色とりどりの白い山はふんわりと
今年のミスタードーナツさんの一番の話題は、なんといっても「リッチドーナツ」でしょう。あの香りと食感。
特に食感は格別でしたね。手で持ち上げただけで、形が崩れてしまうくらいの、可憐さ。徹底的に「ふわふわ」を追求しています。
そして、ミスドさんは、年末のクリスマス商品も「ふわふわ」に想いを込めました。それが「ふわふわモンブラン」。モンブランといえば、一個いただけばたらふくの、濃厚でどっしりとしたイメージのスウィーツです。それが「ふわふわ」。一体、どのような「手」を打ってきたのでしょう。 「ふわふわモンブラン」は「チョコ&ホイップ」「マロン&ホイップ」「いちご&ホイップ」「抹茶&ホイップ」の4種類の展開となっています。いずれも、人気のお味をモンブラン化したと思われます。
それでは、何が、どのように、どれだけ、「ふわふわ」なのかを見ていきましょう。
最初は、一番、スタンダードな感のある「チョコ&ホイップ」からいきましょう。
そういえば、モンブランの「そうめん状」にはどのような意味があるのでしょうか? そして、「そうめん状」にすることでどのような効果が生まれるのでしょうか? あの「そうめん状」のことを何と呼べばいいのでしょうか? 本当の山の「モンブラン」は「そうめん状」じゃないのに、何故「そうめん状」にしたのでしょう…? モンブランを見る度に次から次に、謎が浮かんでくるのですが、目の前のモンブランを早くいただきたくて、謎は後回しにしてしまい、食べ終わったら、モンブランの美味しさに頭を占領されて、謎は遥か彼方に行ってしまいます。モンブランの謎がお分かりの方はコメント欄ででもお知らせ下されば幸いです。
左「チョコ&ホイップ」、右「マロン&ホイップ」
さて、本題に戻りましょう。その「ふわふわモンブラン」の「そうめん体」にフォークを立てると…、
おっ、「ふわふわ」だっ。
中身が「ふわふわ」なのかと思いましたら、「そうめん体」が「ふわふわ」だったのです。ちょっと意外。フォークがさっくりとモンブランクリームに入っていきます。
それではクリームを一口。
…と、その前に、付属のチョコレートバーをいただきましょう。…あー、これは至って普通のチョコレートバーですね。はっきり言ってしまえば『小枝』です。
今度こそ、クリームを一口。
うむ、見た目はモンブランなのですが、味はしっかり濃厚なチョコレート。しっかり濃厚に甘いです。これはチョコレートクリームにホイップクリームをかけ合わせたような食感です。
断面は結構複雑です。
紙カップの縁まではスポンジケーキがです。その上にモンブランクリーム。モンブランクリームの内側にさっくりと、これまた軽い白いホイップクリームが込められています。これは他のドーナツと同じホイップクリームでしょう。おや? まだ中になにかありますね。おっと、これはカスタードクリームです。スポンジケーキと同じ色合いなので、初めは気付きませんでした。このカスタードクリームは、とろりと柔らかくて、「ふわふわ」のモンブランクリームを阻害するものではなくて、むしろ、助力する効果を持っています。単に「ふわふわ」の軽さだけを追求せずに、方向性の違った軽さを提供するご姿勢に好感が持てます。
カップの中のスポンジケーキは、もちろん「ふわふわ」。お味はそれほど甘くはなっていないようです。クリームが甘い分、こちらの甘さを抑えているのでしょう。
「マロン&ホイップ」は、上の「そうめん状」が「チョコ&ホイップ」よりも淡色。それ以外は、「チョコ&ホイップ」と同じ構造です。これは、「いちご&ホイップ」「抹茶&ホイップ」も同じです。ですので、以降は、それぞれのモンブランクリームとそれ以外の部分との相性を見てみましょう。
「マロン」は、渋皮の香りがきちんと再現されています。本物のモンブランに一番近いのがこれですね。栗の味と香りは、やや重厚な味わいが合っているので、ホイップクリームよりも、中心にあるカスタードとの相性がいいようです。
左「いちご&ホイップ」、右「抹茶&ホイップ」
「いちご&ホイップ」はイチゴの香りがかなり強く立ちます。加えて、イチゴ特有の酸味もしっかり。「ふわふわ」の軽さから言えば、一番、それらしいお品だと思います。ただ、モンブランの観点からいくと、一番かけ離れているような…。
最後に「抹茶&ホイップ」です。根強い人気のある抹茶味のモンブランクリームです。そのままでは感じ辛いですが、クリームを口に入れると、すっきりした芳ばしい抹茶の香りがいっぱいに広がります。この香りは、結構強くて、のどを越しても後を引くように残ります。抹茶の清涼感はありますが、苦味までは再現されていません。お子様も召し上がるものですから、苦味が無いのも正解でしょう。
ここで、根本問題。「ふわふわモンブラン」は、果たしてドーナツなのか?
否。
カップケーキです。ドーナツではありません。ミスドさんはドーナツを手放して、今期のクリスマス商品はカップケーキに託したのです。
「ふわふわドーナツ」のCMで、このお品のことを「小さな幸せだね」とやや自虐的に言っています。直径65mm、高さ55mm。小さいと言えば小さい。ミスドさんのお品としては、それほど小さいとは思いません。ただ、それぞれは¥189。ミスドさんでは高額商品。カップケーキにしては、ややお高いかなぁ。
こんな小さなことを気にしてしまう私を、神様、お許しくださいませ。
◎商品データ
商品名:ふわふわドーナツ チョコ&ホイップ
価格:¥189
商品名:ふわふわドーナツ マロン&ホイップ
価格:¥189
商品名:ふわふわドーナツ いちご&ホイップ
価格:¥189
商品名:ふわふわドーナツ 抹茶&ホイップ
価格:¥189
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コメント
>みんたさん
明けましておめでとうございます。ブログが放置状態になっていたために、レスが遅れてしまいました。申し訳ございません。
モンブランの元祖ですが、書いてくださった頁を見ましたが、なんとなく分かるような、分からないような…。日本独自なんですね。でも、なんであれになったのか??? ところてんが頭にあったからでしょうか。
投稿: 桜濱 | 2008.01.02 19:47
美味しそうですねえ、最近遠ざかってしまったけどこれを食べにミスドに行こうかと思ってしまいます。
栗じゃなくてもモンブラン、これはたしかに引っかかります。あのそぼろというか麺状になった栗のペーストは日本独自のものとはきいていましたが、その形だけから発展したネーミングなわけですね。
日本流、は知っていましたが発祥となるとハテ?だったので調べたら、簡単でわかりやすいのはこちらでした。さすがプロ。
http://www.yougashi-club.com/about/history.html
面白いけどこれでも、桜濱さんの疑問そのものはとけないかもと思いました。自分でもちょっと違和感です。それで推測ですが、フランスのケーキ職人が「モンブランの見えるあたりで食べてた栗ペースト菓子が元だから」と作ったケーキに名前をつけ、そのお菓子を習った日本の職人は大元を知らず栗ペーストがのっていればということで憶え、和菓子の餡そぼろのイメージで飾りに見えるようにしたもの…があの麺状しぼりなんじゃないでしょうか。
高度成長時代に全国で、町の小さな和菓子屋さんがケーキも作り始めたケースは多かったようで、あのペーストがほとんど羊羹を絞ったようだったりいかにも和風な姿のものも以前はよく見かけました。ペーストがあきらかにサツマイモだったことも多いです。それで上記のように考えたのですけどね。それなりにどれも美味しいなかで、東京の大使館が多い界隈のものは一味ちがっていたのも思い出です。
…そういう、日本の職人さんたちの苦労のあとを継いでいるのかなと思うと、ミスドさんのカップケーキもお味と名前がミスマッチとか言わず許せるような気がしてくるのです。
さて、近所でまだ手に入るでしょうか、行かなくては…
投稿: みんた | 2007.12.09 23:10