙香園 サンロード
  住所:名古屋市中村区名駅4-7-25先
  営業時間:10:00-20:30
  アクセス:JR名古屋駅から、桜通口方面・地下街サンロードへ下り、ミッドランドスクエア方向へ。
  公式サイト:http://www.myokoen.com/


  その他の材料は、名古屋市内各百貨店、東急ハンズさん、成城石井さんなどで揃えました。

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クリスマスケーキの予約を逃した方のために、デコレーションういろのご案内(3)

 あんこと黒蜜で、和菓子としての甘味を演出することができるでしょう。
 しかし、いかんせん、派手さに欠けます。彼ら、彼女らに内包された甘味には華やか且つ押しの強さはありますが、外見は落ち着き払っています。
 ここで今一度、洋菓子のクリスマスケーキを、思い起こしてみましょう。スポンジを覆う生クリーム。その上に配された、イチゴと祝い言葉。
 ケーキをクリスマスケーキにしているのは、円いホールであること、そして、イチゴと祝い言葉なのです。それらを疎かにしていては、和風でいきます、と言っても、なかなか認められないでしょう。
 では、イチゴは和風に合うか?
 この疑問に対する答えの一つが、苺大福です。イチゴは和風になります。それならば、今回イチゴを乗せてみましょう、とは簡単には行きません。
 イチゴは英語で何と言うでしょうか。「ストロベリー」です。それでは、小豆は? 黒蜜は? 簡単に英語で言えるものは、今回はお引き取り願うことにしました。
 代わりに用意したものは、


 いつもより長い人参を使います

 ニンジンです。
 「キャロット」ではないか、と仰る方もいらっしゃるのではないかと推測します。これは「金時人参」です。和風です。大丈夫です。
 確認が取れたところで、下ごしらえをします。三センチ幅くらいに切り、面を取り、丸っこくします。


 丸くしていないのも煮ます。もったいない、もったいない

 金時人参とその半分の量のきび砂糖を鍋に入れ、水から弱火で煮ていきます。
 鍋の中の水がちりちりと温まって行くにつれ、水から変わったお湯が薄い橙色に染まっていき、それとともに、ほろほろと湯気が立ち上ります。この湯気は、金時人参ときび砂糖発祥ですので、優しく、甘く、だけど、背が伸びきりっとしていて、潔さを感じます。きび砂糖も良い方と出会うことができたようです。


 きび砂糖が金時人参と邂逅

 小豆にしても、黒蜜にしても、この金時人参にしても、その湯気を吸い込むと、いろいろな想いがわいてきて、楽しいです。料理は食べる楽しさがあるのはもちろんですが、作っている段階の「湯気の味」が大切だなあ、と思わされます。
 ある程度煮えたところで、みりんと塩を参加させます。塩の万能さは世界にとどろいていますが、みりんの巧みさも唸らせられます。これほど、お得な調味料はなかなかありません。大さじ一杯入れるだけで、甘みが生まれ、お酒が香り、つやが出ます。これほど、有能なのに、全面的に日の当たる場所に出ていないのが不思議です。後ろでてきぱきとそつなく働く存在です。当人がお酒出身なので、飲み友達なったら、たらふくになるまで快く付き合ってくれそうです。


 みりん、凄い

 多数の参加者により、味の複雑化を果たした金時人参は、色味に役立ってもらいます。クッキングペーパーで軽く水分を取り、バットに並べます。あら熱が取れたところで、刷毛を使って、お湯で溶かした寒天を表面に塗ります。これで、さらに金時人参に艶っぽさを出します。光を反射させた朱い珠からは、もうイチゴの代役なんて言わせません、という意気込みが伝わってきます。


 ゼラチンを使うと「洋」っぽいので寒天を

 クリスマスケーキ飾りのもう一つの柱「祝い言葉」を書きます。
 はて、書くにはどうしたらいいのやら、何で書いたらいいのやら、と思った後、書かずに型抜きすれば良いではないか、と結論に幸運にもすぐさま達しました。
 和風のデコレーションですから、言葉も和風です。パソコンで、祝い言葉を印刷して、

 祝い言葉はワープロソフトで作成

 トレーシングペーパーを重ねて、


 トレーシングペーパーの方が後ではがしやすそうな気がしました

 カッターで切り抜きます。これが、予想していたよりも、骨の折れることでした。細かい部分が切りにくいです。金時人参の面取りをするときも思いましたが、もう少し、自分の手先が器用だったらな、と無い物ねだりをしつつ、無いものをねだったら、二十五日には、クロース翁が贈ってくれるのかな、と期待しつつ、今回一番のちまちましたことを続けます。


 今回、一番細かいところです

 長いちまちまの時間が終わりました。準備完了です。やっと、飾り付けです。今のところ、イメージに近いです。緊張と嬉しさと、もう少し早くクリスマスケーキを予約していればこんなことには、という思いがない交ぜになっています。


 (4)につづきます

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クリスマスケーキの予約を逃した方のために、デコレーションういろのご案内(2)

 ケーキ屋さんで、「和風のケーキ」と名づけられていると(「~ジャポネ」「~ド・ベール」など)、抹茶や小豆が使われていることが多いようです。今回は、本職の方々のその方式に倣います。既に「素人+創作和風ケーキ」なので、これ以上、冒険するわけには参りません。
 頭の中には、もう、デコレーションが出来上がっています。それにいかに近づけるか、が勝負です。
 近づくように、各部分ごとにレシピを調べます。そして、「一番大変そう」なのは、小豆だと分かりました。「明日できることは今日しましょう」の格言とおりに、大変そうなのは、早めに仕上げることにします。
 小豆は、袋に、煮る方法が表記されていました。ありがたいことです。もう、クロース翁がプレゼントを贈ってくださったようなものです。
 それを見ますと……、


 袋の裏面に小豆煮詳細。煮ようとして、困る人が多いのでしょう

 仕上がりまでに、四時間以上掛かることが判明しました。心が折れきってしまう前に、小豆を洗います。


 小豆あらいにとりつかれたように洗います

 「小豆あらい」という妖怪がいます。小豆あらい伝説は全国に広がっていて、川に引き込んだり、福をもたらしたりと、様々なタイプがいるようです。このような多様性を見せているのは、小豆がそれだけ、古くから日本で親しまれた甘味だったからではないでしょうか。小豆の風味と甘味に魅せられる人がたくさん居て、小豆を大切にしていたからこそ、その味に感謝し、ばちがあたらないように、たとえ一粒でも心を込めて扱ったのではないかな、と思いつつ、洗った豆を鍋に移し、くつくつと煮える豆を見つめます。


 これくらいの火加減でじっくりと

 小豆が煮える間は、アクを取り、差し水をする、のくり返しです。大変です。和菓子屋さんに敬意を表します。


 アクを取って


 差し水。というのを10分おきくらいにひたすら

 煮汁から小豆が出ないように気をつけつつ、軟らかくなるなるまで煮ます。ひたすら煮ます。二時間ほどして、煮上がった小豆を味見してみますと、
「豆だ……」
 まだ、あんこにはなっていません。煮豆です。そこはかとない、つま先からゆっくりと温かくなるような甘さはありますが、豆です。味付けをしましょう。
 家に上白糖がありましたが、後ほど別のものに使用するために新規に導入した「きび砂糖」がありますので、こちらを使ってみます。小豆レシピの注意書きによると、砂糖を一気に入れると、小豆が固くなるので、三回くらいに分けて入れるように、とのこと。言われるがままに三回に分割しました。そもそも、こんなに大量のお砂糖を一気に入れる、度胸の良さはありません。そんな豪気を持ち合わせていたら、既に世界に羽ばたいているはずです。


 お菓子作りをすると、こんなに、大量の、お砂糖が、使われているのかと、見せつけられます

 弱火にして、くたくたと煮つつ、十数分ごとにきび砂糖を入れていきます。分割しましたが、それでも結構な量です。一回……、二回……、少々の塩を入れて、三回……、数十分過ぎた頃、胸が高鳴ってきました。徐々に強まるきび砂糖の甘い香り、小豆のふっくりとした匂い。勢い良く入っていく大量の褐色の結晶。
 危うさ、楽しさ。
 砂糖の魔力、でしょうか。宴の前に近い気分になっていきます。クロース翁の微笑みが見えます。


 やっと、煮詰まった!

 煮えました。小豆があんこになっています。香りも確かにあんこです。ちょっと味見を。

 我慢できずに、ほんの少しだけ

 このまま、お餅を入れて、おしるこでたらふくになってもいいかもしれない、という気分がわき起こります。私は九州出身なので、丸餅です。焼きません。
 丸餅衝動を抑えて、お鍋に蓋をして、数十分寝かせるように、という指示に従います。美味しくなるのならば、蓋くらい、二枚でも三枚でもかぶせます。
 ようやく小豆の下ごしらえができました。一番大変そうなのが終了したので、あとは楽ちん、のはずですが、いきあたりばったりがそれを阻む、という話しは有名です。
 次は、もう少し甘味を足そうと思います。
 夏場にお世話になった、あんみつや白玉を思い出します。それには、あれが付き従っていました。


 お砂糖二種類とお水

 とろりとした黒蜜とすっきりした冷菓。あの組み合わせは絶品です。しゅるり、と舌の上を舞うあんみつ、白玉を、黒蜜がとろりと引き留めます。ともすれば、のどへと急ぐ彼らを黒蜜は「まあまあ、あわてずに」と小さな分銅のような重みとともに甘みを与えてくれます。
 そんな、安心感のある黒蜜ですが、作り方は意外や、簡単。
 今回は、先程も用いたきび砂糖に登場願います。そこに黒糖を合わせ、水で溶かしつつ煮れば良いだけ。東大寺金剛力士像のようなあんこ作りの厳しさに比べたら、広隆寺弥勒菩薩半跏思惟像の如き穏やかなレシピです。
 さて、全部をお鍋に移して、と、思いましたが、その前に、それぞれのお砂糖の味見します。袋を開けた途端に立ち上った甘い香りに参ったためです。


 黒糖からきび砂糖へと

 黒糖ひとつまみを舌に乗せます。濃いけれども、烈しさはありません。じんわりと沁みる力強い優しさです。明るく素朴なはっきりとした表情が見えたかと思ったら、瞬間、消えていきます。黒糖の去り際の良さには、一種呆然とさせられます。華やかだけれども、遠い昔が見えて、たおやかで、どこか静かな泣き笑いのような悲しい甘さです。
 黒糖から、上白糖に行く途中が、彼女、きび砂糖。黒糖の風味が残っていますが、さらさら、すっきりしています。お料理にもお菓子にも合います。
 しかし、どうしても、「いいのか、それで君はいいのか」と問いたくなります。
 以前のような、深く沈み込んでいくような甘さはありません。黒糖よりも洗練されていて、馴染みやすい甘さです。これが、問わせる原因です。何かが、彼女に起こったような気がしてなりません。見えないところで何かをしている、誰かと付き合っているような感じです。「何かを知ってしまった」雰囲気です。
「お、おい! なんだ、その化粧は、その服はどうしたんだ!」
「別に、なんでもない」
「なんでもない訳ないだろ! 昔は……」
「いいから、ほっといて」
 ドアが、ばたん、と閉じる。
 というような、変化です。誰かに、何かに影響を受けてしまっています。悪い人にはだまされてほしくない、という気が働きます。
 不安を覚えつつ、鍋に、黒糖、きび砂糖、水をまとめて入れて、煮ます。焦がさないように、木べらで混ぜていると、黒糖が香り、きび砂糖がかたまり、丸まり、とろん、とした熱気が辺りをおおいます。


 こちらはすぐに煮えます

 こういうことだったのか。たぶん、水、みたいに無害そうな者が、何もかもを受け入れさせてしまう要注意の存在なのです。
 しばらくすると、どろどろの黒蜜っぽいものになりましたが、蜜と言うには粘りけがありすぎましたので、もう少し水を足します。どんどん、要注意存在を介入させます。こうして、深みにはまっていくのでしょう。
 蜜らしくなったら、目の細かい茶こしで漉して、できあがりです。


 黒い!

 もう、黒糖もきび砂糖もありません。黒蜜です。全てを知ってしまった黒蜜です。だからこそ、あんみつや白玉をあんなに美味しくできたのでしょう。
 いくら清楚に見えても、綺麗なもの、美味しいものには、裏が居ます。


 (3)につづきます

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クリスマスケーキの予約を逃した方のために、デコレーションういろのご案内(1)

 今年も、走って閉店間際の店舗に駆け込み誰かのために椅子を購入しそれを抱えて電車に乗り込みたい時期になりました。
 街の夜の下、灯りと人々がきらきらしています。ダウンコートのポッケに片手を入れて、マフラーをくるくるに巻いて、肩幅を狭めて背を丸くしていると、血流が悪くなって、肩こりしてきますが、街のたくさんのきらきらを見遣ると、寒い緊張も少し解けて、肩のこりもいくらか和らぎます。クリスマス前の楽しみ方は、そのようなちょっとずつの合わせ技でいいのではないでしょうか。


 イルミネーション点灯はケーキのお知らせです

 当日は、大きなケーキを囲んだり、大きなケーキに囲まれたりして、イチゴと生クリームを飛び交わせ、メリー、メリーと派手やかで楽しいたらふくのひとときを過ごせばいいのではないでしょうか。甘みは、肩のこりも胸のこわばりも解きほぐしてくれます。
 そうそう、だから、ケーキ、大きいのを予約しなくてはいけません。百貨店で。
「無い……」
 ありません。うかうかしていました。クリスマス以外の何やかやが年末にとんとん拍子に私を責め立ててくれましたので、ケーキを見に行く余裕がありませんでした。気がついたときには十二月。
 百貨店は、早いところでは、十月から予約が開始されます。まだカボチャの熱気立ちこめる時に、イチゴとクリームはウォームアップをしていたのです。よって、うかうかして十二月にそろそろケーキなどと言うのは、百貨店のケーキさん達からしたら、ちゃんちゃらおかしい、のです。
 それでも、まだ……、と淡い期待を抱きつつ、百貨店巡りをいたしました。


 ジェイアール名古屋タカシマヤさん

 こちらは、十二月の初めにうかがいましたが、カタログさえも無かったようです。「おせち承り中」があちらこちらに。


 三越栄店さん

 こちらも、カタログは早くも無くなっていました。


 名鉄百貨店本店さん

 こちらは、カタログはありましたが、いくつかのお店のケーキは完売です。


 松坂屋名古屋店さん

 こちらも同じく、完売マークがずらずらと。


 丸栄さん

 こちらは、まだ余裕がありました。しかし、今日が予約締め切り日です。品切れになったであろうと思います。

 つまりは、もう、手遅れです。改めて、手遅れを思い知らされて、とぼとぼと百貨店地下名店街をあてどもなく彷徨しました。ショーケースの中には白と朱のカットのショートケーキ。手を伸ばせば届くところにショートケーキ。しかしながら、クリスマスイブには(23日も25日もです)、大きなホールのあなたたちには触れることができない。実に寂しく、悲しいです。(附記:プチガトー、ピースのケーキも当日夜はかなりの行列ができるはずです)
 鬱々ととぼとぼと、さらに名店街を廻ると、和菓子コーナーに行き着きました。こちらもクリスマス版になっていますが、洋菓子コーナーほどの張り詰めた感じはありません。店員さんから、どこかしら、ゆったりした感じの「いかがですか?」のお声が掛かりました。
 ショーケースを見ます。あんこなどが居ます。もっちりしたのがあります。生クリームはありません。
 今年、私は、例年よりも和菓子をたくさんいただきました。お正月、初詣帰りにたまたま立ち寄った和菓子屋さんで煉りきりを購入し、そのたたずまいにすっかり惹かれました。
 あのとき、大福を。あのとき、ちまきを。あのとき、若鮎を。あのとき、水ようかんを。あのとき、くりきんとんを。今年の和菓子が走馬燈のように駆け抜けていきます。
 そうだ、これだけ、和菓子に心癒されたのだから、和菓子に感謝の念を捧げるべきだ。
 頭の中の走馬燈の明るさが増しました。
 なにも、洋菓子ケーキに拘泥することはない。和菓子でもクリスマスをお祝いできる。クロース翁も「おー、フィンランドにはないケークですネ」と仰ってくれるに違いない。
 和菓子を尊重しつつ、派手やかに、楽しく、デコレーションケーキを作ってみようではありませんか、と己に言い聞かせて、素材集めの気持ちに勢いよく切り替えました。


 洋菓子デコレーションケーキへの想いはありますが……

 ケーキですと、スポンジを作るのが結構厄介です。今は、出来合いのスポンジも販売されています。同じ要領で、和菓子版を調達です。あとは、デコレーションのいろいろを。
 困ったときは、こちら。


 ハンズさんの頼もしさにはいつも甘えてしまいます

 東急ハンズさんには、製菓材料もかなりの数が揃っています。あれに、これに、それ、とかごに入れていきます。
 うーん、それでも、足りないものが出てきますね。それならば、こちら。


 成城石井さんにも甘えてしまいます

 成城石井さんならば、食材はさらに豊富。あ、あった、あった。これで八割くらい揃いました。あとは、再び百貨店地下に潜り、生鮮品を買い足します。
 あとで分かりましたが、近くのスーパーではこの八割が揃いました。思いつきで行動すると、このようなことが多々起こります。下調べが大切です。ですが、私の八割が思いつきですので、食材集めはこれで良いのだと思います。
 残りは、その近所のスーパーで集めたり、家にあるものを使うことにします。


 これで、デコレーション……、してみます

 思い切り和風です。これならば、和風デコレーションケーキになりそうです。
 さて、行き当たりばったりお菓子作りを始めましょう。


 (2)へつづきます

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2011.12.09

長引く秋をお見送り(サバラン・オ・フリュイ・ルージュ、和栗のモンブランプリン:レニエ・リヴゴーシュ)

 秋になっても、時おり、汗がにじみました。もちろん、少しずつ空気は冷えていきましたが、「秋だっ、葉っぱも華のように煌めくっ」と思えるほど秋めいたようには思えず。「秋……、そう言われてみれば秋なんだよなあ」と、しぶしぶ扇風機をしまい、コタツとヒーターを出したものの、スイッチは入れずに専ら鑑賞して「暖かい、暖かい」と、エコロジーな晩秋の日々を送っておりました。
 でも、そんな、秋らしくない秋には飽きて明らかな秋らしさを求め「さあ気の済むまで秋の気を体中に」と空き屋を残して全身を澄んだ空へとフォール出しました。
「空が高いな、心地良いな、秋だ、やっぱり秋だ」
 と、のこのこ歩いていますと、首の辺りがもぞもぞします。背中ももわもわします。
「暑い……」
 保温九分袖シャツがひたりひたりと肌に張り付きます。気の持ちようだけではどうにもしがたい秋らしくない秋の責めです。この暑さは気分だけでは解決できない、と判断し、百貨店の地下に潜ります。
 ハロウィンが終わるとともにクリスマスケーキの予約が始まりました。「ケーキだ。ケーキだ」と楽しみにエスカレーターを降りますと、
「おせち予約中」
 既に、クリスマスを飛び越えて、来年になっていました。ケーキのカタログもありません。まだ11月なのに……。やはり百貨店のケーキは人気高いです。
 くるくるとショーケースの甘い風貌に目をやりますと、こちらはまだ秋気配をたたえています。
 この地域で秋のお菓子と言えば、やはり、くりきんとん、でしょう。棹物や煉りきりのお菓子にも、幾人もの栗がゲスト出演を果たしています。
 洋菓子はちょっと押され気味かな、と思いましたが、栗の手広さを甘く見てはいけません。
 モンブラン。
 欧州の白き霊峰を名にし負う彼のお菓子は、極東のこの国でも絶大な人気を誇ります。和菓子の栗のほろほろとした風合いに対して、欧州のそれは、ぽってりと肉感たっぷり、ねっとり重厚。貴婦人がなまめかしくグラマラスな肢体をシックなドレスに包んでいるようです。
 どちらが好みですか? と問われましたら、1,2秒の黙考の後、「……どちらもお願いします」と答える節操の無さを露呈させるでしょう。
 なので、B1Fの和菓子コーナーと洋菓子コーナーを、うろうろ行ったり来たり。店員さんが「あ、また、この人、こっち来た」なんてことは思っていないと軽く心に言い聞かせつつ、往来を続けます。
 和菓子のエリアで栗入り羊羹におおかた心傾いた頃、最後の確認のつもりで洋菓子エリアに行きました。
 ショーケースに一つだけ残っていた、紅くしっとりと座っていた、それ。
「サバラン、食べたかったんだ! 忘れてた!」
 栗そっちのけです。いきなり、ブリオシュにラム酒ひたひたのケーキに鞍替えです。
 初めてサバランを食べたときは、幼い頃、初めてチョコレートケーキを食べたときに近似した思いを持ちました。心がステップアップしたような思いです。
 お酒を使ったお菓子はたくさんありますが、ここまで、じゅわり、とたっぷりに沁みたものはそうは無いはずです。
 夜、御飯を食べ終わって、甘いものが欲しいな、香りのいいお酒も飲みたいな、その思いを共に叶えてくれるのが、サバラン。
「サバラン一つと、和栗のモンブランプリンを一つお願いします」

レニエ・箱
 「Régnié」で「レニエ」さんです

 欧州の霊峰とフランスの伝説的な美食家が住まう箱は、それにしては軽く、お菓子にしては重く。
 ショーケースでサバランを目にした瞬間から、「サバラン、サバラン」と気が昂ぶってしまいましたので、モンブランは後に控えてもらいます。
 レニエさんのこのサバランの正式名称は「サバラン・オ・フリュイ・ルージュ」。赤いフルーツのサバラン、の名の通り、ルビーのようにベリーがつやつやと輝いています。もっと、間近でと思い、カップを持ち上げ、目の高さでゆっくりと回すと、反射した赤い光が濃淡を持って目に入ってきます。その光の揺らめきは、ブリオシュをほんの少しだけ揺動させ、内に収まっていたラム酒を醒まし、空気を割り、舞い出てきます。その存在は、強く甘く、だけどピリピリするようなアルコールはほとんど感じさせず、ただ、酔うともなく、どこか深いところに落とされます。

サバラン・オ・フリュイ・ルージュ
 サバランは『美味礼賛』を著したブリア・サヴァランから

 カップをお皿に戻すと、ふわふわした気持ちが治まり、蘧蘧然として座しています。香りと姿だけで桃源郷に放り込ませるとは、何とも危うく素敵なお菓子です。
 小粒の果物、どれから食べたら良いのか、ちょっと、迷い、一口目は果物を避けて、ブリオシュにスプーンを入れます。
 「ジュッ」と小さく、湿度のある音を立て、スプーンが下り、一口分をすくい出すと、中からカスタードクリームが姿を現しました。ブリオシュ、ラム酒、カスタード、いずれも甘みの強者。よくぞ一同に会してくれた、と感謝もそこそこに味わいます。
 ブリオシュは粒状感がやや大きめで、ざらざらの二歩手前くらいのさらさら感。細かな穴、一つ一つに入り込んだラム酒は香りで感じたように、アルコールの気配は少なく、香りに専念してシロップと合わさり、強い甘みがのどから鼻に抜けていきます。「控えめ」ではありません。しっかり頼りがいのある甘みと香りです。対して、カスタードは、やや穏やかです。ブリオシュ生地の後ろで、なめらかさを担当しているのでしょう。大切なお仕事です。
 次の一口、今度はベリー類も含めて行きます。
 甘みの姿がガラリと変わります。果物の酸味がこれだけ強いと、ラム酒に匹敵することが分かりました。ブリオシュ、カスタードの甘さと香りを尊重しつつ、酸味が加わることで、ともすれば、体中に散り広がってしまいそうな甘みと香りを、再び舌の上に集約させ、甘さに規律を与えて、しっかりと引き締めを行っています。

サバラン・オ・フリュイ・ルージュ ベリーの部分
 紅いサバラン

 サバラン・オ・フリュイ・ルージュは、天然自然のベリーを甘みと刺激的な酸っぱさの冠に戴き、その主は、豪奢に人の手が丁寧十分に加えられたラム酒の甘みと香りの二重構造になっています。
 紅いベリーをつっつき、ラム酒たっぷりのブリオシュをすくう。それぞれはほのかな距離を取りつつも、互いの手は離れることなく、重層的で幻想的な世界を見せてくれます。
 サバラン一カップを食べ終わり、一息。最近、お酒に強くないので、もう一息。お茶を少し。今度は当初の目的だった、栗、行きます。
 「和栗のモンブランプリン」。和栗に、モンブランに、プリン。「一つの中にいろいろあった方が、たらふくになれて、うれしい」という、悲しい性格を持っている私には、願ったり適ったりです。

和栗のモンブランプリン・横
 頼もしい大きさの器

 まず、目を引いた、いや、手にしっくり来たのは、その重さと温かさ。もちろん、モンブランプリンはよく冷やされていました。でも、その器を下から持った時の安心感の温かさは、しみじみ落ち着きます。
 直径95mm、高さ58mm。やや大ぶりの湯飲み茶碗くらいでしょうか、そこにたっぷりとプリン、モンブランが盛られ、その上に、栗、豆、求肥が配されています。

和栗のモンブランプリン・上
 日本庭園のようなモンブラン

 決して派手ではありません。飾られているのですが、それぞれが際立つ風ではありません。むしろ、モンブランプリンのみでは、大きく、仰々しくなっていたであろうものを、軽くなだめ、泰然自若様たらしめています。静かで長い秋の夜に似つかわしく、好感が持てます。
 たっぷりのモンブランをスプーンで一すくい。根雪のような生クリームを伴い、一口。するりと生クリームは溶け、流れ。
 しかし、モンブランはとっしりと残ります。微細な栗の粒子が、さらり、さらり、と動き、口の奥の方でちょっと引っかかり、その引っかかりが、果実としての栗の表情を見せ、みっしりとした濃い味と、生まれ持った甘さの素のようなコクを残して、また、さらり、さらり、と消えていきます。

和栗のモンブランプリン ひとさじ
 物静かなモンブラン

 モンブランです。モンブランですが、モンブランではないようなこの感じ。
 重さはありますが、幽玄な香りとすっきりした甘さ。このモンブランは、確かに、くりきんとんの脈に連なっています。
 モンブランを支えるプリンは、これもまた、栗の味です。とろとろのなめらかタイプで、上のモンブランよりも明度の高い甘さ。それでも栗の香りはいっぱいに感じられます。
 てっぺんの半粒の栗、モンブラン、プリン。これらが大ぶりの器にめいっぱいに詰まっていて、三者三様の秋の山の香りを与えてくれました。
 これでようやく、秋を送り出すことができます。今度こそ、冬をお出迎えすることができます。再び、保温九分袖シャツ、ニット、ダウンを着用。さあ、木枯らしの中へ。
「……暑い」
 今年は秋がしぶといです。
 と、数日、思っておりましたら、今日はやけに寒かったです。やっと本格的に冬が来たようです。
 コタツとヒーターを、観賞用から実用に切り替えよう、と思いながら、青と白の電球の間を抜けて、家路を急ぎました。


 ◎店舗・商品データ
 ・商品データ
  商品名:サバラン・オ・フリュイ・ルージュ
  価格:¥420

  商品名:和栗のモンブランプリン
  価格:¥588

 ・店舗データ
  店舗名:レニエ リヴゴーシュ
  住所:名古屋市中村区名駅1-1-4 ジェイアール名古屋タカシマヤ・地下1階
  営業時間:ジェイアール名古屋タカシマヤに準じる
  定休日:ジェイアール名古屋タカシマヤに準じる
  アクセス:JR名古屋駅直結。名古屋市営地下鉄・東山線及び桜通線名古屋駅直上。
  公式サイト:http://www.regnie.jp/


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2011.09.12

若鮎の夏色(若鮎、鬼まんじゅう:梅花堂)

 暦の上で秋になれば、その後の日々の暑さは残暑と言われます。でも、暦の上で秋になるのは八月の初め。夏が本気を出すのは、それからだいたい、一週間から十日後くらいです。なんだか、暦に欺されているような、化かされているような気になります。
 「残り香」は本体が去った後に、ほのかに香るものですが、「残暑」は、そんな、手加減はしません。しっかり残業をします。働き過ぎです。
 しかし、働き者の「暑」に、ぐうたらな私が食ってかかるのは、道理・道徳に合いませんので、甘んじて「暑」を受け入れることにいたします。
 どのように「暑」を受け入れるべきか。自動販売機の「つめた~い」や、スーパーマーケットの冷凍風呂桶に詰まっているアイス、「1コ98円、3コ284円」と書かれてあれば、3コかごに入れる、「氷」の旗が下がっている門扉を見つければ、そこに入っていく、などの手段を取るのが、心に優しいです。
 心に優しいですが、こういうたらふくを続けていると、体にはあまり優しくありません。おなかが疲れます。
 「暑」を受け入れ、心に優しく、体にも優しい。そんな方法があるのか、と、しばし黙考すると、足は和菓子屋さんに向かいます。

梅花堂・外観1
 鬼まんじゅうでとても有名

 梅花堂さんは、覚王山の入り口でどっしりと出迎えてくれます。鬼まんじゅうで有名ですが、もちろん、他の和菓子も取り扱っていらっしゃいます。

梅花堂・外観2
 次々とお客様が鬼まんじゅうを求めていらっしゃいました

 あります、あります。涼しげなのが。キンキンに冷たくはないけれども、ひえひえな雰囲気のお菓子が並んでいます。見た目で涼を感じる、という、古くからの知恵の結晶が並んでいます。ぷるぷるのひえひえのお菓子たちです。
 こうしてショーケースの中をなぞって、目を冷やしておりますと、「ん?」と引っかかる一点があります。
 茶色なのです。焼き色なのです。他から浮いています。涼しさの感じでは無いのに居るのです。「おかしい、何故、こんな色合いが居るのだ」と、一瞬思い、二瞬考え、三瞬くらいで、「ああ、君だったのか」となります。「君ならいいよ」となります。むしろ「君に会いたかった」とさえなります。
 彼らは訴えかけてきます。
「茶色ですが、買ってくれませんか?」
 と。それで、私は注文します。
「若鮎を三匹ください。あ、それと、鬼まんじゅうを二つ、お願いします」
 鬼まんじゅうは二つ。若鮎は三匹。
 どうしても、彼らは「匹」になってしまいます。焼き菓子なのに、活きていたかのように思えてしまいます。このように考えてしまうのは私だけなのか、と不安に思っておりましたが、後日、スーパーマーケットの和菓子コーナーで、パック入りの若鮎を見て安心しました。ラベルシールに「4匹入り」と印字されていました。

鬼まんじゅう&若鮎の包み
 梅に包まれた鬼と鮎の重み

 鬼まんじゅう二個と若鮎三匹は一包みにされました。鬼と鮎の異種極まった同棲です。ひとなつのあやまち、では許されないような背徳感です。
 早く別れさせなければいけません。どっちから引き離すか、と言ったら、やはり鬼からでしょう。

鬼まんじゅう・二個
 ごつごつしているから鬼

 でこぼこの形ゆえに、「鬼」と言われていますが、表面はつやつや、ほんのりと甘く香ります。天然の嫌みの無い香りです。しかし、現実世界では、得てしてこういう存在の方が鬼だったりします。

鬼まんじゅう・アップ
 つやつやもっちりが魅力です

 鬼まんじゅうは、いきなりかぶりつくと楽しさがやや落ちます。一度、半分に割りましょう。

鬼まんじゅう・断面
 お芋のほっくりも魅力です

 断面の黄色のお芋の楽しいのなんの。
 鬼まんじゅうは、ごつごつを表出させているお芋が多い方が好きです。ぽくぽくとした食感がねっとりに変わり、柔らかい甘みを残して、少しのどに詰まりながら去っていく。この一連の動きはお芋が多めでないと実現しません。
 生地は、つなぎ、で良いのです。脇役。でも、にっちり、としたつなぎが無いのもいけません。にっちり、と、ぽくぽく、が、交じりあって、大人しいけれども雄大な甘みが展開されます。
 のどの詰まりを冷茶で流して、若鮎に行きましょう。

若鮎三匹
 大ぶりな若鮎

 ご覧の通り、若鮎は茶色の焼き菓子です。本来、涼しさを有しません。有すはずがありません。しかし、有しました。全ては、その体に刻み込まれた焼き印です。
 焼き菓子に、焼き印がプラスされているにも関わらず、涼しいのです。山間の清流を想起させ、ここには無いはずのせせらぎを聞かせしめる鮎の絵の力。
 名前も良いですね。「若」とはよく付けたものです。これが「鮎菓子」などという名前でしたら、涼し度は、ぐん、と下がったでしょう。
 体長14cm、おなか周り9cmの、ぷっくりとした若鮎を横たえます。描かれるだけでこうも涼しくなるのか、と改めて驚かされます。

若鮎・お皿
 並べてみると……

 彼らはどこかを見ています。二匹並べたのに、何故だか寂しそうな目です。あどけないようでもあります。

若鮎・顔
 どこか寂しげな……

 ああ、寂しい。こんな目をした彼らを食べて良いのか。
 食べましょう。もう、この目を見ていられません。
 一匹取り上げ、頭からぱくり、と。
 どら焼きやパンケーキと同じく、表面のさっくり、が歯に伝わり、気泡のふっかり、が分かると、ねちもちっ、がやってきます。
 中は求肥。若鮎には、求肥のみと餡入りがありますが、私は求肥のみの方が、なんとなく、若い感じがしていいなあ、と思います。
 梅花堂さんの若鮎は、皮の生地は少し甘みが強めで、玉子の風味がしっかりはっきりしているように感じました。
 求肥はしっとりと粘り。ほっくりとした皮とは対照的な食感です。つややか、きらきら水面のような涼しさ。それは内にあり、表に出さない。その慎ましさが寂しげな顔を、また思い出させ、涙をこらえて、しっぽをぱくり、と。

若鮎・断面
 炊きたてのお米のような艶

 「見立て」で涼しくさせるお菓子の優しさを感じながら、お皿に乗せなかった三匹目を、もぐもぐ、と。

 ……と、これを書き始めたのが、一ヶ月ほど前です。「後で、後で」と、先延ばしをしているうちに、暦の上の秋が、肌で感じられる秋になりました。
 この夏、私は、若鮎を何匹も食べました。何件かの和菓子屋さんに行き、いろいろな寂しい目と会いました。
 それぞれのお店で、
「いつ頃まで若鮎はありますか?」
 と、お訊きしました。
「毎年、八月いっぱいくらいですねえ」
「お月見の前には無くなってしまいます」
 というお答えでした。ここ数日の間、和菓子屋さんのショーケースを見ましたが、「若鮎」の札は、もうありません。
 今宵の円い月を眺めながら、また来年会おう、と、あの目を思い出しました。寂しいのではなく、「夏は、おなか、大事にね」といたわってくれる優しい目だったことにようやく気づきました。


 ◎店舗・商品データ
 ・商品データ
  商品名:若鮎
  価格:¥130

  商品名:鬼まんじゅう
  価格:¥120

 ・店舗データ
  店舗名:梅花堂
  住所:名古屋市千種区末盛通1-6-2
  営業時間:8:00-17:00
  定休日:不定休
  アクセス:名古屋市営地下鉄・覚王山駅1番出口から本山方面(東方向)へ約50m。


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