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2011.12.20

クリスマスケーキの予約を逃した方のために、デコレーションういろのご案内(4)

 クリスマスケーキの基礎は、スポンジケーキが一般的です。それを、富士の高嶺なる雪のような真白き生クリームで覆います。それが、テーブルに運ばれたとき、人々に清らかな歓びをもたらします。
 よって、


 伊勢虎屋ういろさんの「白」

 白ういろです。名古屋で白い和菓子といえば、白ういろです。しかも、


 白さに見惚れます

 今回は二本です。一本だけでもなかなか食べきれるものではないのですが、今回は二本です。贅の限りを尽くします。
 名古屋を中心とした中京地域では、たくさんの種類のういろが販売されていますが、今は「虎屋ういろ」さんの白ういろです。虎屋ういろさんのういろは一本ごと個別にパックされておらず、店頭で「二本くっつけて並べてください」という購入方法が取れるためです。ういろの味が良いのは言わずもがなです。
 ういろをそのままお皿に置いたのでは、やや寂しい感じがしましたので、笹の葉を敷きます。
 笹の葉は、濡らしたクッキングペーパーで表面を拭き、ハサミで切りました。文字型のちまちまでやや疲れていたのと、私に芸術的才能が無いため、ただの長方形です。


 10枚入りだったので8枚残っています

 お寿司の職人さんのばらん切りを見ると、感嘆の声が漏れてしまいます。まな板に置いたばらんを、さらしに巻いていたであろう包丁一本で華麗に切っていきます。濃緑の葉が七色に変じたかのように見える妙技は、その修得にさぞかしご苦労もおありだったであろうと、胸中涕泣いたします。
 ばらんの上に白ういろ二本をぴったりと並べ、その上に、長かった道のりを想いながら、あれこれを飾っていきましょう。


 美術的センスを強く欲します

 飾りの第一は、ちまちまの祝い言葉からにします。祝い言葉は「妙香園」さんのお抹茶で書きます。店員さんに、
「お菓子用にお抹茶を使いたいのですが」
 とお伺いしたところ、一番お手頃価格のお抹茶で十分美味しく綺麗にできますよ、ということでしたので、そのご助言を取り入れ、「宮の森」20gです。開けてみると、一番少ない20gで十分さ加減が分かりました。思う存分、文字を作ることができます。


 妙香園さんでお買い物をすると、お茶を振る舞っていただけます

 文字を切り抜いたトレーシングペーパーを白ういろ(二本)にぴったりと張り付かせ、その上から、茶こしで、とんとんと宮の森を降らせます。


 最高級のお抹茶の香りはどれだけ素晴らしいのでしょう…?

 こんなに緑色たくさんでいいのだろか、失敗は許されないのだけれども、と少し不安を覚えつつ薫り高い緑をさらに降らせます。十分に行き渡った後、トレーシングペーパーを、ちまちまと外すと、


 文字が出てきた

 文字が浮き出ていました。良かったです。あとは、肩の力を抜いて飾り付けられます。
 黒蜜を垂らします。
 粒を潰さないように、小豆を乗せます。
 小豆の上に、寒天をまとった金時人参を載せます。
 できました。


 ようやく完成

 クリスマスデコレーションういろです。
 白ういろを二本も使うという贅沢をして正解でした。
 「祝 御降誕」のお祝いの言葉。アップにしてみると、細かい部分が表現しきれていないことが露呈してしまいます。何卒、お許しいただきたく存じます。


 

 イチゴに見立てた金時人参、その土台となる粒あん、甘さを引き立てる黒蜜、の組み合わせです。黒蜜は、作ってから少し時間を置いてしまったので、固まった部分がありました。つぶつぶが悔しいです。再度湯煎して、漉して掛けるべきでしたが、気力に余裕がありませんでした。


 赤と緑のコントラスト

 では、白ういろ入刀。


 弾力が強い…

 ……ひっつきます。ケーキナイフよりも普通の包丁の方が良かったようです。それでも、できるだけ形を崩さないように、お皿へ。
 こうすると、白ういろに見えません。まだ、白ういろに見える方は、一旦眼鏡をお外しください。


 カット版・デコレーションういろ

 しばらくの鑑賞の後、いただきます。
 一口目は、ういろ、黒蜜少し、粒あん乗せ、お抹茶です。おお、あれだけ主張の強かった黒蜜が大人しくなっています。粒あんの甘さと、宮の森の香りの雅やかさが、長く長く、口からのどへと、ふうわり渦巻きます。白ういろは、甘さは彼自身のものを最低限保ちつつ、多くは他に任せましょう、という姿勢のようです。でも、もっちりねっちりの食感だけは誰にも譲れない、という気概が見て取れます。
 金時人参の甘露煮は、もう少しきび砂糖を入れて、甘さを強くして然るべきでした。金時人参そのものの味は良いですし、食感も白ういろとは違い、柔らかくとも、しゃっきりとしていています。ただ、私の腕不足により、お菓子としての役を十分に果たせなかったようです。金時人参に、ただただ叩頭するのみです。
 三分の一くらいいただいたところで、少し味に変化を付けてみることにしました。このようなものも作っていました。


 「蜜」です

 柚子蜜です。決してジャムではありません。蜜です。和風です。


 柚子に頑張ってもらいます

 柚子の皮をむき、細かく刻みます。私は、調味料柑橘類は、かぼすで育ちました。よって、柚子とはあまり付き合いがありません。でも、嫌ってはいません。むしろ、好ましく思っています。冬場、お猿さんが柚子湯に入っているニュースは、ほほえましく観ております。かぼすは、その鋭さから、目の覚めるような酸味を提供しますが、柚子はひんやりとした落ち着いた酸味だと思います。これからはお料理で使い分けたいと思います。
 皮と果汁とその他の部分(果汁をしぼった後のもの)に分けて、あとは、お砂糖を入れて、順繰りに煮ていけばいいのですが、これも少し下準備を。


 三つの部分に分けます

 皮は、何度か茹でる、湯切りを繰り返してえぐみを取ります。かぼすよりえぐみが無さそうなので、これが必要なのかな、と思いながら、ジャ……、蜜の作り方のレシピを見つつ茹でます。


 クセを取るために湯がきを三回繰り返しました

 次に、クッキングペーパーで包んだその他の部分をお湯で気が済むまで煮ます。ペクチンというのを出すためらしいです。今作っておりますのは、ジャムではありません。蜜です。
 ペクチンが出たのかどうか分かりませんが、その他の部分を上げてから、皮を入れて煮て、果汁を入れて煮て、温め効果を期待したショウガ(一かけ。刻みとすり下ろし汁を半々です)を入れて煮て、砂糖を入れて煮て、さらに煮て、煮詰まったら、蜜、できあがりです。


 今度は、柚子と生姜の風味で

 こうしてできたのを添えて、一口。
 ……確かに、クセがありますね。もう少し、皮を湯がいたら良かったかもしれません。お抹茶と合わせると、味がかち合うようです。白ういろには、別々に添えると良いと思います。

――――――――――

 白ういろ(二本)をいくつかの味でいただきました。二本なので、たらふくになるかと思いきや、少しの時間で、また、おなかが空きました。意外と腹持ち力を有さないのか、私が食いしん坊なのか。
 ぐー、とおなかの音を聞き、不器用に切られた笹の葉が残ったお皿を見つつ思いました。煮豆、甘露煮、柚子、お抹茶……。

「これは、おせちだ」


 緑バージョン・名古屋テレビ塔

 皆様、メリー・クリスマス。


 ◎主な店舗・商品データ
 ・商品データ
  商品名:白ういろ
  価格:¥315

 ・店舗データ
  店舗名:伊勢虎屋ういろ 名古屋三越栄店
  住所:名古屋市中区栄3-5-1 地下1階
  営業時間:名古屋三越・栄店に準じる
  定休日:名古屋三越・栄店に準じる
  アクセス:名古屋市営地下鉄・栄駅から、サカエチカ6番出入口直結
  公式サイト:http://www.torayauiro.co.jp/


 ・商品データ
  商品名:宮の森 20g
  価格:¥500

 ・店舗データ
  店舗名:妙香園 サンロード
  住所:名古屋市中村区名駅4-7-25先
  営業時間:10:00-20:30
  アクセス:JR名古屋駅から、桜通口方面・地下街サンロードへ下り、ミッドランドスクエア方向へ。
  公式サイト:http://www.myokoen.com/


  その他の材料は、名古屋市内各百貨店、東急ハンズさん、成城石井さんなどで揃えました。

 更新履歴
 2018/05/19
 画像のリンク切れを修正しました。

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コメント

>和泉祥子さん
 ういろがお好きな方に、この記事がどのように受け止められるのか……、少々不安でおりました。ういろに対する「冒涜」なのではなかろうか、と。
 しかし、ういろのデコレーションも良い、とのご感想を頂き、ホッといたしました。
 今回は、お味、ういろの形状、入手方法、価格、などを考慮に入れ、伊勢虎屋ういろさんの「白ういろ」という選択に至りました。やはり、「ぴたりと二本くっつけることができる」という事が、大きかったです。
 中京地域には、いろいろなういろ屋さんがありますね。各々皆様方、お好みのお店があると思います。もちもちした食感でも、ちょっとずつ違ったり、中に練り込まれているものが違ったり。
 名古屋転入人としては、ぽってりと大人しく、ほのりとした甘さが欲しいときは、あまり強く考えることなく、ういろをいただきます。もちっしているのが欲しいけれども、もっと、とん、と、乗っかるような甘さがいいな、と思ったときは、「生せんべい」をはがします。この地域は、もちもちの宝庫ですね。
 全国各地に、ういろ・ういろう、と名の付くお菓子があります。いろいろなういろを召し上がっていらっしゃるのでしょうか。おすすめのういろ・ういろうをご教授いただければ、幸いです。

>ういろうさん
 本記事をご紹介いだければ、嬉しく存じます。
 ハンドルネームと今回の記事が同じ、というのも奇縁だと思います。お名前とされていらっしゃるので、甘いものがお好きなのかな、と考えております。
 もし、お時間がおありでしたら、今回私が作りました「デコレーションういろ」を発展させた綺麗で、清冽で、豪華な「デコレーションういろ・改」をお作りいただけば、作った甲斐がさらに成長します。どうか、ご検討の程、よろしくお願いいたします。

>灰色狼さん
 はじめまして。
 まず、「様」の敬称をいただいたにも関わらず、「さん」でお呼びすることをお許しいただきたく存じます。本ブログへお寄せいただいた皆々様のコメントやご感想は、いずれも私にとって重さが変わらないからです。何卒、ご了承くださいませ。
 そして、最上級のお誉めのお言葉をいただいたことに、畏れに近い想いを抱きつつ、感謝申しあげます。
 何しろ、太宰治さんと東海林さだおさんという、私を魅了して已まない大家が挙がったのですから。
 ご指摘の通り、私は東海林さんの影響を強く受けております。まさに、真似て学んできました。幼少の頃、右手に『ドラえもん』、左手に『ショージ君』というマンガ生活でした。『ドラえもん』のオチには、ぽんっ、と直ぐに笑えても、『ショージ君』の「大人要素」の意味は、もちろん分かっていませんでした。でも、何か分からないけど面白い、ということは、しっかりと伝わってきました。その、一語一語から立ち上る面白さ、を今でも食べながら、文章の練習をしております。
 過去にアップしたものは、今回の記事とは雰囲気が違うところが間々あると思います。そこに在るのが、成長か、変質か、堕落か分かりませんが、「桜濱はこのように変わってきたのか」とご覧いただければ、大変嬉しく思います。

投稿: 桜濱 | 2011.12.23 22:25

桜濱様 初めまして。デイリーポータルZ様より参りました。

あなたの文章に底知れぬ文学的美しさを感じました…。
そう、例えて云うなら「太宰治の女性独白文体に東海林さだおのエッセンスを振りかけた」ような
印象を受けました。
これから過去ログなども拝見させて頂きたく存じます。
これからも頑張って下さい。

投稿: 灰色狼 | 2011.12.23 21:16

HNと同名の銘菓の名前から記事を発見、ブログで記事を紹介させていただきました。

投稿: ういろう | 2011.12.23 17:53

ういろうLOVEの元名古屋っ子です。
なので、(伊勢の)
「虎屋じゃなくてさぁぁ」と
ちょっと思ったりもしましたが
形状を考えると仕方ないかぁ・・・
角がしっかりある方が
デコレーションにはいいですよね。
それに名古屋のういろうって
モチモチ感が強いので
デコレーションにはあいにくいかもな・
ちなみに最近は時々しか食べてない。
岐阜のういろうはちょっと
違うんだよネェ。

投稿: 和泉祥子 | 2011.12.23 17:32

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