2009.07.15

大須通ればやっこが招く(ミニひつまぶし:やっこ)

 名古屋では梅雨明けはまだです。週末の雨が越えると、ようやくの梅雨明けになるでしょう。じめじめじとじとと、湿度を多く含んだ空気の中に居ると、体が重苦しくなってしまいますね。そうなると、さっぱりしたものを、ついつい、いただいてしまいがちになります。私も、そうめんやかき氷などに走っております。
 しかし、そんな食生活では、暑さはしのげても、胃腸は弱まるばかりです。こんなときこそ、「せい」のつくボリュームのあるものをいただかねばなりません。そうです、あの名コピーライター・平賀源内が言う「土用の丑の日には、うなぎを食せ」です。暑くて、体がくたびれて、力が入らないときこそ、ボリュームのあるものを摂り入れて、活発な内臓が出来上がるように目指すべきなのです。
 しかし、うなぎはお高いです。さて、困りました。困りますが、うなぎ、いただきたいです。さて、どうしたものか…、と、思いながら、大須の町の中をを通っておりますと、足が自然に向かいました。「うなぎのやっこ」さんです。

うなぎのやっこ・外観
 古くからの門前町のお店らしいたたずまい

 おじゃまします、と店内にはいると、門前町らしい、店員さんの活気の良さ。これもうなぎの力なのでしょう。
 しかしお値段が頭をもたげているので、困りながら、お品書きを見ます。

おしながき・その1
 やっぱり、2500円に手を出す勇気がありません

 うーむ、さすがに「ひつまぶし 二、五○○円」はお財布事情を鑑みると、苦しいものがあります。さて、どうしたものか、うな丼で誤魔化すか。いやいや、やっぱりここは名古屋。「ひつまぶし」をいただかないことにはどうにもなりません。しかし、困ります、困ります。
 と、思いながら、もう一つあったお品書きを見ました。

おしながき・その2
 ランチメニュー!! 1200円!!

 おぉっ! 「ランチメニュー ミニひつまぶし1200円」というのがあるではないですか。これだ、これにしましょう。すみません、ミニひつまぶし、お願いします。

ミニひつまぶし全体
 名前はミニでもたっぷりしています

 おぉぉっっ! 「ミニ」とはいいつつ、ボリューム満点のひつまぶしが登場しました。他のお店では、これで「普通サイズのひつまぶし」というところもありますよ。うわあ、嬉しい。
 おひつの直径は120mm、ごはんとうなぎを合わせた厚みは80mm、としっかりの内容量。うなぎは全長150mmのものを半分にして、二段乗せ。そして一切れが15mm~20mm程度になるように、短冊状に切られています。この冊切りがひつまぶしの特徴ですね。

おひつの中
 うなぎは、ちょっと小ぶりですが、二段になっています

 では、ひつまぶし作法に則って、いただきます。しゃもじを使って、おひつの中のうなぎとごはんを三等分して、まずは、一膳目。そのままお茶碗によそって、うなぎ本来の味を堪能します。

ひつまぶし・一膳目
 まずは、うなぎそのもののお味を楽しみます

 では、一口。こちらのお店は、うなぎのタレが、醬油辛くも塩辛くもなく、砂糖の甘さもそれほど無しです。それらの味よりも、だしがピシッと効いていて、うなぎの脂の香りを上手く前面に出しています。この脂が実に良いです。「じわ~っ」と染み出るような脂の濃さではなく、さらっとした、滑らかな脂のお味。皮は備長炭でいぶされていて、香り満点、パリパリの食感も歯が喜びます。

うなぎ・アップ
 備長炭でいぶされた皮のパリパリがたまりません

 かきこむようにいただくと、バランスの取れた、すっきりしたタレと、さらりとした脂、そしてほこほこの甘いごはん、これが三位一体となって、口の中で、渦巻いています。久しぶりにいいうなぎをいただいたなあ、と涙が出そうになります。

 そして、二膳目は、薬味をそえていただきます。用意されている薬味は、刻みあさつき、刻みのり、おろしわさびです。お好みで添えることができますが、私は全部を乗っけます。後のお茶漬け用に、半分を残して、おちゃわんに取り分けた、二膳目のうなぎの上に、ぱらぱらっ、と散らします。
ひつまぶし・二膳目
 薬味を乗せても、うなぎの味はしっかり

 普通は、うなぎというと、山椒が薬味ですね。でも、ひつまぶしは、これが一般的な薬味。山椒以外の薬味を良く考えたものだ、と、毎度毎度思ってしまいます。
 薬味を乗せると、また格別の味わいです。タレの甘辛さを残しつつ、あさつきとわさびの爽やかな香り、そして、のりの香ばしさは、うなぎのお味をさらに深く感じさせてくれます。わざわざこれを二膳目にする、名古屋のひつまぶしの意図。良く考えたものです。
 最後の三膳目は、二膳目のように薬味を乗せて、おだしでお茶漬けです。こちらはお茶ではなくて、おだしです。ちょっとだけ、おだしだけを飲んでみましょう。かつおだし、濃いめにしっかりでした。これだと、味の濃いうなぎにも負けないでしょう。

ひつまぶし・三膳目
 お茶漬けにするというのは誰が考えたんでしょうね。ノーベルうなぎ賞を差し上げたいです

 濃いめのおだしと、わさびのピリリ、おだしで、すこし外側に流れ出た、うなぎの脂、濃すぎないタレ。全てが統合されて、これぞひつまぶしの真骨頂、です。おだしで、水っぽくはならず、うなぎの味の濃さ、おだしの香りの相乗効果で、うなぎの旨みを何倍にもしています。

 ミニでしたが、この三膳でたらふくたらふく。薄味のおすましが、残りの脂を洗い流して、すっきりと、ごちそうさまでした。

おすまし
 食後、うなぎの脂をさらりと流してくれます

 これで、この夏を乗り切れそうです。大須は、本当に面白い町です。いろいろなお店が混在していて、一日居ても飽きません。そして、こんな美味しいランチをいただけるのですから、言うことなしです。
 さて、「せい」もついたことですし、ちょいと大須巡りに出かけましょう。

やっこ・キャッチコピー
 平賀源内に匹敵する名コピー


◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:ミニひつまぶし(ランチタイムのみ)
 価格:¥1200(「ひつまぶし」は2500円)

・店舗データ
 店舗名:うなぎのやっこ
 住所:名古屋市中区大須2-30-1
 営業時間:11:30-14:00(日祝は15:00)、16:30-21:00
 定休日:月(祝日の場合は火曜日)
 公式サイト:http://www.unagi-yakko.com/
 アクセス:名古屋市営地下鉄「大須観音駅」2番出入口から大須観音の西側に沿って60m南下。大須観音の南を通る仁王門通り方面へ左折。赤提灯の下をくぐり、右手3ブロック目の角地。


人気blogランキング クリックしてくださると、もっとたらふくになれます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.05.31

いつもより大きめに載せます

 申し訳ございません。最近、具合よく記事を書き進められなくて、準備ができていません。
 なので、未掲載フォルダに蔵してあった写真を載せますので、これでご勘弁ください。

鶏のもも肉

 昔からの大好物の鶏のもも肉です。揚げてあるのも、このように照り焼きにしてあるのも好きです。もも肉は、お肉と皮と脂と肉汁の塩梅が、一番バランス良く取れている部位だと思います。

 手がべたべたになり、口の周りが脂でてらてらになるのも構わずに、かぶりつくのが一番ですね。骨のところに親切にアルミホイルを巻いてくれていることがありますが、結局は、脂でぬめって取れてしまい、手はべたべたになります。手のことなど気にせずに、お肉の旨みに集中するのが、鶏のもも肉をたらふくに味わうにはいいのだと思います。

鶏のもも肉・アップ

 おなか、鳴っていただけましたでしょうか?


人気blogランキング クリックしてくださると、もっとたらふくになれます。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.12.07

玉子のいろいろを召し上がれ(オムハヤシ:洋食のことこと屋)

 『365日たまごかけごはんの本』(T.K.Gプロジェクト・高木伸一著 読売連合広告社 2007年9月)という本が、しばらく前に話題になりました。生玉子と、白いごはん、醤油の、三位一体は崩れるべくもあらずと思われていらっしゃった皆々様を、玉子かけごはんの第三ステージへと誘う本として、喝采を浴びて迎えられました。

 何故に、このように、玉子とごはんが迎えられたかと考えてみますと、もともと日本の人々は、玉子にも、ごはんにも、あれこれと手を加えたくなる性分があるように見て取れます。ゆで玉子一つをとっても、「完全に茹でたやつ。そいつの殻を綺麗にむいて、伯方の塩で召し上がるのがお好きな方」、「外側の白身はしっかり固まっているけど、黄身は半分だけ熱の通った『とろり』の状態で、形を崩さないように丁寧に殻をむいて、アジシオをふりつつ、ちょっとずつ召し上がる方」、「私は温泉玉子。そのための専用の機器を買いました。自動で出来た温泉玉子を、ダシ醤油でつるりんといただきます、という方」等々。これ以上、人々の思い入れが強い食べ物が他にあろうかと言うほどの千差万別ぶりです。
 ごはんと玉子の組み合わせはまだあります。温かいごはんに、ダシ汁を吸った衣のカツを入れれば、カツ丼になります。カツではなくて、鶏肉だったら玉子丼、親が抜けたら玉子丼、ダシの代わりとろりとしたあんだったら中華玉子丼、と、まさに七変化。ごはんさえ見付ければ、玉子はどこへでも器用に出張します。

 すこし本題からそれました。本編に方向を戻します。
 ガチンコ勝負では、生玉子に判定が下るでしょう。シンプルさに関しては、ゆで玉子に優るものを見出せません。しかし、「料理になっている」という観点から、考えると、「オムレツ」に行き当たります。
 オムレツもまた、いろいろなタイプに分かれるようです。詳細は省きますが、固め、ふんわり、とろとろ…。
 そうしたら「オムライス」のスタイルももちろん変わるわけです。オムライスは洋食とされていますが、日本生まれ。玉子かけごはんの好きな日本人が、いかにも考えそうなお料理ではありませんか。何かの本で読んだ覚えがあるのですが、オムライスは、薄焼き玉子で寿司飯を包む「茶巾寿司」からヒントを得たのだそうです。
 オムライスのスタンダードタイプも、薄焼き玉子でチキンライスを包んだものですね。そこから派生して、これまた変化を見せています。チキンライスの上にオムレツを乗せて、いただく直前に、真ん中を開いて、内側と表側がひっくり返るようにする、通称「タンポポオムライス」(元祖は、伊丹十三氏のアイディアで、東京・日本橋の「たいめいけい」さんでいただけます)。オムレツを紡錘形に丸めずに、そのままチキンライスの上に乗せるタイプ。これは「かに玉丼」をオムライスの一種と捉えたら、当てはまるでしょう。

 今回、ご紹介する「ことこと屋」さんの「オムハヤシ」は、チキンライスの上に、半熟状態で紡錘形に丸める前のオムレツを、ひっくり返さずに、そのままかぶせ、その縁にハヤシソースを廻らしたお品です。

オムハヤシ
 見も心もとろけます

 玉子は半熟状態の中でも、「思い切り半熟」の部類に入ると思います。フライパンに接していた面は固まっていて、反対面は生に近くて、ところどころ、生に近い白身の部分があります。よって、とろとろのオムライスになっています。固めに焼いた薄焼き玉子を、ぶつり、と、割り切るタイプのオムライスがお好きな方は、肩透かしを食うかもしれません。でも、このとろとろっぷりが絶妙なのです。

オムハヤシ・アップ
 火の通し加減が特上です

 少しの量でもいいから、たくさんの種類を食べるのが好き、とおっしゃる方にはぴったり。固まった白身、固まった黄身、黄身と白身が一緒になって固まっているも部分、とろりとした黄身、白身、玉子の諸相が現れています。
 これらのいろいろ玉子を、ハヤシソースと絡めていただくのですが、このハヤシソースも玉子を引き立て、チキンライスを助ける、見事な活躍っぷり。柔らかい風味の玉子に、じっくりと煮込んだ牛肉と玉ねぎの旨みと甘み、トマトソースの酸味を連れて来て、濃厚な味わいとなっています。

オムハヤシ・ハヤシソース・アップ
 やや酸味が強いです

 このやや濃いソースは、玉子を引き立てると同時に、玉子からもまろやかになだめられ、これまた、バランスが巧妙に取れています。
 そして、チキンライスは、ソースよりも、もう少し酸味が強くなっているようです。さっぱり、という印象です。やや固めのライスで、表面で味を受け止めています。

オムハヤシ・チキンライス・アップ
 固めのごはんで、玉子とのコントラスト

 とろとろの玉子を、とろとろのハヤシソースとミックスし、しっかりめのチキンライスと共にいただくというスタイルと言えるでしょう。ワンプレートで様々な姿を見せてくれるこのオムハヤシは、贅沢なスタイル、ごちそうさまの後に、充実感、たらふく感で満たされ、嬉しくなります。なかなかのボリュームなので、二皿目をすぐにはいただけないため、いつも、「後日、リピートしよう」と、思わされます。

 ことこと屋さんは、名古屋市営地下鉄・東山線・藤が丘駅(東山線の東の端)の近くだったのですが、最近(と言っても、一年と数ヶ月前です)になって、中区・栄の「オアシス21」内に出店し、アクセスが断然良くなりました。
 アクセスが良くなった結果、お客様が集まりやすくなる訳で、今までオアシス21店に行ったときは、いつでも、空席待ちでした(藤が丘店も人気店なのでお客様は多いです)。休日や、オアシス21でイベントのある時は、もう少し人手が増えるかもしれません。ご来店の際は、お早めにどうぞ。

ことこと屋・外観
 アクセスが便利になりました

 あと、個人的な要望として、分煙がもう少し、はっきりと分かれていたら、と思っています。私は、タバコが苦手なのですが、両側の席のお客様が喫煙されていらっしゃる席に通されて、少々困りました。そのときは満員状態だったので、席の移動もままならず…。席に通していただく前に訊いていただければ、禁煙席が開くまで待つつもりだったのですが。(昨年末にお伺いした時のレポートなので、現在は変わっているかもしれません。既に喫煙ルールが変わっていましたら、ご容赦ください)


◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:オムハヤシ
 価格:¥934

・店舗データ
 店舗名:洋食のことこと屋・オアシス21店
 住所:名古屋市東区東桜1-11-1 オアシス21
 営業時間:11:00-22:00
 定休日:無休
 アクセス:名古屋市営地下鉄・栄駅からセントラルパークへ。セントラルパークから直結。



人気blogランキング クリックしてくださると、もっとたらふくになれます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.08.31

ビッグマックで空想夏休み

 私が、良く言えば「インドア派」、悪く言えば「出不精」なのは、今に始まったことではありません。記憶を辿ると、小学校低学年の頃からそうだったと思われます。
 夏休み、担任の先生が企画した「蝉取り大会」が開かれたことがありました。同級生たちは喜んで、虫取り網を持って、一日遊んだそうです。「そうです」と伝聞の形なのも、私は参加しなかったからです。夏は、日があまり当たらない家の中で、扇風機の風に当たっているほうが好きでした。扇風機に当たって、普段はなかなか取り掛かれない長編の読書に目を通したり、早々に大量の宿題を済ませて、自分から計算ドリルなどを解くような子ならまだ良かったのですが、扇風機に当たって、ぐうたらぐうたらして、8月28日頃から半泣きで粗だらけの宿題を作り上げることが常でした。9月1日は、宿題疲れの身体を引き摺って、日焼けなしの肌を晒しての登校です。タイムマシンがあったら、叱り飛ばしてやりたいです。
 そんな少年は、年を経て、今では年季の入った、インドア目ぐうたら科出不精属の生き物「桜濱」になりました。この夏も取り立てて、お出かけするということもありませんでした。ガソリンの値上げが無くても出かけていなかったはずです。
 お盆の前後には、帰省・Uターンラッシュ、出国・帰国ラッシュの様子がニュースで流れました。燃油サーチャージ云々と言っても、しっかりとラッシュになっているようでした。夏の風物詩となったこの様子を見ていると、「私も外国に行ってみたいな」という気にはなります。でも、その後に「『どこでもドア』があったらいいのにな」と、出不精属らしい感想が思い浮かぶのです。
 小説家の原田宗典さんはエッセイの中で「若いうちに沢木耕太郎の『深夜特急』みたいな旅をしておけば良かったと思う」と書いていらっしゃいました。このエッセイがきっかけで、私も『深夜特急』を読んで、原田さんと同じ感想を抱きましたが、腰の重さから、その夢は叶わずに終わりそうです。
 『深夜特急』みたいに、実際に、世界中を渡り歩くことはありませんが、各地の産物を見て、世界を感じる、いや、「空想」? いや、「妄想」旅行をすることがあります。コーヒーのパックに "HAWAII Kona Coffee"などと書いていれば、フラの音色が聞こえてきます。テレビで激辛料理が紹介されていれば、そのお品を出すのが国内でも、既に心は半袖シャツ、短パン、パクチー、トムヤムクンの流れで、タイランドです。北海道のジンギスカン料理が紹介を見ると、一足飛びにモンゴル場所に参加です。もちろん、甘党ですから、ケーキを食べれば、オー、シャンゼリゼ。メルシィ、ムッシュウ。
 こんな風に、食べ物一つで、海外に(心だけ)行っている習慣が付きますと、徐々に日常よく有るものでも、見付け次第、飛んで行ってしまうようになります。
 その一つが、マクドナルドさんの「ビッグマック」です。ビッグマックは、瞬時にアメリカに私を誘います。他のハンバーガーにはそこまでの力はありません。
 それには理由があります。中学生・高校生の時、英語を教えてくださる先生方が、たまにされる英語圏にまつわる雑談の中に「ビッグマック」がよく登場していました。

 「日本の『ビッグマック』はこれくらいでしょ。でもね、アメリカのビッグマックはもっと安くてしかも、こーれくらい大きいんだよ」

 一人の先生が仰っているならば、錯覚だ、とも思えるのですが、複数人の先生が仰っていたので、多分本当なのでしょう。(注:私が小学生・中学生・高校生の頃の話しなので、今は違うかもしれません)
 真偽のほどは別にして、「本場のビッグマックはでかい」という刷り込みはしっかりと為されました。そのため、ハンバーガーでもなく、チーズバーガーでもなく、てりやきバーガーでもなく、フィレオフィッシュでもなく、マックフライポテトでもなく、

 「ビッグマックで!」

私は、アメリカ合衆国に旅立つのです。

ビッグマック
 ハンバーガーって日本で一番好かれているアメリカ料理ではないでしょうか

 ビッグマック買ってきて、それをしみじみ見るとすごいことになっていますね。上中下段のパン(バンズ)。その間々にハンバーガーに馴染みのあるものが大挙して押し寄せています。ハンバーグ(パティ)がバンズに護られて腰を下ろしています。しかも上下それぞれのパティは、丁寧にふんわりとしたレタスとやわらか鮮やか橙色のとろけるチーズを下に据え、居心地が良さそうにしています。さらにさらにそれらの結束力を高めるためにか、マスタードやタルタル風のソース、みじん切りの玉ねぎ、ピクルス、などが脇を固めるように参画しています。
 こうして、ビッグマックの陣容を挙げてみると、「ビッグ」というだけの巨大勢力っぷりがうかがわれます。どこから食べたらいいのだろうか? と迷わずにはいられない、と思いきや、ハンバーガーなので、だいたいどこから食べても同じような味になります。
 ほんのり温かいパンを上下の歯でふっかりと噛み割ったところに、ソースと肉の濃い味が舌を伝わります。さらに歯を進めると、レタスのシャッキリと、チーズのクリーミーさ、わずかな塩気を持ったピクルスがコリコリ、玉ねぎのみじん切りがシャリシャリ。飛び散る白胡麻!
 数秒で口いっぱい、これだけの食感と味に包まれ、渾沌状態になるのです。
 そして、私の心を乗せた飛行機はアメリカ合衆国へ飛びたちました。
 リスのように口いっぱいにしての、アメリカ横断ウルトラジャーニーです。あれだけ綺麗に段階的に整理されていたビックマックは、口に入れると、その面影はなくなります。全てが詰まった味が発散され続けています。目を瞑り、私は、咀嚼を続ける。おっ、ロスに着陸。坂道を登る私。登った先はラスベガス。天井いっぱいのイリュージョン。その灯を突き破って、西部の荒涼とした風景の中、長い長い直線道路をでかい車で、突っ走る。マイアミの陽気に誘われてちょっと寄り道。出迎えてくれたよ、スタチュ・オブ・リバティ!
 …と、一個のビッグマックを食べる五分間にアメリカ横断ができて、たらふくにもなれました。それもこれも、英語の時間の雑談での刷り込みのお陰です。先生方、ありがとうございました。英語の宿題をよくサボっていて、申し訳ございませんでした。
 今まで、先生のお話しで、「本場のビッグマック」は大皿に載せないといけないくらいでかくて、レタスも丸1玉、ピクルス1本、肉はこぶし大のが2個くらいというイメージを持っていたのですが、正しいのでしょうか…?
 いや、この謎は謎のままにしておきましょう。「夢多きビックマックの憧れ」を持ち続けることが、『深夜特急』宜しく、本当にアメリカ横断旅行するための第一歩のような気がしてきました。インドア目ぐうたら科出不精属は、ちょっとしたことでもきっかけとして残しておかないと、本当に憧れの地に旅立つ芽が全く無くなってしまいそうですから。

◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:ビッグマック
 価格:200円(セール期間中)

・店舗データ
 店舗名:マクドナルド (McDonald's)
 公式サイト:http://www.mcdonalds.co.jp/



 1巻・マカオ編のカジノのシーンが好きです。自分が賭けているかのような気になり、手に汗握ります。


人気blogランキング クリックしてくださると、もっとたらふくになれます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.07.13

どの「新ジャンル」が一番「新」っぽいか飲み比べ

 暑くなりました。
 雨もほとんど降らないので、もう梅雨明けしているのではないかと思うのですが、専門家の方は「まだまだだよ」ということのようです。
 湿気を含んで、じっとりとしているのは日本の夏の特徴ですが、名古屋はさらに、アスファルトの照り返し、重いボディブローが内臓に響くような暑さになっています。地形のせいなのかもしれません。街づくりに風水を取り入れたほうが良いかと思います。

 目を回し、カラカラに干からびて、家に帰り着くと、まず水分を摂ります。外出中も脱水症状が出ないように水分はこまめに摂ってはいるのですが、家のように落ち着いて飲むことは難しいです。それで、水が入ったグラスを持って、部屋に倒れこむように座り込んで、一杯、飲み干します。すると、その瞬間に、汗が吹き出します。外ではすぐに蒸発していたのが、部屋だとそうはならずに、腕いっぱいに玉のような汗が出てきます。顔も、背中も、足も。そうなったら、汗みどろの服を脱ぎ捨てて、冷たいシャワーを浴びてから、冷蔵庫を開けます。

 さて、ここでは何を飲むのがいいでしょうか。

 甘党でしたら、「コーラ」や「サイダー」という方が多いかもしれません。冷たくて、炭酸がシュワシュワとカラカラののどを刺激し、甘味で頭がうっとりとする…。いいですね。もう少し楽しむとしたら、それらの上に、アイスクリームを乗せてフロートにするのが良いでしょう。しかし、そこまですると、甘味を楽しむ方に重点が行き過ぎている、と、いう意見も各所で上がってくるようです。
 「甘味無し」で、となると、「ビール」の出番です。コーラなどと同じく「シュワシュワ」しますが、甘味ではなく苦味で攻めてきます。夏には、このシャキッとした苦味が実に合うんですね。風呂に入り、汗を落としてから、まだ熱気覚めやらぬ体のまま冷蔵庫に向かい、ビールの缶を取り出し、すぐさまプシッとプルタブを開けて、立ったまま、二口三口。これだけで、体に8割がた潤いが戻るような気がします。さらに、エアコンの付いている部屋で、扇風機の風を受けながら、缶のビールを傾ける。至福です。

 夏には、このような楽しみがあるのですが、数年前から、暗雲が立ち込めてきました。そうです、「ビール増税」です。各方面から非難が囂囂と上がる中、メーカーが出してきたのが、「発泡酒」です。これは、クリティカルヒット。ビールの税率に引っ掛からないようにして、ビールに似た味わいの飲み物を出したのです。ところが、これまた酒税に狙われました。発泡酒も増税の措置が取られたのです。涙を飲む、ビール好きとメーカー。
 でも、メーカーはくじけませんでした。近年新たに出したのが、「リキュール(発泡性)1」、通称が「新ジャンル」「第3のビール」というものです。これは、発泡酒に麦素材の別種類のアルコール(スピリッツや焼酎)を混ぜているものだそうです。これにより、税率分を押さえ、新しい味わいの「ビール的飲料」が出来上がったのです。やったね、メーカーさん。

注目の四作品
 各社出揃いました

 この夏、ビール主要4社から、「リキュール(発泡性)1」の「新ジャンル」が出揃いました。それぞれを飲んでみましたが、どれも各社のコンセプトがはっきり分かり面白かったです。では、今期新発売分の「新ジャンル」の飲み比べした結果をご報告いたします。

―――――

 新ジャンルで、今期一番の売れ行きらしいのが『クリアアサヒ』(アサヒビール)のようです。CMも印象的で、パッケージも「ビールっぽいデザイン」になっていて、手に取りやすいですね。クリアアサヒは「澄み切り二段醗酵」という技を繰り出しているようです。詳しくは見ていませんが、「クリアなアサヒ」にするためのことなのでしょう。
 アルコール度数は5%。しっかりと酔える量です。

クリアアサヒ
 さっぱり

 お味は、さっぱり、すっきり、嫌味が無く、苦味も抑えているようです。したがって、オールラウンダーとしての正確を有していると言えるでしょう。
 食事のお供にとしては抜群の力を発揮すると思います。それこそCMで流されているように、ソース串カツやお好み焼きなどの味の濃いものを引き立てるでしょうし、淡白なお味のおつまみでも、その味を邪魔することなく、炭酸と軽い苦味を与えてくれるところに優秀さがあります。
 するするとのどを流れていくので、お休みの日、昼下がりに、打ち水をした庭を見ながら一缶だけ軽く飲むのにも合うと思われます。
 ただ一つ、気になるところは、すっきりさを前面に押し出して商品作りをしたことにより、従来の「ビールのたっぷりとした重さ」を期待して飲むと、その当てが外れてしまうかもしれないというところです。ふー。

金麦
 どっしり

 次に、『金麦』(サントリー)です。結論から申し上げますと、4種類の中でこれが一番ビールに近い味わいでした。もともとビールになれた方には受け入れられやすいと思います。『金麦』は、苦味が強く、重さを持たせていて、「ビールっぽさ」では群を抜いていると思います。よって、廉価でビールっぽさを求めるならば、『金麦』をチョイスすることをおすすめします。
 味が濃いので、おつまみも濃い味付けのものが欲しくなります。焼鳥串のタレなどが合うでしょう。
 あと、ごはんを食べ終わって、お風呂にも入って、あとはもう眠るだけ、…その前に晩酌を一杯、という時に合いそうです。しっかりした味わいが眠る前に、身体にほどほどの重さの苦味とアルコールを与えてくれて、ふー、落ち着いた、という気分にさせてくれることでしょう。
 これだけ、見事にビールに似せている新ジャンルですが、これまた、飲む方によっては、好き嫌いが分かれそうなところはあります。元々、ビールっぽさを追求しているようなので、後味に苦味がやや長めに残るのがお好きではない方には向いていないでしょう。…ひっく。

スパークリングホップ
 爽やか

 そこに、突如として現れた、度胆を抜く「新ジャンル」が、『スパークリングホップ』(キリンビール)です。前記の二つの商品は、「ビールに近くする」というコンセプトがあったと思われます。酒税で高くなってしまったビールの代替品として生み出したのでしょう。
 しかし、『スパークリングホップ』は、「ビールの代替品」というコンセプトを捨て去っているように感じられました。一口飲んで思ったのは、「ビールの材料を使っている果汁入りの香ばしいジュース」という印象でした。まるで「ビールっぽく無い」のです。この方向性を決めるに至ったのには、さぞかし思い切りが要ったと慮れます。
 「軽さ」「後味の残らなさ」「苦味の少なさ」は、『クリアアサヒ』に通じるものがありますが、『スパークリングホップ』は、ここからビールより遠ざかっていきます。味に「フルーティ」を加えました。「ジューシー」も加えました。それにより、果物の甘酸っぱさをも感じさせる仕上がりになっています。
 これは、おつまみが難しくなります。普通、ビールのおつまみになるようなものは、どれもしっくりこないと思われるお味なのです。大転換して、フルーツの盛り合わせをおつまみに飲んでみたり、冷菓をおつまみにするのも面白い飲み方かもしれません。私は、今度は冷凍庫でキンキンに冷やしたチョコレートと一緒に飲んでみたいです。…ふぃ~。

麦とホップ
 しっかり

 最後発の『麦とホップ』(サッポロビール)は、田村正和さんのCMが印象的ですね。「ビール歴40年。ビールと間違えました」というフレーズです。
 田村さんが仰るように、ビールに近づけることがコンセプトになっているので、『金麦』と似た雰囲気になっています。のどごしにインパクトがありますし、味はビールっぽくて、「新ジャンル」としてはしっかりと濃いです。その反面、クセは少なくて、口に入れた時の印象と、飲み込むときの印象が違ってくるのが大きな特徴でしょう。
 おつまみには、味は濃いけど、油がギチギチにつまっているようなものは若干合わないような気がします。ちょっとクセのある食べ物、チーズや川魚やジンギスカンを合わせて飲んでみたいです。…ひ、ひっく。

 私でも、夏はさすがに甘い物を食べる回数が減ってしまいます。どちらかというと、ちょっと塩気があって、脂っ気があって、味が濃い、肉食をしたくなります。このお供には、コーラやサイダーは任に適当ではありません。一口ごとに、ビシッと締めてくれる飲み物であることが必要となります。それには、ビール、発泡酒、新ジャンルの力を借りなければなりません。そして、少しでも経費を浮かそうとお考えならば、新ジャンルへと向かうことでしょう。そして、新ジャンルは味にしっかりとしたコンセプトがあります。好みや食事によって変えることもできるのです。素晴らしいではありませんか。…ぷはー。

 どて煮に、うなぎに、焼鳥に、コロッケ、メンチカツ、ハムカツ…。これら、夏の強豪と、新ジャンルは上手く渡り合えると思います。たらふく食べて、たらふく飲んで、「おなかいっぱいなのに、これだけ?」とレシートを見る快感。夏の密かな愉悦です。

 ふーーーー、ひ、ひっく。お、おやすみなさいませ。ぐー。

飲み比べ後
 飲みやすくても飲みすぎてはいけません


  ※本記事でご紹介したお品は、全てお酒です。未成年者の飲酒は法律で禁じられています。アルコールを召した後、車の運転は絶対にしないでください。大変危険であるとともに、法律により厳しく罰せられます。


・商品情報(価格は近所のスーパー価格)
 商品名:クリアアサヒ 350ml
 販売元:アサヒビール
 価格:135円

 商品名:金麦 350ml
 販売元:サントリー
 価格:125円

 商品名:スパークリングホップ 350ml
 販売元:キリンビール
 価格:133円

 商品名:麦とホップ 350ml
 販売元:サッポロ
 価格:128円


人気blogランキング

ほめられて伸びるタイプなので、押していただけるとすごく喜びます。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.05.05

貴きものは小さきもの(冨貴寄:菊廼舎)

 このように「食べ物ブログ」を書いておりますと、ありがたいことに、お読みくださった方や、友人、知人から、「これ美味しいので、桜濱さん食べてみてください」と、お菓子などをいただくことが多くなりました。本当に感謝感激雨のち快晴になるくらい嬉しいです。
 今回ご紹介する、お菓子もそのようにしていただいたものです。「このお菓子、とっても美味しかったので、桜濱さんも食べてみて、感想を書いてくださいね」と東京から送ってくださいました。おぉ、都から東海道を渡ってきたお菓子。ありがたく頂戴いたします。

冨貴寄・外箱
 渋い色使い

 外箱からして、雅な感じではありませんか。菊の紋様に海老茶というのが粋ですね。さすが都のお菓子。この箱を開けますと、

冨貴寄・缶
 やっぱり渋い色使い

 紅色を地にして、いかにも縁起の良さそうな図案が描かれています。缶コレクターにはたまらない一品でしょう。コレクターでなくても、放擲するのが惜しくなってくるのではないでしょうか。子供だったら間違いなく宝箱にします。
 外箱、缶と順に見ていきますと、期待が高まってきます。紅色のふたをそろりそろりと開けてみると、

冨貴寄・中
 あざやかーっ!

 うわー、綺麗っ! それでもって、可愛らしい。箱は宝箱でしたが、中身は本当の宝物でした。彩り鮮やか、いろんな形のちっちゃいお菓子がいっぱいいっぱい、きっちりと詰まっています。テンション急上昇です。

冨貴寄・アップ
 かわいーっ!

 アップにしてみました。こんな風になっているのですよ。カラフルなのですが、目に優しい、いかにも「日本の色」といったお菓子が、色を変え、形を変え、入っています。花ですよ。うわー、うわー。かわいー。うわー、うわー。テンション、さらに上がります。
 とにかく種類が多いです。同じ形のものでも色違いだったりするので、実際に何種類のお菓子が入っているのか、完全に把握できませんでした。それでも、なんとか種類分けをしてみました。

冨貴寄・分別
 細かい作業は、根っからの癖です

 たぶん、大まかに分けて、上の写真のようになるはずです。大きいお菓子で25mm、小さいものは10mm、多いのは20mm前後のもののようです。お菓子の種類は、砂糖菓子、焼き菓子、豆菓子の3部門。それに味や色の違いのバリエーションがあるのです。

冨貴寄・分別アップ1
 砂糖菓子部門

 砂糖菓子は、お砂糖をきっちり固めたもの、落雁、金平糖といったものが入っています。固い砂糖菓子は口に入れると、ひんやりとした感じが舌を軽く刺激し、きちっとした甘さが伝わってきます。これを飴玉みたいに溶かしていくのもいいのでしょうが、私は溶けるのを待つことができなくて、ばきばきと噛んでしまいました。すると、いちどきに甘さがぱーっと広がり、しゅーっと急速に溶けていきます。この感覚はかなり楽しいです。艶やかな甘さだな、と思いました。三角や花の砂糖菓子は、甘さが90%なのですが、全くしつこさがありません。この甘さをこくりと飲み込むと、のどをすーっと流れていきます。それに伴って、甘さの「道」ができます。この甘さがのどにじんわりと留まり、長く残るのです。口で味わう甘さというより、のどで味わう甘さです。
 落雁。久しぶりにいただきました。懐かしいです。これは、口に入れた途端に、溶けよう溶けようと振る舞います。私はその振る舞いを「うん、うん、この溶け方が落雁なんだよね。懐かしいなぁ」と、思いながら、落雁を見送ります。甘く切ない感情があふれ出てきます。
 金平糖。これまた懐かしい。ノスタルジックな味です。味そのものは他の砂糖菓子とあまり変わりはないはずなのですが、なんだか違う気がするのです。小さいから? 丸っこいとげとげがあるから? 舌の上で転がす。これが金平糖の遊び方だ、と思いました。もちろん、小さくて、とげとげがあるから、楽しいのです。

冨貴寄・分別アップ2
 焼き菓子部門

 焼き菓子は、ひょうたん型のもの、丸型のものがあります。形は2種に大別されますが、形が同じものでも、お味に微妙な変化を持たせています。ごま、けしの実、ざらめ、のり、コーティング無しなどの違いです。ざらめのものは甘くて、のりのものはちょっとしょっぱくて、芳ばしい。このような味の変化があるので、飽きが来ません。次はどれにしようかな、という楽しみがあるのです。
 食感は、あられやお煎餅よりも、柔らかめ。ボーロに近いです。玉子ボーロの大人版です。ざっくりさくさくとしていて食べやすいです。これまた郷愁を誘うお菓子です。砂糖菓子は甘味に一途で情熱的でしたが、焼き菓子の方は、ちょっと落ち着いてしっとりとした感じ。ゆっくりといただいて、お茶をこくりと一口、というのが似合いますね。

 豆菓子は、ピーナツを使ったものと、黒豆を使ったものがあります。どちらもコーティングがされていて、味に変化を持たせています。コーティングはお砂糖メインで、豆の芳ばしさと相俟って、じんわりと伝わる甘さがあります。この豆のお味には、奥深さがあり、何時までも噛みつづけていたい、という気にさせられます。

 再び、同じことを書きますが、一つ一つ味が違っていて、飽きが来ません。これは作り手の妙技、上手さと言えるでしょう。それに加えて、とっても小さな一つ一つでも、きちんと作り込んでいて、その丁寧さに感動がありました。

 「冨貴寄」という名前も、また良いではありませんか。「吹き寄せ」だとなんとなく荒んだ雰囲気の言葉ですが、それに縁起の良い当て字をするのもまた、江戸の粋だなぁ、と思わずにはいられません。食べれば食べるほど、運が回ってきそうです。
 味の良さ、名前の良さ、これに酔いしれ、「やめられない、とまらない」状態におちいってしまいます。手が止まらないのです。普通のお菓子だったら、特に砂糖菓子、甘めの豆菓子だったら、せいぜい年の数ほど食べたら、「もう、これくらいでいいかな」という気になるものですが、この「冨貴寄」には、それが無いのです。いずれのお菓子も主張がしっかりとありつつ、しつこさがないからでしょう。あっという間に一缶を食べ切ってしまいそうな勢いが付くのです。でも、そこは「上品な大人のお菓子」と捉えて、「ぐっ」と堪えて、「また明日ね」と缶のふたを閉じるのが正しい食べ方だと判断しました。一息に食べてしまって、たらふくになるのには、もったいないお菓子です。

 たくさんある「冨貴寄」のお菓子ですが、私のお気に入りは、抹茶の丸い焼き菓子です。さっくりとした優しい歯ざわりに、柔らかい甘さ、品のあるお茶の香り。絶品です。

―――――

 実は、このお菓子、少し前…。いや、正直に申しますと、結構前。もっと正確に申しますと、バレンタインデーの時にいただいたお菓子なのです。とっても美味しくいただきましたので、すぐにでも感想を書きたかったのですが、なかなか、感想を書くまでの余裕がが無くて、延び延びになってしまいました。わざわざ贈ってくださったのに、本当に申し訳なく思っております。平にご容赦ください。
 さらに、申しますと、ブログ更新をおろそかにしている間に、いただいたものがまだまだあるのです。感想を書かなくて、本当に申し訳ございません。平にご容赦くださいませ。
 しばらくの間、本ブログで、唐突に「チョコレート」とか「春っぽいお菓子」が出てくる可能性が高いです。その時は「あ、桜濱がブログをサボっている間に、贈られたものなんだな」と思ってください。季節感が無いのは、大目に見てくださいませ。


◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:冨貴寄(ふきよせ)
 価格:いただきもの

・店舗データ
 店舗名:菊廼舎(きくのや)本店
 住所:東京都中央区銀座5-8-8 銀座コアビル地下1階
 営業時間:11:00-20:00
 定休日:「銀座コア」に準じる
 公式サイト:http://www.ginza-kikunoya.co.jp/
 アクセス:東京メトロ・銀座駅「A-4出口」直結。


人気blogランキング クリックしてくださると、もっとたらふくになれます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.02.14

ビターな気持ちでかじり付く、甘辛きこげ茶色(とんかつ定食:とんかつ比呂野)

 バレンタインデー。
 皆様、特に男性諸氏、チョコレートを手にすることができましたでしょうか。もちろん自分で購入したものではなく、プレゼントとしてです。「数え切れないくらいもらいました。虫歯が心配です」という方もいらっしゃることでしょう。しかし、「チョコレートは?」と訊かれても、黙って下を向き、家路につき、家に帰るとすぐに布団に入り、静かに枕を涙で濡らし、「来年こそは…」とそっとつぶやく方もいらっしゃるかもしれません。
 『神聖モテモテ王国』(ながいけん著)というマンガをご存知でしょうか。『週刊少年サンデー』(小学館)で1996年から2000年まで連載されていたギャグ漫画です。深田一郎という15歳の学生と、彼の父親だと言い張る奇妙ないでたち(下半身は常に白ブリーフのみ)の謎の宇宙人「ファーザー」が、「ナオン」(女性のこと)に好意を寄せては、果敢にアタックし、壮絶に散る(主にファーザーが)というパターンが、毎回、踏襲されています。ファーザーは何故か「自分はモテる」と思っており、ナオンを振り向かせるために一郎のアパートの部屋で計画を立てます。ところがその計画はファーザーの手によって展開されると、的外れなものとなり、どんどんと深みにはまっていき、散るのです。詳しくはWikipediaに載っていますので、ご興味がおありの方はお調べください。
 単行本第3巻には、バレンタインデーを取り扱った一編があります。冒頭の、一郎とファーザーの会話をご紹介します。

 一郎「…くっ、とうとうバレンタインが来てしまったか。」
 ファーザー「……かわいそうに。なかなか人類皆平等とはいかないもんじゃよね?」
 一郎「お前もらう気か? 別にへんな男に爆発物あげる日じゃないんだぞ。」
 ファーザー「チョコくれるんじゃろ? おい。チョコってこげ茶色でトンカツじゃないやつじゃろ?」
 一郎「食ったことないんじゃないか!?」

 …なんと、秀逸なセリフ回し!
 ファーザーと一郎の食卓は、何故か毎回トンカツなのです。ファーザーにとって、日常の食事であり、最高の食事はトンカツで、基準がトンカツなのです。

 枕を涙で濡らした皆様。ファーザーに見習おうではありませんか。
 2月14日はバレンタインデーです。2月15日は「バレンタインでチョコレートをもらえなかった人デー(略してVDCWMNHD)」とし、夕食にトンカツを食べるのです。(『神聖モテモテ王国』では略称が多く使われます。[例:MNO=もてない男] ただし、『神聖モテモテ王国』自体の略称は「キムタク」。当時の読者の公募で選ばれた略称です)

 都合の良いことに、名古屋はトンカツ文化が活発な地域。トンカツに味噌だれをかけた「味噌カツ」という美食が花開いた土地です。名古屋にしばらくの間住んでいれば、自分の好きなトンカツ屋さんの1件や2件は脳内データベースに蓄積されることになります。
 名古屋の味噌カツ屋さんの代表は、やっぱり『矢場とん』さんでしょう。名古屋の中心地、中区・矢場町にでっかいビルを構え、イメージキャラクターの化粧回し姿のブタが「どすこい」と、描かれています。その本店ビルの他にも、名古屋の主要地に店舗を構えています。
 『矢場とん』さんはメジャーすぎるほどメジャーで、別格の感があります。名古屋のトンカツ好きの人の脳内データベースには、『矢場とん』さん以外に、「穴場の名店」があるはずです。今回は、私のそのうちの一店をご紹介いたしたいと思います。

とんかつ比呂野
 お隣は系列店の喫茶店です

 「とんかつ比呂野」さんは、「穴場の名店」だと私は思いますが、「名古屋の美味しい味噌カツ屋さんはどこですか?」というアンケートを取ったら、名前の挙がる頻度の非常に高いお店です。

 メインメニューの「とんかつ」は、味噌だれかソースかを選択できるようになっています。でも、ここは定番の「みそかつ定食・たれ全掛け」でオーダー。

とんかつ定食
 ソースも良いけど、名古屋ではやっぱり味噌カツ

 定食は、とんかつに付け合せの野菜(キャベツ、トマト、サニーレタス、キュウリ)に、ゆかりがふりかけられたどんぶりごはん、わかめとみつばの赤だし、そしてお漬物の陣容となっています。
 まずは、とんかつ(今回は味噌カツ)を、慈愛の心を込めて見つめましょう。赤味噌をベースとしたたれは、ウスターソースや普通のとんかつソースなど、黒味が強いたれと違って、見る者の心を優しく包み込んでくれるような、まろやかで深みのある色合いをしています。まるでチョコレートのような色合い…。

とんかつ・アップ
 照り輝く味噌だれ!

 とんかつには、どこから食べ始めるかという問題が常に付きまといます。東海林さだお先生もそのことに言及したいらっしゃったと記憶しています。とんかつを食べる順番には、大きく分けて2種類が存在します。端から食べるか、中央から食べるかです。
 これは、議論を重ねることが必要と思われる重要な問題です。端から食べる人は、「整然」を重要視しているのだと思います。一方、中央から食べる方は、最重要地点を真っ先に抑える戦術を取っていると考えられます。私は、後者に属しています。まず、そのとんかつの旨みの中心を、無垢な舌で感じなければならないと考えているからです。
 では、中央のお肉を取り出だします。

とんかつ・断面
 みっしりとお肉です。食べ応えアリ!

 約170mm×約90mmのとんかつは、8つにカットされています。その4番目部分は、肉厚15mm、約15%の脂身と約85%の肉で構成されていました。衣は薄く、細かめのパン粉をまとっています。
 さて、いただく前に、儀式を一つ。2月15日のとんかつの夕餉が有意義なものとなるように、「乾とんかつ」です。

乾とんかつ
 できるだけ楽しい気持ちでお肉を合わせましょう

 両手に持ったお箸で、二切れのお肉をやや勢いをつけて合わせます。一人で。ここで本当に乾杯の時のように「かんとんかーつ」と声を出してはいけません。お店の人や周りのお客さんに怪しまれます。「かんとんかーつ」は心の声に留めておいてください。

 「乾とんかつ」を済ませたら、ようやく実食です。いただきます。
 まずは歯にサクサクの衣が当ります。やや時間を置いて、味噌だれを吸って、やや柔らかくなった衣の感触と香り。甘味としっかりとコシの入ったたれの合わせ技。甘さと味噌の塩気の組み合わせは、コロンブスのアメリカ大陸到達に匹敵する邂逅だと思わざるを得ません。
 この甘辛さが口に残っている間に、ごはんを頬張ります。…「ごはんの友」の実力者「明太子」とタメを張れると思います。
 たまらず、次なる一切れに。サクサクと食べられるのです。油切れが良く、衣にしつこさが全くありません。また、お肉の脂身の旨さ。じんわりと体の隅々に行きわたる脂の甘さ。これが包容力というものなのでしょう。
 ついつい脂身の旨さを強調してしまいましたが、お肉の本体部分の旨さも言わずもがなです。みっしりと詰まったお肉は、かじると、清涼感と重量感の両方を合わせ持った豊潤な香りと味を口腔内に広げます。いくら噛んでも、その旨みは次から次へと立ち現れ、永遠に尽きることがないのではなかろうかと思わずにはいられません。
 中央に空いた、二切れ分のとんかつの空間。付け合せのキャベツをその空間に残った味噌だれに付け、一口。さっぱりしたキャベツに濃厚なたれの組み合わせは、肉の旨みを残しつつ、口直しの効果も発揮します。
 もうここまで来ると加速度がつきます。肉、野菜、ごはん、お味噌汁に陶酔し、お箸が止まりません。お肉は中央から端へとその姿を消していき、それに伴い、どんぶりのごはんもみるみる間に無くなっていきます。
 おっと、あまりに勢いよく頂いていたために、のどにつかえてしまいました。ここでお味噌汁をくいっと。赤味噌に赤味噌。なめらかにのどを潤します。

 最期の一口のお肉になりました。ここで、

 「すみません。ごはんと赤だしのおかわりをお願いします」

 比呂野さんでは、定食を注文すると、ごはんと赤だしとキャベツのおかわりが自由なのです。たらふくになれるシステムが備わっているのです。味噌カツがいかにごはんに合うのかを、ちゃんと分かっていらっしゃる店主さんのお心を見た気がします。

 残りの一口のお肉を口にし、熱々のごはんでそれに合わせ、赤だしでその余韻を楽しむ。お肉は無くなりましたが、味の記憶で、どんぶりごはんと赤だしをいただきます。

 味噌カツがある文化圏に住まうことができたことを、神に感謝します。

―――

 『神聖モテモテ王国』第4巻で、ファーザーはこのように言っています。

 「トンカツとはトンに勝つ……つまり己に克つ事じゃよ。それを食べちゃうのだから、つまり何かに勝った様な気になるわけよ。」

 勝てるのです。トンカツはチョコレートにも勝てるのです。

 2月15日の夜は、さぁ、レッツ・トンカチックディナー!


 『神聖モテモテ王国』の単行本1~6巻(未完のため全6巻ではありません)は、永らく絶版となっていましたが、コミックパークさん復刊してくださいました。元の単行本に比べ割高(約2.5倍)になっています。万人にオススメするには、やや躊躇ってしまうマンガではありますが、ギャグ漫画がとにかく好きという方はご一読を。
 復刊本の売れ行きによっては、単行本未収録話を収めた「第7巻」が新たに発行される可能性もあるとのこと。ご購入をお願いいたします。もちろん第7巻を渇望する私のためにじゃよー!

 (2008.05.06追記)
 『神聖モテモテ王国』(略称:キムタク)ファンの想いがコミックパークさんに伝わり、なんと、8年ぶりに、続刊となる「第7巻」が発売されることが、コミックパークさんからアナウンスされました(復刊された1~6巻の売れ行きが好調で、小学館からOKが出たようです)。早ければ、2008年5月中に発売されるそうです。なお、「第7巻」は、手作り&完全注文生産のため、一般の流通ルートは通らず、コミックパークさんのみの販売になるらしいです。内容は、単行本未収録の週刊少年サンデー掲載分+ヤングサンデー集中連載分になるとのこと。

 ギャワワー! この追記はトンカツと関係ないじゃろー!
 でも、かーんげきーいー、早く喜びの酒、松竹梅を買ってきてー。


◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:とんかつ定食
 価格:¥1260

・店舗データ
 店舗名:とんかつ比呂野
 住所:名古屋市昭和区山花町116
 営業時間:平日11:00-15:00,17:00-21:30 土日祝11:00-15:00,17:00-22:00(L.O.各30分前)
 定休日:無休
 アクセス:名古屋市営地下鉄「川名駅」直上、「川名交差点」を北へ約200m。「川原通7交差点」を右折し約50m、次の信号を左折し直進。約300mの右手。(山花町バス停向かい)


人気blogランキング クリックしてくださると、もっとたらふくになれます。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007.07.05

吃驚させて珈琲飲んだら、美味しさに吃驚させられた(自家製ハムとたっぷりレタスのベーグルサンド、アイスコーヒー、しょうがミルクプリン:長生堂)

 静岡県は磐田市のお店をご紹介いたします。
 ありがたくも、拙ブログを定期的に巡回して下さっている方の中には、「いつもは名古屋市内のケーキ屋さんとかパン屋さん、それに『喫茶マウンテン』が新規改装オープンしたのに、なんでまた、今回は磐田市のお店の紹介なの?」と不思議に思われる方がいらっしゃるかもしれません。実は大切な理由があるのです。その理由は…、また後ほど。

 磐田駅近くのカフェ「長生堂」さんは、コーヒーに特別の思いいれを込められていらっしゃるのです。何故、それを知っているのかですって? その理由は、また後ほど。
 カフェなので、メインはコーヒー。でも、もちろんお品はそれだけではありません。一番のオススメはベーグルサンド。これまた素材を厳選されていらっしゃるのです。何故、それを知っているのかですって? それはまた後ほど。

長生堂
 シックな外装の中にも丸い窓。遊び心たっぷり

 外観は、窓の形など、ちょっとした遊び心が見られるシックなもの。でも、ドアを開けると、白や柔らかいベージュ、黄緑などソフトなアースカラーを用いた、明るくて、ほっこりしたアットホームな雰囲気の内装です。この日は蒸し蒸しと暑い日でしたが、一歩足を踏み入れただけで、「ふぃ~っ」と思わず一息つき、この店内を拝見すると、すぐに落ち着くことができました。

 「お好きな席にどうぞ」

と、案内されて、ふっかりしたソファーに腰を下ろします。

 まずは、涼をとるためにアイスコーヒーを。

アイスコーヒー
 ミルク&シロップを入れても、コーヒーの芳醇がただよいます

 普段は、シロップやミルクを入れる前に写真を撮るのですが、体が外のあまりの暑さにやられてしまっていて、取材を忘れ、シロップ&ミルクを入れて、カップになみなみに注がれたコーヒーを二口三口、先に飲んでしまいました。

 美味しい!

 事前に仕入れていた情報どおりに美味しい! この美味しさは外が暑かったからだけではなくて、コーヒー本来の本物の美味しさです。
 深いコクがあり、濃くもある。苦味があるものの、それが嫌味になっていない。するりとのどを越していきます。私は酸味が強いコーヒーがちょっと苦手なのですが、それがほとんど無くて、いくらでもいつまでもこくりこくりと飲めそうです。内装と同じく、柔らかみのあるお味。アルコールじゃないのに、頭がゆったりと酔うような感じ。

 ベーグルサンドは数種類ありましたが、パティシエールさんにお尋ねして、オススメの中のオススメ「自家製ハムとたっぷりレタスのベーグルサンド」をお願いしました。

自家製ハムとたっぷりレタスのベーグルサンド
 お野菜たっぷり。健康的。

 黒胡麻入りベーグルにお野菜がたっぷり。それだけじゃなくて、つけ合わせのフライドポテトと完熟トマトまであり、お野菜がたっぷり、たっぷり。見るからに健康なベーグルサンドです。

自家製ハムとたっぷりレタスのベーグルサンド・断面
 みっしりとしたハムとしゃきしゃきのお野菜が食欲を誘います。

 まずは、自家製ハムを一かじり。ハムなので当然なのですが、肉感が良いです。みっしりと詰まったお肉の旨み。ハムの繊維の一本一本に封じ込められ、燻じられた味の密度がたまりません。

 「たっぷりレタス」という名前が付いていますが、お野菜はレタスの他にもふんだんに取り入れられています。鮮やかな赤、黄色のパプリカにスライスオニオン。どのお野菜も瑞々しくて、たっぷりしゃきしゃき。お野菜がみんな張り切って「にっこり」しているような表情を持っているように見えました。これらが、マスタード入りのマヨネーズベースのソースで取り持たれています。私は辛味が苦手ですが、このマスタードはちょっと「ぴりり」とするくらいで、私でも問題なくパクつけます。
 瑞々しいお野菜は、つけ合わせの2品も同じ。「フライドポテトなのに瑞々しい」ってちょっとおかしな表現ですが、そのように感じられるのです。ファーストフードのフライドポテトとは一味二味三味、いやそれ以上に違います。外側は「からりっ」「さっくりっ」、内側は「ふんわりほっこほこ」。大地から顔を出したばかりのような暖かさ。完熟トマトからはじわっと甘味が沁みだしてきます。

つけ合わせ
 とにかくお野菜がふんだん

 そして、肝心の、ベースのベーグル生地。付け加えられた甘味などの、余計な雑味が無くて、小麦本来の香り。ハムと同じく味が濃くて、かみ締めるごとに優しい甘味がじわりじわりと生まれてきます。これもまた、コーヒーと同じくらいに思いいれをもって厳選された素材を使ったベーグルなんです。何故、それを知っているかといいますと…。しつこいですが、やっぱり、その理由はもうちょっと後回し。

 ベーグルサンドを平らげて、コーヒーで体を落ち着けたら、次は甘いものに。ベーグルサンドで充分にたらふくになっているのですが、甘いものは別腹、別腹。
 パティシエールさんは、毎日、ご自分の気分次第でスイーツを作っていらっしゃっていて、日によって品揃えが違うのです。
 「じゃ、今日の甘いもののオススメをお願いしますね」とお頼みすると、しばらく考えられた後に、

 「じゃ、『しょうがミルクプリン』かなぁ。面白い組み合わせでしょ」

しょうがミルクプリン
 生姜とプリンの組み合わせなんて! 初!

 確かに面白い組み合わせです。生姜とプリンなんて、生まれて初めて見る組み合わせ。パティシエールさんの創作力が大発揮です。
 プリンは、パステルさんのような、「なめらか・とろけるプリン系」。

 「私ね。固いプリンが、好きじゃないの」

 主流にとらわれない個性的な考え方はいかにも「こちらの」パティシエールさんらしいです。「よく、この方の性格を知っていますね」ですって? ふふふ。その秘密は、もう少しもう少し、あと少しだけ後回しにさせてくださいませ。

 さて、この珍しい組み合わせのプリンをいただきましょう。スプーンでひとすくいすると、他のお店のとろけるプリンよりもトロトロ。かなりミルキー。スプーンから滴り落ちるくらいです。練乳になる寸前くらいの柔らかさ。

しょうがミルクプリン・とろっと感
 今まで食べたプリンの中で、いちばん「とろ~~っ」かもしれない

 生姜の効果はどうなのでしょう? おそるおそる一口。…あれれ、かなり甘いぞっ。…うわっ! 「ピリッ」が来たっ。ソフトな甘味が最初の数秒間に舌に絡んで、後味、のどごしで「キレ」の良い生姜の風味が「ピシッ!」と来ます。

 「生姜を入れると、甘みが増すのよ」

 パティシエールさんのおっしゃるように、確かに、一口目は普通の甘み。その一口目の甘みの後に生姜のパンチが来て、二口目をいただくと、一口目以上の甘みが感じられます。うーむ、よく考えられて作られたプリンだなぁ。

 それにしても、甘いプリンに、生姜の「ピリリ」が入っているなんて、作った人の雰囲気そのもの。

 …と、全部いただいたところで、後回しにしていた、私がこんな人物評価ができるパティシエールさんとこちらのお店についての種明かしをいたしましょう。
 実は、こちらのシェフ・パティシエールさんは、私の学生時代の同期で、同じ研究室で勉強したり遊んだりした(遊んだ割合の方が多かったような気がしますが)、友人なのです。なので、事前にかなりの情報が分かっていたのです。

 彼女は、この春、「長生堂」さんを新規に開店しました。「開店のお祝いを贈りに行きたいなぁ。どのような、お料理、スイーツを出しているのかなぁ。食べたいなぁ」と思っていたのですが、なかなか訪問する機会が得られなくて、今の時期にまでずれこんでしまっていたのでした。
 そして、私の性格の悪さが出てしまいました。予告無しに、開店のお祝いを贈りに行ったのです。彼女は、突然の訪問に、私の顔を見て、数秒間固まった後に一言。

 「心臓が止まるかと思った」

 3年ぶりに再会でした。大変ながらも、元気そうに切り盛りしているのを拝見して、友人としてホッといたしました。
 ひとしきり、四方山話などに花を咲かせ、再会を約束して、お店を後にいたしました。
 ここで、大事なお知らせを。
 彼女は大切な友人ですが、今回のお品のご紹介は、「ひいき」や「おだて」を加味してはおりません。いつも通りに、私なりにでき得る限り冷静に、お味のご説明をしたつもりです。「仲間だから、宣伝しなきゃ」などという考えは頭から外しておりますので、ご覧いただいた方は誤解なきように、何卒、お願い申し上げます。

 本当に、掛け値なしに美味しかったです。

 厳選されたコーヒーは、「南青山マメーズ」さんというお店から仕入れているそうです。こちらのお店も、妥協無しでコーヒー豆選びをされていらっしゃるとお聞きしました。新しくカフェをオープンされる方は、「南青山マメーズ」さんのお豆を取り入れられてみてはいかがでしょうか。

 「長生堂」さんは、カフェスペースのお隣のお部屋にフラワーショップも併設されているのです。スイーツはテイクアウトもできるので、お花と一緒にプレゼントなんてオシャレだと思いますよ。

併設のフラワーショップ
 フラワーショップのお部屋の方。かわいい。


◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:自家製ハムとたっぷりレタスのベーグルサンド
 価格:¥600

 商品名:アイスコーヒー
 価格:¥200(ベーグルとのセット価格)

 商品名:しょうがミルクプリン
 価格:¥280


・店舗データ
 店舗名:café&flower chosedo(長生堂)
 住所:静岡県磐田市中泉459-24
 営業時間:7:00-20:00
 定休日:火
 アクセス:JR磐田駅北口を出て、北進。2つ目の信号を過ぎた後(1つめの信号はスクランブル交差点です)の三叉路を右折。約100m進んで突き当たりの三叉路を左折。すぐに右折。約50mの右手。磐田駅からは徒歩5分。


人気blogランキング クリックしてくださると、もっとたらふくになれます。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2006.09.28

今日の「山」登りは「きのこツナクリーム」&「クリームパフェ」

 久しぶりの「喫茶マウンテン」レポートです。調べてみたら、8月の初め以来2ヶ月ぶり。しかしこの時は新メニューについてのレポートですので、飲食レポートは6月末以来、約3ヶ月ぶりとなります。
 夏の総決算として、この間、いただいたモノのご報告をいたします。

 ごはん時をやや過ぎた頃、お腹がぺこぺこになりました。お腹がぺこぺこになった上に、頭がぼんやりとしてきました。このぼんやり感は、甘味が頭に回っていない時に起こる感覚です。

 ぺこぺこを満たすところ。そして、甘味を頭に回すことができるところ。そう「山」です。

 この時は、普通にたらふくになりたかったので、無難そうなモノを探すことにしました。山にたびたび足を運んで分かったことの一つとして、スパゲッティーもピラフも「ホワイトソース」と「トマトソース(ピラフはトマトベース)」のモノは無難な傾向にあることがうっすらと分かってきました。
 あとは、油の違いです。スパゲッティーは油がきつく、ピラフはそれほどでもないと考えればよいでしょう。おなかがぺこぺこだったので、スパ方向に気が向きました。

きのこツナクリーム
 ホワイトソース系は写真でみたら違いが分かりにくいのが難点

 「きのこツナクリーム」は、メニューのスパゲッティーページの先頭に書かれている山です。マスターの意向としては、「まずはこれで、ウチがどういうところか見極めるがええよ」ということなのかもしれません。

 ホワイトソースはいつもどおりプルプルしています。一部のプリンよりもぷるぷるしているように思われます。

きのこツナクリーム・アップ
 スパの下に名称の元なったものがあるようです

 香りは、ツナのものが強く表れています。まいたけは香りが結構強いきのこですが、完全にツナに圧されています。

きのこツナクリーム・ツナときのこ
 味付きツナとまいたけ

 スパの味は塩味がつよいですね。これはツナ缶の塩味のように思われます。その塩味の強さは、上に覆いかぶさったホワイトクリームが和らげています。クリームとスパ、ツナをしっかりと混ぜ合わせていただくのが、美味しい食べ方でしょう。そうせずに、クリームはクリーム、スパはスパでいただいていくと、スパに具が絡まないまま、最後に具(とくにツナ)が残ってしまうのです(このとき私がそうなりました)。完食するためには、この残ったツナまで食べきらなければなりませんが、このツナが結構な難物です。先ほど書いたように、ツナは塩味が強いのです。塩っ辛さで舌がヒリヒリとする羽目に陥りました。

 この塩っ辛さを無くすには、甘味を摂らねばなりません。しっかりとした甘味を。
 たっぷりの甘味は「山」にはいくらでもあります。まだいただいたことのない、しっかりとした甘味を選びましょう。

クリームパフェ
 多いですが、オーソドックスな「クリームパフェ」

 相変わらずパフェも山盛りです。高さは235mm(ウエハース、パフェグラスの足を除く)。グラスいっぱいにみっしりと詰まっています。いや、その上にまでもりもりと甘味がはみ出しています。

 上にはみ出した甘味はホイップクリーム。その上には、パフェの定番、しかし私がやや苦手とする缶詰のチェリーが一個、ぽんっと乗っています。私は好きなものは後に残すタイプです。つまりは苦手なものは先にいただくタイプということです。まずは、チェリーを片付けて、ほっとした気分で、あとは甘味を堪能するだけです。
 ウエハースは1枚。これもまたパフェの定番。優しい甘さは、ホイップクリームの強い甘さや、アイスクリームの冷たさを和らげる働きをするために大切にいただきます。
 ウエハースの他には、10mm幅に輪切りにされたバナナが3切れ、20mm幅にカットされた缶詰の黄桃が2切れがクリームに張り付いています。これまたシンプルな構成。どうやらクリームパフェは至って普通のパフェのようです。

クリームパフェ・上部アップ
 チェリーが目にしみます

 上に盛られたクリームとトッピングの下から、グラスの縁の部分からはアイスクリーム層となっています。これは普通のバニラアイス。
 このまま、常温のホイップとトッピングを絡めながらアイスを食べていけばいいんだなと思っていると、外側からは見え難かった層「カステラ」層が登場します。このカステラは、アイスで冷えた舌を休めるのに抜群の働きをします。この「アイス層+カステラ層」が2度続くのです。「山」にしては優しい構成をとっています。意外です。
 「アイス→カステラ→アイス→カステラ→アイス」ときたところで、意外な展開をみせてくれました。なんと果物の第2弾が登場したのです。上に乗っていたものと同じ形で、バナナが2切れ、黄桃が1切れ、そして私が苦手とするチェリーが1個。思わぬ伏兵にひるんでしまいました。どんなときでも「山」は一筋縄ではいかないのです。

クリームパフェ・最後に
 まさか最後にこんなパンチがくるとは…

 最下部にはなんだか分からない黄色いソースが封じ込められていました。覚えがあるようなないようなお味です。サワー系の甘酸っぱいソースです。「味わったことはあるようなきがするんだけど…。何のソースなのだろうか」と深追いすることは止めておきます。考えても分からないことは目に見えていたからです。


人気blogランキング クリックしてくださると、もっとたらふくになれます。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006.09.08

不思議に甘い幸せのワンプレート(3種のデリとご飯のワンプレート:ハッピー デリ 鎌倉)

 鎌倉駅に降り立ちますと、そこには、一見、名古屋と変わらぬ蒼天と陽射しがありました。しかし、そこに満ちている空気は、ヒートアイランドと化している名古屋とは全く違っておりました。爽やかな暑さ。暑い中にもひんやりとした気をはらんでいる風が流れています。陰もまた違っていました。ビルに囲まれた陰と、並木の木陰にこれほどまでの差があるとは思ってもみませんでした。自然の力の豊かさを感じた瞬間です。
 その空気を胸一杯に吸い込み、暑くもあり、冷やりともした風を肌に受けておりますと、それだけで肺が清涼感でたらふくになったように思われてきました。
 でも、昼下がり。まだ、昼食を取っておりませんでした。肺はたらふくでも、胃はぺこぺこです。目的地に行く前に、しっかりと腹ごしらえをしなければなりません。

HAPPY DELI kamakura
 お店は2階です

 こちらの「HAPPY DELI kamakura」さんは、ショーケースにならぶ10種類ほどのお惣菜と、日替わりグリル料理から、2種類、もしくは3種類を選ぶワンプレートメニューが人気のお店とのこと。
 このようなスタイルは、選択の幅があって、とっても嬉しいのですが、反面、とっても困ります。優柔不断な私は「あれが美味しそう。う~ん、こっちも食べてみたい。どれが良いかなぁ…。それをとりあえず一つください」と、決定にやたらと時間が掛かってしまい、店員さんご迷惑をお掛けすることになります。ですが、この時は最も混み合う時間帯が過ぎていたため、他のお客さんにまではご迷惑をお掛けすることはありませんでした。まあまあの幸いと言えるでしょう。

 あれやこれやと迷った結果、私が選んだのはこちらの3種類。

3種のデリとご飯のワンプレート
 デリは10種ほどから選べるようになっています

 左から「クリームチーズの野菜サラダ」「ガーリックアンチョビポテト」「チキンのグリル」です。それに加わるのが大盛りのご飯。視覚のみでたらふくです。
 「クリームチーズの野菜サラダ」は、シャキシャキのお野菜に、大好きなバジルが良く効いていて、ご飯がどんどん進みます。
 「ガーリックアンチョビポテト」も、しっかりとした味付け。アンチョビの塩気とガーリックの香りが加わったお芋さんが、ご飯に合わない訳がありません。どんどんお箸が進みます。
 そして、「チキンのグリル」。塩胡椒と香草で味付けされて、普通にグリルで焼かれた鶏肉かと思いきや、漂ってくる香りは印度方面のスパイシーなもの。タンドリーチキンの香りです。辛いものが苦手な私にとっては鬼門の香りです。

 「あっ! お魚の方にしておけば良かったかなぁ…」

と、思いつつも、お肉を一口パクリっと。…あれっ!?

 「甘いっ!! カレーの香りなのに甘い!! 何故か甘い!!」

 これだけ感嘆符を付けても足りないほどの驚きのお味でした。全くのカレーの香りなのに、ちっとも辛くないのです。舌に優しい、とろける甘さなのです。これには感服。ぱくぱくぱくっと、これまたご飯に良く合って、あっという間に食べ終わりました。

 「ご飯、ちょっと多いかなぁ」と思うのは、初めだけです。全てがご飯と見事に腕を組んでいます。これだけのボリュームがあるのに、お代が¥600ということにもニンマリ。

 これで、肺も胃も満たされました。さて、最大の目的地、あの神様に向かわねば。


◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:3種のデリとご飯のワンプレート
 価格:¥600(2種のデリの場合¥400)

・店舗データ
 店舗名:HAPPY DELI kamakura(ハッピー デリ カマクラ)
 住所:神奈川県鎌倉市御成町15-7 樹々ビル2階
 営業時間:8:00-18:30(土は-18:00)
 定休日:日
 公式サイト:http://www18.ocn.ne.jp/~hpydeli/
 アクセス:JR鎌倉駅西口を出て真っ直ぐ西に、約250mの右側。


人気blogランキング クリックしてくださると、もっとたらふくになれます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧