大須通ればやっこが招く(ミニひつまぶし:やっこ)
名古屋では梅雨明けはまだです。週末の雨が越えると、ようやくの梅雨明けになるでしょう。じめじめじとじとと、湿度を多く含んだ空気の中に居ると、体が重苦しくなってしまいますね。そうなると、さっぱりしたものを、ついつい、いただいてしまいがちになります。私も、そうめんやかき氷などに走っております。
しかし、そんな食生活では、暑さはしのげても、胃腸は弱まるばかりです。こんなときこそ、「せい」のつくボリュームのあるものをいただかねばなりません。そうです、あの名コピーライター・平賀源内が言う「土用の丑の日には、うなぎを食せ」です。暑くて、体がくたびれて、力が入らないときこそ、ボリュームのあるものを摂り入れて、活発な内臓が出来上がるように目指すべきなのです。
しかし、うなぎはお高いです。さて、困りました。困りますが、うなぎ、いただきたいです。さて、どうしたものか……、と、思いながら、大須の町の中をを通っておりますと、足が自然に向かいました。「うなぎのやっこ」さんです。
古くからの門前町のお店らしいたたずまい
おじゃまします、と店内にはいると、門前町らしい、店員さんの活気の良さ。これもうなぎの力なのでしょう。
しかしお値段が頭をもたげているので、困りながら、お品書きを見ます。
やっぱり、2500円に手を出す勇気がありません
うーむ、さすがに「ひつまぶし 二、五○○円」はお財布事情を鑑みると、苦しいものがあります。さて、どうしたものか、うな丼で誤魔化すか。いやいや、やっぱりここは名古屋。「ひつまぶし」をいただかないことにはどうにもなりません。しかし、困ります、困ります。
と、思いながら、もう一つあったお品書きを見ました。
ランチメニュー!! 1200円!!
おぉっ! 「ランチメニュー ミニひつまぶし1200円」というのがあるではないですか。これだ、これにしましょう。すみません、ミニひつまぶし、お願いします。
名前はミニでもたっぷりしています
おぉぉっっ! 「ミニ」とはいいつつ、ボリューム満点のひつまぶしが登場しました。他のお店では、これで「普通サイズのひつまぶし」というところもありますよ。うわあ、嬉しい。
おひつの直径は120mm、ごはんとうなぎを合わせた厚みは80mm、としっかりの内容量。うなぎは全長150mmのものを半分にして、二段乗せ。そして一切れが15mm~20mm程度になるように、短冊状に切られています。この冊切りがひつまぶしの特徴ですね。
うなぎは、ちょっと小ぶりですが、二段になっています
では、ひつまぶし作法に則って、いただきます。しゃもじを使って、おひつの中のうなぎとごはんを三等分して、まずは、一膳目。そのままお茶碗によそって、うなぎ本来の味を堪能します。
まずは、うなぎそのもののお味を楽しみます
では、一口。こちらのお店は、うなぎのタレが、醬油辛くも塩辛くもなく、砂糖の甘さもそれほど無しです。それらの味よりも、だしがピシッと効いていて、うなぎの脂の香りを上手く前面に出しています。この脂が実に良いです。「じわ~っ」と染み出るような脂の濃さではなく、さらっとした、滑らかな脂のお味。皮は備長炭でいぶされていて、香り満点、パリパリの食感も歯が喜びます。
備長炭でいぶされた皮のパリパリがたまりません
かきこむようにいただくと、バランスの取れた、すっきりしたタレと、さらりとした脂、そしてほこほこの甘いごはん、これが三位一体となって、口の中で、渦巻いています。久しぶりにいいうなぎをいただいたなあ、と涙が出そうになります。
そして、二膳目は、薬味をそえていただきます。用意されている薬味は、刻みあさつき、刻みのり、おろしわさびです。お好みで添えることができますが、私は全部を乗っけます。後のお茶漬け用に、半分を残して、おちゃわんに取り分けた、二膳目のうなぎの上に、ぱらぱらっ、と散らします。
薬味を乗せても、うなぎの味はしっかり
普通は、うなぎというと、山椒が薬味ですね。でも、ひつまぶしは、これが一般的な薬味。山椒以外の薬味を良く考えたものだ、と、毎度毎度思ってしまいます。
薬味を乗せると、また格別の味わいです。タレの甘辛さを残しつつ、あさつきとわさびの爽やかな香り、そして、のりの香ばしさは、うなぎのお味をさらに深く感じさせてくれます。わざわざこれを二膳目にする、名古屋のひつまぶしの意図。良く考えたものです。
最後の三膳目は、二膳目のように薬味を乗せて、おだしでお茶漬けです。こちらはお茶ではなくて、おだしです。ちょっとだけ、おだしだけを飲んでみましょう。かつおだし、濃いめにしっかりでした。これだと、味の濃いうなぎにも負けないでしょう。
お茶漬けにするというのは誰が考えたんでしょうね。ノーベルうなぎ賞を差し上げたいです
濃いめのおだしと、わさびのピリリ、おだしで、すこし外側に流れ出た、うなぎの脂、濃すぎないタレ。全てが統合されて、これぞひつまぶしの真骨頂、です。おだしで、水っぽくはならず、うなぎの味の濃さ、おだしの香りの相乗効果で、うなぎの旨みを何倍にもしています。
ミニでしたが、この三膳でたらふくたらふく。薄味のおすましが、残りの脂を洗い流して、すっきりと、ごちそうさまでした。
食後、うなぎの脂をさらりと流してくれます
これで、この夏を乗り切れそうです。大須は、本当に面白い町です。いろいろなお店が混在していて、一日居ても飽きません。そして、こんな美味しいランチをいただけるのですから、言うことなしです。
さて、「せい」もついたことですし、ちょいと大須巡りに出かけましょう。
平賀源内に匹敵する名コピー
◎店舗・商品データ
・商品データ
商品名:ミニひつまぶし(ランチタイムのみ)
価格:¥1200(「ひつまぶし」は2500円)
・店舗データ
店舗名:うなぎのやっこ
住所:名古屋市中区大須2-30-1
営業時間:11:30-14:00(日祝は15:00)、16:30-21:00
定休日:月(祝日の場合は火曜日)
公式サイト:http://www.unagi-yakko.com/
アクセス:名古屋市営地下鉄「大須観音駅」2番出入口から大須観音の西側に沿って60m南下。大須観音の南を通る仁王門通り方面へ左折。赤提灯の下をくぐり、右手3ブロック目の角地。
更新履歴
2018/05/30
画像のリンク切れを修正しました。
一部の約物を修正しました。
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