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2012.01.31

ほろ苦い、または、苦い思いをするためのチョコレート(ソイラテのコーヒー豆チョコ:無印良品、コロンボス・コーヒービーンズチョコ:スリーハッツ)

 苦々しい体験は苦い記憶になりほろ苦い思い出へと緩和されるようです。ですが、甘い体験は甘い記憶として残り甘い思い出、もしくは甘い現状へと流れゆく場合も多々あるらしいので、できれば苦いのは避けたいです。
 しかし、苦い体験は外的要因から発生します。何も好きこのんで苦い思いは誰しもしたくはないはずです。
 甘い思いをしたい。
 それが、素直な願望だと思います。
 甘さを期待しつつ、苦さを迎え撃つ準備を整えるべし。そのためには、あらかじめ苦さに慣れておくべきだと判断しました。
 ただ、
「私は甘いものが苦手でして……」
 と、伏線を敷いておくのは、あまり気が利いているような感じがしません。どうせなら、
「甘いもの、そりゃ、食べたいさ。でも、これもいいのさっ」
 と振る舞うと、思い切りの良い雰囲気が醸し出され、結果的に、甘い思いができる予感がします。
 そこで、苦みを利かせつつ、甘いもの好きもアピールできるものを用意いたしました。

無印良品・ソイラテのコーヒー豆チョコ
 左上の印からも限定商品だと分かります

 無印良品さんの期間限定商品「ソイラテのコーヒー豆チョコ」は、コーヒー風味のチョコレート、という遠回りなお品ではなく、豆、そのものが封じ込められています。
 コーヒー豆まるごと一粒ずつに、ホワイトチョコレートがコーティングされています。

無印良品・ソイラテのコーヒー豆チョコ・中身
 コーヒー風味のホワイトチョコっぽいですが…

 一粒取って、口に入れると、ミルク味チョコレートにほのかなコーヒーの風味が、ほわりとただよいます。ころり、廻して、奥歯の位置に置き、がっ、と噛みしめると、パリパリと乾いた音が顎関節に響き、その揺れと共にコーヒーの味が飛び出します。
 当たり前ながら、コーヒー豆そのものなので、コーヒー味そのものです。抽出など遠回りせず、コーヒー、です。パリパリと豆を割っていくと、破砕された粒ひとかけらずつから、コーヒーが出てきます。にじみ出す、というようなものではありません。直コーヒーです。
 コーヒー、コーヒー、と書きましたが、その間にも、コーティングのホワイトチョコレートがしっとりととろけていきますので、苦いばかりではありません。名前の通り、カフェラテ、ミルクとお砂糖が出過ぎない、けれども、甘いまろやかなコーヒー味です。
 しばらくかみ続けると、少しの甘みを残しながら、ホワイトチョコレートが流れていき、煎られた豆の香りと苦みが、すっきりと消えていきます。

ソイラテのコーヒー豆チョコ・断面
 中は豆そのもの

 渋みや、クセの強さは感じられません。思わず、もう一粒と手が伸びてしまいます。苦みが恋しくなってきます。アーモンドのような湿度のある「カリッ」とした食感ではなく、もっとパリパリとしていて、この軽やかな歯触りも、もう一粒、の動機になります。
 ですが、もう一粒、もう一粒、と、一気にいくつも食べることは難しいでしょう。数えてみると、一袋に52粒入っていました。コーティングしている状態で1cm大、そのコーティングもコーヒー豆を最低限覆う程度なので、それなりに大きなコーヒー豆です。その大きさのコーヒー豆をパリパリと52粒、食べきるのは、困難を極めます。5粒ほど食べると、
「もう、これくらいにしておいた方がいいかな」
 という気になります。
 それでは、また今度、と封をしたいのですが、この袋は一過性開封型です。ハサミなどで口を開けた場合、残りが入った袋は輪ゴムなどで留めておかないといけません。来年の販売もあるのならば、ジップタイプの袋にしていただければ、と思います。
 パリパリと苦みと甘みを楽しんでおりますと、「コーヒー豆チョコレート」というのは、結構、種類があることが分かりました。その中でも、目を引いたのが、スリーハッツさんのコーヒー豆チョコレート2種類です。

コロンボス・コーヒーショッツ2種
 箱入りです。25粒入っていました

 こちらは、「ラテ」と「エスプレッソ」の二つの味があります。見た目では判別は難しいです。箱を開けると、ラテの方はわずかな甘みが感じられます。一方、エスプレッソは微動だにしないような、そら恐ろしい静けさがあります。

コロンボス・コーヒーショッツ・アップ
 エスプレッソの威圧感

 そこで、エスプレッソは手強いと判断し、ラテからいただいてみました。無印良品さんのコーヒー豆チョコよりも一回り大きく1.5cm弱で、丸みがはっきりとしています。
 今度も、ぽい、と口に放り込み、奥歯で、がしり、と噛み割ります。
 甘い。
 コーヒー豆の苦みを覚悟していたので、やや拍子抜けです。チョコレートが甘いのです。決してどしりと重い甘みではありません。ですが、甘みははっきり分かります。直球で、切れ味の良い甘さ。シンプルな甘さです。
 そこに、コーヒー豆の苦みが加わります。こちらのコーヒー豆は、やや小さめです。チョコレートの分量の方が多いです。コーヒー豆もチョコレートと同じく切れの良い苦み。豆の食感はやや弱いですが、苦みはしっかり分かります。
 チョコレートのシンプルな甘みと、コーヒー豆のシンプルな苦み。お互いが本来の持ち味を引き立て合っていて、チョコレートの味はそれとして、コーヒー豆の味もそれとして、明々白々たる「コーヒー豆チョコレート」となっていました。
 では、後回しだった「エスプレッソ」に取り掛かります。

コロンボス・コーヒーショッツ・アップ
 苦そう

 箱の蓋からこぼれ落ちる1.5cmの玉は「弾」のようにも見えます。迫力があります。
 一粒つまみ上げ、口に撃ち込みます。噛みます。
 苦い。……けど、そうでもない。
 意外や意外。苦いのですが、さくさく食べられます。無心に二つめ、三つめと食べてしまいます。ラテと同じくチョコレートの割合が多いですが、甘みはごくわずかなので、さらりとした舌触りです。小粒のコーヒー豆が、ぱしっ、と割れると、目が覚めるような眩しい苦みが弾け散ります。
 チョコレートとコーヒー豆、どちらも苦く、これはチョコレートの苦みなのか、コーヒー豆の苦みなのか、判然とし難く、苦みと苦みが苦みの嫌な部分を打ち消し合って苦みの良い部分だけが現前します。
 どちらかというと、ラテの方が「これはコーヒー豆の苦み」と分かりました。その分甘みがありますので、二粒三粒食べて、もうこれで小腹は満たされた、これ以上食べるとたらふくになって夕ごはんが食べられなくなる、とストップできます。しかし、エスプレッソは、そのストッパーが効きにくいです。頭とおなかが真空になったのではなかろうか、と思うくらいに、無心に食べてしまう畏れがあります。

コロンボス・コーヒーショッツ・断面
 チョコレートの方が多いです

 苦い思いをしても苦いと思わないように苦い(けれども甘い)ものを食べてみましたが、結局、苦くてもいいや、という気分で終わりました。
 苦いは苦いでも、「苦み走った」は良い意味です。辞書を見ると、いにしえより、それはモテモテ要素らしいです。コーヒー豆チョコレートをバッグに忍ばせて、いつでも苦み走ることができるように準備しておきます。


 ◎店舗・商品データ
 ・商品データ
  商品名:ソイラテのコーヒー豆チョコ
  価格:¥210

 ・店舗データ
  店舗名:無印良品・名古屋パルコ店
  住所:名古屋市中区栄3-29-1 名古屋パルコ西館地下1階
  営業時間:10:00-21:00
  定休日:名古屋パルコに準じる
  アクセス:名古屋市営地下鉄「矢場町駅」直結
  公式サイト:http://www.muji.net/


 ・商品データ
  商品名:threehats Columbo's CoffeeShots(スリーハッツ・コロンボス・コーヒーショッツ) espresso beans,latté beans
   ※箱裏面の日本語説明の商品名は「アシュモアーズ コロンボス コーヒービーンズチョコ エスプレッソ(ラテ)」となっています。
  価格:各¥210

 ・店舗データ
  店舗名:KITANO ACE・ラシック
  住所:名古屋市中区栄3-6-1 ラシック地下1階
  営業時間:11:00-21:00
  定休日:ラシックに準じる
  アクセス:名古屋市営地下鉄「栄駅」からサカエチカへ。16番出入口から南へ約100m。
  公式サイト(製造元):http://www.3hats.com.au/
  公式サイト(購入店):http://www.ace-group.co.jp/index.html
  ※輸入菓子を取り扱っているお店に置かれていることが多いようです。

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2012.01.24

なんていい陽気だったのだろう ―キルフェボン名古屋店へ惜別の辞

 小春日和。桜匂いぬるキャンパス。日の光を映した噴水。高く広く薄青いドームの中心。季を経るたびに、そのようなものたちが見えて聞こえて触れていったとき、何の気無しに浮かぶことばがあります。
 厳しい冷たさの中、激しい暑さの中、それらが緩む瞬間、固まっていた身と心が、はらん、解けて、頭を上げて甘い空気を吸い込める場所がありました。
 栄駅で降り、セントラルパークに行こうか、サカエチカからデパートを巡ろうか。北へふらりふらりと歩き、服を眺めたり、雑貨を見たり。久屋大通駅に着いたら、アネックスに上がり、フランフラン、プラザ、無印良品、東急ハンズをチェックして、南へ引き返します。三越までくると、少し疲れたかなあ、休もうか、いや、もう少し見てから、と、丸善だったり、ロフトだったり。大津通を歩く頃には、本格的に足は重く、日も傾いていて。
 そして、目に留まります。西から光を受けて白くてぴかぴかと眩しい松坂屋南館一階。
 全面ガラス張りで大津通からは丸見え。そのガラス越しに白いお皿と白いカップと小さな色と色。
 どうしても惹きつけられます。松坂屋南館のドアを押し抜けると、背の低い白い壁。今度はガラス越しではない色と色と嬉しそうな人たち。
 やっぱりここで、と決まります。でも、すぐに入ることができたためしは無かったように思います。いつ行っても、入り口の横、向かって左に並べられた銀色の椅子で待たないといけませんでした。けれども、その待ち時間も楽しく、渡されたメニューを見て、
「あ、今はこういうのが季節限定になっているのか。でも、いつものこれも美味しいし」
 などと、考えているうちに、どうぞ、と促されて店内に。
 白と青。清清しくあたたかい。
 入り口の前のショーケースには、先ほど渡されたメニューの本物が並んでいて、写真と本物はやっぱり違うなあ、これが良いような気がしてきた、となるようにお店が作ってあって、あっさりと気分が高められます。
 お店の中はちょっと窮屈なような、席と席がくっつきすぎているような、でも、必要十分な間というか、きっちりぴしりと詰まっていても、いや、詰まっているからか、お隣さんは気にならず。
 テーブルに運ばれたタルトは、とんがった方にフォークを入れます。果物とカスタードクリームの間を通って、底のタルト生地を、かしり、と割って、タルト生地の破片とカスタードクリームと果物、三位一体に絡めて、を繰り返し。
 最後、タルトの縁を上手く食べられたことが一度もありません。底よりも堅いそれは、フォークを立てても割れず、突いても割れず、ぐっ、と力を入れると、ぱきり、と、二つ三つに割れてお皿に広がり。もうカスタードクリームは残っていないので、タルト生地はなかなかフォークと馴染んでくれず、右に追って、左に追って、やっとすくって、少し口を近づけて、放り込みます。
 お水を飲んで、ふっ、と息をついて、そろそろ出ようか。きびきびと動く、真っ白いエプロン、青と白のストライプのパンツ、チェックのバンダナ、の明るさと元気が目に染みます。
 こういう一連の流れが、キルフェボンの美味しさです。外から丸見えなのも、(ほぼ必ず)待つのも、あれもこれも、何もかも全部込みで、美味しかったです。
 キルフェボンのタルトは、決してお手頃とは言えません。手が出せないほど高価というわけではないけれども、これ1ピースで、夕ごはん、たらふく食べようと思えばできるなあ、くらいなので、迷います。
 なので、「ここぞ」というときのキルフェボン、でした。だから、白い壁の前で待っているだけで満たされていました。今日はここのタルトを食べてもいいんだ、という心の浮く感じだけで美味しかったのです。
 キルフェボンを出て、矢場町駅へ。
「僕は、あっちから乗るから」
「分かった。ここで乗るから。じゃあ、また」
 その時、雨がしとしと降っていても、じっとりとしていても、風が冷たく強くても、思っていました。
「なんていい陽気なんだろう!」

Merci! Qu'il fait bon Nagoya


 ◎店舗・商品データ
 ・商品データ
  商品名:季節のフルーツタルト
  価格:¥672

 ・店舗データ
  店舗名:キルフェボン・名古屋店
  住所:名古屋市中区栄3-16-1 松坂屋名古屋店南館1階
  公式サイト:http://www.quil-fait-bon.com/
  ※2012年1月24日閉店


(本文中の各店舗の敬称は略しました。ご了承下さい)

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