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2008.09.28

今日の「山」登りは「ペスカドール」&「高菜ピラフ」&「キウイパフェ」

 それは、それは、もう、おなかが空いて、ようよう「山」の入り口に辿り着きました。扉を開けるのももどかしく、うんとこしょどっこいしょと重みのある扉を開くと、そこはほぼ10割の入り。ちょうど夕食時に当たってしまったために、席に着けるかどうか怪しい状態です。こんなにも、おなかが空いているのに。
 そこで、まさに今、登山を終えて、席を立たんとするお客様がいらっしゃり、我まさにその席に座らんと欲し、その席我に委ねられんとす、という経緯となりまして、無事に、着席できました。もう、あと、少しで、私のおなかはたらふくに満たされるのです。
 ですが、ここで私の悪い癖が出ました。おなかを満たすならば、どのお品でも良いはずなのに、「今までに食したことが無いものを選ばねば」という、この場面ではほとんど意味を為さない使命感が出てきたのです。でも、いち早く、何かを食したい、その葛藤の中で選んだのが、「ペスカドール」。スパゲッティ・トマトソースのカテゴリーにあります。トマトソースのところにあるので、スパゲッティとして特に奇を衒ったものではなく、尚且つ、「ペスカドール」という不思議な響きの名前で、内容が計り知れない、尚且つ、おなかいっぱいになれそうという、この場面において、最良の選択だと思われました。

 オーダーから、待つこと10分。

ペスカドール
 普通のミートソーススパゲッティに見えるのですが

 名前から予想されるほどの意外さは無く、至っておとなしい雰囲気のトマトソースのスパゲッティが姿を現しました。
 しかし、よくよく見ると、やや奇妙な点が見受けられます。「ミートソーススパゲッティですよ」とこれを見せられると、「そうかもしれない」「そうじゃない」という相反する思いが拮抗するのです。違和感があるのです。
 まず、頂点に掛けられた粉チーズ。これは、普通のスパゲッティです。真っ赤なトマトソース。これは普通のスパゲッティです。玉ねぎの薄切り。相変わらず、薄切りになっていないところがありますが、普通のスパゲッティと言って良いでしょう。そして、玉ねぎ。

 …え?

 もう一種類、玉ねぎがあります。いや、これは玉ねぎではありません。「セロリ」です。スパゲッティにセロリが入っていました。これは、一気に油断ならないスパゲッティへと昇格です。セロリと言えば、嫌いな野菜に必ずと言って良いほどランク入りするほどの強者です。セロリは茎の部分が幅1cm弱、長さ約5cmくらいにカットされて、スパゲッティに混ぜ込まれています。

ペスカドール・アップ
 近づくと、違和感が見えてきます

 トマトソースと、セロリの組み合わせだと、ミネストローネのようだ、と思ったのも束の間、ころころと「あさり」が出てきました。いきなり海の幸の登場です。あさりが入っているミネストローネもありますが、私はここで不穏な雰囲気を感じ取りました。
 観察はここまでにして、いただくことにします。おなかが空いてしょうがありませんから。たっぷりとトマトソースを絡ませ、チーズを付けて、ミートソースを絡ませて、大きく一口。

 違う!

 一つ、違っていました。これまでミートソースだと思い込んでいたものが、ミートソースではない食感と味を放ったのです。
 改めて、ミートソースの挽肉だと思いこんでいた、何かよく分からない塊をフォークですくい上げて、目を凝らして見つめます。違います。これは挽肉ではありません。しかし、食べてみても、何か良く分からないのです。きしむ様な食感。にじみ出る味。覚えがある、でも、スパゲッティとの組み合わせでは、覚えが無い。
 再び、謎の塊をいただきます。ぎゅっ、と噛み締めると、うま味が出てきます。トマトソースのスパゲッティだという要素を排除して、この塊のみの味の記憶を手繰り寄せます。…あっ。思い出したっ!

 かつおぶし、だ!

 にじみ出るダシ。水分を吸って、凝り固まった風貌。海の香り。これは、かつおぶしです。

ペスカドール・かつおぶし
 トマトソーススパゲッティにかつおぶしとは…

 しかし、確固たる自信はありません。8割りの自信です。なぜなら、今まで、スパゲッティと、トマトソースと、かつおぶしと、セロリの組み合わせでいただいたことがないからです。でも、塊のお味はかつおぶし…。たぶん、かつおぶし…。ダシが良く出ていて、美味しくなっているので、かつおぶしでもいいような気がしてきました。組み合わせの不思議さはマウンテンでは当たり前の事なのですから。

 トマトソースは、酸味が強く、それを胡椒の辛さとニンニクの香りがそれが過ぎないように抑えています。さらに野菜のうま味と、海の幸のうま味が引き出され、奥深い味わいになっています。粉チーズのクリーミーさも見落としてはいけない点でしょう。
 もっちりしたスパゲッティに、セロリと玉ねぎのシャクシャク感、それにあさりの弾力の歯ごたえが上手い具合にマッチしています。

ペスカドール・セロリ
 シャキシャキしたセロリ。苦手な方、ご注意を

 ただ、問題はセロリの存在でしょう。私はセロリはいける口なのであまり気にならなかったのですが、セロリ嫌いな方は、ペスカドールは厳しいと思います。繊維が筋張っていて、軽いえぐみ、清清しい香り。私は、これらがペスカドールに有効な味となっていると思いますが、セロリ嫌いの方々は、これら全てが駄目でしょうから、注意が必要です。

 不思議なスパゲッティ、ペスカドールを平らげまして、これで、たらふく、たらふく、満足、満足、のはずが、

 たらふくになっていない…。

 どうやら、今回の空腹は度を越えた空腹だったようです。一品でたらふくになりませんでした。たらふくになっていないどころか、まだまだ空腹感があります。私は躊躇うことなく、追加注文をしました。

高菜ピラフ
 香りが強いです

 続けてスパゲッティというのも面白みに欠けるので、今度はピラフにいってみました。「高菜ピラフ」です。これも、奇を衒わず、無難な線で、まだ食したことが無く、空腹を満たせそう、という判断で決めました。
 到着した高菜ピラフをいただきますと、覚えのある味でした。私はいつもマウンテンに行くときは、自作のメニューを持参しております。そのメニューには、一度食べたことがあるお品にマークを付けているので、重なることは無いはずなのですが、何故か、覚えのある高菜のお味でした。「何故だろう?」と不思議に思いながら食べ進めたのです。
 高菜ピラフは、到着すると同時に、お漬物特有の酸味と塩気が効いた香りが立ち込めます。上には、たっぷりの刻み海苔。しっかりと炒められたごはんには、これまたたっぷりの刻み高菜が混ぜ込まれています。このたっぷりに高菜はしっかりと塩味が効いています。炒める際に塩が加えられていると思われるのですが、さらにこの高菜の塩味が強く、かなりのしょっぱさを感じます。さらに、ごはんのところどころに、赤いペースト状のものが見え隠れしています。これはどうやら梅肉ソースのようなのですが、酸っぱさよりも、塩気の方が出ていて、さらにしょっぱさが増しています。

高菜ピラフ・アップ
 高菜に混じって、赤い何かがあります

 以上をまとめますと、総じて、しょっぱいです。香ばしさを出すためか、白胡麻が散りばめられていますが、あまり奏功しているようには思えません。鷹の爪が2本入っていましたが、唐辛子の辛さは、ほとんど感じられませんでした。
 やや、否定的な書き方になってしまいましたが、味は良いです。油と相性の良い、高菜に、これまた塩気と相性の良い海苔の風味が加わっているのですから、味が悪くなるはずがありません。ただ、しょっぱいのです。
 高菜ピラフの弱点としては、ごはんに満遍なく高菜と塩と梅(らしき)ペーストと海苔が混ざっているので、味が単調になっているところでしょう。最初は、ペース早くいただけるのですが、後半、この単調さのために、盛り上がりが無く、ただ淡々と食べることになってしまいます。

 さて、スパゲッティも、ピラフも美味しくいただいて、御代を支払うために席を立とうと思ったところで、重大なことに気付きました。

 おなかが空いている。

 まだ、余地があったのです。こうなったら、とことん私の腹と付き合うことにしました。浮かした腰を再び落として、追加注文です。
 「キウイパフェ」は、名前そのままの姿で現れました。

キウイパフェ
 早く甘みを摂りたい!

 まず、上の部分には、ホイップクリーム、約5mm厚に輪切りにされたキウイがグラスの円周に沿うように配置され、ウエハース一枚と、缶詰チェリー一粒がホイップクリームにセットされています。
 ふんわりと甘いホイップクリームは、高菜ピラフで塩っぽくなった舌を優しく労わってくれます。選択は間違っていませんでした。さらにキウイも酸っぱく水分たっぷりで、これまた塩を和らげてくれます。本当に、このパフェを頼んで良かったです。

キウイパフェ・上部
 ホイップクリームでほっと落ち着けます

 グラスの縁よりも下は、主にアイスクリームになっています。まずはバニラアイス。ふんわりとしたホイップクリームとしゃっきりと冷たいバニラアイスを合わせて口にすると、似ているようできちんとラインが引かれている二種類の甘みが感じられ、陶然となります。
 上から順番にいただいていくと、まずホイップクリームが無くなり、一枚ずつキウイが無くなり、ひたすらバニラアイスをつつく時期に入ります。しかし、なんというタイミングの良さでしょう。バニラアイスの下から、パンケーキ層が現れるのです。このパンケーキはふかふかで、甘くて、冷たくなくて、アイスの口休めにぴったりなのです。横から見ると、縁から約50mmの場所。赤っぽいところがパンケーキ層です。計算しつくされた場所に位置しています。このパンケーキと少し溶けたバニラアイスを絡ませていただくと、冷たすぎなくて、バニラアイスのクリーミーさを内包した、新たな甘みが供されるのです。ここにまでなると、高菜ピラフの塩気はもう消え去りました。ひたすらに、パンケーキを突き崩して、バニラと共に口に運ぶことになります。

キウイパフェ・グラス内部
 パンケーキと冷やされたキウイが絶妙

 グラスの下半分には、輪切りにされたキウイと、キウイソースが詰め込まれています。このキウイは上にトッピングされていたキウイと違い、長時間、バニラアイスの冷気を受けていたために、半分凍り、シャーベット状になり、シャリシャリの食感になっているのです。キウイだけでこれだけ楽しめるとは、なんと贅沢なパフェなのでしょう。
 ただ、最終部に位置するキウイソースは、酸味強く、のど越し甘く、やや人工的なお味でした。これを蛇足と見るべきでしょうか。いや、これこそ、マウンテンの流儀だと思うことにしましょう。

 ひたすら、キウイパフェの甘みと酸味に身を委ねて、アイスの一滴も残さないように完食したところで、一息。

 まだ、たらふくじゃない。

 しかし、追加注文は、もう止めました。腹八分が一番美味しく味わうコツでしょう。

 帰宅して、「ペスカドール」を検索しましたら、

  pescador…スペイン語の「漁師」

だと分かりました。だから、かつおぶしにあさりなのか、と、ようやく合点いたしました。
 そして、高菜ピラフを食べたことがあるというデジャヴュですが、過去にいただいた「お茶ピラフ」に似ていたからでした。お茶ピラフは、高菜ピラフにお茶の葉が入ったものです。同じ高菜入りならば、清涼感のあるお茶ピラフの方が食べやすいと思います。


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