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2008.10.26

食感・濃厚・口溶け。嬉しい復活「新ショコラフレンチ」

 ミスタードーナツさんでは、しばらくの間、商品ラインナップの見直しがされていたようで、私の好きなドーナツが幾つか姿を消していました。
 しかし、11月1日に、リニューアル&新商品が一気に投入されることになりました。久々にミスド魂に火が付いた気がします。その前哨戦というべきか、10月22日にショコラフレンチが再登場しました。ショコラフレンチシリーズも好きなドーナツだったので、浮かれ気分で、ショップに足を運びました。
 今回のショコラフレンチ・リニューアルは、以前にもあった「エンゼルショコラ」に、新顔の「塩キャラメルショコラ」「パリパリチョコショコラ」の二つが加わっています。

新ショコラフレンチ
 手前から、「エンゼルショコラ」「塩キャラメルショコラ」「パリパリチョコショコラ」です

 久々の、エンゼルショコラから味わってみましょう。パウダーシュガーに、チョコディップ、間にホイップ生クリームが挟まって、大きさは直径約70mm。以前と変わり無さそうです。
 では、一口。わー、懐かしい。嬉しい。好きなドーナツが復活してくれるのは、嬉しいですね。久しぶりの味ということで、美味しさが増しているように思われます。
 生地は、フレンチドーナツのエアがたっぷりのふんわり、さっくり、の食感です。チョコレートの風味はしますが、甘さは控えめ。その分、ディップのチョコレートがミルクチョコレートで甘くなっています。ホイップクリームは、とろりとした甘さで、ミルキーです。これも前の通り、以前のファンの方は安心して召し上がっていただけると思います。

 次に、興味がかなり惹かれる「塩キャラメルショコラ」にいってみましょう。塩キャラメルをどのようにフレンチドーナツと融合させているのでしょうか。
 キャラメルクリームは、思ったほど塩味はしません。しかし甘さもそれほど強くもありません。バランスが取れているようで、相殺されているような、ぼんやりとした味です。ですが、これをクリームだけではなくて、ドーナツ全体でいただくと、本領が発揮されます。ディップのチョコレートの甘みが砂糖の味が強くて、濃厚な芳ばしいキャラメルの風味が際立ち、塩の風味も後味でふんわりと残ります。このクリームは、かなり濃密です。ぽってりとしていて、おなかにたまります。これ一つでたらふくになられるかたも多いのではないかと推測しています。

塩キャラメルショコラ・クリーム
 キャラメルの風味が強めで、気になるほど塩気は強くありません

 「パリパリチョコショコラ」は、名前が、「パリパリ」で重ねた上に、「チョコ」と「ショコラ」で重ねていて、名前だけで混乱しそうになります。
 「パリパリチョコ」の正体は、チョコレートホイップクリームに混ぜられたチョコチップです。約10mm角で、甘みの強いミルクチョコです。これだけいただくと、至って普通のチョコレートです。
 チョコホイップは香りはしっかりチョコレートで、甘さもしっかり。ですが、チョコレート独特のビター感はやや低めでしょうか。
 これもまた、生地と、チョコホイップと、チョコチップを一度にいただくと、大きく印象を変えます。ふわふわの生地の中から、ぷちぷちとはごたえのあるチョコレートの食感、それをクリームがクリーミーにまとめ上げています。
 でも、「パリパリ」というほど「パリパリ」かな?という感じです。もっと、質量のある「ポキポキ」という食感のように思いました。

 チョコレート好きとしては、エンゼルショコラシリーズの復活は嬉しいです。このまま、定番で残ってほしいですね。

 さて、次は11月1日の大リニューアル。あまりの数の多さにおののいて、本ブログでの紹介記事をどうしようか、と今から頭を抱えています。


◎商品データ
 商品名:エンゼルショコラ
 価格:¥147

 商品名:塩キャラメルショコラ
 価格:¥147

 商品名:パリパリチョコショコラ
 価格:¥147


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2008.10.19

パンなら伝統、やっぱり伝統(あんドーナツ、極上クリームパン、シナモンロール:中屋パン)

 昭和11(1936)年は、このような年でした。

 ・アメリカ合衆国・ニューヨークに「野球の殿堂」開設
 ・日本初のバレンタインチョコレートの広告が出る
 ・二・二六事件勃発
 ・世界初の実用ヘリコプターが初飛行
 ・ベルリンオリンピック開催(「前畑ガンバレ」)
 ・国会議事堂落成
 ・日本でプロ野球開始
  等々 (Wikipedia参照)

 上には挙げませんでしたが、時期が時期だけに、ややキナ臭い事件や出来事も頻発している年です。それでも、人々は力強く生活をしていたのだと思います。
 この年に生まれた著名人では、

 立川談志、市原悦子、野際陽子、長嶋茂雄、毒蝮三太夫、古葉竹識、小池一夫、東八郎、大槻義彦、リチャード・バック、横尾忠則、つのだじろう、福田康夫、古谷三敏、桂歌丸、白川英樹、楳図かずお、梶原一騎、北島三郎、大山のぶ代、亀井静香、服部克久、さいとう・たかを、里見浩太郎、山崎努、村山実、山崎拓、等々(同上・敬称略)

 錚々たる面々です。いまや、各界で名を馳せる重鎮ばかり。72歳(2008年)です。このご時勢、72歳といえば、まだまだ覇気満ちるお若い方がたくさんいらっしゃいます。それも、第二次世界大戦をはじめ、数々の艱難辛苦を乗り越えてこられたからでしょう。

中屋パン・外観
 ほのぼのとするたたずまい

 名古屋・今池の名物パン屋さん、「中屋パン」も昭和11年創業、72歳です。
 ひとことに昭和11年、72年間と言えますが、一つの家業を72年続けるのは並大抵のことでは無いと思います。それも、波乱万丈の時世の中、ご主人がお品に対してたゆまぬ努力を注ぎ込み、それを地元の皆様が感じ取り、受け入れた結果でしょう。
 実際、私が訪れた時も、ひっきりなしにお客様が立ち寄られていました。まさに、「地元の味」になっているようです。

中屋パン・キャッチフレーズ
 テンポがいいですね

 「パンなら中屋やっぱり中屋」。ここまでの自信も、長年続いてきたからこそ言えることばだと思います。「うん、たしかにそうだ。やっぱりここだ」と、素直に受け入れました。

中屋パン・おすすめ
 メロンパンはレモンパン

 伝統のお店には、名物がつきものです。
 こちらの名物、一番のお勧めは「あんドーナツ」。シンプルながら奥深い、伝統に相応しいチョイスです。他にも、「ピーナツケーキ」や「レモンパン」が売りとなっています。
 でも、今回の私は、名物の「あんドーナツ」が目当て。こちらのあんドーナツはお砂糖たっぷり、あんもたっぷり、しかも私の好きなシナモンもたっぷりという三拍子。でも、無駄遣いはできません。財布の紐を固くして、手早くトレイとトングを持ち、一目散にあんドーナツに向かうつもりでした。しかし、目の端に留まったのが、「シナモンロール」。シナモン好きがこれを逃すわけがありません。もう、甘い風に流されました。その横には、野球のグローブ型のクリームパン。これもトングで挟みます。あんドーナツの前に、もう二つのパンが載っかりました。
 目的のあんドーナツは、お店の一番奥。……これって、もしかして、あんドーナツを目当てにしてきた人に、他のお品も味わってもらおうという、販売上の作戦なのか? ……いや、どれも美味しそうだから、後になろうが先になろうが、トレイに載せていたはずです。問題はありません。
 くるりと丸い、あんドーナツは、みっしりとあんが詰まっていることが感じ取れる重さがトングから伝わってきました。そして、爽やかに舞うシナモンの香り。このスペースに住みたいくらいです。
 住む代わりに、あんドーナツを二つ、トレイに載せました。住む代わりですから、一つの予定がが二つになったところで、問題はありません。
 この魅力があるから、創業11年なのでしょう。
 まずは、一番のお勧めと、お店が太鼓判を押す、あんドーナツからいただきます。
 直径70mm、厚さ30mm、とやや小ぶりかなと思いますが、その大きさから判断して手に持つと、予想外の重さに手が下がります。「おっとっと」と、かろうじて、その重さを受け止めて、指に油と砂糖のざらざらを感じながら、思い切りかぶりつきます。

あんドーナツ
 シンプルなあんドーナツです

 ふむ。あんはかなり甘いです。ねっとり、みっちりと甘いです。質量のある甘みです。ねっとねっと、とあんをもてあそんでいると、シナモンがふわりと香ります。この涼しさが、甘みだけじゃない深みを与えてくれます。
 中のあん、外の砂糖で、かなりあまいのですが、べっとり、というような、いやな、しつこい甘さではないのです。重いけど、キレのよい甘み。ホームランバッターのような甘さです。爽快感があるのです。

あんドーナツ・断面
 あんはこしあんです

 パン生地も、油を吸っているのですが、中はふんわり。これまた、絶妙な揚げ具合です。この平衡感覚も素晴らしいです。
 あんの重さにも関わらず、二つのあんドーナツは瞬く間に無くなりました。
 これまた見た目は、ごく普通のクリームパン。これぞクリームパンと形のクリームパンです。でもこのお品の商品名は「極上クリームパン」! 「極上」なのです。パンが手作りならば、中のクリームも手作り。そのクリームがたっぷり。これを極上と言わずして何を極上と言うべきか。

極上クリームパン
 シンプルなクリームパンです

 生クリームが混ぜ込まれているというカスタードクリームは、さっぱりしたお味。甘みは抑え目で、ぷりぷりとしたクリーム、この感触は、流行のクリームパンと同じようなのですが、根本が、雰囲気が違っています。やはりここは伝統の味、昔ながらのしっとりねっとりとした、懐かしい舌ざわりも残っています。見事に古今が融合しています。
 パンはふんわり、さっぱり味のクリームなので、こちらもさくさくとあっという間に食べ終えました。
 お店で見かけたときから気になって気になって、早く食べたくて仕方なかった「シナモンロール」です。

シナモンロール
 どでかいシナモンロール!

 とにかく、大きい。こんなに大きいシナモンロールはそうは見かけません。見た覚えがありません。直径が100mm、高さが60mm。高さ60mmなのです。思いっきり口を開けて、ようやく一かぶりつきができる大きさでしょう。普通のシナモンロールの倍の大きさだと思います。
 上の白いお砂糖のグレーズは、たっぷりと掛かっていて、とろけるように甘いです。「がっかりシナモンロール」というのに、たまに出会います。お砂糖の甘さばかりで、シナモンの味がちっともしないシナモンロールです。しかし、このシナモンロールは違います。お砂糖の甘さがこんなにも大きく出張っているのに、それを軽くあしらうように舞踏しながらシナモンがしっかりと登場します。シナモンロールと名が付くならば、これだけしっかりとシナモンの香りを付けてほしいものです。
 生地にしっかりと練りこまれたたっぷりのシナモンの香りと、グレーズの甘みで、大きさだけではなく、質の面でも重量感はしっかりしています。一口一口が、味わい深くて、それだけでたらふくになっていきます。満足のシナモンロールです。でも、これまた、あんドーナツのようにしつこくはないので、こんなに大きいのか!?と思っていたお品が、お味と香りに促されるまま、ぱくぱくぱくぱく、とみるみるうちに無くなってしまいました。菓子パンとしては、最高級に位置すると言って過言では無いと思います。
 今回いただいたパンは、どれも、シンプルでありながら個性が強くて、食べる人々の心を和ませてくれる、優しさに満ちていました。それが72年の熟練の技なのでしょう。
 年を重ねるごとに増していった、パン一つ一つに込められた「年輪の味」を感じ取ることができました。老舗に感謝、伝統に敬服。

中屋パン・看板
 この看板が目印です


◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:あんドーナツ
 価格:¥130
 説明文:最高の評判を得ているドーナツです。当店一番のお勧めのパンです。

 商品名:極上クリームパン
 価格:¥140
 説明文:自家特製のカスタードクリームです。生クリームたっぷり 味は抜群です。

 商品名:シナモンロール
 価格:¥200
 リッチな菓子パンにシナモンシュガーが入っています


・店舗データ
 店舗名:中屋パン
 住所:愛知県名古屋市千種区今池1-9-16
 営業時間:9:30-20:30
 定休日:土日、祭日営業・月金、祭日休業・火水木
 アクセス:名古屋市営地下鉄・今池駅・10番出入口を南下(千種郵便局と反対方向)して50mの左手。交差点の角地。

 更新履歴
 2018/05/30
 画像のリンク切れを修正しました。
 一部の約物を修正しました。

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2008.10.12

紅葉の季節に思う頃

 先日、すやさんの栗きんとんをいただいてから、妙に和菓子に気が引かれるようになりました。一日のうちで、和菓子か、洋菓子か、パンか、ごはんか、と比較してみると、圧倒的に和菓子を想っている時間が長いのです。ケーキ、パン、ごはん、浮気してごめんなさい。
 しかし、高鳴る鼓動は抑えることはできません。一度火が着くと、後は燃え上がるのみ。私の脳髄では、もち米、あん、和三盆、など、和菓子に関係したことばが渦巻きます。圧倒的な力を以って和菓子に侵蝕されました。これはもう、恋煩いならぬ「餡煩い」と言えるでしょう。
 こうなりましたら、和菓子一直線です。
 ですが、先日、すやさんの高級和菓子をいただいたばかりです。そうそう、頻繁に百貨店で売られているような高級和菓子を口にするわけにもいきません。歯止めを利かせて、近所のスーパーに向かい、パック入りの並級和菓子を手に取りました。
 スーパーのワゴンの中に置かれているような並級和菓子は、いいですね。「普通の暮らしに潤いを、いつもの味蕾に甘味を」というくつろいだ姿勢に好感が持てます。
 何種類かある並級和菓子を手にとって検分しておりますと、おや、と思う並級和菓子に出会いました。

並級桜餅・パック
 季節にとらわれない自由な姿勢です

 パッカン、と開けるタイプの容器に入った並級の桜餅です。
 木々の葉が紅く黄色く色付こうという季節に、桜餅。この辺りにも「TPOはそれほどお気になさらなくても構いません。お久しぶりに、ちょっと、わたくしなどは如何でしょうか?」という、くつろぎすぎとも思えてくる気軽さで、語り掛けてきます。ここに、好感の他に何を思うことがありましょうや。

 私の心を撃ち抜いた、この「パッカン桜餅」は、そのまま、腕に提げていたスーパーマーケット籠に納まり、数枚の貨幣分の対価がお財布から出立して、レジ袋に納まり、急いで帰り、手を洗うのももどかしく、ようやく、パッカン、の運びとなりました。

並級桜餅・開封
 一枚だけ…

 お店で手に取ったときには、餡煩いに浮かされた頭で気付きませんでしたが、家でパッカンとすると、桜餅の金バッジともいえる、あの塩漬けの桜葉は三つのうち一つにしか張り付いていませんでした。
「うーむ、さすが並級和菓子。こういったところで手の届きやすい価格設定にするための工夫をしたか」
と、うならされます。

並級桜餅
 葉っぱをはがさなくても二種類味わえると考えれば良いでしょう

 パッカン、とすると、あのしょっぱ甘い香りがふわりと脳髄を刺激します。「あぁ、そうそう、甘いだけじゃない味だったんだよなぁ」と、半年前の記憶が蘇り、周囲には、ほんのりと頬を染めたような花びらが舞い始めます。このような時、真反対の季節の雰囲気でも導き出すことができる「食の記憶の力」は偉大だな、と思わずにはいられません。

並級桜餅・あんこ
 この餡に煩わされていました

 くろもじで、お米が柔らかめに半つぶしになったお餅を割ると、中から、ぽてり、としたこし餡が姿を見せました。これです、これ。最近の私を煩わせていたのは、この餡だったのです。もう、ここまで来たら遠慮はしません。いただきます。

 並級和菓子の、肩の力が入っていない作りと、浅瀬ではしゃぐような気軽さで込められた甘み。

 はじめは、桜葉が付いていない一個を半分ずつ二口で、次は加速が付いて、桜葉が付いているものを一口で。私は桜餅の葉っぱは、はがさない主義です。最後にまた一口で桜葉が付いていないものを。どれも、お味は「いつものやつ」というものです。甘い、しょっぱい、もっちり。それで済ませておいて、これ以上は深く考えなくても良いと思います。深く考えたら、かえって並級桜餅が遠慮をしそうな気がします。
 それにしても、今から一番遠い季節を味わえたのは、嬉しかったです。現時点では、実際にそれを経験できない、コートを小脇に抱えて、花舞いの中を歩いているような感を覚えたのは、本当にそれをするのと同じくらいに、心に沁みるものがありました。ありがとう、並級桜餅さん。

 でも「餡煩い」は小ぶりの桜餅三つでは治まらず、別にワンパック買っていた六個入り並級クリーム大福を平らげてたらふくたらふく、と相成り、煩いも完治しました。


・商品データ
 商品名:丸皿 桜餅
 価格:¥100(近所のスーパーマーケット価格)

 商品名:クリーム大福
 価格:¥100(近所のスーパーマーケット価格)


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2008.10.05

すわ!くりきんとん(栗きんとん:すや)

 私が中京地方に移り住んでから不思議に思ったことの一つです。
 この地方の方々は、秋を感じると、栗きんとんを召し上がる、ということです。
 九州に住まっていた頃は、栗きんとんのテレビCMというのは見たことがありませんでした。他の中京地域外でも見たことがありません。
 栗きんとんと言えば、おせち料理の中に入っていて、栗が一粒、もしくは半粒入っている、金色に輝く練物しか思い浮かびませんでした。ところが、中京地方では、それはおせち料理の栗きんとんであって、秋の栗きんとんは別物なのだそうです。そして、秋はその別物の栗きんとんを召し上がることが恒例になっているらしいのです。
 私も既に名古屋に住まい始めてから4年半になろうとしています。そろそろ、この恒例行事に参加することが許されるような気がしてきました。
 そこで、先日、岐阜に住まっている友人に「最近、栗きんとんが気になっている。お正月のじゃなくて、この地方で秋に食べる栗きんとんが。私は栗きんとんは、おせちの黄色くて甘いお菓子のしか知らないのだけど、あれとは違うものなのか?」と問いかけましたら、「違う。おせちのは、栗のじゃない栗きんとんでしょ。あれじゃなくて、栗の栗きんとんがあるのだよ」という教えを受けました。そして、

 「栗きんとんなら、『すや』だよ。私、『すや』の栗きんとん食べたくなってきた。買いに行ってくる」

と、百貨店へと向かいました(この時、既に夕方だったので、売り切れで友人は購入できなかったそうです。しかし、後日、無事入手した。そして食したという連絡を受けました)。

 『すや』。
 不思議な響きです。秋になると栗きんとんをいただくという恒例行事の不思議さと同じくらいの不思議さです。

 『すや』。
 しかし、中京地域に長年住まっていらっしゃる方々には、お馴染みのお店なのだそうです。

 『すや』
 繰り返すと、だんだんと心地良くなってきました。「す」と「や」から、清流と紅葉が目に浮かんできました。そのせせらぎの音に誘われるようにして、私も、「さあ、栗きんとんへ!」という気分になってきました。

栗きんとん・外箱
 包装紙の表面に「栗なっと」と書かれていますが、折り目の部分にちゃんと「栗きんとん」と書いていました

 「栗なっと」も気になりますが、今回は「栗きんとん」をいただきます。
 包装紙を取り、白い箱を開けると、白い包み紙で、きゅっ、と上をしぼった小袋が整然と並んでいます。可愛らしいです。お正月の栗きんとんには無いたおやかさです。

栗きんとん・小包み
 これを開けると、ふわりと滋味に満ちた香りが立ちます

 上でしぼっている紙を解くと、茶巾しぼりになっている、明るい黄色の丸いものが、ころり、と出てきました。

 おっ、確かに、私の見知った「栗きんとん」ではない!

 黄金色ではありません。ねっとりとしたペーストに栗が丸々入ってもいません。これは、確かに、全くの別物と見るべきでしょう。以下、「栗きんとん」の表記は、私が新しく邂逅した、この茶巾しぼりになっている丸いお菓子を指すことといたします。

栗きんとん
 素材を生かした風貌

 「すや」さんの栗きんとんは、まさに栗の実色、ほくほくに茹でたあの栗の実の色です。薄いベージュです。上から見ると、楕円状になっており、長径は約40mm、短径は約35mm、底から頂点までの高さ約20mm。

栗きんとん・断面
 ちょっと濃い黄色の粒が効果的

 中を見てみましょう。栗を栗としての最小限のレベルの大きさの粒にして、それを練ってゆるく固めています。そして、その再び整えられた栗の粒のところどころには、約2,3mm角の栗の粒が入っており、食感が単調にならないようにされているようです。

 それでは、いただきます。
 と、ここで、迷うのが、手づかみか、くろもじを使うか、です。半分にした写真を撮るためにくろもじを使いましたが、果たして、このままくろもじを使って良いものか。くろもじで、この「ほろほろさ」を支えきれるのだろうか。お皿から口に移動するまでに、崩落するような気がしてなりません。そういえば、テレビCMでも指でつまんで召し上がっていたような覚えがあります。
 郷に入っては郷に従え。手づかみでいただきます。
 崩落の危険は回避でき、無事に栗きんとんが口へと移動できました。

 まず、茹で栗のような「ほくほく」「ほろほろ」とした食感が伝わります。おや、これは、栗そのものじゃないか、と思っておりましたら、瞬く間に栗きんとんは口中の水分を吸収し、しっとり、ねっとりとした食感に変わります。最初の「ほくほく」「ほろほろ」の食感は、一つ間違えば「粉っぽい」となりそうですが、そのラインを割らずに「ほくほく」を実現させる妙技を見せてくれます。
 「ほくほく」「ほろほろ」から「しっとり」「ねっとり」の食感へと移る間に、「ぽくぽく」とした2,3mmのあの栗の粒の食感が出てきます。あくまで主役は、前者の食感で、小粒の栗は主役を際立たせつつ、味わいの変化をしっかりと見せてくれる、見事なバイプレイヤーっぷりを発揮しています。
 しばし、「しっとり」「ねっとり」で口を躍らせていると、森の甘みともいえそうなお味が口いっぱいに広がります。もちろん、お砂糖で味付けされていて、その甘みがかなりあるのですが、お砂糖が、栗としての甘さを追い出しても、消してもいません。なおかつ、栗としての甘みが長い間続くのです。この甘さがかなり強いです。栗の微細な粒子が舌の各所に柔らかい刺激を与えて、そこから離れないからでしょう。
 もう、このあたりまでくると、口の中の水分はすっかり、栗きんとんに持っていかれています。水分を吸った栗きんとんはさらに「ねっとり」を増し、のどの奥にまで、甘さを与えます。かなりの「質量感」です。あの小粒の栗きんとんにこれほどの、たくましさがあるとは思いもよりませんでした。これが「森の力」なのかもしれません。
 口、舌、のどに軽く残る栗きんとんを、日本茶で緩める至福。はー、たった一個なのに、おなかいっぱいです。たらふくです。しかしながら、次の一粒に伸びる私の右手。ボリュームがあるのにやめられないお味。箱に貼付されていた「原材料名」を見ますと「栗、砂糖」のみです。まさに直球勝負。このシンプルさから、あれほどの複雑な味わいを作り出す栗きんとん。この地方の方々に愛される訳が分かったような気がします。

 私の疑問を解決してくれるウェブページがありました。おなじみのWikipediaさんです。以下、引用いたします。

―――――
 栗きんとん
 この項目では岐阜県東濃地方名産の和菓子である栗きんとん(栗金飩)について記述しています。サツマイモを炊いて練り、栗の甘露煮を加えて作り、おせち料理などに入れられる栗きんとん(栗金団)については栗金団をご覧ください。
(Wikipedia「栗きんとん」の項目)
―――――

 なんと、私が今まで「栗きんとん」だと思っていたものは、「栗金団」。今回いただいたものは、「栗金飩」。違う漢字が当てられていたのです。つまりは別物扱いだったのです。
 また、「東濃地方のうち中津川市・恵那市が主」(Wikipedia「栗きんとん」の項目)ということで、中京地域でこれほどまでに浸透しているのも納得いたしました。

栗きんとん
 「手作業のため(中略)まれに栗の渋皮が入る事がございます」それもまた好し!
 


◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:栗きんとん(6個入り)
 価格:¥1260


・店舗データ
 店舗名:すや 松坂屋本店・直営店 (名古屋ではジェイアール名古屋タカシマヤ(直営店)でもお取扱いされています)
 住所:名古屋市中区栄3-16-1 松坂屋本店・本館地下1階
 営業時間:10:00-20:00
 定休日:松坂屋本店に準じる
 公式サイト:http://www.suya-honke.co.jp/
 アクセス:名古屋市営地下鉄・名城線・矢場町駅6番出入口直結。


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