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2011.02.12

チョコレートバーで遊び心を想わせて(バー・オー・ショコラ:シェ・シバタ)

 遊び心、という、心の構え方があります。
 雑誌をぱらりぱらりとめくっていると、「遊び心をくすぐるアイテム」というようなキャプション付きで商品の紹介がされていることがありますね。書かれているとおり、写真や、商品説明を見ておりますと、「あ、いいな」と思います。
 遊び心、というのは、惹かれます。しかし、上記のように、キャプションなどで「遊び心を……」を、と、紹介されておりますと、果たしてそれが、「遊び心」から「いいな」と思っているのか、商品そのものを目にして「いいな」と思っているのか、分からなくなることがあります。
 こういうときは、実際に、実物を見るのが一番です。
 今年も、バレンタインデーがあとちょっとまでやってきました。直前の三連休はさぞかし百貨店の特設売り場は賑わっているだろうと思います。私は、少し先発して、フライングで参じました。
 フライングでも、百貨店のバレンタインカタログのトップを飾るような舶来のショコラティエさんの限定のお品は、売り切れがかなりありました。毎年の光景です。目をつけていらっしゃる方は早い!
 特設売り場では、店員さんがそれぞれのお品をアピールしていらっしゃり、それに引かれて、それぞれのお店のお品をちょっとずつだけど試食をし、それだけでけっこうたらふくになりました(この日、晩ごはんはおなかいっぱいで、食べられませんでした)。一通り、巡りますと、大体の傾向が分かります。今年は、「和風(日本風)」が目に付きました。和の食材をチョコレートアレンジしていたり、和菓子屋専門店も、バレンタインデー用のチョコレート以外の限定商品を出していらっしゃいました。
「乗っかりすぎじゃないのですか?」
 と、思われる方もいらっしゃると思います。でも、それも「遊び心」。いろいろあって、いいと思います。
 各ブランドのショーケースを見ますと、小粒で、トリュフで、生チョコ、というのが、多いですね。もちろん、特設期間外よりも念を入れた作りになっているようです。
 小粒のチョコレート。
 一口入れると、小さな中にも、ふくよかな香りと、華やかな甘味。そこに、各ブランド持ち味の首肯を凝らした、プラスアルファがあるようです。
 そのような、小粒チョコレート。定番です。贈る側も贈られる側も(どのような意味合いがあるチョコレートであっても)、ほんのりと、柔らかな優しさがあります。
 と、そんな売り場の中に、林立した、堂々たるチョコレートが。

バー・オー・ショコラ:外箱
 バレンタイン用限定です

 岐阜県・多治見の「シェ・シバタ」さんの、『バー・オー・ショコラ』です。
 小粒とは正反対。チョコレートバーです。昔懐かしい『ホームランバー』が瞬時に思い出されました。
 子供の頃、よく食べていた『ホームランバー』。当時は、ビニールや箱に入っているのではなく、表側が銀色の紙に包まれているだけの簡易包装。ペリペリとめくって、一口、ひんやり。しばらく、溶かしていくと、木の棒の先端部が表れます。そこにあるのは当たりくじ。
 まさに「遊び心」のアイス。夏場駄菓子のホームラン王。
 それを、柴田武さんがアレンジすると、この『バー・オー・ショコラ』に行き着いた、そのような気がします。

バー・オー・ショコラ:外箱ロゴアップ
 ロゴも光り輝いています

 小さなチョコレートに、ちょっと、飽きたな、と、思われる方は、こちらをご覧下さい。

バー・オー・ショコラ:開封
 きらきら、だけで嬉しくなります

 ケースをスライドさせて開けると、そこには、チョコレートのどっしりとした塊が現れます。でも、そこは、ショコラティエの見せ所です。細かな金粉がほろほろとまぶされていて、年に一度の華麗なる祭典を忘れてはいらっしゃいません。
 お味は、フランボワーズと、キャラメルサレ(塩キャラメル)の二種類。金粉がフランボワーズで、銀粉がキャラメルサレです。

バー・オー・ショコラ:2種
 金銀。折り紙でも金銀は嬉しかったですね。

 遊び心は、この部分。

バー・オー・ショコラ:取っ手
 これに惹かれない諸氏はおられるだろうか

 「木の棒」です。バレンタインデーの華やかなチョコレートの集まりの中で、木の棒、なのです。
 ここを取っ手にして、チョコレートにかぶりついてください、ということのようです。スプーンなんかは要りません。
 なんとも、「遊び心」ではありませんか。『バー・オー・ショコラ』の商品説明には、「遊び心」ということばは使われていません。ただ、目にすると、もうこれ以上の「遊び心」は無い! というくらいの茶目っ気です。

バー・オー・ショコラ:2種全体
 名前通りの「バー」っぷりです

 「食べ物で遊んではいけません!」と、お叱りを受けそうですが、でも「遊ぶ」と「遊び心」は少し違うと考えます。「遊び心」は、そのお品でいかにして口にされる方々から、わくわくした心を引き出すか、ということだと思います。
 「遊び心」でいただきます。の、つもりでしたが、『バー・オー・ショコラ』を眺めておりますと、「遊び心」が、私の「遊ぶ」を呼び起こしてしまいました。

 持ちます。

バー・オー・ショコラ:持つ
 木の良さ

 振ります。

バー・オー・ショコラ:振る
 軽く振るだけに止めてください

 やっぱり、木の棒付きのお菓子を手にすると、ふるふると振ってしまいたくなりますね。これが実に楽しい。重みのあるチョコレートを、軽く振ると、童心が呼び起こされます。懐かしい。
 でも、振りすぎないでください。中がムース状になっているので、強く振ると、ボロボロに壊れます。私は、表面のチョコレートコーティングにヒビが入ったのを確認したところで、慌てて振るのを止めました。
 「遊び心」にうながされるままにするのはここまでにして、チョコレート本来の目的を達成させます。
 まずは、フランボワーズ味から。約1mmの厚さのアーモンド入りのミルクチョコレートコーティングは、少し甘味が強めです。チョコレートのパリッと、アーモンドのカリッが合わさっています。アーモンドの香りと食感がチョコレートの甘さが強く出過ぎないように、調整されているようです。
 その内側には、チョコレートムース。表面のチョコレートコーティングとは対照的に、とろとろでクリーミーな仕上がりです。アイスクリームに近い、とろっ、と感。かなり柔らかめなので、やっぱり「振るのは厳禁!」です。振り、に失敗すると、崩壊の可能性が高くなります。フランボワーズのジャムは、甘味よりも酸味が強めに感じました。チョコレートが甘いので、これくらい酸味が強い方が良いのでしょう。
 とろとろクリーミーなチョコレートのお味と、すっきり、しゃっきりのフランボワーズの酸味の兼ね合いで、勢い良くぱくぱくと食べ進められます。

バー・オー・ショコラ:フランボワーズ断面
 ほっとりととろけるチョコムースとフランボワーズの澄んだ酸味

 一方の「キャラメルサレ」は、フランボワーズジャムの部分が、塩キャラメル味のクリームになっています。フランボワーズのやや強めの酸味が無い分、こちらの方が、少しだけ甘みを強く感じられました。しかし、甘すぎる、ことはありません。出過ぎない「塩味」が、キャラメルの甘みと合わさり、チョコレートムース、チョコレートコーティング、それぞれの、違う甘みを引き立てています。
 そのため、キャラメルの甘みは、やや抑えめです。…と、思っておりましたら、のどごしでしっかりとキャラメルの風味を残していきます。各所、別々の甘みが余すところ無く、表現されています。
 塩の力、は偉大ですね。全体的に、甘っとろとろの感じになりそうなものを、しっかりと引き締めています。

バー・オー・ショコラ:キャラメルサレ断面
 きりりっ、と引きしまった塩キャラメルの甘み

 前述の『ホームランバー』。お子様のお口に合うように、一口でパクリ、といけましたが、さすがに、大人向けの『バー・オー・ショコラ』はお子様には一口ではちょっと、いけないかもしれません。これは、大人の「遊び心」用です。
 なにせ、一本が、長さ120mm、縦横それぞれ35mmです。『ホームランバー』よりも、二回りほど大きいです。
 写真用にカットしましたが、『バー・オー・ショコラ』は、頭から「かぶりつく」のが一番です。「かぶりつく」ように出来ています。フランボワーズも、キャラメルサレも、かぶりつくことで、各部分のお味が一体となります。それでいて、ごちゃごちゃしたところは無く、マーブルのように、それぞれが味が綺麗に口の中で渦巻きめくるめくようでした。

 かぶりつく。かぶりつく。
 どんどんとかぶりつきました。

 大ぶりのチョコレートバーは、二本の木の棒になりました。
 どんどんおなかに入っていきました。しなやかな口当たりですが、さすがに二本両方をいちどきにいただくと、けっこうなボリュームです。
「それじゃ、フランボワーズは今日食べて、キャラメルサレは冷蔵庫に入れて二三日後、甘いのが欲しくなった時に食べよう!」
 と、思うと、ちょっと待って、となります。
 『バー・オー・ショコラ』は、「日保ちが二日」です。
 14日に贈ろうと早めに購入、と考えていると、失敗します(賞味期限に拘らない及び自分用はその限りではありません)。前日13日か、14日当日に購入するしかありません。特設売り場では、他のお店が「二週間、お日保ちしまーす」「4月○○日まで大丈夫でーす」と、売り込まれていらっしゃいましたが、『バー・オー・ショコラ」は完全に逆行です。その日か、次の日まで。誤魔化しは利きません。ちゃんと、外箱に消費期限が印字されています。贈り物用としては、13日か14日に。これもまた、柴田さんの思い入れの強さが感じられます。

 「遊び心」です。

 この新鮮なチョコレートバーで、「遊んでください」の心意気を感じました。味はお墨付きです。
 子供の頃を思い出させる形、取っ手の木の棒、かぶりつく、こと。
 全部、食べる人の「心をくすぐる」仕掛けになっています。
 日保ち二日のため、すぐにいただいた方がいいのですが、店員さんによると、「常温でも大丈夫ですが、冷蔵庫で少し冷やすといいと思います」とアドバイスをいただきました。おことば通りに少し冷やしていただきました。アイスクリームほどではないですが、すこーしだけ、ひんやりしていて、それが、口の中でほわほわと温まっていくのが良い雰囲気です。
 「遊び心をくすぐる」と、文章にしなくても、そのものを手に取れば、それが伝わってきます。大人の方ほど、この『バー・オー・ショコラ』を、楽しく、美味しく、二本味わってたらふく、満足、になれるのではないでしょうか。
 これを書いているのが、12日の夜中です。残りは二日。私は、栄の三越さんの特設売り場で入手いたしましたが、シェ・シバタさん・多治見店、名古屋店(千種区・覚王山)でもお取り扱いされているようです。

 ただ、「遊び心」にしては、『ホームランバー』よりは、ちょっと、値が張ります。
 でも、美味しいので大丈夫。楽しいので大丈夫。
 期間限定、と仰らずに定番商品希望です。

 木の棒には「当たり」は書いていないようです。


 ◎店舗・商品データ
 ・商品データ
  商品名:バー・オー・ショコラ(Barre au chocolat) フランボワーズ
  価格:¥801
  商品名:バー・オー・ショコラ(Barre au chocolat) キャラメルサレ
  価格:¥801

 ・店舗データ
  店舗名:シェ・シバタ(名古屋三越 栄店 7階催事「スイーツコレクション2011」(2011/02/02~2011/02/14))
  住所:名古屋市中区栄3-5-1 7階
  営業時間:名古屋三越栄店に準じる(催事最終日は18時閉場)
  定休日:名古屋三越栄店に準じる
  アクセス:名古屋市営地下鉄栄駅から、サカエチカ5番、6番出口から直結。
  公式サイト:http://nagoya.mitsukoshi.co.jp/


  店舗名:シェ・シバタ多治見
  住所:岐阜県多治見市太平町5-10-3
  営業時間:10:00-20:00
  定休日:火曜日

  店舗名:シェ・シバタ名古屋
  住所:名古屋市千種区山門町2-54
  営業時間:10:00-20:00
  定休日:火曜日
  公式サイト:http://www.chez-shibata.com/

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