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2008.02.14

ビターな気持ちでかじり付く、甘辛きこげ茶色(とんかつ定食:とんかつ比呂野)

 バレンタインデー。
 皆様、特に男性諸氏、チョコレートを手にすることができましたでしょうか。もちろん自分で購入したものではなく、プレゼントとしてです。「数え切れないくらいもらいました。虫歯が心配です」という方もいらっしゃることでしょう。しかし、「チョコレートは?」と訊かれても、黙って下を向き、家路につき、家に帰るとすぐに布団に入り、静かに枕を涙で濡らし、「来年こそは…」とそっとつぶやく方もいらっしゃるかもしれません。
 『神聖モテモテ王国』(ながいけん著)というマンガをご存知でしょうか。『週刊少年サンデー』(小学館)で1996年から2000年まで連載されていたギャグ漫画です。深田一郎という15歳の学生と、彼の父親だと言い張る奇妙ないでたち(下半身は常に白ブリーフのみ)の謎の宇宙人「ファーザー」が、「ナオン」(女性のこと)に好意を寄せては、果敢にアタックし、壮絶に散る(主にファーザーが)というパターンが、毎回、踏襲されています。ファーザーは何故か「自分はモテる」と思っており、ナオンを振り向かせるために一郎のアパートの部屋で計画を立てます。ところがその計画はファーザーの手によって展開されると、的外れなものとなり、どんどんと深みにはまっていき、散るのです。詳しくはWikipediaに載っていますので、ご興味がおありの方はお調べください。
 単行本第3巻には、バレンタインデーを取り扱った一編があります。冒頭の、一郎とファーザーの会話をご紹介します。

 一郎「…くっ、とうとうバレンタインが来てしまったか。」
 ファーザー「……かわいそうに。なかなか人類皆平等とはいかないもんじゃよね?」
 一郎「お前もらう気か? 別にへんな男に爆発物あげる日じゃないんだぞ。」
 ファーザー「チョコくれるんじゃろ? おい。チョコってこげ茶色でトンカツじゃないやつじゃろ?」
 一郎「食ったことないんじゃないか!?」

 …なんと、秀逸なセリフ回し!
 ファーザーと一郎の食卓は、何故か毎回トンカツなのです。ファーザーにとって、日常の食事であり、最高の食事はトンカツで、基準がトンカツなのです。

 枕を涙で濡らした皆様。ファーザーに見習おうではありませんか。
 2月14日はバレンタインデーです。2月15日は「バレンタインでチョコレートをもらえなかった人デー(略してVDCWMNHD)」とし、夕食にトンカツを食べるのです。(『神聖モテモテ王国』では略称が多く使われます。[例:MNO=もてない男] ただし、『神聖モテモテ王国』自体の略称は「キムタク」。当時の読者の公募で選ばれた略称です)

 都合の良いことに、名古屋はトンカツ文化が活発な地域。トンカツに味噌だれをかけた「味噌カツ」という美食が花開いた土地です。名古屋にしばらくの間住んでいれば、自分の好きなトンカツ屋さんの1件や2件は脳内データベースに蓄積されることになります。
 名古屋の味噌カツ屋さんの代表は、やっぱり『矢場とん』さんでしょう。名古屋の中心地、中区・矢場町にでっかいビルを構え、イメージキャラクターの化粧回し姿のブタが「どすこい」と、描かれています。その本店ビルの他にも、名古屋の主要地に店舗を構えています。
 『矢場とん』さんはメジャーすぎるほどメジャーで、別格の感があります。名古屋のトンカツ好きの人の脳内データベースには、『矢場とん』さん以外に、「穴場の名店」があるはずです。今回は、私のそのうちの一店をご紹介いたしたいと思います。

とんかつ比呂野
 お隣は系列店の喫茶店です

 「とんかつ比呂野」さんは、「穴場の名店」だと私は思いますが、「名古屋の美味しい味噌カツ屋さんはどこですか?」というアンケートを取ったら、名前の挙がる頻度の非常に高いお店です。

 メインメニューの「とんかつ」は、味噌だれかソースかを選択できるようになっています。でも、ここは定番の「みそかつ定食・たれ全掛け」でオーダー。

とんかつ定食
 ソースも良いけど、名古屋ではやっぱり味噌カツ

 定食は、とんかつに付け合せの野菜(キャベツ、トマト、サニーレタス、キュウリ)に、ゆかりがふりかけられたどんぶりごはん、わかめとみつばの赤だし、そしてお漬物の陣容となっています。
 まずは、とんかつ(今回は味噌カツ)を、慈愛の心を込めて見つめましょう。赤味噌をベースとしたたれは、ウスターソースや普通のとんかつソースなど、黒味が強いたれと違って、見る者の心を優しく包み込んでくれるような、まろやかで深みのある色合いをしています。まるでチョコレートのような色合い…。

とんかつ・アップ
 照り輝く味噌だれ!

 とんかつには、どこから食べ始めるかという問題が常に付きまといます。東海林さだお先生もそのことに言及したいらっしゃったと記憶しています。とんかつを食べる順番には、大きく分けて2種類が存在します。端から食べるか、中央から食べるかです。
 これは、議論を重ねることが必要と思われる重要な問題です。端から食べる人は、「整然」を重要視しているのだと思います。一方、中央から食べる方は、最重要地点を真っ先に抑える戦術を取っていると考えられます。私は、後者に属しています。まず、そのとんかつの旨みの中心を、無垢な舌で感じなければならないと考えているからです。
 では、中央のお肉を取り出だします。

とんかつ・断面
 みっしりとお肉です。食べ応えアリ!

 約170mm×約90mmのとんかつは、8つにカットされています。その4番目部分は、肉厚15mm、約15%の脂身と約85%の肉で構成されていました。衣は薄く、細かめのパン粉をまとっています。
 さて、いただく前に、儀式を一つ。2月15日のとんかつの夕餉が有意義なものとなるように、「乾とんかつ」です。

乾とんかつ
 できるだけ楽しい気持ちでお肉を合わせましょう

 両手に持ったお箸で、二切れのお肉をやや勢いをつけて合わせます。一人で。ここで本当に乾杯の時のように「かんとんかーつ」と声を出してはいけません。お店の人や周りのお客さんに怪しまれます。「かんとんかーつ」は心の声に留めておいてください。

 「乾とんかつ」を済ませたら、ようやく実食です。いただきます。
 まずは歯にサクサクの衣が当ります。やや時間を置いて、味噌だれを吸って、やや柔らかくなった衣の感触と香り。甘味としっかりとコシの入ったたれの合わせ技。甘さと味噌の塩気の組み合わせは、コロンブスのアメリカ大陸到達に匹敵する邂逅だと思わざるを得ません。
 この甘辛さが口に残っている間に、ごはんを頬張ります。…「ごはんの友」の実力者「明太子」とタメを張れると思います。
 たまらず、次なる一切れに。サクサクと食べられるのです。油切れが良く、衣にしつこさが全くありません。また、お肉の脂身の旨さ。じんわりと体の隅々に行きわたる脂の甘さ。これが包容力というものなのでしょう。
 ついつい脂身の旨さを強調してしまいましたが、お肉の本体部分の旨さも言わずもがなです。みっしりと詰まったお肉は、かじると、清涼感と重量感の両方を合わせ持った豊潤な香りと味を口腔内に広げます。いくら噛んでも、その旨みは次から次へと立ち現れ、永遠に尽きることがないのではなかろうかと思わずにはいられません。
 中央に空いた、二切れ分のとんかつの空間。付け合せのキャベツをその空間に残った味噌だれに付け、一口。さっぱりしたキャベツに濃厚なたれの組み合わせは、肉の旨みを残しつつ、口直しの効果も発揮します。
 もうここまで来ると加速度がつきます。肉、野菜、ごはん、お味噌汁に陶酔し、お箸が止まりません。お肉は中央から端へとその姿を消していき、それに伴い、どんぶりのごはんもみるみる間に無くなっていきます。
 おっと、あまりに勢いよく頂いていたために、のどにつかえてしまいました。ここでお味噌汁をくいっと。赤味噌に赤味噌。なめらかにのどを潤します。

 最期の一口のお肉になりました。ここで、

 「すみません。ごはんと赤だしのおかわりをお願いします」

 比呂野さんでは、定食を注文すると、ごはんと赤だしとキャベツのおかわりが自由なのです。たらふくになれるシステムが備わっているのです。味噌カツがいかにごはんに合うのかを、ちゃんと分かっていらっしゃる店主さんのお心を見た気がします。

 残りの一口のお肉を口にし、熱々のごはんでそれに合わせ、赤だしでその余韻を楽しむ。お肉は無くなりましたが、味の記憶で、どんぶりごはんと赤だしをいただきます。

 味噌カツがある文化圏に住まうことができたことを、神に感謝します。

―――

 『神聖モテモテ王国』第4巻で、ファーザーはこのように言っています。

 「トンカツとはトンに勝つ……つまり己に克つ事じゃよ。それを食べちゃうのだから、つまり何かに勝った様な気になるわけよ。」

 勝てるのです。トンカツはチョコレートにも勝てるのです。

 2月15日の夜は、さぁ、レッツ・トンカチックディナー!


 『神聖モテモテ王国』の単行本1~6巻(未完のため全6巻ではありません)は、永らく絶版となっていましたが、コミックパークさん復刊してくださいました。元の単行本に比べ割高(約2.5倍)になっています。万人にオススメするには、やや躊躇ってしまうマンガではありますが、ギャグ漫画がとにかく好きという方はご一読を。
 復刊本の売れ行きによっては、単行本未収録話を収めた「第7巻」が新たに発行される可能性もあるとのこと。ご購入をお願いいたします。もちろん第7巻を渇望する私のためにじゃよー!

 (2008.05.06追記)
 『神聖モテモテ王国』(略称:キムタク)ファンの想いがコミックパークさんに伝わり、なんと、8年ぶりに、続刊となる「第7巻」が発売されることが、コミックパークさんからアナウンスされました(復刊された1~6巻の売れ行きが好調で、小学館からOKが出たようです)。早ければ、2008年5月中に発売されるそうです。なお、「第7巻」は、手作り&完全注文生産のため、一般の流通ルートは通らず、コミックパークさんのみの販売になるらしいです。内容は、単行本未収録の週刊少年サンデー掲載分+ヤングサンデー集中連載分になるとのこと。

 ギャワワー! この追記はトンカツと関係ないじゃろー!
 でも、かーんげきーいー、早く喜びの酒、松竹梅を買ってきてー。


◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:とんかつ定食
 価格:¥1260

・店舗データ
 店舗名:とんかつ比呂野
 住所:名古屋市昭和区山花町116
 営業時間:平日11:00-15:00,17:00-21:30 土日祝11:00-15:00,17:00-22:00(L.O.各30分前)
 定休日:無休
 アクセス:名古屋市営地下鉄「川名駅」直上、「川名交差点」を北へ約200m。「川原通7交差点」を右折し約50m、次の信号を左折し直進。約300mの右手。(山花町バス停向かい)


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2008.02.10

愛すワインで食後に貴族体験してみませんか(ヴィタ アイスワイン ヴィダル:カナディアン アイスワイン ギャラリー)

 バレンタインデーにチョコレートを贈ろうと思われても、贈る相手の方が甘いものを好まないというときがままあると思います。それでも、「気持ちだから」と、チョコレートを贈れば、受け取った方はいくら甘いものが得意ではないとしても、悪い気はしないでしょう。しかし、より喜ばれるものを贈ったほうが、贈る側も贈られる側も気分はよいと思います。
 よく、甘いものを好まない方は、「自分は『酒呑み』だから、甘いものはちょっと苦手」と言われるようです。それならば、お酒好きにも受け入れられるものでバレンタインデー気分を味わっていただけるものを贈ってみてはいかがでしょうか。

 さて、そのようなものがあるだろうか…。と、松坂屋本店さんの催事「バレンタインデー チョコステーション」で、チョコレートを試食しながらふらふらと歩いていると、その一角にアダルトなコーナーを見つけました。そこで、「ご試飲いかがですか」と差し出されたのが、この「アイスワイン」です。

ヴィタ アイスワイン ヴィタル
 ワインを凍らせたの?

 いただいたリーフレットによると、アイスワインとは「自然に凍った完熟葡萄から造られるワイン」を指すのだそうです。これだけだと、「ふーん、凍った葡萄を搾るのか」とだけ思われるかもしれません。しかし、このワインの製造には、とても大きな力が費やされているのです。まず、凍った葡萄からは通常の1/8程度の果汁しか搾られない、すなわち、8倍の葡萄が必要となるわけです。さらに、葡萄が自然凍結するまで実らせておかねばならず、その期間、虫害・鳥害を受ける危険性が高まります。その後、ようやく収穫となるのですが、寒い中で手作業で丁寧に収穫して、搾汁となるために、その労力は「さぞかし大変だろうなぁ」と想像されます。
 そのようにして、醸造されたアイスワインは、糖分が凝縮されて、甘みの強い、存在感のあるものに仕上がっています。そのため、希少価値が高いです。その高さは、価格と比例することに容易に思い当たります。私の自腹では、ゴクゴクと飲めるワインではありません。リーフレットには、「一部の貴族が好んで愛飲し」とあります。私は貴族ではありません。悲しきかな、逆ベクトルに向かっている者です。
 でも、美味しい。試飲をした後、チョコステーションをいろんなチョコレートの試食をしながら3周ほどしましたが、アイスワインのお味のインパクトがあまりに強くて、チョコレートの味がよく分からないほどでした。
 結局、アルコールコーナーに向かい、一番小さな50mlのボトルを一本購入です。味見をするならこれくらいのサイズで十分でしょう。と、ゴクゴクと飲みたい自分に言い聞かせます。

ヴィタ アイスワイン ヴィタル・中身
 一番小さいのしか買えませんでした

 家の冷蔵庫で、しっかりと冷やして、ボトルの1/3ほどをグラスに、金色に輝く白ワインをちょっぴりと注ぎます。とたんに、グラスの周りにふわりとした、爽やかな香りが漂います。グラスを口元に持っていくと、瑞々しい果物が現れます。そして、軽くグラスを揺すると、さらにすっきりと心地良く、且つ強い甘味と酸味が香ってきます。なんだか、一歩、貴族に近づいた気がします。
 香るだけでは、つまらないです。飲んでこそのお酒です。しっかりと香りを楽しんでから、これまた、ちょっぴりと口に含みます。「あれれ、果汁100%ジュースだ」と思うほどの甘み。アルコールがほとんど感じられません。アルコールがいるのは分かるのですが、「ツン」とくるアルコール特有の感触がほとんど無いのです。豊潤で上品な甘みが強く広がります。しかし、100%ジュースのようですから、その甘みはすっきりとしており、嫌味がありません。軽く飲めるのです。
 さらにもう一口。今度は、ちょっぴりと口に含んでから、空気を通します。すると、甘みを上回るもう一つの味わい、「果実の旨み」が舌で弾けるように立ち上がるのです。甘さだけではない、大地と太陽の力を一杯に取り込んだ旨みです。「豊かさ」とはこのようなものでございますのね。おほほほ。また一歩、貴族に近づけたようです。

ヴィタ アイスワイン ヴィタル・中身
 何故か5人、手をつないでいます

 ちょっぴりと、グラスに注いで一回香りを楽しみ、グラスを揺すってもう一度香りを楽しみ、口に含んで、舌に乗せ、空気を通して、のどの奥で味わう。これを3回繰り返すと、小さなボトルの中は空になりました。その途端、夢幻の宮殿から、現実のアパートの部屋に引き戻されました。15分間の貴族体験でした。
 これを召し上がられる時は、お食事でたらふくになった後に、デザート代わりにゆったりと味わわれるのが良いのではないかと思います。貴族になれます。

 アイスワインはラベルに書いてあるように、かなり「Sweet/Doux」、つまり甘いです。しかし、単なる甘口ワインというわけではなく、丁寧で、重厚さを持ったお酒ですので、甘いものを好まない方にも喜ばれるのではないでしょうか。甘いものもお酒もOKの方でしたら、チョコレートに、今回ご紹介した小さなアイスワインのボトルを付けて贈られるのもお洒落だと思います。

 わずかな時間、貴族体験をして、お片づけをしようと立ち上がったところ、「ふらっ」としました。いくら甘くて飲みやすくても、やっぱりアルコールなのです。度数11°。足にきました。油断していました。このふらつきで、貴族から完全に遠のいたことを実感しました。


※今回ご紹介した「ヴィタ アイスワイン ヴィダル」はお酒です。20歳未満の方は本品をお召し上がりになれません。飲酒運転は法律で禁止されています。


◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:ヴィタ アイスワイン ヴィダル(Vita Icewine Vidal) 50ml
 価格:¥1260

・店舗データ
 レーベル名:カナディアン アイスワイン ギャラリー
 輸入元:株式会社イレブンインターナショナル
 住所:大阪府大阪市中央区谷町4-2-6
 公式サイト:http://www.cig-jp.com/


※松坂屋名古屋本店催事「マツザカヤ バレンタインデー チョコステーション」1/31~2/14 本館7階 大催事場


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2008.02.09

見ただけでは分からない。あふれるように溶けるこの心(フォンダン・ショコラ:シェ・コーベ)

 今年はバレンタインデー前の週末が3連休となっているので、その間、各百貨店の催事場は活気にあふれたものになっていることと思います。
 私は少しフライングして、連休前にいくつかの百貨店を回ってきました。「日本三大甘味日」の一つ(他は「誕生日とクリスマス」)と言われますが、三大のうちで最もフェミニン度の高い日となっています。したがって、私のような者が、のこのことチョコレートまみれの催事場に入り込むと、完全に浮いてしまいます。しかし「甘党」と標榜している限り、そんなことは気にしてはなりません。己に合った甘味を得るために、ダークブラウンの海を突き進むのみです。

 最初に向かったのは、三越名古屋栄店の催事「スイーツ ギャラリー」です。
 催事場のどのショーケースの中身を見ても、いただきたくなりますが、味・フォルム・お財布の中身などを考慮して、厳選せねばなりません。
 そうは言いましても、選択肢はかなり多岐にわたります。そこで、「まず、今年は名古屋のお店のチョコレートを試してみることにしよう」という方針を、名古屋のお店じゃないチョコレートをもぐもぐと試食しながら、打ち立てました。
 私は、甘味については、見た目に惹かれ勝ちな性質を持っていて、ついついきらびやかなお菓子に手を出して、「う~ん、イマイチだった…」ということが少なくありません。その前轍を踏まえて、きらびやかに目を奪われないように細心の注意を払いつつ、「味重視」の姿勢で、もぐもぐと試食を繰り返しました。
 シンプルなたたずまいのチョコレートでも、なんだか物足りないなぁというものもあり、もぐもぐと口を動かしながら、思案に暮れました。
 そんな中、「おっ、これはっ!」と思うものに、ようやく泳ぎ着きました。名古屋市瑞穂区のパティスリー「シェ・コーベ」さんの「フォンダン・ショコラ」です。

フォンダン・ショコラ ケース
 おとなしい感じのケースです

 名古屋では上品なケーキ屋さんとして名の通っている「シェ・コーベ」さん。チョコレートでも、まず間違いは無いはなかろう、と試食をする前から推量しました。試食して、その推量は、確信に変わりました。今年のバレンタインチョコの一つめを獲得です。
 バレンタイン催事場を一通り見ていると、「生チョコ勢力」と「トリュフ勢力」がかなり幅を利かせているようです。この「フォンダン・ショコラ」も生チョコなのですが、蒸し焼きにした「半生タイプ」となっていて、他の生チョコとは一線を画しています。

フォンダン・ショコラ 中身
 しっとりしているのが分かりますか?

 銀色のカップに入ったチョコレートを取り出すと、指にしっとりと柔らかい感触が伝わってきます。取り出して、そのまま指でつまんでいると、どんどんととろけていきます。指の熱だけで溶けきってしまうぞ、と慌てて、口に入れると、濃密なカカオの香り。生チョコの溶けかたなのですが、何かが違います。普通の生チョコは、口にすると、一旦、その形を保持した上で、徐々に表面から溶けていくように思います。しかし、このフォンダンショコラは、「ふっ」とその体積を増したかと思った瞬間、外側と内側、その両側からいちどきに溶けきってしまうような食感なのです。

フォンダン・ショコラ 1個
 生チョコをスチームすると、こんなになめらかになるとは

 口の中で、なめらかに、瞬く間に溶けていく間、強い甘さとカカオの香りが、口の中を占めます。そのお味と香りが長く続く密度の高さ。それでいながら、繊細さを持ち合わせているので、「かなり濃い!」とは思うのですが、雑味がありません。上品なのです。
 ある程度、溶けてしまうと、キレのいい香りがよぎります。アールグレイの茶葉が含まれていて、それが後味に「澄み」を加えています。その「澄み」は、後味の一瞬のアクセント。颯爽と現れて、颯爽と立ち去ります。

フォンダン・ショコラ 断面
 見た目では分かりませんが、アールグレイが良いのです

 アクセントはあっても、ベースは濃い甘味と香り。この二つはかなり後まで舌に残ります。濃厚さ。でもそれだけではない「+α」を求めるならば、この「半生チョコ」はベストでしょう。濃密、ふくよか、清澄、繊細…、見た目はシンプルながら、複雑な味わいのチョコレートなのです。

 一個の大きさは、直径約40mm、高さ約15mmと、取り立てて大きくも小さくもありません。しかし、一ついただいただけで、かなりのたらふく感、満たされた感じが得られるでしょう。

 ついつい、きらびやかなものに目が行ってしまいますが、過剰な飾りを排したものをしっかりと見極めないといけないな、と思わせてくれたチョコレートでした。


◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:フォンダン・ショコラ(4個)
 価格:¥1050

・店舗データ
 店舗名:パテスリー・シェ・コーベ(本店)
 住所:名古屋市瑞穂区弥富町緑が岡2
 営業時間:10:00-22:00
 定休日:水
 公式サイト:http://www.chezkobe-pati.jp/
 アクセス:名古屋市営地下鉄「八事駅」直上の交差点を南(三菱東京UFJ銀行方向)へ。銀行前の交差点を右(山手グリーンロードに沿う)。そのまま約400m直進。「雲雀ヶ岡交差点」を直進して、約50mの左手。


※三越名古屋栄店催事「スイーツ ギャラリー」2/6~2/14 7階催物会場


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2008.02.07

豊かさをふんわり包み込むリッチドーナツ第2弾

 指でつまみあげただけで、くしゃりとつぶれそうなくらい繊細な食感、玉子とバターの濃厚な香りで、ミスドファンを虜にしている「リッチドーナツ」。
 北海道地区のみで販売されていた、リッチドーナツの第2弾「イーストシェル・リッチドーナツ」が全国発売となりました。さて、その実力や如何に。第1弾以上のインパクトを見せてくれるでしょうか。

 1月23日の発売開始から、一週間ほどの時間おいて購入に向かいました。すると早速、その力を見せ付けてくれました。夕方だったせいもあるでしょうが、新発売された5種類のうちの一つ「マロンホイップ」が売り切れとなっていたのです。ミスドファンの注目のほどがうかがわれます。そして、しばらく店頭で様子を見ていたのですが、「エンゼルクリーム」も次から次へと売れていき、どんどんと補充がされていました。その様子を見る限り、「イーストシェル・リッチドーナツ」は成功といえるでしょう。

 では、私もいただくことにしましょう。上に書きましたように、「マロンホイップ」が購入できませんでしたので、今回は、「エンゼルクリーム」「カスタード」「北海道あずき」の感想を書くこととし、「ビターチョコ」と「マロンホイップ」の感想は、また後日といたします。

リッチドーナツ第2弾・3種
 

 シェルタイプドーナツですので、外見からは以前のものとの違いがはっきり分かりません。その代わりでしょうか、中のクリーム(フィリング)をイメージさせる色のケースに入っています。裸だったものが服を着たようなものですから、「おぉ、リッチだ」と思いましたが、「裸のままでいいので、その分、お値段を下げてほしかったな…」と、我ながら浅ましいなという思いにも、恥ずかしながら、捕らわれてしまいました。

 それでは、最も良く売れていて、最もたくさん用意されていたと思しき「エンゼルクリーム」からいただいてみましょう。直径は約75mm、厚さの最大値は約35mm。大きさは別にリッチになっていないようです。
 ケースから取り出すと、手には、表面にまぶされたシュガーパウダーが付着します。お手ふきを用意したほうがいいでしょう…。と、ここまで書いたところで、「あ、手が汚れないようにケースに入っていたのか!」と思い至りました。気配りがリッチです。ですが、ケースに入れたままでは食べにくいです。結局はケースから取り出して、直にドーナツを手にすることになるので、やっぱりお手ふきの御世話にならざるを得ません。お手ふきを用意した上で、ケースを見ながらリッチを感じるのが、このドーナツの対処法なのかもしれないと思いました。

 指先にざらりとしたお砂糖を感じながら、一口。外側は前のシェルドーナツよりも、「さっくり感」が増し、内側は「ふっくり感」が増しているように思いました。お味はいたってシンプル。軽い口当たりで、くどさは全く感じません。
 よって、リッチドーナツ第1弾ほどの、「劇的な」変化は感じられませんでした。良く言えば、クセの無くて多くの人の口に受け入れられる生地、ちょっと厳しめのことばを使えば、マイナーチェンジ版に留まっているかな、と思いました。期待が高かっただけに、やや残念な気もあります。

 「エンゼルクリーム」のフィリングのホイップクリームは、生地との相性が良いでしょう。軽い食感も抑え目の甘さも渾然一体となり、さくさくと食べ進めることができます。

リッチドーナツ・エンゼルクリーム
 淡雪のような雰囲気

 「カスタード」は以前もありましたが、そのお味は、はっきりと分かるくらいに変化を遂げています。まず気付くのは、バニラビーンズの効果です。これで、香りのアクセントが増しています。
 以前のカスタードは、ややねっとりとしていましたが、さっくりとした軽さを持っている上に、お味の方でも、甘さが濃すぎることも無く、生地とマッチしています。

リッチドーナツ・カスタード
 軽さが増しました

 私は以前から、「ミスドでもあんドーナツがあればなぁ」と思っていました。ここにきて、ようやく「北海道あずき」という名前のリッチドーナツで登場です。今回のリッチドーナツ第2弾で一番楽しみにしていた「北海道あずき」。さて、どのような力を見せてくれるでしょうか。
 フィリングのあんこはつぶあん。粒を大きく残した形で炊かれています。なので、つぶつぶした食感ははっきりと分かります。あんこの甘さはやや控えめ。その分、あずきのお味が強めに出ているので、甘~いあんドーナツがお好きな方は肩透かしを受けたように思われるかもしれません。私も、「うーん、もうちょっとあんこが甘くても良かったかも」と思ってしまいました。なにしろ、元々、「あんドーナツ」という多数の支持を得ている確立した存在があるのですから、スタンダードな形を崩さずに、甘さやや強め、油がちょっと強いかも、と思うくらいの形態を取ったほうが自然なのではないだろうかと思ったのです。しかし、「リッチドーナツのあんドーナツ」とするならば、新食感のあんドーナツを呈示しているのを評価すべきなのかもしれません。

リッチドーナツ・北海道あずき
 もっと「あんドーナツ」っぽくても良かったかも

 さすがにフィリングの詰まったシェルドーナツを3つ、立て続けにいただくと、たらふくになります。最初に「ビターチョコ」と「マロンホイップ」は購入できなかったために、それらの感想は後日と書きましたが、このボリュームでは購入できていたとしても、さすがに残り2つをいただけるほどおなかに余裕がありません。
 それでは、「ビターチョコ」「マロンホイップ」の感想と、リッチドーナツ第2弾の総評はまた今度といたします。


◎商品データ
 商品名:リッチドーナツ・エンゼルクリーム
 価格:¥147

 商品名:リッチドーナツ・カスタード
 価格:¥147

 商品名:リッチドーナツ・北海道あずき
 価格:147


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