青の流れは彩り目映く(黒べい銘菓詰合:赤坂青野)
一つの宅配便が届きました。
中を開けてみると、お菓子がぎっしり。夢か? これは夢なのか?と思わずにはいられない素敵な風景。
夢ではありません。先日、友人の出産お祝いを贈ったのですが、そのお返しにと、彼女が送ってくださったのです。
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私の贈り物が届いたときに、彼女は、
「桜濱さんに、お返しをしたいんですけど、何がいいですか? お菓子でいいですか?」
もちろん、もちろん。お菓子、言うこと無しです。
「何かリクエストがあれば、それをお送りしますよ」
彼女は東京に住んでいます。せっかくなので、東京でしか買えないものをリクエストすることにしました。しばらくネットで調べて、出した結果、
「「赤坂青野」さんの『ごま名月』が食べたいですっ!」
と、リクエストを出したのです。
「はーい、分かりました。それじゃ、桜濱さんのリクエストにプラスして、私がオススメのお菓子を送りますね」
なんと! バリューセットでの贈り物をいただけるというのです。狂喜乱舞。
―――――
と、このようなやり取りがあって、最初のお菓子ぎっしりの贈り物が届いたのでした。
ホクホク顔で、包みをほどくと…、
青野さんだけど赤坂にあるんですね
あれ? 『ごま名月』が無い…。同封のお手紙によると、『ごま名月』は生菓子なので送れず、代わりに贈答用の詰め合わせを送ってくださったとのこと。ちょっと残念ですが、お気遣いがありがたいです。『ごま名月』は東京に出向いたときに直接いただくことにいたしましょう。
包装紙を解き、ふたを開けると、そこには和菓子の花園ともいえそうな様子。どこからいただいていいのか迷います。
きっちりと詰めあわされている美しさ
入っていた商品説明によると、赤坂青野さんの看板商品は、『赤坂もち』。どうやら『ごま名月』よりも、前面に押し出されている商品のようです。ならば、早速、その『赤坂もち』からいただいてみましょう。
『赤坂もち』は薄い和紙に風呂敷状に包まれています。説明書によると、
丁寧な包み方です
『赤坂もち』の食べ方説明
「赤坂もちの召し上り方 黄名粉の香りを包むためにカップに入れておりますが、召し上がる時は小風呂敷に一度赤坂もちをあけて切りながら黄名粉をつけてお召し上り下さい。」
という指示があります。「黄名粉」という書き方がいいですね。
この和紙に粉を開けろというのか…
風呂敷を開封してみましたが、なんだかここに開けるのは心もとない…。粉が飛び散って、惨事が起きそうな予感がしますし、せっかくの綺麗な小風呂敷を黄名粉でダメにしたくありません。なので、お皿を用意して、そちらに開けることにしました。
ビニールを開けると、黄名粉がまぶされた、とろりとやわらかいお餅が二つ。箱に入っている間は形をとどめていましたが、お皿に開けると、形が保っていられないほどの柔らかさです。付属のくろもじで切ろうとしましたが、あまりに弾力性がありすぎてきれませんでしたので、一つをそのまま口に放り込みます。
結局、お皿に開けました
おっ、甘さで来るのかと思いきや、一番最初に強く感じられたのはくるみの味でした。意外や意外です。なるほど、そうきたかという気持ちです。もちろん、お砂糖の甘味もあります。結構な甘味ですが、くどくはありません。素直な甘さとでも言えましょうか。
二つをぱくぱくっと食べてしまうと、相当量の黄名粉が余りました。きめ細かで、上品な黄名粉ですが、それだけで食べるにはさすがに味気ないです。じっさいに黄名粉だけ食べた人間が言うのですから、誤りではないと思ってください。
次は、名前にインパクトのある『粋な黒べい』。
「粋な」という冠詞がニクいぜ
なんだかおかしな名前だなぁと思って箱を見ると「現在は殆ど見かけなくなってしまった赤坂料亭街の黒塀。そんな懐かしい情景を偲んで菓子にしました」とあります。あぁ、なるほど、「べい」は「塀」だったのですね。氷解。
「べい」というだけあって、四角四面のきっちりさん。表面はグラニュー糖で覆われていて、ざらざら。黒糖の重みが見ただけでずっしりと感じられて、しっかりしたお菓子の印象です。
黒糖棒みたいです
いかにも堅そうな外面とはうらはらに「ほこっ」と真ん中で割ることができました。人もお菓子も、見た目では分からないものです。
中はカステラ
お味の中心は、黒糖の深い甘み。カステラのようで和風。幻想的な味わいです。
そしてここでも出てくるのがくるみのお味。カステラの中に、細分化されてくるみが混ぜ込まれています。くるみの味ってこんなに強かったっけ?と思うくらいに、こちらでも結構な存在感を示しています。
外側のグラニュー糖、内側の黒糖。二つの甘味が絶妙な組み合わせで、口中を甘く、甘く、刺激してくれます。ダブルの甘みなので、かなり強めなのですが、さくさくといただくことができました。
黒糖、胡桃、グラニュー糖、カステラと、懐かしいようで、新しいお味。それがこの「粋な黒べい」といえるでしょう。
他にもいろいろ入っています
白い包装紙に包まれているのは『一つぶ』です。
小さくて大きな「一つぶ」
「確かに見た通り一粒だけど…」と思ったのは大間違い。いただいて見なければ分からない仕掛けがあったのでした。
ぱっと見は、シンプルな栗饅頭です。半分をぱくっといただくとそのポテンシャルが分かりました。
栗がでかい。
大粒の栗を厳選しているのだろうというのが分かります。しっとりと甘く煮た栗が、ぽっくりとした食感となっています。栗の外側にある白あんは、さらりとしていて、栗の甘みを消さずに上手い具合に脇役に徹してくれています。私が今までいただいた栗饅頭のなかでも一二を競う美味しさです。栗がこんなに美味しくなるなんて!
半分に割ると、栗の大きさが分かりますね
『小倉ひねり』はちょっと変わったお菓子。「蜜づけにした小豆ともち米を挽いた粉をあわせ、丸く握って蒸し上げた甘納豆」。ほー、甘納豆をこんな風にもできるんですね。よく考えたものです。
もち米の粉と小豆という、ちょっと変わったお菓子
粉と甘納豆を合わせているだけなので、袋を開けると、定型が無くなります。粉々しているので、ちょっと食べにくいかしら。崩落を気にしながら、もふもふと口に入れると、ほんのりとした甘みと、もち米の粉がぱさぱさがちょっと気になります。ほんのりした甘みは小豆のものですね。ちょっと、変わったお菓子をいただきたいときにいいでしょう。
お菓子でギャンブルをすることがあるとは思いませんでした。『とりどり』は、「黒糖、杏、紫蘇、生姜、桜、胡桃、小倉」の7種類の餡があるのですが、食べてみるまでは分からないようになっているのです。
何が当るのかな?
さて、私は何に当るのでしょうか…。一つまみできる小粒饅頭を、まずは半口いただいて味を確かめてみます。おっ、これは「黒糖」だ! なんだか楽しい! お菓子でギャンブルがこんなに楽しいものだなんて! 「赤坂青野」さん、考えましたねぇ。
ギャンブルというと、ちょっとすれた感じがしますが、お味は上品。『ひよこ』のような玉子生地の皮、黒糖の濃い甘みが立ちます。
なんだか、ここまで変化球ばかりの和菓子でしたが、今度のは直球勝負の『すごもり』。シンプルな大福餅です。
上品な大福でした
あんこはつぶあん、ねっちりとしているけど、歯切れのよい求肥。甘みはしっかり系。粉が落ちるのはあんまり気にしないようにしましょう。
箱に入っていたお菓子は以上です。ふぅ、たらふく、たらふく、満足、満足。の、上に、もう一つ、「美味しそうなので、これも買っちゃいました」と、
栗蒸し羊羹も!
『栗蒸し羊羹』も付けてくださいました。嬉しいっ!
「おくわし」!!
パッケージをのなかには、くろもじが付いていましたが、袋に「おくわし」とかかれています。
「おくわし」
なんて、いい響き。上品かつ、「食べてくださいっ!」という作り手の思いが伝わってきます。
「おくわし」で上のビニールをはがして、お皿にあけると、つるんとしたフォルムが現れます。掌にちょこんと乗せたくなるような可愛らしさ。
つやつやして、見るからに美味しそうですね
その中に、大粒の栗が見え隠れしています。それでは半分に割ってみましょう。
やっぱり栗が大きい!
最大直径35mmの栗!!(高さ最大20mm)。
栗はほこほこした素材の味と甘みがいっぱい。羊羹よりも、栗の存在感が強く出ています。栗にここまで重点が置かれている栗羊羹もまた珍しい。なんて贅沢な栗羊羹なのでしょう。
栗のもこもこした食感と、にっちりとした羊羹のバランスが良いです。餡は上質のこしあんで、なめらか、香り良し、澄み切った甘みの餡となっています。
私がリクエストした『ごま名月』は叶いませんでしたが、彩り豊かな和菓子の詰め合わせで、「赤坂青野」さんはたっぷりと堪能しました。
さて、次は、私のリクエストじゃない方のお返しをいただきます。一体何でしょう? 気になりますが、次回に。
◎店舗・商品データ
・商品データ
商品名:黒べい銘菓詰合
価格:いただきもの
・店舗データ
店舗名:赤坂青野・本店
住所:東京都港区赤坂7-11-9
営業時間:9:00-19:00(月~金)、9:00-18:00(土)
定休日:日祝(春分の日、子供の日、秋分の日は9:00-17:00で営業)
公式サイト:http://www.akasaka-aono.com/
アクセス:東京メトロ・赤坂駅7番出口から南西(乃木坂方向)へ、道なりに約500m。「赤坂小前交差点」の北脇。
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コメント
>みんたさん
まさに「粋」を見せられた気がしました。一つ一つが丁寧で、だけどでしゃばりすぎず、華やかな詰め合わせでしたね。
「黒べい」にそのような流行り歌があったんですね。きっとそこから拝借したんですよ。すみません、私は存じ上げませんm(_*_)m
書かれていらっしゃるように、あまりに美味しそうなので、メモと写真をとりながら、一気に食べてしまいました(笑)
投稿: 桜濱 | 2007.11.03 20:06
ふう、何ておいしそうなんでしょう。さりげなく豪勢、これが老舗の粋でしょうかね。一気に全種類紹介されているのが、おいしさにひかれて一気に食べた感じで和菓子好きとしては共感するところです。
それにしても…「黒べい」ときくとつい頭の中に「粋な黒塀 見越しの松に…」と親がきいていた昔の流行歌が流れる自分も年寄りかなあと思い知りましたよ。若い方は知りませんよね…(苦笑)
投稿: みんた | 2007.11.02 15:13