2019.02.11

琥珀の纏うショコラ(トロワフリュイ(オランジェット・シトロネット・パンプルムース):ドゥバイヨル)

 柑橘類の皮を食べることを忌んでいたのは何故か、きっかけは何だったか。遠い記憶なので掘り起こすことが難しいのですが、「みかんのたぐいの果物の皮は食べたくない」という気にさせた原因になるであろう出来事を二つ覚えています。
 順不同でそれらを挙げますと、まず一つは金柑。
「これは、実ではなく皮を食べるものだ。皮が美味しいものなのだ。だまされたと思って食べてみよ」
 と教えられ、その教えの通りに口に放り込んだら、
「うぐっ!」
 と、だまされました。
 もう一つはマーマレード。小学校入学から間もない頃、給食のパンに付属した状態で初対面しました。それまでジャムと言えばイチゴで赤くて甘いものでしたので、太陽色をしていてジャムとは呼ばれないジャムに興味と期待を抱きました。いただきますの号令の後、ビニールの小袋の端をちぎり、中のそれをずんぐりしたパンに擦りつけ、口にしました。
「うぐっ!」
 往々にして、子供は苦いものを嫌います。二つの出来事のどちらが先か、今となっては曖昧模糊としていますが、金柑もマーマレードもみかんの仲間で、甘さに紛らせ、その外皮を食べさせようとする一派がこの世の中には居るということが刷り込まれたのです。
 このような呪縛があり、長いこと柑橘類の皮を使った甘いものに積極的には手を出せずにいました。ところが数年前のチョコレート催事で大転換が起こったのです。「ご試食どうぞ」と出されたオレンジピールのチョコレート掛けを何の気なしに受け取り、口にしたところ、
「うわっ!」
 みかんの類の皮はこんなにも豊かな風味だったのか。苦味の向こうはうま味だったのか。美味しかったのか!
 長い間、遠ざけていたことが心底悔やまれました。

ドゥバイヨル・トロワフリュイ 2019年版ボックス
 毎年テーマに合わせて描かれています。

 ドゥバイヨルさんの「トロワフリュイ」は、オレンジピール、レモンピール、そしてグレープフルーツピールのチョコレート掛け3種が組み合わさったものです。オレンジピール、レモンピールまでならまだ分かりますが、グレープフルーツの皮にもチョコレートを掛けてしまうとは。グレープフルーツは包丁でもって胴体部分を横に断ち切り、露わになった房の内部を匙で奮闘して刳り抜き食すものではなかったのか。皮がもうちょっと物腰柔らかならば気楽に食べられるのにね、という感想を持たれる果実のはずです。それが「皮こそうま味」と為されるとは。

ドゥバイヨル・トロワフリュイ 2019年版ボックス・内部
 オランジェットとシトロネットは単体でも販売されています。

 まずは、比較的理解の得やすい「オランジェット」から味を見てみましょう。およそ半分の3.5cm部分をかじると、高さ1cmの移動の間に、覆いのチョコレートがパキッと割れ、その後ににっちりとした感触が伝わってきます。この中身がピール……、皮のはずなのですが、柑橘類のえぐみや引っ掛かりのようなものはまるでありません。オレンジ一玉全体を極限にまでぎゅっと押し詰めたかのようなつややかな味と香りが現れます。この柔らかなオレンジピールの味が徐々に大人しくなっていくと、ビターチョコレートの澄んだ苦みが働き始め、オレンジピールの味をまた引き戻します。ビターチョコレートが強めの苦味を担当することにより、対比される形でオレンジピールの「引っ掛かり」がほんのわずかに感じられるようになっています。この一連の流れで、甘くはあるが甘いだけではなく、苦味はあるが苦味ではない、というような幻惑がもたらされます。オレンジだから理解が得やすいだろうと取っ掛かりましたが、とんでもないことでした。

ドゥバイヨル・トロワフリュイ 並べて比べる
 一本ずつ形を楽しむこともできます。

 覚悟を持って「シトロネット」も味わってみます。オランジェットはオレンジピールでしたが、こちらはレモンピールです。教科書で育ってきた私たちはレモンと言われるとどうしても、絵具のチューブから出てくる冷たい紡錘形の爆弾が思い起こされましょう。その酸っぱさは口の中が破裂するかの如く。ことばだけで口中が湖沼と化します。その強い個性はシトロネットでどのようになっているか。
 おや、酸っぱくない。いや、酸っぱくはあるがさほど酸っぱくない。目を覚まさせるレモンの香りがぱっと放たれます。この広がりは爆弾というような強烈なものではなく、霧が吹かれた爽快さです。微睡みから瞬時にうつつへ引き戻してくれる酸味。目を覚めさせてくれた後、ほろとして苦さが出てきたかなと思うと同時にミルクチョコレートの甘みが交じり、なめらかにとろけていきます。レモンの皮もこんなに穏やかになれるなんて、と驚かされます。
 もう、柑橘類の皮だからと二の足を踏むことはありません。パンプルムースに手を伸ばします。素手では到底剥き得ないあの皮の強情さはありません。さらさらとした粉糖に出迎えられ、グレープフルーツの甘みが重く、優しく伝わります。ともすれば刺激とも言えるあの酸っぱさは影を潜め、深奥までしっかりと甘いグレープフルーツです。ミルクチョコレートの甘さとグレープフルーツの甘さが相互に働きかけ、長い間、甘さが留まり続けます。
 グレープフルーツ独特のくせがないわけではありません。むしろ「グレープフルーツの皮だな」という確かさがあり、3種類の中で「皮の味」の主張が一番強いのはこれのようにも思えます。ただ、チョコレート、ミルク、砂糖と手を組むことで、ここまで装いを変えられるのかという意外な思いも大きいのです。

ドゥバイヨル・オランジェット 断面
 琥珀のように輝くオレンジピール

 実のところ、この3種類のピールのチョコレート掛けを、ここ数年のこの季節、このように思いながら毎年食べていました。たいそう心惹かれたチョコレートについて、生半可な気持ちで書いてはならない、と腰引け逃げて、ひとりこっそりピールでたらふくになっていました。しかし、ようやく書き付けてみようという心持ちになりました。何故かは分かりません。太陽を包み込んだような3種類の果実の明るい力がようやく働き始めたのかもしれません。感じ取った明るさをそのまま書いてみればいい。己がくせをほんの少しだけ残しながら、と。
 そうそう、金柑はいまだに食べられません。


◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:トロワ フリュイ(18個入)
 価格:2700円

・店舗データ
 購入店舗名:DEBAILLEUL(ドゥバイヨル)・松坂屋名古屋店催事「CHOCOLAT PROMENADE 2019」
 住所:愛知県名古屋市中区栄3-16-1 松坂屋名古屋店本館(2019年1月16日から2019年2月14日まで)(Googleマップ
 営業時間:松坂屋名古屋店に準じる
 定休日:松坂屋名古屋店に準じる
 公式サイト:https://www.kataoka.com/debailleul/
        https://www.facebook.com/debailleulproducts/(ブリュッセル本店公式facebookページ)
 アクセス:名古屋市営地下鉄・矢場町駅5番・6番出口直結

 2019年2月現在、日本国内では「丸の内オアゾ店」をはじめ4店舗が常設で営業しています。
 また名古屋地区は2019年2月14日まで、ジェイアール名古屋タカシマヤ「2019 Amour du Chocolat!」、三越名古屋栄店「SALON DU CHOCOLAT 2019」でも出店・販売される予定になっています。

 更新履歴
 2019/02/13
 店舗データにブリュッセル本店公式facebookページの情報を追加しました。
 日本国内の常設店舗の情報を追加しました。
 名古屋地区における催事情報を追加しました。

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2013.02.14

イタリアの空の下で蕩かす(カライビケ:ヴェストリ)

 スパゲッティをたぐりながら思った。イタリアにバレンタインデーは無い。
 辞書を見ると、聖バレンタインは三世紀にローマで殉教したとあるので、どの国よりも、バレンタインデーと関係が深そうだ。けれども、チョコレートが似つかわしくない。地中海性気候にチョコレートが合わない。青く広がり、白を刷いた空気に、チョコレートが合わない。
 ブーツ型のイタリア国。足の入り口のところは似合いそうな地域と接しているので、似合うかもしれない。けれども、イタリアでひとくくりにすると、やっぱり似合わない。
 それに、2月14日にはにかむ、というのも似合わない。イタリアの人の愛情表現というと、真っ先にパンツェッタ・ジローラモ氏が思い浮かぶ。彼に年に一度のそわそわは似合わない。
「チャオー。チョッコラータ、デスネー。アモーレー」
 と、一年中受け入れ体勢も差し上げ体勢も整っていそうだ。バレンタインデーである意味が無い。
 最後の一本のスパゲッティを飲み込んで、思った。あえてそこで、チョコレートを出してみたらどうなるのだろうか。いっそのこと、パッケージは青にする。軽みのある青。

ヴェストリ・カライビケ外箱
 涼しげな箱と深紅のリボンの組み合わせ

 なかなか、好ましい。ジローラモ氏のように、素直にアモーレと言い出せる軽さだ。もちろん外の紙袋も青くしている。相手の腰に手を回しながら、もう片方の手でふたを開ける。イタリアっぽい良い感じになってきた。

ヴェストリ・カライビケ 4個入り
 「カライビケ」はカリブをイメージしたアソートです

 そして、耳元に吐息をかけながら、なにごとかささやいている。こちらには聞こえないが、甘美なことばを並べているのであろう。その連なる甘さは耳に心地よく、のどをくすぐり、頭をくらませている。奥底にほんの少しだけちくりと紅い刺激を持たせることも忘れていない。心をほぐすイチゴとミルクの甘さ。

ヴェストリ・カライビケ フラーゴラ&ココローコ
 イチゴミルクの「フラーゴラ」と、ココナツの「ココローコ」

 スパゲッティが盛られていたお皿をどかして、エスプレッソを一口飲む。
 そうして、油断させたところで、重い一撃を舌先に載せるのだろうな。ただ甘いだけじゃないところを見せるのだろう。柔らかくて浮き立つような甘さから、とっしりと押さえつけるような甘さへと引き込む。シャリシャリとしたココナツの引っかかりは、重みのある香りとしっかりと濃い空気と強い日差しを押し詰めた甘さを見せる。それは、さっきのイチゴミルクの甘さからはすぐに移らない。重く、詰まった甘さを、強めの苦みでくるんでいる。「あれ? 苦いのかな?」と思わせておいて、角度を変えた甘さを頭にしみこませていく。じんわりと、しびれるようにそれは進む。洋酒の力を借りながら。褐色の笑みを浮かべながらそれは進む。もう、逃げられない。

ヴェストリ・カライビケ フラーゴラ&ココローコ断面
 表情と内心です

 二杯目のエスプレッソ、最後の一口を飲み干す。苦い。しかし、また、彼は、甘い穏やかな攻めへと移る。
 ココナツの香りはする。けれども、瞬間前のような、苦みや刺激は無い。クリームのように絡みつく甘さは最初のひとことよりも強い。ココナツの重みのある香りにとろりと醸されたようなパイナップルの甘み。既に酔いは回っている。ここに一途な甘さを繰り出していく。勝負はもうついているのに、手を緩めない。
 いけない。それ以上、彼のペースに乗ってはいけない。それは分かっているが、手遅れなのは誰の目から見ても明らかだ。しかしながら、彼は、最後の仕上げに取りかかる。
 冷たい直角二等辺三角形のティラミス。これはたらふくでもするりと入る。九十度のところにフォークを立てながら、僕は続きを見届ける。
 ミルクチョコレートはするりと受け入れられ、抵抗感の無い苦みと、緩急はあったが、最初から途切れることなく続いた甘さを、体の深奥に流れ込ませていく。ココナツの段階でとっくに勝負は付いているのに。もう、止したまえ、と言おうとしたとこで、情熱的なひとことを口にした。
 きゅっ、と目をつむってしまうほどの、鮮やかで鋭いパッションフルーツ。この刺激で全てが終わった。

ヴェストリ・カライビケ フルット・デッラ・パッシオーネ
 フルット・デッラ・パッシオーネのインパクトは心地よく苦しい

 チョコレート、ミルク、ココナツ、太陽、海、柔らかく、優しく、少しだけ痛く。それらが、クリームの緩やかさで、のどと胸に押し寄せてくる。口当たりが良いから、つい受け入れてしまう。警戒感なんてとうの昔に無くなっている。南洋の夕暮れ。止められた時間の甘さが支配している。
 だから、バレンタインデーはイタリアには無い。常にこのようなテクニックを隠し持ち、すぐに取り出す用意はできている。爽やかな青さの中には、イタリアの情熱が足を組んで座っている。危ない甘さだ。
 空いたティラミスのお皿を見ながら、三杯目のエスプレッソを飲み終えた。さて、これくらいにして、そろそろ出るとしようか。
 そう、ここはサイゼリア。

 (本文中一部敬称を省略しました。ご了承下さい)


◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:カライビケ(CARAIBICHE) フラーゴラ、ココローコ、ピニャコラーダ、フルット・デッラ・パッシオーネ
 価格:\1050

・店舗データ
 購入店
 店舗名:名古屋三越栄店催事「サロン・デュ・ショコラ」
 住所:名古屋市中区栄3-5-1 7階催事場
 営業時間:10:00-20:00
 定休日:催事期間中無休
 アクセス:名古屋市営地下鉄・栄駅からサカエチカ直結。16番出入口すぐ。
 公式サイト:http://nagoya.mitsukoshi.co.jp/
 ※サロン・デュ・ショコラは2013年2月5日まで。2013年2月6日から2013年2月14日まで「2013三越スウィーツマルシェ」開催。

・製造元
 会社名:VESTRI(ヴェストリ)
 公式サイト:http://www.vestri.jp/

 国内主要販売店
 店舗名:FIAT Caffe'
 住所:東京都港区北青山1-4-5
 営業時間:11:30-19:00
 アクセス:東京メトロ外苑前駅4番出入口から青山通りに沿って北東に約300mの左手。
 公式サイト:http://fiatcaffe.jp/

 更新履歴
 2018/05/19
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2013.02.06

青く熟れた五番街の風(生チョコレート・メロン:フィフスアヴェニューチョコラティア)

 もともと、「菓子」はくだものを指していた、ということは良く知られています。それを承けて、「お菓子をあげるよ」と言われ、心弾ませ、手を差したところ、そこにザクロが一個載せられたらどうなるでしょう。ふんわり甘いスポンジと生クリームの組み合わせを思い浮かべていたら。あるいは、もちもちのお米にバーガンディの小豆の組み合わせを思い浮かべていたら。そこに、九割方が酸っぱさで構成されている、小さいつぶつぶがみっしりと内側に詰まっていて、それをぷちぷちと取りだして口に入れると、さらに小さいぷちぷちの種を避けるようにして、味わってください、と手に載せられるのです。
 わき起こるのは、落胆でしょうか。憤怒でしょうか。
 ザクロが悪いわけではありません。菓子とくだものという二つのことばの関係が問題をこじらせてしまったのです。そのような問題を発生させないために、くだものを「水菓子」と呼んだりします。一品ずつ順番にお料理が出てくる和食のお店では、お品書きの一番左端に「水菓子」が書かれています。
 生々流転。この水菓子のところに、シャーベットや、ゼリーや、ババロアなどが出張ってきていることもあります。彼らはまごう事なきお菓子です。しかし、水菓子ではありません。
 混乱の極みです。
 私は見たことがありませんが、もし、水菓子でさつまいものふかしたのが出てきたら、どうなるでしょうか。植物で、狭義の果実では無いけれども可食部で、甘い。しかし、水菓子として出てきたら、
「ここは、おぬしの出る幕ではない!」
 と、腕を胸元から外側に向けて振り払う力を以て、はね飛ばされるやもしれません(さつまいものふかしたのが悪いわけではありません)。
 様々なパターンを呈示しましたので、まとめてみましょう。
1.くだものっぽいくだもの。
2.くだものっぽくないくだもの。
3.くだものっぽいくだものじゃないもの。
4.くだものっぽくないくだものじゃないもの。
 の、四つのパターンがあると考えられます。1は、容易に思い浮かべることができます。桃とか、蜜柑とかです。「もぎる」果実はだいたい1に当てはまるでしょう。2は、果実だけれども、お菓子の雰囲気とはちょっと違うかも、と思うものたちです。栗(くりきんとんにはなります)がその代表的な存在です。3は、狭義では果物ではないけれども、広義にはくだものとして差し支えないものです。イチゴ、西瓜などは、果実では無いですが、果物と捉えられることが多く、水菓子の肩書きで出てきても、許されると思われます。4は、1から3以外のものです。鰹のたたきなどが当てはまります。まとめてみましょう、と書いてみましたが、ちっともまとまったように見えませんので、皆様各自でベン図を書いて、整理していただければと思います。
 注目したいのは3です。3が水菓子で出てくれば、八方円満におさまりそうです。
 メロンです。
 ウリ科の一年生果菜。木になる果実ではありません。蔓に生ります。狭義のくだものではありませんが、広義のくだものです。しかし、狭義のくだものの上に立つ程の威を持って、くだもの界に君臨しています。初セリがニュースになる数少ないくだものです。木の箱に入っている数少ないくだものです。
 お食事が終わって、最後の水菓子でメロンが出てきたら、「狭義のくだものではないけれども、れっきとした水菓子であると見なす。よって、いただきます」となるはずです。2ではありますが、くだものとも、菓子とも、水菓子とも名乗れる存在なのです。
 ここで、4の分野から、異論が出てきます。その声は、今や菓子と言えばお砂糖や小麦粉や玉子などで作ったものであり、私たちの中にいるそれらをないがしろにするのはいかがなものであろうか、ということのようです。その意見はもっともで、それならば「くだものっぽくないくだものじゃないもの」も、お菓子として迎え入れましょう、となります。連立です。そうすると、曖昧で、元の木阿弥のようですが、後につなげるために、そうします。

 2007年に5thアヴェニューさんの「シャンパン生チョコ」をご紹介しております。シャンパン生チョコは依然として高い人気を持っています。オリジナルの生チョコレートと、シャンパン味は、定番でこの毎年この季節に百貨店の催事に出場していますが、それ以外の味も、期間限定として出品されています。今年は、「生チョコレート・メロン」が登場です。
 5thアヴェニューさんのチョコレートの美味しさは、前に書いているし、改めて書くこともないでしょう、と思いつつ、微笑みを絶やさない店員さんに渡されたひとかけの試食を口にしたところ、涅槃に誘われているかのような多幸感に包まれました。催事会場の喧噪と熱気が一瞬にして消え去りました。無辺の草原に横たわり、冷たい光を総身に浴びているように感じた次の瞬間、片手に紫の紙袋を提げて、部屋に立っている自分がありました。下見のつもりだったのに。
 後悔は後にして、もう一度あの感覚を、とがさがさと包装紙を払うと、見覚えのあるあの木箱が出てきます。シャンパンの時には無かったシールが、この中身がメロン味であることを瞭然とさせています。

5th Avenue Chocolatiere 生チョコレート・メロン1
 5th Avenue Chocolatiereさんと言えば木箱、メロンと言えば木箱

 シールを切って、木箱のふたを開けると、雨上がりの朝のような潤いを持った香りが立ち上ります。すっ、と、さっ、と、数時間前の涅槃が甦ります。しゃらりとしたココアパウダーを指先に感じ、半分のところに歯を立てて、いや、それは性急すぎる、と、三分の一のところに立て直します。すると、かすかな抵抗のみで、するり、とチョコレートに沈んでいきます。
 その途端に、風格を見せるメロンの風味。さらに濃く香り、さらに潤う。摘んだばかりの玉をその場で半分に割ったのではないか、と思わせるほどの、密度の高さ。
 口中を転がる三分の一の欠片は、ころころと舞踏を始めます。柔らかいのに、どこかにしがみつくような感じはありません。全てが軽やかに、涼やかに進んでいくのです。しっとりとした甘味を振りまきながら、少しずつ欠片は小さくなっていきます。
 メロンの味わいが、やや薄れたか、と思わせた時に、チョコレートの芳ばしさと、かしりと堅い甘さが出てきます。これより早くとも遅くともいけない時に、チョコレートが来ます。

5th Avenue Chocolatiere 生チョコレート・メロン2
 見た目は、シャンパンと変わりはありません。

 メロンが舞い、踊った線を、静かに、それでいてしっかりとなぞっていきます。メロンで満たされていた感覚にチョコレートが追いついてきます。メロンがチョコレートにオーバーライトされるのではなく、メロンとチョコレートがマージされるのです。
 本来は、味のはっきりした両者です。混交すると、打ち消しあってしまうように思われますが、ここではそうはなりません。きちんとお互いを尊重し、引き立てあっています。なんというバランスの良さでしょう。
 溶けきってしまうと、まずは、チョコレートから退場します。甘さを落として、ほのかな渋みを残し、それも消し、あとはメロンに任せます。あとを託されたメロンは、青い甘さをとろりと出し、水気の多い果実が持つ、しゃくり、とした食感を思い出させる後味を残します。「青さ」と「熟れ」という、本来は相容れない味わいを、この一粒で感じることができるのです。さすがはあのシャンパン生チョコレートの香りを作った職人技、とうなることしきりです。
 残りの三分の二かけも溶かし終わり、さて、もう一個、となります。気分はそうなるのですが、指先が動きません。もう一個を取りあげることができません。一粒の生チョコレートを食べただけなのに、おなかは、ひとりでメロン一玉を平らげたような豪奢なたらふく感なのです。人差し指と親指の二本指を生チョコレートの上でかざしたまま、しばらくじっとしていると、体の中、どこからともなく、水源間もない清流のように、青い甘さと熟れた芳ばしさが通っていきます。まだ、一粒目が終わっていなかったのです。

5th Avenue Chocolatiere 生チョコレート・メロン3
 心なしか、エメラルド色に輝き始めているように見えます

 水菓子に、この生チョコレート・メロンが出てきたらどうなるでしょうか。目にした途端、怪訝な顔をするでしょう。しかし、のどを通ったとき、それは納得へと変わるでしょう。くだものっぽくないくだものじゃないものとくだものっぽいくだものよりもくだものっぽいくだもののようなくだものっぽいくだものじゃないものが、数センチ四辺に封じ込められているのです。さらに、「菓子」と「くだもの」という呼び名問題も解決させています。こういうことを、一挙両得、というのかもしれません。
 水菓子、すなわちデザートの役は、生チョコレート・メロンに担ってもらいましょう。では、その前のメインディッシュの役は……、言うまでもなく、シャンパン生チョコレートです。


◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:生チョコレート・メロン(6個入り)
 価格:\1995

・店舗データ
 購入店
 店舗名:ジェイアール名古屋タカシマヤ催事「アムール・デュ・ショコラ」
 住所:名古屋市中村区名駅1-1-4 10階催事場
 営業時間:10:00-20:00
 定休日:催事期間中無休
 アクセス:JR名古屋駅直結
 公式サイト:http://www.jr-takashimaya.co.jp/
 ※アムール・デュ・ショコラは、2013年2月14日まで。最終日は19:00閉場

・製造元
 店舗名:5th Avenue Chocolatiere(フィフスアヴェニューチョコラティア)
 公式サイト:http://www.5thavenuechocolatiere.com/(米国公式サイト)
 ※2013年2月現在、日本には、直営店・常設店は無い模様です。
 以前は、松屋銀座さんに常設店がありましたが、昨年退店したようです。
 参考:松屋銀座ブログ「GINZAのおいしいスタッフ日記―バレンタイン2013 vol.3 "幸福のブタチョコレート"」(2013年1月25日付)
 http://www.matsuya.com/m_ginza/blog/food/2013/01/20130125_1501002013_vol3.html

 更新履歴
 2018/05/19
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2012.02.12

芯の強さが思い出させる(生チョコ:シェ・シバタ)

 心に残るもの、には、忘れられないものと、思い出すものがあるようです。
 相も変わらず、試食をして、美味しいな、と思って、小箱を一つ購入して、帰る途中で我慢できずに箱を開け、一つ口に入れ、美味しいな、と思って、二つめを口に入れ、を繰り返すと、小箱なので、あっという間に無くなりました。
「ああ、美味しかったなあ、たらふくたらふく」
 と思って、途中だった帰り道を継続させました。このあとはあれに寄らないと、明日はあれをしないと、この前のあれをするのを忘れていたな、冷蔵庫のあれはまだ大丈夫のはず、などの多種多様の雑多な日常のあれが頭に浮かんでは消えていきました。
 その継続中に、猛々しいまでに思い出されたのです。先ほど空けてしまったチョコレートの味。
「わあ、美味しかった! あれは、美味しかった! もう無い! 美味しかった。食べたい! どうしよう!」
 この思い出し力は、帰り道を行き道に変化させるほどの力を持っていました。あれに寄らないと、を放擲して、きびすを返しました。

シェ・シバタ 生チョコ 外箱
 ピンク+型押し+銀のリボン

 そして、二箱目のこれです。
 生チョコレートは、彼らの柔らかさそのもののように、最近は人々の中にとけ込んでいます。シェ・シバタさんのこれも生チョコです。商品名は「生チョコ」。なんと飾り気の無い、と思われるかもしれません。しかし、奇をてらわない真摯さ、と思うこともできるのではないでしょうか。
 真摯さは強いです。
 その強さは、ひとたびは心の片隅に退いて、姿をひそめていても、失せてしまうことはありません。
 3cm四方を取り上げると、生チョコです。くちびるに近づけます。その1cm手前。軽く開けた口から鼻へと、鼻からのどへと、香りが動きます。甘みと苦みがすっきりとしなやかに通っていきます。

シェ・シバタ 生チョコ 3個入
 ココアパウダーが柚子味で粉砂糖がアールグレイ味です

 歯触りは、ねっとりと絡みつくよう。先だっての香りにしては重い、と感じながら、もくもくと溶かしていると、絡んだ食感は潔くほどけます。
 歯から舌へ。ぽってりとした重さ。生クリームの重さ。重さは口から胸へと下りていきます。甘みもあります。しっかりしたカカオの香り。そこに柚子のわずかな酸味とクセが徐々に強まっていきます。
 甘み、苦み、酸味、柑橘のクセ。これらは芯の太い風味です。でも、次の一個へ移るまでの短い時間のうちに、快く去っていきます。
 アールグレイ味の方が、いくらか甘みが強く感じられました。同じく、歯にねっとりと絡みつき、舌に移り、とろける。その頃に来る味は、華やか、絢爛。瑞な風が口を満たします。
 甘さと茶葉の香りが渾然となります。ミルクティーに似ているようで、それには如かず。温和に、鮮やかに後から後からアールグレイが連なってきます。でも、それも、形が無くなり、少しの間までです。にこやかに涼やかに風合いは去っていきます。
 自らの重みをさしでがましくなく感じさせ、頃合いを逃さず、密度を一気に低くし消えていきます。

シェ・シバタ 生チョコ 柚子&アールグレイ
 自然な形の内にある強さと潔さ

 重くて、消える。これが、この生チョコの持ち味です。
 そして、しばらく、また、しばらくと、時間を置いたときに、彼の力が発揮されます。
 拡散した風味が一気に集まります。ぎゅっ、と密度が高くなり、そこにあるかのような重さがよみがえります。
 そうなると、居ても立ってもいられません。「思い出す」のです。一度、心に浮かび上がると、抑えられないほどの衝動の強さです。
 それで、もう一箱、となりました。今また、思い出しています。居ても立ってもいられない思いで、書いています。
 この生チョコに籠められたであろう念の強さと、味わいを思い返しますと、陶然となり、目が潤みそうです。
 これだけ「強い」チョコレートですが、季節のお品としてはお手頃な価格です。ぜひ多くの方々に味わっていただきたいと思うのですが、残念ながら、岐阜県・多治見市か、名古屋市の店舗、もしくは、名古屋の催事会場でしか、入手できないということでした。
 忘れられない味。頭の中で現せるのですから、素晴らしいです。
 思い出す味。すぐに手に入れ、味わうことができない場合は……、罪作りな味です。


 ◎店舗・商品データ
 ・商品データ
  商品名:生チョコ(3個入)
  価格:\580

 ・店舗データ
  購入店
  店舗名:ジェイアール名古屋タカシマヤ 催事「アムール・デュ・ショコラ」
  住所:名古屋市中村区名駅1-1-4 10階
  営業時間:10:00-20:00
  定休日:期間中無休
  アクセス:JR名古屋駅直結
  公式サイト:http://www.jr-takashimaya.co.jp/
  ※「アムール・デュ・ショコラ」は2012年2月14日まで。最終日は18:30閉場

  主要販売店
  店舗名:chez Shibata Nagoya(シェ・シバタ 名古屋)
  住所:名古屋市千種区山門町2-54
  営業時間:10:00-20:00
  定休日:火曜日
  アクセス:名古屋市営地下鉄・覚王山駅1番出入口から、栄方向(西方向)へ約40m、「覚王山」交差点を右折し、日泰寺参道に沿って約120mの右手。
  公式サイト:http://www.chez-shibata.com/

 更新履歴
 2018/05/19
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2012.02.10

航海の波に寄せらるる甘美(ラジョラス・ジントニック:カカオサンパカ)

 板チョコ、は、まず名前で損をしていると思うのです。
 歴史はあります。スーパーマーケットでおなじみの各社板チョコのページをご覧ください。「~年から変わらず」「~年以来」「~年に初めて」などのことばが躍っています。色々なチョコレート菓子がありますが、全ては板チョコから始まっているのです。
 始祖としての確固たる地位を築いている板チョコですが、その地位ゆえに容易に姿を変じることが叶いませんでした。初代校長の肖像のように、厳格さを保たねばなりませんでした。
 その間、初代のもとから様々な師弟が羽ばたきました。あるものは中に果実を抱き、玄き珠となりました。またあるものは大気をまとい、天弓を越えるほど軽くあろうとしました。そしてまたあるものは、その柔らかき資性をもって、姿態を変え、きのこやたけのこや船舶など、万物の形象を現そうとしています。
 その間、初代校長も装いを変えておりました。しかし、人々は、彼のものを見てことばを交わします。
「あれ、この板チョコ、外側のデザイン変わったよね?」
「そうかな? 前からこういうのじゃなかった? いつから変わったっけ?」
 あんまりです。でも、初代は度量が大きいので、気にしないふりをして、威厳を保ち続けます。
 板、というのも、あんまりです。師弟は「ボール」「バー」「フレーク」「チップ」「山」「里」など、その風体に合わせて、人々に親しんでもらえるようにと、二つ名をもらい受けています。
 板。
 抗いようが無い断定です。しかし、
「あなたは板ですか?」
「いかにも私は板であります」
 彼のものは、問われれば荘厳さをもってそう答えるはずです。その有り様を誇りとしているからです。
 登山者の背嚢の中には、今でも板チョコが入っているのでしょうか? 彼のものはただ実用的であろうとしました。
 手作りチョコレート。市井にカカオマスから作る方がどれほどいらっしゃるでしょうか。
「『贈られるならば? ガナッシュ、ジャンドゥーヤとか……、ボンボンも……、ジュレが入っているのも……。でも、板チョコが案外いいですね』というアンケート結果も!」
 もう、これ以上は止めておきます。これ以上、彼のものの威厳を傷つけるに及びません。

ラジョラス・ジントニック 外箱
 お洒落ですが、平たい

 これは、ラジョラス、です。長方形で平たいチョコレートです。
 カカオサンパカさんの、板チョコレートは、ラジョラス、という名前です。スペインでは、この称号を以て国王陛下に謁見しているのです。広き海洋を渡りし頃の威厳は、チョコレートに於いても健在です。

ラジョラス・ジントニック 外箱側面
 隠れたところに情熱的色味

 バルセロナの本店では、ラジョラスのホワイトチョコレート「ロサス・イ・フレサス」が一番人気とのこと。このシーズンの各地の催事でも、ロサス・イ・フレサスがやはり一番人気とお聞きしました。カカオサンパカさんは、出店されている催事会場ごとに品揃えを若干変えていても、ロサス・イ・フレサスは外すことなくお取り扱いされているようです。
 そのため、試食でロサス・イ・フレサスをいただけます。
 薄いピンクの中に、細かくローズピンクの粒子。桜絨毯の中に紅梅が散っているような趣き。地中海、バルセロナというよりも、春の和の雰囲気を湛えているように思われます。
 ひとかけら、手のひらで受け取り、味見をします。
 すると、和の雰囲気はどこへやら、一気に欧州の華やかな庭園へと誘われます。バラの花弁を口にしたらこのような味なのだろうな、という貴く聖らかな香りに充ちます。華華の女王と呼ぶに相応しい香り。気品と烈しさを併せ持ちながらも、押しつけられるような、圧迫感は覚えません。
 君臨するバラの香りから弾け出るイチゴのすっぱさは、爽やかに明るく。
 両者のきらびやかさを、ホワイトチョコレートが雄大に柔らかく甘く受け止めています。
 ほんのひとかけらでこれだけの印象を与えるのですから、一番人気もむべなるかな、です。
 今回の試食の前に、これは分かっていました。既に、試食したことがあったからです(今回、カカオサンパカさんは名古屋初出店です。以前は、別のところでいただきました)。試食ばかりなのを心より申し訳なく思っております。以前の試食で迷いました。迷った挙げ句に、購入を見送りました。後日、惜しいことをした、と思いました。今回、名古屋初出店の情報をかぎつけました。駆けつけました。試食しました。また、迷いました。
 他にも、魅力的なラジョラスが並んでいるのです。私が優柔かつ不断に迷っているのを見て取られた店員さんが、ご親切に試食分をお出ししてくださいました。本当に試食ばかりで申し訳なく思っております。

ラジョラス・ジントニック 内部包装
 航海の果てにカカオにたどり着いた先人に敬意を表している、のだと思います

 ラジョラスの「ジントニック」を選びました。
 こちらは、少々無骨な雰囲気です。海で灼けた人々が、陽気にお酒をあおっている姿が浮かびます。

ラジョラス・ジントニック 全体
 これ以上ないくらいの板っぷり

 ジントニックのベースはミルクチョコレートです。ただ、ビターチョコ、ダークチョコほどではないにしても、甘さはやや抑えめです。一片を口に放ると、最初に、仄かはありますが、きっ、とジンの熱い刺激が伝わります。最初に目が開かされるこの印象は、味は大きく違っていても、ロサス・イ・フレサスと通底するようです。
 ジンの熱気が収まってきて、やや角の取れた頃、奥歯でかみしめると、しゃりっ、という音とともに、またもや別の切れの良い刺激が現れます。レモンの酸味です。イチゴの明るさとは別の風合いを持った明るさ、やや羽目を外したような、痺れにも似た強い酸味です。思わずまぶたを閉じ、眉間を寄せてしまうすっぱさ。寸前の熱気を払い、ミルクチョコレートの甘さを高く飛び越えてきます。

ラジョラス・ジントニック カカオサンパカロゴ
 強い意志をうかがわせる刻印

 熱気、元気、これらが口中を圧倒するのも、つかの間。前の時を落ち着かせて、寡黙なミルクチョコレートがじっくりゆっくり甘みを広げて五臓六腑へと移っていきます。
 五臓六腑です。お酒をたしなんだときの定番の文言です。おなかの中で、再び、ジンとレモン、そして寡黙だったはずのミルクチョコレートまでが、「たらふくになるのはまだまだ早いよ」とばかりに、しばし騒ぎ出すのです。
 二度楽しめるとは、このこと。
「もう一杯」
 が、お酒の定番となっている方は、思わず、そして、すぐさま、ラジョラスをもう一片割ってしまうことでしょう。
 贈り物には……、ロサス・イ・フレサスを一枚、ジントニックをもう一枚。ジントニックが取り扱われていなければ、試食をされてお気に召したものを。

ラジョラス・ジントニック 細分化
 ぱきっ、と硬め

 はじめに、板チョコの威厳、などと書いてしまいましたが、板チョコは親しみやすさもずっと持ち続けてきました。憧れの存在から身近な存在へ。板、という形状により、どなたでも気軽に手に取ることができるようになっています。顔は厳しくても、穏やかで好好な心中が見て取れます。
 なので、カカオサンパカさんのラジョラスもお気軽に。……と申し上げることができれば良いのですが、スーパーマーケットの板チョコ諸氏とラジョラスとの間には、ややお値段に開きがあります。それゆえ、贈り物でラジョラスの「二枚渡し(複数枚渡し)」は、お味はもとより、形状の親しみやすさと意外性が加わり、喜んでいただけるような気がいたします。
 そのようにラジョラスにいっとき移り気しても、板チョコ諸氏の威厳は揺るぎはしません。歴史が物語っています。
 あと、私は、板チョコ諸氏もラジョラスも、ガナッシュも、ジャンドゥーヤも、ボンボンも、ジュレ入りも、その他も、好きです。


 ◎店舗・商品データ
 ・商品データ
  商品名:Rajoles Gin tonic(ラジョラス・ジントニック)
  価格:\1260

 ・店舗データ
  購入店
  店舗名:名鉄百貨店・本店 催事「サロン・デュ・ショコラ」
  住所:名古屋市中村区名駅1-2-1 7階
  営業時間:10:00-20:00
  定休日:無休
  アクセス:名古屋鉄道・名古屋本線名鉄名古屋駅直結
  公式サイト:http://www.e-meitetsu.com/mds/index.html
  ※サロン・デュ・ショコラは、2012年2月14日まで。最終日は18時閉場。

  国内主要販売店
  店舗名:CACAO SAMPAKA(カカオサンパカ・丸の内本店)
  住所:東京都千代田区丸の内2-6-1 丸の内ブリックスクエア 1階
  営業時間:11:00-21:00(月~土)、11:00-20:00(日祝)
  休業日:元日
  アクセス:東京駅丸の内中央口から、都道402号線を南へ約300mの右手。丸の内ブリックスクエア内。
  公式サイト:http://www.cacaosampaka.jp/

 更新履歴
 2018/05/19
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2012.02.08

いつまでも新しく在り続ける(ノボラスキュ:黒船)

 百貨店に入り、宝飾品売り場を通り抜け、化粧品売り場を通り抜け、下向きのエスカレーターに運ばれ、地下一階に着いたとき、はた、と気がつきます。
「洋菓子売り場に行けばいいのか、和菓子売り場に行けばいいのか……?」
 目的のお菓子について思います。あれは日本語では無い、はず。いや、売っているお店は漢字だった、はず。はて? To 和菓子売り場, or To 洋菓子売り場, That is the question.
 カステラが欲しいのです。
 「カステラ」と聞くと、長崎。長崎というと、西洋異国情緒。よって、カステラは西洋異国菓子。……とはなりません。カステラは和菓子らしいのです。カステラが主力となっているお店の名前をいくつか思い浮かべてみてください。漢字ばかりのはずです。
 実際、和菓子屋さんには、「かすていら」という墨書が張り出されています。カステラは和菓子です。
 「ラ」です。「ラ」が問題の元なのです。ひらがなの「ら」でも同じです。「la」もしくは「ra」の響きは、和菓子向きではありません。本来、日本語(和語)の語頭にはラ行音は存在しません。カステラの「ラ」は語頭ではない。はい、仰るとおり語尾です。でも、「ラ」が付いていると、「洋」っぽくありませんか? 「かすて」と「かすてら」を声に出して比べてみてください。後者の「洋」っぽさを実感いただけると思います。
 和菓子屋さんで売られているけれども、洋風で、けれどもやっぱり和菓子。
 和菓子の一つとして定着していますが、いつまでも最初期の若やぎを持ち続けています。ハイカラ、ということばが、よく似合うお菓子です。ずっと「新しさ」を自然にまとっています。
 その、新しくハイカラなカステラが、さらに新しくなったらどのような姿になると思われますか。

ノボラスキュ・外箱
 白と黒の円筒の中がラスクとは思い難いです

 ラスクになります。
 黒船さんの「ノボラスキュ」のつづりは「NOVO RASQ」。「NOVO」はポルトガル語で「新しい」の意味とのことです。英語の「NEW」、フランス語の「NOUVEAU」、イタリア語の「NUOVO」と形が似ているので、元が同じなのだろうな、と想像します。おそらく、ラテン語からなのでしょう。経験上、このような場合、ラテン語、と言っておけば、60%くらいの確率で正解となるようです。60点は、優良可の可なので良しとします。
 パンをスライスして、かりっかりにオーブンで焼かれたラスクの食感は、人々を引きつけて已みません。たとえ食後に、テーブル、膝の上、衣服に、乾いたパン粉が散らばるという事態が待ち受けようとも、それはラスクへの手を引き留めるにはあまりに弱すぎる力です。
 ノボラスキュは、カステラをラスクにしてしまいました。さらには、ミルクチョコレートまで染みこませています。
 普通のラスク、フランスパンをオーブンカリカリ焼成後はその形と食感がおおよそ分かります。
 カステラをラスク? あのふわふわしっとりをカリカリ焼成? いいのですか、そのようなことをして。
 危惧しました。
 円筒形の箱のふたを、卒業証書入れと同じ要領で開けます。あの春の日、教室に響いたのと同じ音がします。
 がさがさと円筒をを振ると、Qの字が目立つシックなデザインのスティックが数本出てきました。

ノボラスキュ・個包装
 ラスクでした

 一本を取り出し、針金入りの封をくるくると解くと、甘さたっぷりのチョコレートの香りが、ふう、と鼻先をかすめます。
 長さ9cm、幅2cm、厚さ1.3cm。ごつごつだけど、きっちりと面を保っています。一般的なラスクは厚さ1cmほどの楕円形ですが、ノボラスキュはカステラ形状の縮小化という手段により、由来を保持しています。
 指にはチョコレートの重さが伝わります。しかし、全体は、その触感に相応しない軽さです。親指と人差し指ではさんだダークブラウンの一本は、円筒の箱や、個包装、本体のたたずまいに反して、親しみやすさを覚えます。ついつい、ふるふる、と振ってしまいます。チョコレートの粉が少し散りました。

ノボラスキュ・本体
 満遍なくしっかりチョコレートでコーティングされています。

 もてあそぶのはほどほどにして、がじっ、と。すると、こくっ、と折れます。
 途端、ミルクチョコレートのなめらかさと香ばしい風合いが伝わります。開封時と同じ、しっかりとした甘さが印象的です。
 こくっ、と折れた一片を、奥歯で、ごつり、と砕き、「なるほど、これがノボラスキュの歯ごたえなのか」と頷き、思い切りがりがりごつごつを楽しもう、と思った矢先に、さくさく、ほろほろと崩れていきました。最後にわずかな、とろり、と、しっとり。
 あまりの、展開の早さに呆然とします。今度はしっかりと展開を確かめようと心を強くしっかりと立て直し、残った一片を、ごつり、とかみ砕きます。
 表面は、カステラ生地がミルクチョコレートを吸って固まり、ごつり寄りのかりかり食感です。この抵抗感がある間に、まろやかに甘く、ちょっと苦く。それらが強く広がります。この後です。チョコレートの表面は、ころころと崩れゆき、中のカステラが姿を見せます。

ノボラスキュ・断面
 中は、細かい空気を含み、優しい色合い

 実に当たり前の、パンのラスクとカステラのラスクは、口当たりが大きく違うなあ、という嘆息。
 カステラのしっとりがさらに焼成されると、きめの細かいあの生地そのままが、さらさら、ほろほろ、となります。そのほどけ具合に、玉子とお砂糖のあのまろやかさ、甘さが加わっていて、懐かしくて嬉しくて。
 チョコレートと、ほろほろのカステラが、混じり、それぞれが丸みのある香りと甘みを残しつつ、ゆらゆらとたゆたい、とろけてゆきます。
 ラスクの姿を取りながら、「ラスキュ」として生まれたカステラは、まさに「NOVO」を伝える黒船そのものです。ラスクの軽やかさを持ってはいますが、玉子やお砂糖、カカオがふんだんに使われているようで、しっかりどっしりと一本でたらふくに近くなります。だけど、後を引き、あともう一つ、と取り出して、がりがりとしてしまうのは、やっぱりラスクです。
 円筒箱を小脇に抱えて、一人、もくもくといただく、のはやはり寂しいので(でも、この円筒箱はついつい小脇に抱えたくなる大きさです)、仲間内で一本ずつ配って、「美味しいね」と談笑とお茶をお供にどうぞ。


 ◎店舗・商品データ
 ・商品データ
  商品名:NOVO RASQ(ノボラスキュ)7本入
  価格:\1365

 ・店舗データ
  購入店
  店舗名:名古屋三越栄店 催事「スイーツコレクション2012」
  住所:名古屋市中区栄3-5-1 7階
  営業時間:10:00-20:00
  定休日:期間中無休
  アクセス:名古屋市営地下鉄・栄駅からサカエチカ直結。16番出入口すぐ。
  公式サイト:http://nagoya.mitsukoshi.co.jp/
  ※「スイーツコレクション2012」は、2012年2月14日まで。最終日は18時閉場。

  製造・販売元
  店舗名:黒船 自由が丘本店
  住所:東京都目黒区自由が丘1-24-11
  営業時間:10:00-19:00
  定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)
  アクセス:東京急行電鉄・自由が丘駅・正面口から東急東横線に沿って北へ約250m。自由通りとの交差点を左折(西へ)して約30mの右手(北側)。
  公式サイト:http://www.quolofune.com/

 更新履歴
 2018/05/19
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2012.02.07

幻の雪降る石畳(パヴェ・ド・ジュネーブ:ステットラー)

 九州で生まれ育った、と言うと、
「それなら、冬も暖かいんでしょ。いいなあ」
 とお答えをいただくことがあります。しかし、日本各地の例に漏れず、夏は暑く、冬は寒く設定されており、四季を堪能できるようになっております。
 でも、雪が何十センチメートルも積もることはありません。まして、家屋の一階が埋まるほどの積雪も、一寸先は真っ白というほどの吹雪にも見舞われることはありません。ただ、「寒いなあ、寒いなあ。灯油はまだ残ってる?」と背を丸め、コタツに両手を潜らせながら、今晩は水炊きでたらふくになりたいなあ、などと、のんびりぼんやり頭を働かせる程度の寒さです。
 そんな、位の低い寒さを甘受している人々の上に、雪を降らせたらどうなるでしょう。それはそれは大騒ぎ。粉雪にもなれないほどの、微塵の雪しか降ってきませんので、交通機関の乱れ、休校などとは縁の遠い、雪とのじゃれ合いです。
 窓外に白い舞いが見えると、狂喜乱舞、欣喜雀躍、コタツの上に乗っかったリモコンを取るのもおっくうだったのに、電熱器であぶっていたその手を素早く抜きだし、窓を開け、飛び出し、手のひらを天に向けます。雪の粒は、右に左に逸れて、なかなか手の上に落ちてくれません。それで、手を動かして、右に左に雪の粒を捕らえようとしますが、軽いそれらは、右に左にくるくるとすり抜け、やはり手の上には来てくれません。もどかしく思いながら、手のひらをひらひらとさせていると、ぽつり、と雨とは違う水気を感じます。慌ててその一点を見ると、白みの強い半透明の粒が、わずかな冷たさと、小さな痛みを与えます。
「あ、雪だ」
 と、頭が判別する頃には、それは水の半球に変わっています。最初に覚えた冷たさと痛みが弱く残り、それが小さな水の球の前世が雪であったことの物語です。
 緩やかな寒さの冬を過ごす人にとっては、雪はこのような有りや無しや、目には見えても触れることの適わない朧気な存在です。
 スイスという国名を耳にすると、一万尺のアルプスと清澄な雪原が思い浮かびます。しかし、スイスの方々からしたらこのように声をかけられるのと同じことでしょう。
「スイス? あっ、それなら夏は涼しいんでしょ。いいなあ」
 スイスの気候情報を見ると、山間部は雪がしっかり積もるくらいの平均気温で、地中海側の平地はしっかり汗っかきになるくらいの平均気温のようです。
 それが分かっても、スイスと雪のイメージを離すことは難しいです。しんしんと降る雪が街を覆っていく、ような気がします。その雪は、核に塵は無く、純水のみで構成されている、ような気がします。

パヴェ・ド・ジュネーブ 外箱
 小ぶりで大人しい雰囲気

 ステットラー社は、スイス・ジュネーブのチョコレート店です。ジュネーブはスイス南部の標高の低い都市らしいので、夏はそれなりに暑く、冬は冬だと分かるくらいに寒い、のだと思います。雪は降る、はずです。以降、降る、を前提として書いていきます。
 このパヴェ・ド・ジュネーブは、日本語訳すれば「ジュネーブの石畳」、もっと日本語訳すれば「寿府の石畳」です。その名の通り、きっちり四角に切り取られています。一辺20mmの立方体。親指と人差し指で20mmの幅を作ってみてください。大きさの確認はよろしいでしょうか。
 箱に行儀良く並んだパヴェの一つを取り上げます。指に、静かな冷たさと堅牢さが伝わります。

パヴェ・ド・ジュネーブ 6個入
 手作りらしいシンプルさ

 20mmは、判断に迷う大きさです。半分だけかじるのが良いのか、まるまる口に放り込むのが良いのか。一旦、上下の前歯で、かしり、と挟みます。くっ、と力を入れて噛もう、としましたが、それをするには、やや小さく思われ、歯の力を緩め、ふっ、と息を吸うように、一個、まるごとを口に入れます。
 舌の上に座るパヴェ。取り上げたときと変わらず、冷たさと堅さが続いています。少し変だな、と思いました。普通だったら、熱でとろけていきそうなものなのに、それがありません。少し経っても、やや熱を含むものの、元からの堅さを保ち続けています。とろけないので、チョコレートの香りも甘さもそれほど感じられません。
 おかしいな、このままでは埒があかないな、と思われ、再び前歯の方へと転がしました。かしっ、と挟んで、くっ、と力を入れます。すると、
「ぽくっ」
 と口に響きました。煉瓦が割れるように、パヴェが割れます。
 すると、甘みが来ます。チョコレートの香りが立ちます。ああ、やっぱり、チョコレートだったんだ、とここでようやく確信が持てます。
 その確信が頭に浮かんだ瞬息、溶けていきました。いや、溶ける、ということばが合っているようにも思えません。消える、とも違います。あえて言うならば、清流のように、流れ去っていきました。チョコレートそのものは、春の雪解け水のように、離れていきます。後に残るのは、堅い中に在った香りと甘み。割れたときの残響が香りとなって、口の中でいつまでも廻ります。これほどまでに印象深く残るのに、一切の重量がありません。最初の石畳の堅牢さが嘘のようです。

パヴェ・ド・ジュネーブ アップ
 生クリームが入っていません。それゆえの軽さ

 甘いことが分かります。カカオの香ばしさと微々たる苦みが分かります。それがしばらく続きます。在ったことが分かります。けれども、その味と香りを追うことが難しいのです。手を伸ばせば届きそうなのですが、あと少しのところで、捉えきれない、たどり着けないもどかしさです。
 もどかしさ、は、悪い意味に思われるかもしれません。それでもそう言いたくなります。つい今し方の風味が分かるのに、それはほんの一瞬の事で、味わう、という間もなく、さらり、と流れていき、それでも幻になりきれず、ここにある、という、不思議な感覚です。
 最小限に、残すべきものが残るように作られています。
 流れゆく水、でも、吹き去る風、でも、どちらでも構いません。そのようなことがあった、という静かで冷たい熱さを覚えるチョコレートです。
 パヴェ・ド・ジュネーブは、厳しくない冬を迎える地で、たまに降る小さな雪が、手のひらに微細な痛みを残して消えるように振る舞います。雪から変わる水滴のように、小さな立方体には、甘い影をいつまでも残してくれるような強さが封じ込められています。

ステットラー カード
 「チョコレートの情熱」ということばが具現化されています


 ◎店舗・商品データ
 ・商品データ
  商品名:Pavés de Genève(パヴェ・ド・ジュネーブ)6個入
  価格:\1785

 ・店舗データ
  購入店
  店舗名:名鉄百貨店・本店催事「サロン・デュ・ショコラ」
  住所:名古屋市中村区名駅1-2-1 7階
  営業時間:10:00-20:00
  定休日:期間中無休
  アクセス:名古屋鉄道・名古屋本線名鉄名古屋駅直結
  公式サイト:http://www.e-meitetsu.com/mds/index.html
  ※サロン・デュ・ショコラは、2012年2月14日まで。最終日は18時閉場。

  製造・販売元
  店舗名:Stettler(ステットラー)
  公式サイト:http://www.chocolaterie-stettler.ch/index.htm
  ※2012年2月現在、日本には、直営店・常設店はありません。

 更新履歴
 2018/05/19
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2012.01.31

ほろ苦い、または、苦い思いをするためのチョコレート(ソイラテのコーヒー豆チョコ:無印良品、コロンボス・コーヒービーンズチョコ:スリーハッツ)

 苦々しい体験は苦い記憶になりほろ苦い思い出へと緩和されるようです。ですが、甘い体験は甘い記憶として残り甘い思い出、もしくは甘い現状へと流れゆく場合も多々あるらしいので、できれば苦いのは避けたいです。
 しかし、苦い体験は外的要因から発生します。何も好きこのんで苦い思いは誰しもしたくはないはずです。
 甘い思いをしたい。
 それが、素直な願望だと思います。
 甘さを期待しつつ、苦さを迎え撃つ準備を整えるべし。そのためには、あらかじめ苦さに慣れておくべきだと判断しました。
 ただ、
「私は甘いものが苦手でして……」
 と、伏線を敷いておくのは、あまり気が利いているような感じがしません。どうせなら、
「甘いもの、そりゃ、食べたいさ。でも、これもいいのさっ」
 と振る舞うと、思い切りの良い雰囲気が醸し出され、結果的に、甘い思いができる予感がします。
 そこで、苦みを利かせつつ、甘いもの好きもアピールできるものを用意いたしました。

無印良品・ソイラテのコーヒー豆チョコ
 左上の印からも限定商品だと分かります

 無印良品さんの期間限定商品「ソイラテのコーヒー豆チョコ」は、コーヒー風味のチョコレート、という遠回りなお品ではなく、豆、そのものが封じ込められています。
 コーヒー豆まるごと一粒ずつに、ホワイトチョコレートがコーティングされています。

無印良品・ソイラテのコーヒー豆チョコ・中身
 コーヒー風味のホワイトチョコっぽいですが…

 一粒取って、口に入れると、ミルク味チョコレートにほのかなコーヒーの風味が、ほわりとただよいます。ころり、廻して、奥歯の位置に置き、がっ、と噛みしめると、パリパリと乾いた音が顎関節に響き、その揺れと共にコーヒーの味が飛び出します。
 当たり前ながら、コーヒー豆そのものなので、コーヒー味そのものです。抽出など遠回りせず、コーヒー、です。パリパリと豆を割っていくと、破砕された粒ひとかけらずつから、コーヒーが出てきます。にじみ出す、というようなものではありません。直コーヒーです。
 コーヒー、コーヒー、と書きましたが、その間にも、コーティングのホワイトチョコレートがしっとりととろけていきますので、苦いばかりではありません。名前の通り、カフェラテ、ミルクとお砂糖が出過ぎない、けれども、甘いまろやかなコーヒー味です。
 しばらくかみ続けると、少しの甘みを残しながら、ホワイトチョコレートが流れていき、煎られた豆の香りと苦みが、すっきりと消えていきます。

ソイラテのコーヒー豆チョコ・断面
 中は豆そのもの

 渋みや、クセの強さは感じられません。思わず、もう一粒と手が伸びてしまいます。苦みが恋しくなってきます。アーモンドのような湿度のある「カリッ」とした食感ではなく、もっとパリパリとしていて、この軽やかな歯触りも、もう一粒、の動機になります。
 ですが、もう一粒、もう一粒、と、一気にいくつも食べることは難しいでしょう。数えてみると、一袋に52粒入っていました。コーティングしている状態で1cm大、そのコーティングもコーヒー豆を最低限覆う程度なので、それなりに大きなコーヒー豆です。その大きさのコーヒー豆をパリパリと52粒、食べきるのは、困難を極めます。5粒ほど食べると、
「もう、これくらいにしておいた方がいいかな」
 という気になります。
 それでは、また今度、と封をしたいのですが、この袋は一過性開封型です。ハサミなどで口を開けた場合、残りが入った袋は輪ゴムなどで留めておかないといけません。来年の販売もあるのならば、ジップタイプの袋にしていただければ、と思います。
 パリパリと苦みと甘みを楽しんでおりますと、「コーヒー豆チョコレート」というのは、結構、種類があることが分かりました。その中でも、目を引いたのが、スリーハッツさんのコーヒー豆チョコレート2種類です。

コロンボス・コーヒーショッツ2種
 箱入りです。25粒入っていました

 こちらは、「ラテ」と「エスプレッソ」の二つの味があります。見た目では判別は難しいです。箱を開けると、ラテの方はわずかな甘みが感じられます。一方、エスプレッソは微動だにしないような、そら恐ろしい静けさがあります。

コロンボス・コーヒーショッツ・アップ
 エスプレッソの威圧感

 そこで、エスプレッソは手強いと判断し、ラテからいただいてみました。無印良品さんのコーヒー豆チョコよりも一回り大きく1.5cm弱で、丸みがはっきりとしています。
 今度も、ぽい、と口に放り込み、奥歯で、がしり、と噛み割ります。
 甘い。
 コーヒー豆の苦みを覚悟していたので、やや拍子抜けです。チョコレートが甘いのです。決してどしりと重い甘みではありません。ですが、甘みははっきり分かります。直球で、切れ味の良い甘さ。シンプルな甘さです。
 そこに、コーヒー豆の苦みが加わります。こちらのコーヒー豆は、やや小さめです。チョコレートの分量の方が多いです。コーヒー豆もチョコレートと同じく切れの良い苦み。豆の食感はやや弱いですが、苦みはしっかり分かります。
 チョコレートのシンプルな甘みと、コーヒー豆のシンプルな苦み。お互いが本来の持ち味を引き立て合っていて、チョコレートの味はそれとして、コーヒー豆の味もそれとして、明々白々たる「コーヒー豆チョコレート」となっていました。
 では、後回しだった「エスプレッソ」に取り掛かります。

コロンボス・コーヒーショッツ・アップ
 苦そう

 箱の蓋からこぼれ落ちる1.5cmの玉は「弾」のようにも見えます。迫力があります。
 一粒つまみ上げ、口に撃ち込みます。噛みます。
 苦い。……けど、そうでもない。
 意外や意外。苦いのですが、さくさく食べられます。無心に二つめ、三つめと食べてしまいます。ラテと同じくチョコレートの割合が多いですが、甘みはごくわずかなので、さらりとした舌触りです。小粒のコーヒー豆が、ぱしっ、と割れると、目が覚めるような眩しい苦みが弾け散ります。
 チョコレートとコーヒー豆、どちらも苦く、これはチョコレートの苦みなのか、コーヒー豆の苦みなのか、判然とし難く、苦みと苦みが苦みの嫌な部分を打ち消し合って苦みの良い部分だけが現前します。
 どちらかというと、ラテの方が「これはコーヒー豆の苦み」と分かりました。その分甘みがありますので、二粒三粒食べて、もうこれで小腹は満たされた、これ以上食べるとたらふくになって夕ごはんが食べられなくなる、とストップできます。しかし、エスプレッソは、そのストッパーが効きにくいです。頭とおなかが真空になったのではなかろうか、と思うくらいに、無心に食べてしまう畏れがあります。

コロンボス・コーヒーショッツ・断面
 チョコレートの方が多いです

 苦い思いをしても苦いと思わないように苦い(けれども甘い)ものを食べてみましたが、結局、苦くてもいいや、という気分で終わりました。
 苦いは苦いでも、「苦み走った」は良い意味です。辞書を見ると、いにしえより、それはモテモテ要素らしいです。コーヒー豆チョコレートをバッグに忍ばせて、いつでも苦み走ることができるように準備しておきます。


 ◎店舗・商品データ
 ・商品データ
  商品名:ソイラテのコーヒー豆チョコ
  価格:¥210

 ・店舗データ
  店舗名:無印良品・名古屋パルコ店
  住所:名古屋市中区栄3-29-1 名古屋パルコ西館地下1階
  営業時間:10:00-21:00
  定休日:名古屋パルコに準じる
  アクセス:名古屋市営地下鉄「矢場町駅」直結
  公式サイト:http://www.muji.net/


 ・商品データ
  商品名:threehats Columbo's CoffeeShots(スリーハッツ・コロンボス・コーヒーショッツ) espresso beans,latté beans
   ※箱裏面の日本語説明の商品名は「アシュモアーズ コロンボス コーヒービーンズチョコ エスプレッソ(ラテ)」となっています。
  価格:各¥210

 ・店舗データ
  店舗名:KITANO ACE・ラシック
  住所:名古屋市中区栄3-6-1 ラシック地下1階
  営業時間:11:00-21:00
  定休日:ラシックに準じる
  アクセス:名古屋市営地下鉄「栄駅」からサカエチカへ。16番出入口から南へ約100m。
  公式サイト(製造元):http://www.3hats.com.au/
  公式サイト(購入店):http://www.ace-group.co.jp/index.html
  ※輸入菓子を取り扱っているお店に置かれていることが多いようです。

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 2018/05/19
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2012.01.24

なんていい陽気だったのだろう ―キルフェボン名古屋店へ惜別の辞

 小春日和。桜匂いぬるキャンパス。日の光を映した噴水。高く広く薄青いドームの中心。季を経るたびに、そのようなものたちが見えて聞こえて触れていったとき、何の気無しに浮かぶことばがあります。
 厳しい冷たさの中、激しい暑さの中、それらが緩む瞬間、固まっていた身と心が、はらん、解けて、頭を上げて甘い空気を吸い込める場所がありました。
 栄駅で降り、セントラルパークに行こうか、サカエチカからデパートを巡ろうか。北へふらりふらりと歩き、服を眺めたり、雑貨を見たり。久屋大通駅に着いたら、アネックスに上がり、フランフラン、プラザ、無印良品、東急ハンズをチェックして、南へ引き返します。三越までくると、少し疲れたかなあ、休もうか、いや、もう少し見てから、と、丸善だったり、ロフトだったり。大津通を歩く頃には、本格的に足は重く、日も傾いていて。
 そして、目に留まります。西から光を受けて白くてぴかぴかと眩しい松坂屋南館一階。
 全面ガラス張りで大津通からは丸見え。そのガラス越しに白いお皿と白いカップと小さな色と色。
 どうしても惹きつけられます。松坂屋南館のドアを押し抜けると、背の低い白い壁。今度はガラス越しではない色と色と嬉しそうな人たち。
 やっぱりここで、と決まります。でも、すぐに入ることができたためしは無かったように思います。いつ行っても、入り口の横、向かって左に並べられた銀色の椅子で待たないといけませんでした。けれども、その待ち時間も楽しく、渡されたメニューを見て、
「あ、今はこういうのが季節限定になっているのか。でも、いつものこれも美味しいし」
 などと、考えているうちに、どうぞ、と促されて店内に。
 白と青。清清しくあたたかい。
 入り口の前のショーケースには、先ほど渡されたメニューの本物が並んでいて、写真と本物はやっぱり違うなあ、これが良いような気がしてきた、となるようにお店が作ってあって、あっさりと気分が高められます。
 お店の中はちょっと窮屈なような、席と席がくっつきすぎているような、でも、必要十分な間というか、きっちりぴしりと詰まっていても、いや、詰まっているからか、お隣さんは気にならず。
 テーブルに運ばれたタルトは、とんがった方にフォークを入れます。果物とカスタードクリームの間を通って、底のタルト生地を、かしり、と割って、タルト生地の破片とカスタードクリームと果物、三位一体に絡めて、を繰り返し。
 最後、タルトの縁を上手く食べられたことが一度もありません。底よりも堅いそれは、フォークを立てても割れず、突いても割れず、ぐっ、と力を入れると、ぱきり、と、二つ三つに割れてお皿に広がり。もうカスタードクリームは残っていないので、タルト生地はなかなかフォークと馴染んでくれず、右に追って、左に追って、やっとすくって、少し口を近づけて、放り込みます。
 お水を飲んで、ふっ、と息をついて、そろそろ出ようか。きびきびと動く、真っ白いエプロン、青と白のストライプのパンツ、チェックのバンダナ、の明るさと元気が目に染みます。
 こういう一連の流れが、キルフェボンの美味しさです。外から丸見えなのも、(ほぼ必ず)待つのも、あれもこれも、何もかも全部込みで、美味しかったです。
 キルフェボンのタルトは、決してお手頃とは言えません。手が出せないほど高価というわけではないけれども、これ1ピースで、夕ごはん、たらふく食べようと思えばできるなあ、くらいなので、迷います。
 なので、「ここぞ」というときのキルフェボン、でした。だから、白い壁の前で待っているだけで満たされていました。今日はここのタルトを食べてもいいんだ、という心の浮く感じだけで美味しかったのです。
 キルフェボンを出て、矢場町駅へ。
「僕は、あっちから乗るから」
「分かった。ここで乗るから。じゃあ、また」
 その時、雨がしとしと降っていても、じっとりとしていても、風が冷たく強くても、思っていました。
「なんていい陽気なんだろう!」

Merci! Qu'il fait bon Nagoya


 ◎店舗・商品データ
 ・商品データ
  商品名:季節のフルーツタルト
  価格:¥672

 ・店舗データ
  店舗名:キルフェボン・名古屋店
  住所:名古屋市中区栄3-16-1 松坂屋名古屋店南館1階
  公式サイト:http://www.quil-fait-bon.com/
  ※2012年1月24日閉店


(本文中の各店舗の敬称は略しました。ご了承下さい)

 更新履歴
 2018/05/18 画像のリンク切れを修正しました。

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2011.12.31

デコレーションういろ・その後

 23日から25日の三連休は、夢かうつつかと過ぎ、気がつけば26日。夢として忘れていたことが、うつつに呼び出されました。「クリスマスだから」と棚上げしていたことは、忘れようとしながらも忘れられず、26日はもしかしたらクロース翁がなんとかしてくれているかもしれない、と粉雪ほどの期待を持って棚を見ると、上げていた問題は厳然とそこにあり、肩を落としながら、棚から下ろします。
 そこには、パンドラの箱の上の方に詰まっていたようなことが、わんさかと残っています。これをしないと納まらない仕事、来月に向けての試験勉強、部屋の隅に残るホコリを取ったり、しつこい油汚れをこすり落としたり、行く年を見送り、来る年を迎える儀礼に必要なものの用意、など、皆様それぞれ、重いものを棚の上に置いていらっしゃったのではないでしょうか。お見舞い申しあげます。
 そんななか、クリスマス前からの甘い記憶を続けさせてくれるものは、やはりあります。ケーキが終われば、和菓子です。年末年始もクリスマスと変わらず、西洋風のお菓子、という手もありますが、ここは和菓子屋さんが、臥薪嘗胆、クリスマスで溜めていた気を発散させた成果に全面的にお任せしようではありませんか。
 そう思って、そそくさとコートを着ようとすると、襟足がひっぱられました。付き合いの長い冷蔵庫からです。
「ああ、そうだった……」
 クリスマスケーキの予約をし損ねて、ういろをデコレーションしました。精一杯、ういろをおめかしさせました。そのデコレーションういろに対しては、私の味覚は一定の評価を与えましたし、その変身過程を書いた記事もご好評いただけたようです。
 おめかしは、贅沢にしました。ティースプーンに乗るくらいの金時人参のために、二分の一本煮ました。その土台となるあんこのためにお鍋一杯に小豆を煮ました。味に変化を付けるために柚子蜜をカップ一杯作りました。抹茶は一番少ないものを購入しましたが、容器内を見ると、まだ何杯も飲めそうです。黒蜜はどれだけ作ることが出来るか分からないくらいに、まだまだ砂糖類が残っています。
「自分で作っておいて、それっきりかよ」
 彼らが言っています。いや、そんなわけはない、きちんと後でいただきますよ、となだめても、
「後で、と言って、きちんと済ませたためしが、君にあるのか」
 追及の手を緩めません。分かりました、分かりました。ちゃんと、お世話になったあなた方をいただいてから、次の甘味に移ります。
 それでは、順番に、残り物を福にして、今年を納めることにしましょう。

・つぶあん
 これは、応用が利きやすい甘味です。特に名古屋ですと、あちらこちらそちらどこでも、あんこが出てきます。年中あんこです。朝からあんこです。それならば、

つぶあん・その後
 粒に元気がありませんが、美味しいです

 小倉トーストにしましょう。こんがりきつね色トーストにバターを塗って、少し塩気を利かせます。その上に、あんこをお好きなだけ乗せてください。完成です。
 あんぱんとはまた違う和洋折衷の甘味です。名古屋の喫茶店の定番甘味も、あんこを作っておけば、いつでも食べられます。ジャムやはちみつよりも、コーヒーに合うような気がいたします。

・黒蜜
 これは、掛けるか、混ぜ込むか……。掛ける方にしました。

黒蜜・その後
 熱焼き菓子

 ホットケーキに掛けてみました。先日、NHK-Eの「グレーテルのかまど」という番組で、小説家・池波正太郎さんが大のホットケーキ好き、ということを知りました。池波さんが幼少の頃、召し上がったホットケーキには、メープルシロップではなく、黒蜜が掛かっていた、らしいのです。
 メープルシロップと黒蜜。見た目は似ているけれども、そうやって食べたことは無いな、と思い、真似をしてみました。
 当たり前ですが、和風ですね。少し時間が経つと、黒糖が固まって、しゃりしゃりとした食感が出てきます。よって、なめらかさ、には欠けますが、強引に和風にしたことで、かえって「舶来のお菓子」という雰囲気が生まれています。これからは、黒蜜もホットケーキのトッピングの選択に入れることにしました。

・寒天
 金時人参につやを出すためだけにお湯で溶かした寒天。当然、余ります。
 これは、もう、ささっ、と、

寒天・その後
 シナモン好きには簡単で嬉しいお菓子です

 きび砂糖と豆乳とシナモンを好きなだけ入れて(もちろん加減を見ながらです。でもかなり曖昧です)、小さなグラスに入れて固めれば、冷菓のできあがり。
 食後に、するっ、と食べたいときに重宝します。豆乳を牛乳に変えても、シナモンを入れても入れなくても、その他の香料を入れても入れなくても、それはお好みのままに。

・柚子蜜
 これは、はじめから狙っていた使い方があります。はちみつと、柚子蜜を入れて、

柚子蜜・その後1
 柚子ジャ……、蜜です!

 熱湯を注いだら、

柚子蜜・その後2
 あったまりますし、なにより簡単

 柚子とはちみつのホットドリンク・生姜風味、です。簡単、簡単。しかも美味しいです。しかも温まります。いいことずくめ……、かと思いきや、そのまま飲むと、刻んだ柚子の皮が底に沈みます。スプーンなどで、混ぜながらお飲みください。最後に残った柚子にも味があるかも、と思い、そのままお湯を足して飲んでみましたが、ただのお湯と皮でした。

・金時人参の甘露煮
 難関が来ました。前の二つが簡単だっただけに、悩みます。そのまま食べても、甘くて美味しいのですが、芸がありません。かといって、これ以上、お菓子っぽいものにはできそうにもなく……。
 手近な材料を追加して、晩ごはんにしましょう。

金時人参・その後1
 材料:お肉と野菜

 豚肉とジャガイモと玉ねぎ、そして、甘露煮にできなかった分の金時人参をお鍋で炒めて、

金時人参・その後2
 豚肉を炒めて、一旦出して、野菜を炒めて、豚肉を再度入れる、の順番で行きました

 ひたひたの水で煮ます。アクを取りながら、煮込んで、

金時人参・その後3
 甘みは、甘露煮からのみ

 柔らかくなってきたところで、甘露煮とその汁、お醤油、ダシを追加して、落としぶたをしてさらに煮込みます。

金時人参・その後4
 粉山椒が無かったので、代わりに五香粉をふりかけました

 肉じゃがです。お砂糖とみりんは使いません。甘みは、甘露煮の汁で代用します。今回は、おたまで二杯入れたのですが、少し甘くなりすぎました。私は甘い肉じゃがは好きな方なので、良かったのですが、これ以上甘かったら、問題あり、のレベルでした。あっちの水は苦いことを警戒したら、こっちの水はちょっと甘すぎて、蛍が困るくらいです。
 肉じゃがのお肉は地域によって違いますので、これもお好みでどうぞ。私は牛肉の肉じゃがをたらふく食べて育ちました。今回は、お安かったので、豚こまです。

・抹茶
 一度に飲みきることは難しいですし、拙宅には茶器はありません。マグカップなら結構ありますが、茶筅が使いにくそうなので、しゃかしゃかしない抹茶のいただきかたを考えます。
 抹茶はクリーミーなものと合います。抹茶アイスクリームの発明者には相応の対価が支払われるべきではなかろうか、とさえ思います。
 スターバックスさんにも、定番で抹茶メニューがあります。前記のホットケーキの如く、あれを真似してみます。
 真似しようと思いますが、詳しい作り方が分かりません。甘くて、クリーミーで、抹茶で、とても美味しかった気がします。

抹茶・その後1
 まだ、これだけお抹茶が余っています

 熱い豆乳でクリーミーに、

抹茶・その後2
 適量が分からないので、これくらいを試しに

 抹茶の薫りをぞんぶんに吸い込みながら

抹茶・その後3
 きび砂糖はレギュラーになりました

 きび砂糖で甘くして、

抹茶・その後4
 惨事の後です

 ミキサー! (この段階でフタがきちんとされていなくて、豆乳が辺りに飛び散り、惨事が発生しました。幸い、飛び散った量はそれほど多く無かったので、掃除は直ぐ済みましたが、意欲はかなり失せました。これは少し時間を置いた二回目のチャレンジです)
 慎重かつ大胆にミックスできたら、グラスに注ぎます。

抹茶・その後5
 淡く色づき、香りもゆらめき

 できました。豆乳抹茶ドリンクです。スターバックスさんのコーリング風に書きますと、「トール、エキストラホット、ソイ、抹茶ラテ、っぽいのー」でしょうか。
 きちんと泡立っていて、クリーミー、ほんのり甘く、抹茶もちゃんと香ります(抹茶はもう少し多く入れて、薫りを強くしても良かったかもしれないと、空になったグラスを見ながら思いました)。

 これで、デコレーションういろの余りは全て無くなりました。新しいお菓子を、新しい年を迎える準備ができました。
 襟足を引っ張られることなく、コートを羽織って、甘味を探しに行ってきます。


 更新履歴
 2018/05/19
 画像のリンク切れを修正しました。

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