シャルロットを僕のものにしたいけれどもなかなか会えない(「シャルロット」シリーズ:YKベーキングカンパニー)
一年以上、恋しているスーパーマーケットパンがあります。その、味と食感と価格とで恋に落ちました。恋して以来、乞い求めているのですが、なかなか出会えません。何故ならば、それは神戸屋から出ているパンだからです。
私は名古屋にいます。日本三大パンメーカーの二社「敷島製パン(パスコ)」と「フジパン」(五十音順)の本社がある土地です。中京パン二重王国です。そこに近畿勢力である「神戸屋」が入り込むのは容易でないことは想像がつきます(そんな中でもしっかりと勢力を維持している山崎製パンはさすがだと思います)。
いくら神戸に美味しいパン屋さんが多くても……、と書いたところで確認したら、本社は大阪府でした。阪神地域では「パンは神戸」というイメージがあるのでしょう。そういうことにしておきます。
本題に戻ります。神戸屋が出している「シャルロット」シリーズに恋をしています。しかし、上記の事情で、なかなか見かけません。あの食感、あの甘味、あの姿。恋煩いかける頃にふと見かけて、シリーズをまとめ買いします。煩う直前で出会うので、始末に負えません。
定番のミルクシャルロットとカスタードシャルロット
シリーズですから、いくつかの味があります。シンプルな「ミルクシャルロット」、こくのある「カスタードシャルロット」、ほろ苦さと甘さの整った「コーヒーシャルロット」が定番のようです。他にも季節限定シャルロットがあり、恋煩いかけながら見かけると、
「そのような姿にもなれるのか!」
と、新たな魅力を発見した気持ちでまとめ買います。
そもそも、シャルロットはケーキの一種類です。ビスキュイと呼ばれるもこもことした生地のフレームで、ババロアやフルーツ、クリーム、ソースなどを包み込んだものです。それをパンで表現しているのが神戸屋の「シャルロット」です。
幅5.5cm、奥行8cm、そして斜辺14cmのうず巻きが麗しい
「シャルロット」はビスキュイよりも、しっとりふわふわした生地で表面をくるりと包んで、内側は、スポンジ生地とクリーム、ソースがくるりと巻かれています。しっとりの表面、ふんわりのロール、それぞれの個性を強める内側に巻き込まれたクリームとソース。一見するとバラバラな要素ですが、それらが「の」の字で巻かれていると、なんとしたことか、「ミルク」でも「カスタード」でも「コーヒー」でも季節限定のものでも、味は異なるのに全て「シャルロット」というひとつの個性のパンになるのです。
斜めに切られているのも素晴らしい。表面のビスキュイを模したしっとり生地はシリーズ共通です。そのため、ちらと見ただけではどの風味か分かりにくいです。断面を広く見せることによって、明瞭に、そして美しく「シャルロット」であると魅せているのです。この姿にも恋しました。
食べかけではなくて、むしったものです。このむしり痕でふわふわさを感じ取ってください。
「シャルロット」を口にしている間は「できることならば、手に入りやすい阪神間に住みたい」という衝動が沸き起こります。食後、しばし久々の味わいにうっとりとしてから、「いやいや、パン二重王国である名古屋を離れるわけにはいかない」と、正気を取り戻します。
それならば、せめて、近所のスーパーマーケットで「シャルロット」シリーズが置かれる曜日、あるいは「ごとび」のように決まった日に並んでいれば助かるのですが、そのパターンは決まっていないようなのです。恋に朽ちそうになるころに、ふと見かけるのです。たまたま立ち寄った近所ではないスーパーなどで。さらには季節限定を含んでシリーズが並んでいたりするのです。私の恋心を弄んでいるのか。
そうして、たまの逢瀬を楽しんで、「いつ、また会えるのだろうか」、きぬぎぬを惜しむかのように包装を眺めました。
名称|洋菓子
パンじゃない!
*
神戸屋時代の姿
なお、2023年に、神戸屋は山崎製パングループに入っていて、「YKベーキングカンパニー」の社名に変わりました。それならば、もっと、「シャルロット」シリーズの領土拡大をお願いします。
季節限定
今季見かけた「さつまいもシャルロット」、美味しくないわけがないですね。
◎商品データ
商品名:シャルロット(ミルク、カスタード、オレンジ、さつまいも)
製造者:株式会社YKベーキングカンパニー
価格:138円(税込・近所のスーパーマーケット価格)
公式ページ:https://www.ykbaking.co.jp/products_series_taxonomy/series_charlotte/
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