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2008.12.07

玉子のいろいろを召し上がれ(オムハヤシ:洋食のことこと屋)

 『365日たまごかけごはんの本』(T.K.Gプロジェクト・高木伸一著 読売連合広告社 2007年9月)という本が、しばらく前に話題になりました。生玉子と、白いごはん、醤油の、三位一体は崩れるべくもあらずと思われていらっしゃった皆々様を、玉子かけごはんの第三ステージへと誘う本として、喝采を浴びて迎えられました。

 何故に、このように、玉子とごはんが迎えられたかと考えてみますと、もともと日本の人々は、玉子にも、ごはんにも、あれこれと手を加えたくなる性分があるように見て取れます。ゆで玉子一つをとっても、「完全に茹でたやつ。そいつの殻を綺麗にむいて、伯方の塩で召し上がるのがお好きな方」、「外側の白身はしっかり固まっているけど、黄身は半分だけ熱の通った『とろり』の状態で、形を崩さないように丁寧に殻をむいて、アジシオをふりつつ、ちょっとずつ召し上がる方」、「私は温泉玉子。そのための専用の機器を買いました。自動で出来た温泉玉子を、ダシ醤油でつるりんといただきます、という方」等々。これ以上、人々の思い入れが強い食べ物が他にあろうかと言うほどの千差万別ぶりです。
 ごはんと玉子の組み合わせはまだあります。温かいごはんに、ダシ汁を吸った衣のカツを入れれば、カツ丼になります。カツではなくて、鶏肉だったら玉子丼、親が抜けたら玉子丼、ダシの代わりとろりとしたあんだったら中華玉子丼、と、まさに七変化。ごはんさえ見付ければ、玉子はどこへでも器用に出張します。

 すこし本題からそれました。本編に方向を戻します。
 ガチンコ勝負では、生玉子に判定が下るでしょう。シンプルさに関しては、ゆで玉子に優るものを見出せません。しかし、「料理になっている」という観点から、考えると、「オムレツ」に行き当たります。
 オムレツもまた、いろいろなタイプに分かれるようです。詳細は省きますが、固め、ふんわり、とろとろ…。
 そうしたら「オムライス」のスタイルももちろん変わるわけです。オムライスは洋食とされていますが、日本生まれ。玉子かけごはんの好きな日本人が、いかにも考えそうなお料理ではありませんか。何かの本で読んだ覚えがあるのですが、オムライスは、薄焼き玉子で寿司飯を包む「茶巾寿司」からヒントを得たのだそうです。
 オムライスのスタンダードタイプも、薄焼き玉子でチキンライスを包んだものですね。そこから派生して、これまた変化を見せています。チキンライスの上にオムレツを乗せて、いただく直前に、真ん中を開いて、内側と表側がひっくり返るようにする、通称「タンポポオムライス」(元祖は、伊丹十三氏のアイディアで、東京・日本橋の「たいめいけい」さんでいただけます)。オムレツを紡錘形に丸めずに、そのままチキンライスの上に乗せるタイプ。これは「かに玉丼」をオムライスの一種と捉えたら、当てはまるでしょう。

 今回、ご紹介する「ことこと屋」さんの「オムハヤシ」は、チキンライスの上に、半熟状態で紡錘形に丸める前のオムレツを、ひっくり返さずに、そのままかぶせ、その縁にハヤシソースを廻らしたお品です。

オムハヤシ
 見も心もとろけます

 玉子は半熟状態の中でも、「思い切り半熟」の部類に入ると思います。フライパンに接していた面は固まっていて、反対面は生に近くて、ところどころ、生に近い白身の部分があります。よって、とろとろのオムライスになっています。固めに焼いた薄焼き玉子を、ぶつり、と、割り切るタイプのオムライスがお好きな方は、肩透かしを食うかもしれません。でも、このとろとろっぷりが絶妙なのです。

オムハヤシ・アップ
 火の通し加減が特上です

 少しの量でもいいから、たくさんの種類を食べるのが好き、とおっしゃる方にはぴったり。固まった白身、固まった黄身、黄身と白身が一緒になって固まっているも部分、とろりとした黄身、白身、玉子の諸相が現れています。
 これらのいろいろ玉子を、ハヤシソースと絡めていただくのですが、このハヤシソースも玉子を引き立て、チキンライスを助ける、見事な活躍っぷり。柔らかい風味の玉子に、じっくりと煮込んだ牛肉と玉ねぎの旨みと甘み、トマトソースの酸味を連れて来て、濃厚な味わいとなっています。

オムハヤシ・ハヤシソース・アップ
 やや酸味が強いです

 このやや濃いソースは、玉子を引き立てると同時に、玉子からもまろやかになだめられ、これまた、バランスが巧妙に取れています。
 そして、チキンライスは、ソースよりも、もう少し酸味が強くなっているようです。さっぱり、という印象です。やや固めのライスで、表面で味を受け止めています。

オムハヤシ・チキンライス・アップ
 固めのごはんで、玉子とのコントラスト

 とろとろの玉子を、とろとろのハヤシソースとミックスし、しっかりめのチキンライスと共にいただくというスタイルと言えるでしょう。ワンプレートで様々な姿を見せてくれるこのオムハヤシは、贅沢なスタイル、ごちそうさまの後に、充実感、たらふく感で満たされ、嬉しくなります。なかなかのボリュームなので、二皿目をすぐにはいただけないため、いつも、「後日、リピートしよう」と、思わされます。

 ことこと屋さんは、名古屋市営地下鉄・東山線・藤が丘駅(東山線の東の端)の近くだったのですが、最近(と言っても、一年と数ヶ月前です)になって、中区・栄の「オアシス21」内に出店し、アクセスが断然良くなりました。
 アクセスが良くなった結果、お客様が集まりやすくなる訳で、今までオアシス21店に行ったときは、いつでも、空席待ちでした(藤が丘店も人気店なのでお客様は多いです)。休日や、オアシス21でイベントのある時は、もう少し人手が増えるかもしれません。ご来店の際は、お早めにどうぞ。

ことこと屋・外観
 アクセスが便利になりました

 あと、個人的な要望として、分煙がもう少し、はっきりと分かれていたら、と思っています。私は、タバコが苦手なのですが、両側の席のお客様が喫煙されていらっしゃる席に通されて、少々困りました。そのときは満員状態だったので、席の移動もままならず…。席に通していただく前に訊いていただければ、禁煙席が開くまで待つつもりだったのですが。(昨年末にお伺いした時のレポートなので、現在は変わっているかもしれません。既に喫煙ルールが変わっていましたら、ご容赦ください)


◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:オムハヤシ
 価格:¥934

・店舗データ
 店舗名:洋食のことこと屋・オアシス21店
 住所:名古屋市東区東桜1-11-1 オアシス21
 営業時間:11:00-22:00
 定休日:無休
 アクセス:名古屋市営地下鉄・栄駅からセントラルパークへ。セントラルパークから直結。



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