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2009.02.01

甘いピカソで心を溶かす(ボンボンショコラ:ピエール・エルメ・パリ)

 森永製菓さんが、
 「男性から女性に。今年は、逆チョコ。待つよりも、いっそあげよう。」
というキャッチフレーズでバレンタインキャンペーンを打っています。販売促進に躍起になっている雰囲気が伝わってきますが、悪くはありません。
 甘いものを食べるのが好きな人は、甘いものを選ぶのも好きだと思います。クリスマスケーキの時もそうですが、いろいろとある中から、ぴんっ、と、来たものを選びます。この、ぴんっ、は、プレゼントして良さそう、というのと同時に、自分で食べてみたい、というものになると思います。
 プレゼントをするならば、まずは自らの舌で納得できるものかどうかを判断すべきでしょう。「これならばいける!」と思って、意中のお相手に渡すのです。
 そうすると、
 「女性から男性に渡す用」「女性が試食する用」「男性が女性に渡す用」「男性が試食する用」と一気に購買層が広がりますね。販売規模の大きくなるのではないでしょうか。 私の場合は、「自分が楽しむ用」が第一の目的ですので、そんなに大ごとにはなりません。「あ、これ、『自分に』いいな」と思ったものを買って、ひとまず決着です。
 自分用だけに、妥協はしません。しっかりと味を楽しめるものをと、かなり力を入れて百貨店のカタログを眺めることになります。
 目を綺羅つかせて、カタログをずーっ、と、眺めておりますと、面白いチョコレートを見つけました。塩味、生姜味、シナモン味のチョコレートが入っているアソートボックス。「面白い素材を組み合わせているなあ」と思って、カタログの詳細を見ると、「スイーツ界のピカソ」とも呼ばれている、ピエール・エルメ氏の作品でした。納得です。
 「シナモン」というだけで、8割がた決定していましたが、ピエール・エルメ氏ということで購入決定です。

ピエール・エルメ パッケージ
 明るい箱にも目を引かれます

 6個入りの「ボンボンショコラ」を選びました。もう少し多いのでも良かったのですが、そうすると、お値段がやや張ってしまい、このブログでご紹介するには、高すぎるために個数を抑えました。それでも、気になるお味のチョコレートは入っています。

ピエール・エルメ ボンボンショコラ1
 6個入りで我慢

 パッケージを開けると、甘く暖かい風に乗って、カカオが香ります。いつものチョコレートよりも、バレンタイン用のチョコレートは、ちょっとおしゃれをした雰囲気で、香りさえもやや濃く漂います。
 ボンボンショコラの6個入りは、以下のような構成です。
 バルタザー(Balthazar)……シナモン入りガナッシュ。
 クロエ(Chloé)……フランボワーズ入りガナッシュ。
 ウーブル・トア(Ouvre-toi)……ゴマ入りプラリネ・ヌガティーヌ。
 ルー(Lou)……生ショウガ入りガナッシュ。
 マカッサル(Makassar)……有塩バターカラメル入りガナッシュ。
 モガドール(Mogador)……パッションフルーツ入りガナッシュ。
となっており、幅広い素材を使って、チョコレートと組み合わせています。このラインナップだけを見ても、楽しくなってきます。
 先に好きなものをいただきましょう。シナモン入りのバルタザーからいきます。

 バルタザー【Balthazar】
 東方の三博士(Magi)の一人。
 ミルクチョコレートで包まれた中のガナッシュ(溶かしたチョコレートにたっぷりの生クリームを加えたり、温かい生クリームにチョコレートを溶かし込んで作る、口溶けのよいチョコレート:名鉄百貨店・バレンタイン特設サイトより引用)からは、しっかりとしたシナモンの香りが立ちます。しっかりした香りに対して、舌には、香辛料独特のピリピリした感触は無く、穏やかな、柔らかな甘さと、綺麗に相俟っています。のどを越えた後の、ほどよい刺激が心地好く、印象に残るお味になっています。

 マカッサル【Makassar】
 マカッサル《インドネシア Sulawesi 島の都市 Ujung Pandang の別称》
 マカッサルのある南スラウェシは、カカオの一大産地のようです。その名を負ったこのチョコレートには、有塩バターガナッシュ入りです。塩気はほとんど感じられません。仄かに「ん? 甘さとは違う要素があるかな」と思うくらいです。バターの入っているためでしょう、まろやかで、まろやかで、塩味と共に、甘さを引き立てています。とろりとした、感触のチョコレートを食べ終わると、後味で、カラメルの芳しい甘さが姿を現します。これもまた、手の込んだチョコレートです。

 クロエ【Chloé】
 [ギリシャ神話]Daphnis の恋人。
 「ダフニスとクロエ」はよく知られた恋愛物語。岩波文庫から出ていましたが、現在は絶版になっています。
 若い二人の恋愛を思い起こさせるような、甘酸っぱいフランボワーズのガナッシュです。口に入れた瞬間、はじけるように、酸っぱさが広がります。それを軽く収めるように、若々しい甘さがまじわり合い、そこに、チョコレートの甘さが加わり、明るい印象の一粒になっています。後味は、やや酸味が強く残ります。

 モガドール【Mogador】
 マガドール《モロッコの都市 Essaouiraの旧称》
 パッションフルーツのガナッシュで、これもまた酸っぱいです。甘みを抑えて、酸味を強調しているらしく、クロエよりも酸っぱくないものの、甘みより酸っぱさの方がはっきり出ています。そのため、すっきりした味わいになっていて、さっぱりと食べやすいチョコレートでしょう。

 ウーブル・トア【Ouvre-toi】
 これを英語にすると「Open Sesame!」。「開けゴマ!」ですね。フランス語では、「Sésame, ouvre-toi!」と言うようです。バレンタインチョコレートにこの名前を付けたのは、「あなたの心を開いて!」という意味合いがあるのでしょうね。
 ゴマがメインで、ゴマの粒子も入っていますが、その風味はそれほど強くありません。どちらかと言えば、チョコレートの味の方がはっきりとしていて、ゴマの味はそれから、二三歩ほど下がっている印象です。ただ、芳ばしさはあり、カラッ、としていて、強い甘さやカカオの重みをあまり感じさせないお品になっています。

 ルー【Lou】
 スコットランド方言で、"love"
 名前の印象と味の印象が一番近かったのは、このルーだと思います。食べてすぐに、ガナッシュのショウガの香りがしっかりと伝わります。チョコレートの甘さもかなり強め。もともと、ショウガと甘みの相性は良いので、これぞベストマッチという印象です。甘さとショウガの香りと辛みが互いに引き立てあって、温かみのある、味わいになっています。この温かみは、体も心も温めてくれるような、優しく穏やかなもので、「バレンタインチョコレートっぽいなー」という印象が特に強く感じられました。

 この感想を書くために、それぞれ、1/3ずつくらい削って頂きました。いつものチョコレートよりもちょっと背伸びしたものですので、もったいなくて、ちょっとずついただくことにしました。でも、ショコラの達人の、いろいろな味を口にすることができて、少しでもたらふくになれました。このような体験をすると、上手い人のお菓子は、満足するのに、量は関係ないのだな、と思わされます。

ピエール・エルメ ボンボンショコラ2
 メッセージ付きで贈りますか?

 私がオススメするまでもないでしょうが、「ピエール・エルメ・パリ」のボンボンショコラはオススメです。特に気に入ったのは、ショウガの「ルー」とシナモンの「バルタザー」です。甘さ一辺倒じゃないところが気に入りました。
 私が購入したセットには入っていませんでしたが、「トリュフ・ショコラ オ レ エ マッチャ(抹茶入りミルクチョコレートガナッシュ)」「ガランス(イチジクのパート・ド・フリュイ、シナモン入りフランボワーズガナッシュ)」「アジュール(ユズとライム入りガナッシュ)」などが入っているセットもあるようです。いただいてみたいです。
 ピエール・エルメ氏は、心からショコラが好きで、良い意味で、ショコラとともに遊んでいるのだろうな、と思いました。


◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:ボンボンショコラ(6個入)
 価格:¥2100

・店舗データ
 ブランド名:PIERRE HERMÉ PARIS(ピエール・エルメ・パリ)
 公式サイト:http://www.pierreherme.co.jp/

 更新履歴
 2019/02/02
 画像のリンク切れを修正しました。
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