パンなら伝統、やっぱり伝統(あんドーナツ、極上クリームパン、シナモンロール:中屋パン)
昭和11(1936)年は、このような年でした。
・アメリカ合衆国・ニューヨークに「野球の殿堂」開設
・日本初のバレンタインチョコレートの広告が出る
・二・二六事件勃発
・世界初の実用ヘリコプターが初飛行
・ベルリンオリンピック開催(「前畑ガンバレ」)
・国会議事堂落成
・日本でプロ野球開始
等々 (Wikipedia参照)
上には挙げませんでしたが、時期が時期だけに、ややキナ臭い事件や出来事も頻発している年です。それでも、人々は力強く生活をしていたのだと思います。
この年に生まれた著名人では、
立川談志、市原悦子、野際陽子、長嶋茂雄、毒蝮三太夫、古葉竹識、小池一夫、東八郎、大槻義彦、リチャード・バック、横尾忠則、つのだじろう、福田康夫、古谷三敏、桂歌丸、白川英樹、楳図かずお、梶原一騎、北島三郎、大山のぶ代、亀井静香、服部克久、さいとう・たかを、里見浩太郎、山崎努、村山実、山崎拓、等々(同上・敬称略)
錚々たる面々です。いまや、各界で名を馳せる重鎮ばかり。72歳(2008年)です。このご時勢、72歳といえば、まだまだ覇気満ちるお若い方がたくさんいらっしゃいます。それも、第二次世界大戦をはじめ、数々の艱難辛苦を乗り越えてこられたからでしょう。

ほのぼのとするたたずまい
名古屋・今池の名物パン屋さん、「中屋パン」も昭和11年創業、72歳です。
ひとことに昭和11年、72年間と言えますが、一つの家業を72年続けるのは並大抵のことでは無いと思います。それも、波乱万丈の時世の中、ご主人がお品に対してたゆまぬ努力を注ぎ込み、それを地元の皆様が感じ取り、受け入れた結果でしょう。
実際、私が訪れた時も、ひっきりなしにお客様が立ち寄られていました。まさに、「地元の味」になっているようです。

テンポがいいですね
「パンなら中屋やっぱり中屋」。ここまでの自信も、長年続いてきたからこそ言えることばだと思います。「うん、たしかにそうだ。やっぱりここだ」と、素直に受け入れました。

メロンパンはレモンパン
伝統のお店には、名物がつきものです。
こちらの名物、一番のお勧めは「あんドーナツ」。シンプルながら奥深い、伝統に相応しいチョイスです。他にも、「ピーナツケーキ」や「レモンパン」が売りとなっています。
でも、今回の私は、名物の「あんドーナツ」が目当て。こちらのあんドーナツはお砂糖たっぷり、あんもたっぷり、しかも私の好きなシナモンもたっぷりという三拍子。でも、無駄遣いはできません。財布の紐を固くして、手早くトレイとトングを持ち、一目散にあんドーナツに向かうつもりでした。しかし、目の端に留まったのが、「シナモンロール」。シナモン好きがこれを逃すわけがありません。もう、甘い風に流されました。その横には、野球のグローブ型のクリームパン。これもトングで挟みます。あんドーナツの前に、もう二つのパンが載っかりました。
目的のあんドーナツは、お店の一番奥。…これって、もしかして、あんドーナツを目当てにしてきた人に、他のお品も味わってもらおうという、販売上の作戦なのか? …いや、どれも美味しそうだから、後になろうが先になろうが、トレイに載せていたはずです。問題はありません。
くるりと丸い、あんドーナツは、みっしりとあんが詰まっていることが感じ取れる重さがトングから伝わってきました。そして、爽やかに舞うシナモンの香り。このスペースに住みたいくらいです。
住む代わりに、あんドーナツを二つ、トレイに載せました。住む代わりですから、一つの予定がが二つになったところで、問題はありません。
この魅力があるから、創業11年なのでしょう。
まずは、一番のお勧めと、お店が太鼓判を押す、あんドーナツからいただきます。
直径70mm、厚さ30mm、とやや小ぶりかなと思いますが、その大きさから判断して手に持つと、予想外の重さに手が下がります。「おっとっと」と、かろうじて、その重さを受け止めて、指に油と砂糖のざらざらを感じながら、思い切りかぶりつきます。

シンプルなあんドーナツです
ふむ。あんはかなり甘いです。ねっとり、みっちりと甘いです。質量のある甘みです。ねっとねっと、とあんをもてあそんでいると、シナモンがふわりと香ります。この涼しさが、甘みだけじゃない深みを与えてくれます。
中のあん、外の砂糖で、かなりあまいのですが、べっとり、というような、いやな、しつこい甘さではないのです。重いけど、キレのよい甘み。ホームランバッターのような甘さです。爽快感があるのです。

あんはこしあんです
パン生地も、油を吸っているのですが、中はふんわり。これまた、絶妙な揚げ具合です。この平衡感覚も素晴らしいです。
あんの重さにも関わらず、二つのあんドーナツは瞬く間に無くなりました。
これまた見た目は、ごく普通のクリームパン。これぞクリームパンと形のクリームパンです。でもこのお品の商品名は「極上クリームパン」! 「極上」なのです。パンが手作りならば、中のクリームも手作り。そのクリームがたっぷり。これを極上と言わずして何を極上と言うべきか。

シンプルなクリームパンです
生クリームが混ぜ込まれているというカスタードクリームは、さっぱりしたお味。甘みは抑え目で、ぷりぷりとしたクリーム、この感触は、流行のクリームパンと同じようなのですが、根本が、雰囲気が違っています。やはりここは伝統の味、昔ながらのしっとりねっとりとした、懐かしい舌ざわりも残っています。見事に古今が融合しています。
パンはふんわり、さっぱり味のクリームなので、こちらもさくさくとあっという間に食べ終えました。
お店で見かけたときから気になって気になって、早く食べたくて仕方なかった「シナモンロール」です。

どでかいシナモンロール!
とにかく、大きい。こんなに大きいシナモンロールはそうは見かけません。見た覚えがありません。直径が100mm、高さが60mm。高さ60mmなのです。思いっきり口を開けて、ようやく一かぶりつきができる大きさでしょう。普通のシナモンロールの倍の大きさだと思います。
上の白いお砂糖のグレーズは、たっぷりと掛かっていて、とろけるように甘いです。「がっかりシナモンロール」というのに、たまに出会います。お砂糖の甘さばかりで、シナモンの味がちっともしないシナモンロールです。しかし、このシナモンロールは違います。お砂糖の甘さがこんなにも大きく出張っているのに、それを軽くあしらうように舞踏しながらシナモンがしっかりと登場します。シナモンロールと名が付くならば、これだけしっかりとシナモンの香りを付けてほしいものです。
生地にしっかりと練りこまれたたっぷりのシナモンの香りと、グレーズの甘みで、大きさだけではなく、質の面でも重量感はしっかりしています。一口一口が、味わい深くて、それだけでたらふくになっていきます。満足のシナモンロールです。でも、これまた、あんドーナツのようにしつこくはないので、こんなに大きいのか!?と思っていたお品が、お味と香りに促されるまま、ぱくぱくぱくぱく、とみるみるうちに無くなってしまいました。菓子パンとしては、最高級に位置すると言って過言では無いと思います。
今回いただいたパンは、どれも、シンプルでありながら個性が強くて、食べる人々の心を和ませてくれる、優しさに満ちていました。それが72年の熟練の技なのでしょう。
年を重ねるごとに増していった、パン一つ一つに込められた「年輪の味」を感じ取ることができました。老舗に感謝、伝統に敬服。

この看板が目印です
◎店舗・商品データ
・商品データ
商品名:あんドーナツ
価格:¥130
説明文:最高の評判を得ているドーナツです。当店一番のお勧めのパンです。
商品名:極上クリームパン
価格:¥140
説明文:自家特製のカスタードクリームです。生クリームたっぷり 味は抜群です。
商品名:シナモンロール
価格:¥200
リッチな菓子パンにシナモンシュガーが入っています
・店舗データ
店舗名:中屋パン
住所:愛知県名古屋市千種区今池1-9-16
営業時間:9:30-20:30
定休日:土日、祭日営業・月金、祭日休業・火水木
アクセス:名古屋市営地下鉄・今池駅・10番出入口を南下(千種郵便局と反対方向)して50mの左手。交差点の角地。
| 固定リンク


クリックしてくださると、もっとたらふくになれます。
コメント