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2009.02.22

今日の「山」登りは「アラビアン」

 私の部屋の本棚には、岩波文庫の『完訳 千一夜物語』全13巻があります。「あります」という状態が、4年ほど続いています。『今昔物語集』と並ぶ大説話集ですので、読まなければならないな、と思って、全巻箱買いをしたのですが、「読まなければならない」と思って買った本ほど読まないことが分かりました。
 でも、本は、そこにあって、欲しいと思った時に買っておかないと、絶版、品切れの惧れがあります。他の品物では、売切れてしまえば「自分には縁が無かった品だったんだな」とあっさりと諦めが付きます。特に服などは、その季節ごとの流行があるので、買えなくても、次の年まで引きずることはあまりありません。
 しかし、本は何故かそういうわけにはいきません。「あの文庫本欲しいな。でも、また今度でいいか」と思って、そのまま買い逃がし、絶版になった本は、いつまで経っても諦めが付きません。「あの時、買っておけば…」と後悔の念がいつまで経っても残ります。よって、『千一夜物語』も、そこにあるだけでいいのです。
 いいのです、とは申し上げたものの、そのままお飾りにしておくにはもったいないと思い、先日、箱を開けて、1巻から読み始めました。面白いです。世界文学の代表選手というだけのことはあります。毎夜毎夜のシャハラザードの語りに引き込まれます。豪華な宮殿で展開されるアラビアンナイトは、色とりどりで不可思議な魅力を包み込んでいます。
 さて、そのようなアラビアンナイトを意識したのかどうか分かりませんが、喫茶マウンテンにも「アラビアン」なるお品があります。いくつかある「地域名メニュー」の一つです。普通のお店では、その地域に関連した味付けなり、具材が入っていたりするのですが、マウンテンではその常識はあまり通用しません。「コスモスパ」のどこに宇宙要素があるのか、いまだに分かりません。
 では、どきどきしながらオーダーします。

 …

 着きました! 2分で着いた!! カップヌードルより早い!
 この早さがアラビアンナイトの不思議っぽさを表しているのでしょうか。

アラビアン
 予想外のシンプルな構成

 はて? どうにも変な感じです。見た目は、アラビアンナイトのように色とりどりでもなければ、不思議な具が入っているようでもありません。見たままです。ただ、匂いには少し違和感を感じます。何から発せられているのか分からない匂いがあります。
 基本はトマトソースベースのようなのですが、トマトっぽい酸味が香ってきません。代わりに香ってくるのは、甘さと魚類の匂いです。何かがおかしいです。中身をチェックしてみます。まず、目に付くのは、マウンテンでは定番のトッピングのインゲン豆。かろうじて彩りを添えています。

アラビアン・アップ
 ブラウンの塊が問題の元のようです

 あとは、赤茶色のくしゃくしゃっ、と、なった「何か」です。この「何か」が「何か」の匂いの元になっているであろうことは疑う余地がありません。
 では、この「何か」だけをいただいてみます。

 魚です。

 詳しくは、ツナ缶。それも、缶に入った状態で、すでに味が付けられている方のツナ缶です。よって、砂糖と醤油ベースの和風の味付けになっており、そこに魚類のダシが染み出しているものと言えば当てはまるでしょう。おかかを甘辛く煮て、ごはんの友にするようなお味です。ただ、ツナ缶なので、魚の匂いが非常に強いです。
 この砂糖醤油ツナで、スパを平らげろ、というと、そうではなく、マウンテンらしい心配りがされています。強すぎる魚の匂いを和らげるためでしょう、生姜のすりおろしたものが投入されているのです。煮魚に生姜は付き物ですね。初見よりも生姜は多くて、潰れたツナと見えていたものの多くは、おろし生姜が砂糖醤油に染まったものでした。よって、徐々に口の中が温かく、ひりひりとなってきます。
 スパ自体には、塩コショウなどの味はほとんど付けられていないらしく、具である、砂糖醤油のツナと、生姜で味がまかなわれています。この味付けが絶妙で、スパに味が無いため「あれ、薄味だな」と思って食べ進めると、甘辛さと、おろし生姜が、時の経過とともに前面に出てきます。甘辛さは舌に残り、まとわりつくよう。単純な甘さではありません。とろりとした、みりんの甘さのようでもあります。甘さ、醤油が落ち着いてくると、じんわりとスパイシーさが覆ってきます。生姜が本領を発揮してきたようです。たらりと流れる汗ではなく、にじみ出る汗です。口はヒリヒリ、ひたいはべとべと。立ち上る魚の匂い。あんなに早く到着したのに、こんな強烈な味付けができるなんて…!
 これがおかずだったらどんなに良かったでしょう。このスパを白いご飯のお供にしたら、美味しく、たらふくにいただけそうです。しかし、残念ながら、これが主食なのです。 この味は、ご家庭でも再現できそうです。ツナ缶、いや、魚の匂いを強くするには鯖の方がいいでしょう。鯖の生姜煮を作って、そこに軟らかめに茹でたスパゲッティを入れ、思いっきりかき混ぜてください。似た物になると思います。

 今回、デジタルカメラを忘れて、携帯電話のカメラで撮影しました。操作に慣れていなくて、ホワイトバランスが一定していない上に、サイズを間違えてしまい、横長の写真になっています。気がついたときには、電話の充電が切れてしまいました。
 本来ならば、後日再び、アラビアンを注文して、慣れ親しんだデジタルカメラで撮影すべきなのでしょうが、もう、あの魚の匂いは経験したくありません。よって、見づらいとは思いますが、この写真でご容赦ください。

 お味のショックで書くのを忘れるところでした。結局、このお品も、何が「アラビアン」なのか分からずじまいでした。


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2009.02.15

灼けた天使の眠るゆりかご

 年に一度、老若男女全ての国民を甘党にする大イベント、チョコレートの日が終わりました。皆様、チョコレートは入手できましたでしょうか。二つ前の記事にも書きましたが、今年は「逆チョコ」というものが流行らせられていて、性別に関係なく、老若男女全ての国民にチョコレートを入手する機会が生じました。
 この「逆チョコ」は、実に良い方式です。私は数年前から、2月初旬に年に一度、奮発して高級チョコレートを自らが食すために購入しております。美味しくて珍しいチョコレートが食べられるとあって、百貨店に特別に設けられたチョコレート売り場に向かうのですが、いざ行ってみると、当然のことながら、女性が多いのです。その中に紛れ込むと、瞬間、「場違いなところに来てしまった」という後悔の念を覚えます。その念を振り払い、良さそうなチョコレートはどれかな、と物色していると、「なんだ、この人は。あ~、もらえないから、自分で買いに来ているのね」というような視線を覚えます。被害妄想かもしれません。チョコレート売り場の店員さんも、「どうぞー、生チョコレートの試食です。お試しくださーい」とおっしゃりながら、小さくカットされて、つまようじが刺されたチョコレートが載ったトレイを差し出してくださるのですが、「ほら、もらえないんでしょ。私が試食のコレをあげるから、我慢しなさいね」という波動が伝わります。被害妄想かもしれません。
 このように、心を痛めながらチョコレートを買う苦労が今年は無くなりました。「逆チョコ」のおかげです。堂々と特設チョコレート売り場に行き、胸を張ってショーウィンドウの中を指差し、「この、いろんな味のが入っている6個入りのものを売ってくれ給え」とか言えます。そして、「あっ、この人はいち早く逆チョコの習慣を取り入れている。いかした人だっ」という念波がひしひしと伝わってきました。これは妄想ではありません。
 これにより、チョコレートに対するわだかまり完全に払拭されました。いついかなるときでも、チョコレートに親しみを持って接することができるように思います。ミスタードーナツさんが、昨秋に発売した「エンゼルエッグ」のマイナーチェンジ版「エンゼルエッグ・ショコラ」も、「ほー、チョコレート味になったのだね。どれ、いだだかせてもらうとしようか」と鷹揚に構えて、トレイに載せることができました。
 エンゼルエッグは人気商品なのでしょう、定期的に、期間限定商品として登場しています。先に書いたように、今回は、冬っぽくチョコレート味の生地になってくれました。

エンゼルエッグ・ショコラ 三種
 エンゼルエッグがチョコレート生地で登場です

 昨年11月に期間限定販売された「エンゼルエッグ」とほぼ同じ大きさ(長さ70mm弱、幅約45mm)で、三種類をそれぞれ一個のみで販売の形態を取っています。それぞれ、1/3に味違いのチョコレートが掛けられており、中のクリームも外側のチョコレートに合わせたお味になっています。
 生地は綿のように、ぽわりとクッションの効いた柔らかさ。ふかふかとした手触りは心地良いなと思いつつ、チョコレート生地を一口。チョコレート特有の苦味はほとんどありませんが、抑えた甘みの中にほのかにチョコレートの芳しさが漂います。

エンゼルエッグ・ショコラカスター
 栗みたいです

 「ショコラカスター」は、シュークリームの定番、カスタードクリームを用いています。このクリームは、ぺっとりとしていて、甘みが強めになっており、やや重めの印象となっています。クリームの中には、バニラビーンズが入っていることが分かりますが、バニラの香りはそれほど強くありません。味はチョコレート生地に合っていると思いますが、食感は生地の軽さと相反しているようです。
 ショコラカスターに対し、「ストロベリー」は、軽さが前面に出されています。酸味が強く、甘さを抑え目にしています。そのため、イチゴ味の甘酸っぱさと、ホイップクリームのふんわりとした軽さ、柔らかさが上手く、チョコレート生地と組み合わさっていて、バランスが取れています。
 「ダブルショコラ」は生地と合わせて、クリーム、コーティングが、チョコレートになっていて、味、見た目に統一性を持たせています。クリームは、甘いながらもチョコレートの香りがしっかりと付けられています。なめらか、クリーミーですが、「カスター」と同様に、ホイップ感はあまり無く、ぽってりとした、重量感が感じられます。
 以上、三種類のクリームのうち、生地の味と食感に合っているのは「ストロベリー」でしょう。チョコレートとイチゴは、相性が良く、酸味の軽さと、生地の軽さが、抵抗感無く、組み合わさっています。

エンゼルエッグ・ショコラ 断面
 クリームが少ない、かな…

 前回もそうでしたが、問題は、数だと思います。どうしても、サイズとお値段が、合っていないように思えるのです。一押しのストロベリーだけでは、たらふくになるにはやや足りない気がいたしますし、カスターとダブルショコラを中心にいただくと、重すぎるようです。初回のように、一回り小さくしてでも、二個一組の方がお得感も、食べ応えもあり、満足できるお品になるのでは、と思いました。


◎商品データ
 商品名:エンゼルエッグ ダブルショコラ
 価格:¥105

 商品名:エンゼルエッグ ショコラカスター
 価格:¥1057

 商品名:エンゼルエッグ ショコラストロベリー
 価格:¥105

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2009.02.08

この季節に最適の茶色くて甘いもの(天然酵母黒糖かりんとう、天然酵母竹炭かりんとう:錦豊琳)

 甘くて、茶色くて、パキッ、と食べるものといえば、

 そうですね。かりんとうですね。

 いいですよね、かりんとう。素朴で、素直な、飾り気の無い甘み。食べ始めは「なんだ、かりんとうか…」などと思って手を出すのですが、気が付くと、大袋に手を入れて、次から次へ、黒い小片を、口中へ放り込んでいます。あなどれない甘さ。あなどれない歯ごたえ。あなどれない大きさ。複数の要素が組み合わさって、「加速が付く」お味になっています。
 これに、あったかい緑茶なんてあったら、冬のコタツ周りは、極上の癒しの空間となります。そうすると、かりんとうに対する物腰はちょっと穏やかになります。袋に直接手を入れることはせずに、深めの小皿にパラパラとあけて、一本を手に取り、形状を確認します。確認とは言っても、「茶色いな」「固いな」「曲がっているな」くらいの感想に止めておきます。「これ一本で炭水化物が○○グラム、脂質が○○グラム。よって○○キロカロリー」と考える必要は、癒しの空間の演出のためには、まるでありません。軽く、見たままの素直な感想で済ませるべきです。手に取った一本、直径1.5cm、長さ5cmの茶色の塊を、かじりつきます。

 「カリッ」

とは、音がすれど、かりんとうは、ほどんど元の形のまま。そうなのです。かりんとうは固いのです。「かじりつく」程度の歯でのアプローチは失敗します。「噛み折る」「噛み砕く」「噛み潰す」の心を持って対処しなければなりません。一本そのまま、ガッ、と、口に入れ、渾身の力を以って、歯を働かせます。

 「ごぎっ!」

この音がすれば、成功です。かりんとうは無事に噛み砕かれました。続けて、二口三口。その間も「かぎっ! がごっ!」と音を立てるはずです。かりんとうは、揚げている上に、しっかりと黒糖で表面がコーティングされているので、水分に負けません。短時間、口の中に居ただけでは、軟化の態度を見せません。それでも、しばらく、歯に活躍の場を与えていると、かりんとうも白旗を揚げざるを得なくなります。黒糖が弾けて、中の小麦粉が散り、油を伴った甘みが口いっぱいに広がり、ひっつきます。かりんとうって、残る甘さだと思います。結構、しぶとく残ります。このままだと、甘みでいっぱいになって、血が回り、頭と心が、炎の如く熱くなります。
 それをなだめてくれるのが、緑茶です。甘く、とろりとした、ほの温かいお茶は、歯とかりんとうの格闘の歴史を穏やかに鎮めてくれます。カテキンが、すっきり、さっぱりと、油、黒糖、小麦粉を洗い流して、無垢な状態へと還してくれます。これで、二本目のかりんとうへ取り掛かる準備ができました。こうして、やめられないとまらない「かりんとう力」が遺憾無く発揮されるのです。

 かりんとうは、このような特徴を持つことから、どちらかというと下町、田舎、大衆の属性を持っているようです。商店街のお菓子屋さんとか、スーパーの大袋コーナーが定位置。ややうつむいて、片手で口を隠しながら、開いた片手で、出来るだけ小さい音でポリポリといただくような、上品な場には向いていないと思っていました。
 ところが、探せば世の中にはあるものですね。「上品かりんとう」という分野がいつの間にか出来ていました。友人から、「このかりんとう、とても美味しいんですよ」と贈っていただいた「日本橋 錦豊琳」さんのかりんとうが、まさに上品かりんとうなのです。何が違うって、外側が違います。スーパーのは大袋です。

錦豊琳 かりんとう・1
 小袋入りのかりんとう

 錦豊琳さんのかりんとうは「小袋」です。この時点で、第一ラウンドの旗が上がります。小袋入りですから、中のかりんとうは、一般的に販売されているかりんとうよりも、細身で、小ぶりです。「繊細」ということばが浮かびます。反面、「いくら細身で小ぶりだからといって、かりんとうに『繊細』は無いだろう」という意見も出てきます。その真偽は、いただいてから判断することにしましょう。

錦豊琳 かりんとう・2
 「照り」が良いです

 右側が「黒糖」かりんとう、左側が「竹炭」かりんとうです。「黒糖」は、かりんとうの中のかりんとう。スタンダードです。でも、「竹炭」とは…。私も、甘いもの探しを数年しておりますので、炭を使ったお菓子と出会ったことが、数度あります。いずれも、「炭!!」と分かるようなお味では無かったので、この「竹炭」かりんとうも、特段、炭味が際立ってはないのだろうな、と予想は付きますが、お菓子の色が「真っ黒」というインパクトは、かなりのものです。瞬間、ひるみます。

 インパクトのある「竹炭」は後にして、大人しそうな「黒糖」からいただくことにします。ライトブラウンの黒糖を艶やかにまとっている黒糖かりんとうは、気ままに、天地東西南北、3次元の空間を生かして、自在に曲がっています。普通のかりんとうよりも、曲がり度がやや高いような気もします。恵まれた環境で自由に育ったご子息、ご令嬢、といった印象を覚えます。
 かりっ。いい音が響きます。それとともにじんわりとした甘みが伝わります。この甘みは、深みがあり、しっかりと中まで詰まっていて、とてもまろやか。上品に作られています。そのためか、「歯と格闘」という雰囲気がありません。噛み締めたときの「ぱきっ、ぽきっ」という軽やかな音に合わせて、口中でダンスを踊っているかのようです。音が華やかなのです。音と甘みで明るく楽しくいただくことができます。

 ちょっとワイルドな見た目の「竹炭」はどうでしょうか。「黒糖」よりも細身で、ざらめのアクセサリをつけて、黒一色のよそおいに、きらめきを持たせた、おしゃれなかりんとうです。
 細身のため、また、生地に気泡が多く含まれているために、黒糖ほどの固さはありません。さっくりとした食感です。もちろん炭の焦がれた味はしません。からりと芳ばしい香りとお味です。表面は、先程のざらめとともに、ほのかに塩味が付けられており、甘じょっぱくなっています。この甘辛のお味が、いつものかりんとうとは風合いが違っているために、これまた、食が進み、さくさくさくさくと加速が付きます。

竹炭かりんとう・断面
 中まで真っ黒

 「黒糖」も「竹炭」も、油気がほとんど感じられずに、軽い風味です。たくさんいただいても、もたれるような感触が生まれません。それなのに、お味は、印象強く、濃密で、たっぷりと、悠然としたものになっています。生地の舌ざわりもなめらかで、きめが細かく、まさに「ごちそうかりんとう」と言えるでしょう。普通のかりんとうは、その油気と甘さで、片手に盛るくらいいただいてしまうと、「うーむ、胃が重い…」となって、あっという間にたらふく感を味わうことになりますが、こちらのかりんとうは、そのような心配は無いでしょう。

 かりんとうに、このようなスタイルをもってくるとは、まさに盲点。かりんとうという姿のために、気軽に手を出すことができるようになっているのに、上品なお味を堪能できる。よく考えたものです。このかりんとうに倣うことで、シンデレラのように意外な転身を遂げることができるお菓子が、まだまだありそうです。


◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:天然酵母黒糖かりんとう
 価格:いただきもの

 商品名:天然酵母竹炭かりんとう
 価格:いただきもの


・店舗データ
 店舗名:日本橋錦豊琳(にほんばし にしきほうりん)
 住所:東京都千代田区丸の内1-9-1 JR東京駅地下1階・グランスタ
 営業時間:平日8:00-22:00 日祝8:00-21:00
 定休日:無休
 公式サイト:http://www.nishikihorin.com/
 アクセス:JR東京駅直結、グランスタ内「銀の鈴」前。


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2009.02.01

甘いピカソで心を溶かす(ボンボンショコラ:ピエール・エルメ・パリ)

 森永製菓さんが、
 「男性から女性に。今年は、逆チョコ。待つよりも、いっそあげよう。」
というキャッチフレーズでバレンタインキャンペーンを打っています。販売促進に躍起になっている雰囲気が伝わってきますが、悪くはありません。
 甘いものを食べるのが好きな人は、甘いものを選ぶのも好きだと思います。クリスマスケーキの時もそうですが、いろいろとある中から、ぴんっ、と、来たものを選びます。この、ぴんっ、は、プレゼントして良さそう、というのと同時に、自分で食べてみたい、というものになると思います。
 プレゼントをするならば、まずは自らの舌で納得できるものかどうかを判断すべきでしょう。「これならばいける!」と思って、意中のお相手に渡すのです。
 そうすると、
 「女性から男性に渡す用」「女性が試食する用」「男性が女性に渡す用」「男性が試食する用」と一気に購買層が広がりますね。販売規模の大きくなるのではないでしょうか。 私の場合は、「自分が楽しむ用」が第一の目的ですので、そんなに大ごとにはなりません。「あ、これ、『自分に』いいな」と思ったものを買って、ひとまず決着です。
 自分用だけに、妥協はしません。しっかりと味を楽しめるものをと、かなり力を入れて百貨店のカタログを眺めることになります。
 目を綺羅つかせて、カタログをずーっ、と、眺めておりますと、面白いチョコレートを見つけました。塩味、生姜味、シナモン味のチョコレートが入っているアソートボックス。「面白い素材を組み合わせているなあ」と思って、カタログの詳細を見ると、「スイーツ界のピカソ」とも呼ばれている、ピエール・エルメ氏の作品でした。納得です。
 「シナモン」というだけで、8割がた決定していましたが、ピエール・エルメ氏ということで購入決定です。

ピエール・エルメ パッケージ
 明るい箱にも目を引かれます

 6個入りの「ボンボンショコラ」を選びました。もう少し多いのでも良かったのですが、そうすると、お値段がやや張ってしまい、このブログでご紹介するには、高すぎるために個数を抑えました。それでも、気になるお味のチョコレートは入っています。

ピエール・エルメ ボンボンショコラ1
 6個入りで我慢

 パッケージを開けると、甘く暖かい風に乗って、カカオが香ります。いつものチョコレートよりも、バレンタイン用のチョコレートは、ちょっとおしゃれをした雰囲気で、香りさえもやや濃く漂います。
 ボンボンショコラの6個入りは、以下のような構成です。
 バルタザー(Balthazar)……シナモン入りガナッシュ。
 クロエ(Chloé)……フランボワーズ入りガナッシュ。
 ウーブル・トア(Ouvre-toi)……ゴマ入りプラリネ・ヌガティーヌ。
 ルー(Lou)……生ショウガ入りガナッシュ。
 マカッサル(Makassar)……有塩バターカラメル入りガナッシュ。
 モガドール(Mogador)……パッションフルーツ入りガナッシュ。
となっており、幅広い素材を使って、チョコレートと組み合わせています。このラインナップだけを見ても、楽しくなってきます。
 先に好きなものをいただきましょう。シナモン入りのバルタザーからいきます。

 バルタザー【Balthazar】
 東方の三博士(Magi)の一人。
 ミルクチョコレートで包まれた中のガナッシュ(溶かしたチョコレートにたっぷりの生クリームを加えたり、温かい生クリームにチョコレートを溶かし込んで作る、口溶けのよいチョコレート:名鉄百貨店・バレンタイン特設サイトより引用)からは、しっかりとしたシナモンの香りが立ちます。しっかりした香りに対して、舌には、香辛料独特のピリピリした感触は無く、穏やかな、柔らかな甘さと、綺麗に相俟っています。のどを越えた後の、ほどよい刺激が心地好く、印象に残るお味になっています。

 マカッサル【Makassar】
 マカッサル《インドネシア Sulawesi 島の都市 Ujung Pandang の別称》
 マカッサルのある南スラウェシは、カカオの一大産地のようです。その名を負ったこのチョコレートには、有塩バターガナッシュ入りです。塩気はほとんど感じられません。仄かに「ん? 甘さとは違う要素があるかな」と思うくらいです。バターの入っているためでしょう、まろやかで、まろやかで、塩味と共に、甘さを引き立てています。とろりとした、感触のチョコレートを食べ終わると、後味で、カラメルの芳しい甘さが姿を現します。これもまた、手の込んだチョコレートです。

 クロエ【Chloé】
 [ギリシャ神話]Daphnis の恋人。
 「ダフニスとクロエ」はよく知られた恋愛物語。岩波文庫から出ていましたが、現在は絶版になっています。
 若い二人の恋愛を思い起こさせるような、甘酸っぱいフランボワーズのガナッシュです。口に入れた瞬間、はじけるように、酸っぱさが広がります。それを軽く収めるように、若々しい甘さがまじわり合い、そこに、チョコレートの甘さが加わり、明るい印象の一粒になっています。後味は、やや酸味が強く残ります。

 モガドール【Mogador】
 マガドール《モロッコの都市 Essaouiraの旧称》
 パッションフルーツのガナッシュで、これもまた酸っぱいです。甘みを抑えて、酸味を強調しているらしく、クロエよりも酸っぱくないものの、甘みより酸っぱさの方がはっきり出ています。そのため、すっきりした味わいになっていて、さっぱりと食べやすいチョコレートでしょう。

 ウーブル・トア【Ouvre-toi】
 これを英語にすると「Open Sesame!」。「開けゴマ!」ですね。フランス語では、「Sésame, ouvre-toi!」と言うようです。バレンタインチョコレートにこの名前を付けたのは、「あなたの心を開いて!」という意味合いがあるのでしょうね。
 ゴマがメインで、ゴマの粒子も入っていますが、その風味はそれほど強くありません。どちらかと言えば、チョコレートの味の方がはっきりとしていて、ゴマの味はそれから、二三歩ほど下がっている印象です。ただ、芳ばしさはあり、カラッ、としていて、強い甘さやカカオの重みをあまり感じさせないお品になっています。

 ルー【Lou】
 スコットランド方言で、"love"
 名前の印象と味の印象が一番近かったのは、このルーだと思います。食べてすぐに、ガナッシュのショウガの香りがしっかりと伝わります。チョコレートの甘さもかなり強め。もともと、ショウガと甘みの相性は良いので、これぞベストマッチという印象です。甘さとショウガの香りと辛みが互いに引き立てあって、温かみのある、味わいになっています。この温かみは、体も心も温めてくれるような、優しく穏やかなもので、「バレンタインチョコレートっぽいなー」という印象が特に強く感じられました。

 この感想を書くために、それぞれ、1/3ずつくらい削って頂きました。いつものチョコレートよりもちょっと背伸びしたものですので、もったいなくて、ちょっとずついただくことにしました。でも、ショコラの達人の、いろいろな味を口にすることができて、少しでもたらふくになれました。このような体験をすると、上手い人のお菓子は、満足するのに、量は関係ないのだな、と思わされます。

ピエール・エルメ ボンボンショコラ2
 メッセージ付きで贈りますか?

 私がオススメするまでもないでしょうが、「ピエール・エルメ・パリ」のボンボンショコラはオススメです。特に気に入ったのは、ショウガの「ルー」とシナモンの「バルタザー」です。甘さ一辺倒じゃないところが気に入りました。
 私が購入したセットには入っていませんでしたが、「トリュフ・ショコラ オ レ エ マッチャ(抹茶入りミルクチョコレートガナッシュ)」「ガランス(イチジクのパート・ド・フリュイ、シナモン入りフランボワーズガナッシュ)」「アジュール(ユズとライム入りガナッシュ)」などが入っているセットもあるようです。いただいてみたいです。
 ピエール・エルメ氏は、心からショコラが好きで、良い意味で、ショコラとともに遊んでいるのだろうな、と思いました。


◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:ボンボンショコラ(6個入)
 価格:¥2100

・店舗データ
 ブランド名:PIERRE HERMÉ PARIS(ピエール・エルメ・パリ)
 公式サイト:http://www.pierreherme.co.jp/

 更新履歴
 2019/02/02
 画像のリンク切れを修正しました。
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