ミスドの目玉商品『フルーツシュー』
「軽い人」というのは、褒めことばにはならないでしょう。いい加減で、調子だけ良いという印象があります。「軽」という語を含んだ熟語で「人」を修飾したらどうなるでしょうか。「軽快」「軽鋭」「軽捷」「軽妙」などのことばを使えば、良い意味で「軽い人」になります。しかし、漢和辞典を引くと、「軽」を含んだ熟語は、圧倒的にマイナスイメージが付加されているものが多いです。
では、「重い人」はどうかと言いますと…、これまた、褒めことばのようで、そうでない意味合いを含んでいます。「重厚」「重鎮」「重瞳」などと呼ばれることは良いと思います。問題なのは、だた「重い人」と言う場合です。これ以上は、本題から逸れきってしまいますので、深入りはしません。深入りすれば「重い人」になってしまいます。
「軽いシュークリーム」。
これにはプラスイメージがありますか? マイナスイメージがありますか? シュークリームの形態にもよりますが、生地はさっくりしたもので、中はバニラビーンズ入りのホイップカスタードのものが人気の大勢を占めているようです。
以前は、とろり且つ粘り気のあるカスタードクリームのシュークリームが多かったように思います。少なくとも、私がよく食べていたスーパーやコンビニエンスストアの冷蔵コーナーに置かれていたものはそうでした。
初めて「銀座コージーコーナー」さんのシュークリームをいただいたときは衝撃でした。「これが…、シュークリームなのかっ!!」と、劇画のように驚きました。この時、すでにコージーコーナーさんは全国に店舗展開していたのですが、私の地元には、コージーコーナーさんは出店されていません。それで「そうか。これが銀座なのだな。さすが銀座のお店のお菓子は凄い。首都の力は凄い。首都から遠いここに居る限り、このようなシュークリームに出会うことは無いのだな」と思い込んでしまいました。隣の県に行けば食べられるのに。
その後、表舞台に颯爽と登場したお店が「ビアードパパ」さんでしょう。「これが…、シュークリームなのか!!」とまたもや劇画的に驚きました。パリパリのパイ生地に、ひらりと軽い生クリーム+カスタードの組み合わせは、実に見事です。ビアードパパさんのシュークリームが全国展開してから、生クリーム+カスタード+バニラビーンズのフィリングが一気に広まったように思われます。
ミスドさんの夏の新製品も、この流れを踏襲しているようです。湿度の高い日本の夏は、しっかりと甘いものはなかなか手を出しづらくなります。いかにして、食べやすい「軽さ」を実現するかが、鍵になるでしょう。
この『フルーツシュー』は、エアがたっぷり入った生地の中に、甘味を抑え目にして、酸味を強調したクリームを入れたお品になっています。
『フルーツシュー』 左から「白桃」「いちご」「マンゴー」
手にとると、指を伝ってくるのは、「ほわほわ」とした優しい触感。これだけで、「何だか、軽くて、涼しい」と暑気にやられた頭を癒してくれている気になります。
生地には、パウダーシュガーが掛かっていますが、生地には甘味をもたらすものはあまり含まれていないらしく、きつい甘さはありません。玉子の穏やかな香りが主となっています。
中を見てみましょう。エアがふんだんに盛り込まれています。殆どエアです。いや、このように書くとなんだか損をしているようですね。書き換えましょう。「出しゃばらない生地の量」です。重さの大部分はクリームが占めているようです。体積の約65%がクリームと見て取りました。これは目測です。しかし、大きさはちゃんと測りました。直径は65mm(個体別誤差あり)でした。
クリームは、マンゴー、白桃、いちごの3種類です。どれも爽やかなフルーツです。
まず、熱帯の甘味、マンゴーから行きましょう。マンゴークリームから漂ってくるのは、濃密な甘い香り。しかし、食してみると、香りほどの強い甘味は覚えません。むしろ、すっきりした甘さと、酸味が表に出てきます。
クリームの中には、小さなブロック状の果肉が入っています。これが、マンゴーのしゃくしゃくした繊維感をもたらしています。
マンゴーに比べると、白桃はやや甘味が強く、酸味を抑え目にしているようです。こちらもまた小さなブロック状の果肉が入っていて、桃そのものの食感を与えてくれます。もともと、桃は、繊維とともに、しっとりとした瑞々しさを持っていますが、それがクリームと上手く調和しつつ、再現されています。クリームと合わさることで、とろりとなめらかな舌ざわりと味わいとなっています。
「いちご」の断面。清清しい香りが立ちのぼります
いちごは、白桃とは反対に、酸味が強め、甘味を抑え目に設定しているようです。いちご果肉を加えたクリームは、まさに「甘酸っぱい」ということばがぴたりと当てはまります。いちごの酸味は、思いのほか強く、のどごしに刺激を与えます。少し滲みるくらいです。
三つの『フルーツシュー』を一言言い表すとすれば、
マンゴー…パッション
白桃…モイスト
いちご…ビビッド
と、なるでしょう。
軽い食感で、甘すぎない味は、ぱくぱくといくらでも食べられそうな気がしますが、三つのお品をいただいたら、「あれ、たらふくだ」と思えるくらいに満たされました。
価格も低く設定されていることも好感が持てます。
ところで、この『フルーツシュー』をいただいている間、なんだか視線を感じていました。すわ、夏の怪談かっ! …と思ったら、見ていたのはお皿に置かれた『フルーツシュー』でした。『ゲゲゲの鬼太郎』の目玉おやじに似ているな、と思いました。
今夏の「目玉商品」です。
◎商品データ
商品名:フルーツシュー マンゴー
価格:105円
商品名:フルーツシュー 白桃
価格:105円
商品名:フルーツシュー いちご
価格:105円
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