« 人々が帰り着く場所を讃う(季節のフルーツタルト、桃のタルト:キルフェボン) | トップページ | 渋い大人を魅了する大箱アイス(パルム:エスキモーアイスクリーム) »

2008.07.27

今日の「山」登りは「納豆山菜スパ」

 朝のうちから猛暑日になることが確かだと思われたある日、久しぶりにマウンテンの戸を開けました。平日、開店してまもない時間だったからでしょう。お客さんは一人もいません。がらんどうの山を見るのは初めてでした。
 どこにでも座って良いよ、と言われたので、窓際の明るい席に腰を下ろしました。渡されたメニューを眺めます。朝、このような静謐な雰囲気の中、あまりに激しいお品をいただく気にはなれません。出来る限り、穏やか(そう)なものを探しました。
 スパゲッティの和風。私はまだこの部門のお品をいただいたことがありません。いつも奇を衒って、何が入っているのか分からないようなものばかり選んでいたからです。たまには想像が付く様なものをいただいてもいいかもしれません。
 そして、スパゲッティ・和風の中から選んだものは、『納豆山菜スパ』。なんとも朝ごはんにぴったり(そう)なお品ではありませんか。ただ、素直に『山菜スパ』や『納豆スパ』にしないところは、私の心が少し歪んでいることの表れなのでしょう。

 私の『納豆山菜スパ』作りが始まりました。「私の」ということが分かるのも、店内にいるのが私だけだからです。少し嬉しかったです。「納豆山菜スパ」を作る鍋の音も独り占め、「納豆山菜スパ」を作る香りも独り占めです。香りまで分かることは、今までありませんでした。他のお客さんの注文が無いからこそ体感できることです。油が弾け、香ばしい匂いが漂ってきます。納豆のクセのある匂いが漂ってきます。いずれも「私の納豆山菜スパ」の匂いです。かなり嬉しくなってきました。

 10分後、「私の納豆山菜スパ」が届きました。

納豆山菜スパ
 山の幸と海の幸が手を取り合いました

 納豆と山菜と海苔が目に入りました。海苔の登場以外は予想通りです。安心していただけます。たっぷりの海苔の下には、白い麺に絡んだ山菜たち、わらび、きくらげ、たけのこが見え隠れしています。そして、ベージュの幾多の小片。納豆はひきわりです。調理過程で後半に鍋に投入された彼らは、小さなひきわりでありながら、香りでその存在を大いに主張します。

納豆山菜スパ・アップ1
 山菜は水煮のようです

 それでは、いただきます。

 あつい。

 それほど熱くはありません。暑いのです。なんなのでしょう、このホットさは。…見つけました。鷹の爪が一片、そして、もう一片。一本の鷹の爪が半分にされていました。静謐に、という思惑が横道に逸れてきました。
 味付けは、塩コショウのシンプルなものです。そして、ピリピリとする辛味。これがどうにも気になります。
 むちむちした麺をすくい上げると、山菜たちが一緒に付いてきます。もちろん、納豆は己の粘着力で麺にしっかりと抱きついています。麺の弾力と山菜のしゃきしゃきした食感が相俟って、じつに活動的なスパゲッティになっていました。静謐に、という思惑がまた少し横道に逸れます。

納豆山菜スパ・アップ2
 見た目は大人しいのですが…

 食べ進めるうちに、唇は納豆でぬめってきます。腫れぼったさと、舌への刺激は鷹の爪の成分によるものでしょう。だんだんと、汗が沸いてきます。暑い、とにかく暑いです。もう、静謐は捨てました。
 この暑さは想定外でしたが、次々を麺を口に運びたくなる、加速度をはらんだお味です。ひたすらに白い麺を掻き込みます。辛い、暑い、でもやめられない。
 15分後、額に汗をにじませて、完食です。どうにも暑いです。朝ごはんとしては、ややアグレッシブ過ぎました。でも、たらふくで満足です。
 お会計を済ませて、汗を拭き吹き、下山しようとしたところ、一人の男性とすれ違いました。彼は、席に腰を下ろす直前に「イタリアン!」と注文を済ませました。いつもの朝ごはんなのでしょう。

 ドアを開けると、涼しい風が身体を通り抜けました。お店に入ったときより温度が下がっているわけでは無いようです。鷹の爪の辛味のおかげでしょう。「たまには、汗だくの朝ごはんも悪くないな」と思いました。


人気blogランキング クリックしてくださると、もっとたらふくになれます。

|

« 人々が帰り着く場所を讃う(季節のフルーツタルト、桃のタルト:キルフェボン) | トップページ | 渋い大人を魅了する大箱アイス(パルム:エスキモーアイスクリーム) »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 今日の「山」登りは「納豆山菜スパ」:

« 人々が帰り着く場所を讃う(季節のフルーツタルト、桃のタルト:キルフェボン) | トップページ | 渋い大人を魅了する大箱アイス(パルム:エスキモーアイスクリーム) »