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2008.07.27

今日の「山」登りは「納豆山菜スパ」

 朝のうちから猛暑日になることが確かだと思われたある日、久しぶりにマウンテンの戸を開けました。平日、開店してまもない時間だったからでしょう。お客さんは一人もいません。がらんどうの山を見るのは初めてでした。
 どこにでも座って良いよ、と言われたので、窓際の明るい席に腰を下ろしました。渡されたメニューを眺めます。朝、このような静謐な雰囲気の中、あまりに激しいお品をいただく気にはなれません。出来る限り、穏やか(そう)なものを探しました。
 スパゲッティの和風。私はまだこの部門のお品をいただいたことがありません。いつも奇を衒って、何が入っているのか分からないようなものばかり選んでいたからです。たまには想像が付く様なものをいただいてもいいかもしれません。
 そして、スパゲッティ・和風の中から選んだものは、『納豆山菜スパ』。なんとも朝ごはんにぴったり(そう)なお品ではありませんか。ただ、素直に『山菜スパ』や『納豆スパ』にしないところは、私の心が少し歪んでいることの表れなのでしょう。

 私の『納豆山菜スパ』作りが始まりました。「私の」ということが分かるのも、店内にいるのが私だけだからです。少し嬉しかったです。「納豆山菜スパ」を作る鍋の音も独り占め、「納豆山菜スパ」を作る香りも独り占めです。香りまで分かることは、今までありませんでした。他のお客さんの注文が無いからこそ体感できることです。油が弾け、香ばしい匂いが漂ってきます。納豆のクセのある匂いが漂ってきます。いずれも「私の納豆山菜スパ」の匂いです。かなり嬉しくなってきました。

 10分後、「私の納豆山菜スパ」が届きました。

納豆山菜スパ
 山の幸と海の幸が手を取り合いました

 納豆と山菜と海苔が目に入りました。海苔の登場以外は予想通りです。安心していただけます。たっぷりの海苔の下には、白い麺に絡んだ山菜たち、わらび、きくらげ、たけのこが見え隠れしています。そして、ベージュの幾多の小片。納豆はひきわりです。調理過程で後半に鍋に投入された彼らは、小さなひきわりでありながら、香りでその存在を大いに主張します。

納豆山菜スパ・アップ1
 山菜は水煮のようです

 それでは、いただきます。

 あつい。

 それほど熱くはありません。暑いのです。なんなのでしょう、このホットさは。…見つけました。鷹の爪が一片、そして、もう一片。一本の鷹の爪が半分にされていました。静謐に、という思惑が横道に逸れてきました。
 味付けは、塩コショウのシンプルなものです。そして、ピリピリとする辛味。これがどうにも気になります。
 むちむちした麺をすくい上げると、山菜たちが一緒に付いてきます。もちろん、納豆は己の粘着力で麺にしっかりと抱きついています。麺の弾力と山菜のしゃきしゃきした食感が相俟って、じつに活動的なスパゲッティになっていました。静謐に、という思惑がまた少し横道に逸れます。

納豆山菜スパ・アップ2
 見た目は大人しいのですが…

 食べ進めるうちに、唇は納豆でぬめってきます。腫れぼったさと、舌への刺激は鷹の爪の成分によるものでしょう。だんだんと、汗が沸いてきます。暑い、とにかく暑いです。もう、静謐は捨てました。
 この暑さは想定外でしたが、次々を麺を口に運びたくなる、加速度をはらんだお味です。ひたすらに白い麺を掻き込みます。辛い、暑い、でもやめられない。
 15分後、額に汗をにじませて、完食です。どうにも暑いです。朝ごはんとしては、ややアグレッシブ過ぎました。でも、たらふくで満足です。
 お会計を済ませて、汗を拭き吹き、下山しようとしたところ、一人の男性とすれ違いました。彼は、席に腰を下ろす直前に「イタリアン!」と注文を済ませました。いつもの朝ごはんなのでしょう。

 ドアを開けると、涼しい風が身体を通り抜けました。お店に入ったときより温度が下がっているわけでは無いようです。鷹の爪の辛味のおかげでしょう。「たまには、汗だくの朝ごはんも悪くないな」と思いました。


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2008.07.20

人々が帰り着く場所を讃う(季節のフルーツタルト、桃のタルト:キルフェボン)

 新しいケーキ屋さんができたよ、と聞けば、そちらへ奔り、安くて美味しいランチのお店があるよ、と雑誌に載っていれば、あちらへ走っています。新情報が耳に入れば、一度は行ってみたくて、うずうずとします。そして、実際にその評判のものをいただいてみて、抱いていた思いに適っていたり、そうでなかったり…。そういう諸々の出会いがあることが、食べ歩きの醍醐味なのかもしれません。
 でも、「今日は『間違いないもの』を食べたいな」と思うときがあります。この「間違いないもの」というのは、その味を知っていて、いつでも全く同じ味を口にすることができる、ということではありません。以前いただいたことがあるお品であっても、口にするたびに新たな感動を与えてくれるものが「間違いないもの」だと考えています。
 「間違いないお店」は、多くの方々にとっても「間違いないお店」になっているようです。私の心の中にあるいくつかの「間違いないお店」は、いつでもお客様で賑わっています。このことから考えても、「間違いないお店」は、「帰っていける場所」と言い換えることができるでしょう。心のふるさと、それが「間違いないお店」なのです。
 「間違いないお店」は「帰っていける場所」であり、それすなわち「人気店」ということです。「人気店」の一番人気のお品の素晴らしさは、わざわざ私がご紹介しなくても、周知のことだと思います。だからといって、知らんぷりして、放擲するのも心持ちがしっくりときません。
 私は考えました。「素晴らしいものを、皆とともに、素直に、素晴らしいと声を挙げることが、『間違いないもの』への敬意であり、報恩になるのではないか」と。
 今回の記事は、私が「間違いないもの」へ捧げる賛美歌です。

 …これからご紹介するものが、好き過ぎて、訳の分からない大ごとになってしまいました。ここから、少し心を落ち着けます。上の文を要約すれば、大好きだと言いたい、ということです。
 「キルフェボン」の『季節のフルーツタルト』と言えば、「全国の美味しいスイーツランキング」とか、「私がオススメするケーキランキング」といった、テレビ番組の常連です。100位くらいから紹介していくものだと、なかなか登場しません。大抵は、トップ10に入っています。1位になることも少なくありません。それくらいの実力者。数え切れない人々を甘美な世界に誘っているお品。
 そのような最上級美食を、私なぞがご紹介しても良いのだろうか、という疑問が頭をもたげますが、そこは自分を納得させ、皆様のお許しをいただきたいと思います。

季節のフルーツタルト・1
 煌煌しき君

 『季節のフルーツタルト』ですから、季節ごとに、使われている果物が違います。今は、レギュラーの果物の他に、イチジクが顔を見せてくれました。その他の果物は、

 キウイ、ブルーベリー、パイナップル、バナナ、イチゴ、グレープフルーツ、マンゴー

でした。お店に置かれていたリーフレットによると、10種類の果物が用いられているとありますが、私が今回いただいたピースに乗っていたのは、8種類。あと、2つが気になるところですが、これも、毎回変化が楽しめることだと思うことにしましょう。だからこそ、「間違いないもの」なのです。

季節のフルーツタルト・2
 輝かしき君

 ふんだんに盛られた果物は、一つ一つが、甘く、酸っぱく、瑞々しい。その果物らしい濃い味を包含しており、奥歯で、キュッ、と噛み締めると、それが弾け出し、口いっぱいに香りが広がります。余程厳選された果物なのでしょう。もう、一口で、陶然となります。このタルトから果物を全部取り出して、25mプールにいっぱいに張って、甘い香りに包まれて、泳ぎながら食べ尽くしたい気になってきます。

季節のフルーツタルト・アップ1
 麗しき君

 果物をたおやかに受け止めているのが、カスタードクリームです。このクリームは、果物の味を最大限に引き出す役割を受け持っているようです。自信の甘味は抑え、口をさらりと流れるようななめらかな舌ざわり、バニラビーンズと玉子の甘い香りが、ふんわりと柔らかい気持ちにしてくれます。心落ち着くとは、このことなのでしょう。

 パイ生地は、パリパリ感よりも、さっくり感が強く出ています。クッキーのような小気味良い歯ざわり、焼けた小麦粉の芳ばしさと、くどさを感じさせないほのかなバターの香りは、やはり、主役たる果物を引き立てています。

季節のフルーツタルト・アップ2
 雅やかなる君

 果物、カスタードクリーム、パイ生地、それぞれが持ち味を十二分に発揮しつつ、お互いの良さを打ち消さないギリギリのレベルに保っています。これぞ妙技。これ以上ない配分。天よ、我と、彼の『季節のフルーツタルト』とを同じ世に住まわせ給うことに畏敬の念を禁じえない!

 これが、私の『季節のフルーツタルト』への賛美歌です。もっと、言葉を尽くしたい気持ちがあるのですが、私の文の力が付いていくことができません。

 もちろん、「キルフェボン」は『季節のフルーツタルト』だけではございません。他のレギュラーメニュー、そして、季節ごと、地域ごとの限定のお品も特筆すべきものです。
 ケーキが華麗に居並ぶショーケースを見ておりますと、はちきれんばかりの潤いに満ちたタルトが目に入りました。

豊田猿投の桃のタルト
 甘みと瑞々しさが相乗効果をもって同居しています

 『桃のタルト』です。このお品は、6月~8月の間の夏季限定です。さらに、私の目を惹いたのは、「名古屋店限定」の文字。『豊田猿投の桃のタルト』という名前になっていました。これは、素材がある限りで販売終了となるとのことでした。なので、8月末を待たずに販売が終わる可能性もあるということです。実に良いタイミングの出会いです。

 まさに桃色、ほのかに赤みざした果実は、本当に食べても良いのかと疑ってしまうような危うい魅力を持っています。5cmほどにカットされた桃の一切れをフォークで口に運びます。

 クリームかと見紛う。

 完熟の桃は、とろりと口に広がり、すがすがしい甘みを放ちます。夏、夕立の後のような涼やかですっきりとした気分が呼び起こされました。これほどまでに混じり気の無い桃にはそうそう出会えるものではありません。
 桃の下はシロップの染み込んだ、しっとり、さらりとしたスポンジを介して、カスタードクリームが横たわっています。このカスタードクリームは、『季節のフルーツタルト』よりも甘みが強めになっているような感じがしました。『季節のフルーツタルト』のカスタードクリームが、軽やかで若々しい甘さだとしたら、この『桃のタルト』のカスタードクリームは、妖艶で、華麗な甘さだと言えるかもしれません。桃も、カスタードクリームも甘みが強いのですが、全く違う種類の甘さであり、その融合により、さらにもう一つの甘みが生み出されています。複雑な甘みと、ボリュームは、まさに甘党向きで、1ピースで充分にたらふくになれます。

豊田猿投の桃のタルト・アップ
 赤すぐりのワンポイント

 そして、一粒の赤すぐりが、ピリッ、とした鋭い酸味を破裂させ、幾多の甘みの中で、効果的なアクセントとなっています。

豊田猿投の桃のタルト・断面
 たっぷりしてます

 パイ生地は、これもやはり、パリパリと、さっくりの両方の食感を、巧妙なバランスで、成り立たせており、桃、カスタード、スポンジの柔らかい口当たりと合わさることで、独特の存在感を見せつつ、主役たる桃の存在を高みへと押し上げています。

 『季節のフルーツタルト』も『桃のタルト』も、これで満足しないわけにはいかない、という実力を存分に発揮してくれました。満足の極みです。もうこれ以上は、申し訳なくて、とてもとてもいただくわけにはいかないと思うのです。
 しかしながら、しばらくすると、また、この味、この香り、この口当たりが恋しくなるのです。ふっ、と頭に思い浮かぶのです。そうです。帰るべき故郷のように。
 これが「間違いないもの」なのです。

キルフェボン 名古屋店・外観
 イートインの方は、松坂屋店内からお入りください


◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:季節のフルーツタルト
 価格:672円

 商品名:豊田猿投の桃のタルト
 価格:651円

・店舗データ
 店舗名:キルフェボン 名古屋店
 住所:名古屋市中区栄3-16-1 松坂屋本店・南館1階
 営業時間:10:00-20:00
 定休日:不定休
 公式サイト:http://www.quil-fait-bon.com/
 アクセス:名古屋市営地下鉄・名城線・矢場町駅5番出入口直結。


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2008.07.13

どの「新ジャンル」が一番「新」っぽいか飲み比べ

 暑くなりました。
 雨もほとんど降らないので、もう梅雨明けしているのではないかと思うのですが、専門家の方は「まだまだだよ」ということのようです。
 湿気を含んで、じっとりとしているのは日本の夏の特徴ですが、名古屋はさらに、アスファルトの照り返し、重いボディブローが内臓に響くような暑さになっています。地形のせいなのかもしれません。街づくりに風水を取り入れたほうが良いかと思います。

 目を回し、カラカラに干からびて、家に帰り着くと、まず水分を摂ります。外出中も脱水症状が出ないように水分はこまめに摂ってはいるのですが、家のように落ち着いて飲むことは難しいです。それで、水が入ったグラスを持って、部屋に倒れこむように座り込んで、一杯、飲み干します。すると、その瞬間に、汗が吹き出します。外ではすぐに蒸発していたのが、部屋だとそうはならずに、腕いっぱいに玉のような汗が出てきます。顔も、背中も、足も。そうなったら、汗みどろの服を脱ぎ捨てて、冷たいシャワーを浴びてから、冷蔵庫を開けます。

 さて、ここでは何を飲むのがいいでしょうか。

 甘党でしたら、「コーラ」や「サイダー」という方が多いかもしれません。冷たくて、炭酸がシュワシュワとカラカラののどを刺激し、甘味で頭がうっとりとする…。いいですね。もう少し楽しむとしたら、それらの上に、アイスクリームを乗せてフロートにするのが良いでしょう。しかし、そこまですると、甘味を楽しむ方に重点が行き過ぎている、と、いう意見も各所で上がってくるようです。
 「甘味無し」で、となると、「ビール」の出番です。コーラなどと同じく「シュワシュワ」しますが、甘味ではなく苦味で攻めてきます。夏には、このシャキッとした苦味が実に合うんですね。風呂に入り、汗を落としてから、まだ熱気覚めやらぬ体のまま冷蔵庫に向かい、ビールの缶を取り出し、すぐさまプシッとプルタブを開けて、立ったまま、二口三口。これだけで、体に8割がた潤いが戻るような気がします。さらに、エアコンの付いている部屋で、扇風機の風を受けながら、缶のビールを傾ける。至福です。

 夏には、このような楽しみがあるのですが、数年前から、暗雲が立ち込めてきました。そうです、「ビール増税」です。各方面から非難が囂囂と上がる中、メーカーが出してきたのが、「発泡酒」です。これは、クリティカルヒット。ビールの税率に引っ掛からないようにして、ビールに似た味わいの飲み物を出したのです。ところが、これまた酒税に狙われました。発泡酒も増税の措置が取られたのです。涙を飲む、ビール好きとメーカー。
 でも、メーカーはくじけませんでした。近年新たに出したのが、「リキュール(発泡性)1」、通称が「新ジャンル」「第3のビール」というものです。これは、発泡酒に麦素材の別種類のアルコール(スピリッツや焼酎)を混ぜているものだそうです。これにより、税率分を押さえ、新しい味わいの「ビール的飲料」が出来上がったのです。やったね、メーカーさん。

注目の四作品
 各社出揃いました

 この夏、ビール主要4社から、「リキュール(発泡性)1」の「新ジャンル」が出揃いました。それぞれを飲んでみましたが、どれも各社のコンセプトがはっきり分かり面白かったです。では、今期新発売分の「新ジャンル」の飲み比べした結果をご報告いたします。

―――――

 新ジャンルで、今期一番の売れ行きらしいのが『クリアアサヒ』(アサヒビール)のようです。CMも印象的で、パッケージも「ビールっぽいデザイン」になっていて、手に取りやすいですね。クリアアサヒは「澄み切り二段醗酵」という技を繰り出しているようです。詳しくは見ていませんが、「クリアなアサヒ」にするためのことなのでしょう。
 アルコール度数は5%。しっかりと酔える量です。

クリアアサヒ
 さっぱり

 お味は、さっぱり、すっきり、嫌味が無く、苦味も抑えているようです。したがって、オールラウンダーとしての正確を有していると言えるでしょう。
 食事のお供にとしては抜群の力を発揮すると思います。それこそCMで流されているように、ソース串カツやお好み焼きなどの味の濃いものを引き立てるでしょうし、淡白なお味のおつまみでも、その味を邪魔することなく、炭酸と軽い苦味を与えてくれるところに優秀さがあります。
 するするとのどを流れていくので、お休みの日、昼下がりに、打ち水をした庭を見ながら一缶だけ軽く飲むのにも合うと思われます。
 ただ一つ、気になるところは、すっきりさを前面に押し出して商品作りをしたことにより、従来の「ビールのたっぷりとした重さ」を期待して飲むと、その当てが外れてしまうかもしれないというところです。ふー。

金麦
 どっしり

 次に、『金麦』(サントリー)です。結論から申し上げますと、4種類の中でこれが一番ビールに近い味わいでした。もともとビールになれた方には受け入れられやすいと思います。『金麦』は、苦味が強く、重さを持たせていて、「ビールっぽさ」では群を抜いていると思います。よって、廉価でビールっぽさを求めるならば、『金麦』をチョイスすることをおすすめします。
 味が濃いので、おつまみも濃い味付けのものが欲しくなります。焼鳥串のタレなどが合うでしょう。
 あと、ごはんを食べ終わって、お風呂にも入って、あとはもう眠るだけ、…その前に晩酌を一杯、という時に合いそうです。しっかりした味わいが眠る前に、身体にほどほどの重さの苦味とアルコールを与えてくれて、ふー、落ち着いた、という気分にさせてくれることでしょう。
 これだけ、見事にビールに似せている新ジャンルですが、これまた、飲む方によっては、好き嫌いが分かれそうなところはあります。元々、ビールっぽさを追求しているようなので、後味に苦味がやや長めに残るのがお好きではない方には向いていないでしょう。…ひっく。

スパークリングホップ
 爽やか

 そこに、突如として現れた、度胆を抜く「新ジャンル」が、『スパークリングホップ』(キリンビール)です。前記の二つの商品は、「ビールに近くする」というコンセプトがあったと思われます。酒税で高くなってしまったビールの代替品として生み出したのでしょう。
 しかし、『スパークリングホップ』は、「ビールの代替品」というコンセプトを捨て去っているように感じられました。一口飲んで思ったのは、「ビールの材料を使っている果汁入りの香ばしいジュース」という印象でした。まるで「ビールっぽく無い」のです。この方向性を決めるに至ったのには、さぞかし思い切りが要ったと慮れます。
 「軽さ」「後味の残らなさ」「苦味の少なさ」は、『クリアアサヒ』に通じるものがありますが、『スパークリングホップ』は、ここからビールより遠ざかっていきます。味に「フルーティ」を加えました。「ジューシー」も加えました。それにより、果物の甘酸っぱさをも感じさせる仕上がりになっています。
 これは、おつまみが難しくなります。普通、ビールのおつまみになるようなものは、どれもしっくりこないと思われるお味なのです。大転換して、フルーツの盛り合わせをおつまみに飲んでみたり、冷菓をおつまみにするのも面白い飲み方かもしれません。私は、今度は冷凍庫でキンキンに冷やしたチョコレートと一緒に飲んでみたいです。…ふぃ~。

麦とホップ
 しっかり

 最後発の『麦とホップ』(サッポロビール)は、田村正和さんのCMが印象的ですね。「ビール歴40年。ビールと間違えました」というフレーズです。
 田村さんが仰るように、ビールに近づけることがコンセプトになっているので、『金麦』と似た雰囲気になっています。のどごしにインパクトがありますし、味はビールっぽくて、「新ジャンル」としてはしっかりと濃いです。その反面、クセは少なくて、口に入れた時の印象と、飲み込むときの印象が違ってくるのが大きな特徴でしょう。
 おつまみには、味は濃いけど、油がギチギチにつまっているようなものは若干合わないような気がします。ちょっとクセのある食べ物、チーズや川魚やジンギスカンを合わせて飲んでみたいです。…ひ、ひっく。

 私でも、夏はさすがに甘い物を食べる回数が減ってしまいます。どちらかというと、ちょっと塩気があって、脂っ気があって、味が濃い、肉食をしたくなります。このお供には、コーラやサイダーは任に適当ではありません。一口ごとに、ビシッと締めてくれる飲み物であることが必要となります。それには、ビール、発泡酒、新ジャンルの力を借りなければなりません。そして、少しでも経費を浮かそうとお考えならば、新ジャンルへと向かうことでしょう。そして、新ジャンルは味にしっかりとしたコンセプトがあります。好みや食事によって変えることもできるのです。素晴らしいではありませんか。…ぷはー。

 どて煮に、うなぎに、焼鳥に、コロッケ、メンチカツ、ハムカツ…。これら、夏の強豪と、新ジャンルは上手く渡り合えると思います。たらふく食べて、たらふく飲んで、「おなかいっぱいなのに、これだけ?」とレシートを見る快感。夏の密かな愉悦です。

 ふーーーー、ひ、ひっく。お、おやすみなさいませ。ぐー。

飲み比べ後
 飲みやすくても飲みすぎてはいけません


  ※本記事でご紹介したお品は、全てお酒です。未成年者の飲酒は法律で禁じられています。アルコールを召した後、車の運転は絶対にしないでください。大変危険であるとともに、法律により厳しく罰せられます。


・商品情報(価格は近所のスーパー価格)
 商品名:クリアアサヒ 350ml
 販売元:アサヒビール
 価格:135円

 商品名:金麦 350ml
 販売元:サントリー
 価格:125円

 商品名:スパークリングホップ 350ml
 販売元:キリンビール
 価格:133円

 商品名:麦とホップ 350ml
 販売元:サッポロ
 価格:128円


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ほめられて伸びるタイプなので、押していただけるとすごく喜びます。

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2008.07.06

ミスドの目玉商品『フルーツシュー』

 「軽い人」というのは、褒めことばにはならないでしょう。いい加減で、調子だけ良いという印象があります。「軽」という語を含んだ熟語で「人」を修飾したらどうなるでしょうか。「軽快」「軽鋭」「軽捷」「軽妙」などのことばを使えば、良い意味で「軽い人」になります。しかし、漢和辞典を引くと、「軽」を含んだ熟語は、圧倒的にマイナスイメージが付加されているものが多いです。
 では、「重い人」はどうかと言いますと…、これまた、褒めことばのようで、そうでない意味合いを含んでいます。「重厚」「重鎮」「重瞳」などと呼ばれることは良いと思います。問題なのは、だた「重い人」と言う場合です。これ以上は、本題から逸れきってしまいますので、深入りはしません。深入りすれば「重い人」になってしまいます。

 「軽いシュークリーム」。

 これにはプラスイメージがありますか? マイナスイメージがありますか? シュークリームの形態にもよりますが、生地はさっくりしたもので、中はバニラビーンズ入りのホイップカスタードのものが人気の大勢を占めているようです。
 以前は、とろり且つ粘り気のあるカスタードクリームのシュークリームが多かったように思います。少なくとも、私がよく食べていたスーパーやコンビニエンスストアの冷蔵コーナーに置かれていたものはそうでした。
 初めて「銀座コージーコーナー」さんのシュークリームをいただいたときは衝撃でした。「これが…、シュークリームなのかっ!!」と、劇画のように驚きました。この時、すでにコージーコーナーさんは全国に店舗展開していたのですが、私の地元には、コージーコーナーさんは出店されていません。それで「そうか。これが銀座なのだな。さすが銀座のお店のお菓子は凄い。首都の力は凄い。首都から遠いここに居る限り、このようなシュークリームに出会うことは無いのだな」と思い込んでしまいました。隣の県に行けば食べられるのに。
 その後、表舞台に颯爽と登場したお店が「ビアードパパ」さんでしょう。「これが…、シュークリームなのか!!」とまたもや劇画的に驚きました。パリパリのパイ生地に、ひらりと軽い生クリーム+カスタードの組み合わせは、実に見事です。ビアードパパさんのシュークリームが全国展開してから、生クリーム+カスタード+バニラビーンズのフィリングが一気に広まったように思われます。

 ミスドさんの夏の新製品も、この流れを踏襲しているようです。湿度の高い日本の夏は、しっかりと甘いものはなかなか手を出しづらくなります。いかにして、食べやすい「軽さ」を実現するかが、鍵になるでしょう。
 この『フルーツシュー』は、エアがたっぷり入った生地の中に、甘味を抑え目にして、酸味を強調したクリームを入れたお品になっています。

フルーツシュー・3種
 『フルーツシュー』 左から「白桃」「いちご」「マンゴー」

 手にとると、指を伝ってくるのは、「ほわほわ」とした優しい触感。これだけで、「何だか、軽くて、涼しい」と暑気にやられた頭を癒してくれている気になります。
 生地には、パウダーシュガーが掛かっていますが、生地には甘味をもたらすものはあまり含まれていないらしく、きつい甘さはありません。玉子の穏やかな香りが主となっています。
 中を見てみましょう。エアがふんだんに盛り込まれています。殆どエアです。いや、このように書くとなんだか損をしているようですね。書き換えましょう。「出しゃばらない生地の量」です。重さの大部分はクリームが占めているようです。体積の約65%がクリームと見て取りました。これは目測です。しかし、大きさはちゃんと測りました。直径は65mm(個体別誤差あり)でした。

 クリームは、マンゴー、白桃、いちごの3種類です。どれも爽やかなフルーツです。
 まず、熱帯の甘味、マンゴーから行きましょう。マンゴークリームから漂ってくるのは、濃密な甘い香り。しかし、食してみると、香りほどの強い甘味は覚えません。むしろ、すっきりした甘さと、酸味が表に出てきます。
 クリームの中には、小さなブロック状の果肉が入っています。これが、マンゴーのしゃくしゃくした繊維感をもたらしています。

 マンゴーに比べると、白桃はやや甘味が強く、酸味を抑え目にしているようです。こちらもまた小さなブロック状の果肉が入っていて、桃そのものの食感を与えてくれます。もともと、桃は、繊維とともに、しっとりとした瑞々しさを持っていますが、それがクリームと上手く調和しつつ、再現されています。クリームと合わさることで、とろりとなめらかな舌ざわりと味わいとなっています。

フルーツシュー・断面
 「いちご」の断面。清清しい香りが立ちのぼります

 いちごは、白桃とは反対に、酸味が強め、甘味を抑え目に設定しているようです。いちご果肉を加えたクリームは、まさに「甘酸っぱい」ということばがぴたりと当てはまります。いちごの酸味は、思いのほか強く、のどごしに刺激を与えます。少し滲みるくらいです。

 三つの『フルーツシュー』を一言言い表すとすれば、
 マンゴー…パッション
 白桃…モイスト
 いちご…ビビッド
と、なるでしょう。

 軽い食感で、甘すぎない味は、ぱくぱくといくらでも食べられそうな気がしますが、三つのお品をいただいたら、「あれ、たらふくだ」と思えるくらいに満たされました。
 価格も低く設定されていることも好感が持てます。

 ところで、この『フルーツシュー』をいただいている間、なんだか視線を感じていました。すわ、夏の怪談かっ! …と思ったら、見ていたのはお皿に置かれた『フルーツシュー』でした。『ゲゲゲの鬼太郎』の目玉おやじに似ているな、と思いました。
 今夏の「目玉商品」です。


 ◎商品データ
 商品名:フルーツシュー マンゴー
 価格:105円

 商品名:フルーツシュー 白桃
 価格:105円

 商品名:フルーツシュー いちご
 価格:105円


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