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2008.05.05

貴きものは小さきもの(冨貴寄:菊廼舎)

 このように「食べ物ブログ」を書いておりますと、ありがたいことに、お読みくださった方や、友人、知人から、「これ美味しいので、桜濱さん食べてみてください」と、お菓子などをいただくことが多くなりました。本当に感謝感激雨のち快晴になるくらい嬉しいです。
 今回ご紹介する、お菓子もそのようにしていただいたものです。「このお菓子、とっても美味しかったので、桜濱さんも食べてみて、感想を書いてくださいね」と東京から送ってくださいました。おぉ、都から東海道を渡ってきたお菓子。ありがたく頂戴いたします。

冨貴寄・外箱
 渋い色使い

 外箱からして、雅な感じではありませんか。菊の紋様に海老茶というのが粋ですね。さすが都のお菓子。この箱を開けますと、

冨貴寄・缶
 やっぱり渋い色使い

 紅色を地にして、いかにも縁起の良さそうな図案が描かれています。缶コレクターにはたまらない一品でしょう。コレクターでなくても、放擲するのが惜しくなってくるのではないでしょうか。子供だったら間違いなく宝箱にします。
 外箱、缶と順に見ていきますと、期待が高まってきます。紅色のふたをそろりそろりと開けてみると、

冨貴寄・中
 あざやかーっ!

 うわー、綺麗っ! それでもって、可愛らしい。箱は宝箱でしたが、中身は本当の宝物でした。彩り鮮やか、いろんな形のちっちゃいお菓子がいっぱいいっぱい、きっちりと詰まっています。テンション急上昇です。

冨貴寄・アップ
 かわいーっ!

 アップにしてみました。こんな風になっているのですよ。カラフルなのですが、目に優しい、いかにも「日本の色」といったお菓子が、色を変え、形を変え、入っています。花ですよ。うわー、うわー。かわいー。うわー、うわー。テンション、さらに上がります。
 とにかく種類が多いです。同じ形のものでも色違いだったりするので、実際に何種類のお菓子が入っているのか、完全に把握できませんでした。それでも、なんとか種類分けをしてみました。

冨貴寄・分別
 細かい作業は、根っからの癖です

 たぶん、大まかに分けて、上の写真のようになるはずです。大きいお菓子で25mm、小さいものは10mm、多いのは20mm前後のもののようです。お菓子の種類は、砂糖菓子、焼き菓子、豆菓子の3部門。それに味や色の違いのバリエーションがあるのです。

冨貴寄・分別アップ1
 砂糖菓子部門

 砂糖菓子は、お砂糖をきっちり固めたもの、落雁、金平糖といったものが入っています。固い砂糖菓子は口に入れると、ひんやりとした感じが舌を軽く刺激し、きちっとした甘さが伝わってきます。これを飴玉みたいに溶かしていくのもいいのでしょうが、私は溶けるのを待つことができなくて、ばきばきと噛んでしまいました。すると、いちどきに甘さがぱーっと広がり、しゅーっと急速に溶けていきます。この感覚はかなり楽しいです。艶やかな甘さだな、と思いました。三角や花の砂糖菓子は、甘さが90%なのですが、全くしつこさがありません。この甘さをこくりと飲み込むと、のどをすーっと流れていきます。それに伴って、甘さの「道」ができます。この甘さがのどにじんわりと留まり、長く残るのです。口で味わう甘さというより、のどで味わう甘さです。
 落雁。久しぶりにいただきました。懐かしいです。これは、口に入れた途端に、溶けよう溶けようと振る舞います。私はその振る舞いを「うん、うん、この溶け方が落雁なんだよね。懐かしいなぁ」と、思いながら、落雁を見送ります。甘く切ない感情があふれ出てきます。
 金平糖。これまた懐かしい。ノスタルジックな味です。味そのものは他の砂糖菓子とあまり変わりはないはずなのですが、なんだか違う気がするのです。小さいから? 丸っこいとげとげがあるから? 舌の上で転がす。これが金平糖の遊び方だ、と思いました。もちろん、小さくて、とげとげがあるから、楽しいのです。

冨貴寄・分別アップ2
 焼き菓子部門

 焼き菓子は、ひょうたん型のもの、丸型のものがあります。形は2種に大別されますが、形が同じものでも、お味に微妙な変化を持たせています。ごま、けしの実、ざらめ、のり、コーティング無しなどの違いです。ざらめのものは甘くて、のりのものはちょっとしょっぱくて、芳ばしい。このような味の変化があるので、飽きが来ません。次はどれにしようかな、という楽しみがあるのです。
 食感は、あられやお煎餅よりも、柔らかめ。ボーロに近いです。玉子ボーロの大人版です。ざっくりさくさくとしていて食べやすいです。これまた郷愁を誘うお菓子です。砂糖菓子は甘味に一途で情熱的でしたが、焼き菓子の方は、ちょっと落ち着いてしっとりとした感じ。ゆっくりといただいて、お茶をこくりと一口、というのが似合いますね。

 豆菓子は、ピーナツを使ったものと、黒豆を使ったものがあります。どちらもコーティングがされていて、味に変化を持たせています。コーティングはお砂糖メインで、豆の芳ばしさと相俟って、じんわりと伝わる甘さがあります。この豆のお味には、奥深さがあり、何時までも噛みつづけていたい、という気にさせられます。

 再び、同じことを書きますが、一つ一つ味が違っていて、飽きが来ません。これは作り手の妙技、上手さと言えるでしょう。それに加えて、とっても小さな一つ一つでも、きちんと作り込んでいて、その丁寧さに感動がありました。

 「冨貴寄」という名前も、また良いではありませんか。「吹き寄せ」だとなんとなく荒んだ雰囲気の言葉ですが、それに縁起の良い当て字をするのもまた、江戸の粋だなぁ、と思わずにはいられません。食べれば食べるほど、運が回ってきそうです。
 味の良さ、名前の良さ、これに酔いしれ、「やめられない、とまらない」状態におちいってしまいます。手が止まらないのです。普通のお菓子だったら、特に砂糖菓子、甘めの豆菓子だったら、せいぜい年の数ほど食べたら、「もう、これくらいでいいかな」という気になるものですが、この「冨貴寄」には、それが無いのです。いずれのお菓子も主張がしっかりとありつつ、しつこさがないからでしょう。あっという間に一缶を食べ切ってしまいそうな勢いが付くのです。でも、そこは「上品な大人のお菓子」と捉えて、「ぐっ」と堪えて、「また明日ね」と缶のふたを閉じるのが正しい食べ方だと判断しました。一息に食べてしまって、たらふくになるのには、もったいないお菓子です。

 たくさんある「冨貴寄」のお菓子ですが、私のお気に入りは、抹茶の丸い焼き菓子です。さっくりとした優しい歯ざわりに、柔らかい甘さ、品のあるお茶の香り。絶品です。

―――――

 実は、このお菓子、少し前…。いや、正直に申しますと、結構前。もっと正確に申しますと、バレンタインデーの時にいただいたお菓子なのです。とっても美味しくいただきましたので、すぐにでも感想を書きたかったのですが、なかなか、感想を書くまでの余裕がが無くて、延び延びになってしまいました。わざわざ贈ってくださったのに、本当に申し訳なく思っております。平にご容赦ください。
 さらに、申しますと、ブログ更新をおろそかにしている間に、いただいたものがまだまだあるのです。感想を書かなくて、本当に申し訳ございません。平にご容赦くださいませ。
 しばらくの間、本ブログで、唐突に「チョコレート」とか「春っぽいお菓子」が出てくる可能性が高いです。その時は「あ、桜濱がブログをサボっている間に、贈られたものなんだな」と思ってください。季節感が無いのは、大目に見てくださいませ。


◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:冨貴寄(ふきよせ)
 価格:いただきもの

・店舗データ
 店舗名:菊廼舎(きくのや)本店
 住所:東京都中央区銀座5-8-8 銀座コアビル地下1階
 営業時間:11:00-20:00
 定休日:「銀座コア」に準じる
 公式サイト:http://www.ginza-kikunoya.co.jp/
 アクセス:東京メトロ・銀座駅「A-4出口」直結。


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