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2007.04.05

赤鬼も泣いてよろこぶ優しい甘さ(鬼まんじゅう:鬼作堂)

 「こぶとりじいさん」で、老翁は昼の仕事で疲れ果て、木のうろでうたたねをしたところ、うっかりと寝過ごして夜中になってしまい、そこで、鬼たちの宴に遭遇します。
 皆様がご幼少の頃、このお話の鬼たちを怖いと思われたでしょうか? 宴に参加した鬼たちは、豪気でありながらも、あっけらかんとしていて、陽気な印象を持たれたのではないでしょうか。こぶを取られる老翁も、そのような雰囲気を感じて、それにさそわれたからこそ、思わず、得意の踊りを鬼たちの前で披露したのでしょう。
 西洋の妖鬼はどうか分かりませんが、日本の鬼たちには、そのような気性が備わっているように思われるのです。無骨さ、一種の不器用さ、隠し立ての苦手な素直さ、実直さ。四字熟語で表わすならば「豪放磊落」。
 そんなイメージから付けられたのではないかと思うのです、「鬼まんじゅう」と。

 「鬼まんじゅう」は小麦粉+砂糖をお水で溶いて、さつまいもを賽の目状に切ったものをそこに混ぜ合わせ、蒸し上げた、名古屋の郷土菓子です。名古屋のお菓子とは言っても、このタイプのお菓子はどうやら全国にあるようで、私の出身地にも「石垣もち」という名前でありました。ただ形状は「鬼まんじゅう」が、こぶし状で「ごろん」としているのに対し、「石垣もち」の方は「ぺったり」した円盤状という違いがあります。

 今回いただいたのは、名古屋の「鬼まんじゅう」の方です。

鬼まんじゅう・3種
 右手前から時計回りに、普通の「鬼まんじゅう」、「黒糖」、「皮付き」

 写真のお品を製造・販売しているのは、その名も「鬼作堂」さん。「鬼まんじゅう」を作っていますっ! と全面的に主張しているお名前です。
 「鬼作堂」さんは、レギュラーメニューとして、上に掲載した写真の3つ、「鬼まんじゅう」「鬼まんじゅう(皮付き)」「鬼まんじゅう(黒糖)」を販売していますが、たまに季節限定品が加わることがあります。節分の時に豆入りの「鬼まんじゅう」を見かけました。今回も限定品が出ていれば買いたいなと思っていたのですが、その期間に当っていなかったみたいです。残念。しかし、さすがに4つもいただけば、たらふくになりすぎるでしょうから、これで良かったのでしょう。

 直径は約70mm、高さは約40mm。手が小さめの方のこぶしくらいでしょう。ぼこぼこと飛び出たさつまいもが、さらにこぶしっぽさを増しています。その肝心のさつまいもは、一つが約15mm~20mm角くらい。それが10数個ほど入っています。結構なおいもの量で、生地の割合よりもおいもの割合の方が多いように見えました。生地はおいも同士を結束させる「つなぎ」としての役割が大きいと思われます。
 でも、生地の食感はきちんと出ています。「みっちり」「ぷるん」とした弾力と、「ほっこり」したおいもの相性が良いです。生地自体の甘さは抑え目。そのため、たっぷりと入ったおいもの天然の甘さが際立っています。安心できる、ホッとした甘さです。

 「皮付き」は、上に書いた食感とお味に、ちょっとだけ「シャリッ」としたさつまいもの皮の感触が加わります。この皮は、やきいもの皮に似た香ばしさを持っており、見た目の上ではわずかな変化ながら、お味ではちゃんと「+α」が分かるようになっています。石やきいもがお好きな方は、こちらをお好みになられるのではないかなと思いました。

 見た目ではっきり違いが分かる「黒糖」は、味にもはっきりした違いが現われます。基本のタネの甘味が黒糖によるものになっているために、前の二つよりも強い甘味ではありません。落ち着いた甘味は、のどを越した後に風味をふわりとただよわせます。そして、黒糖のまろやかさは、さつまいもと系統を同じにしており、生地とおいもが良くなじんでいるように感じられました。

鬼まんじゅう(黒糖)・断面
 おいもがたっぷり。ボリューム満点

 ごつごつとした荒い見た目とはうらはらに、「鬼まんじゅう」は優しく、心が温まるお味です。「鬼まんじゅう」という名前は、見た目の無骨さに由来しているのでしょうが、冒頭に書いた、鬼の実直さ、素直さの意味も含んでいるように思えてなりません。
 友人のあおおにが、自分のためを思って去ったことを知り、悲しんでいる「ないたあかおに」に「鬼まんじゅう」を差し出したら、心が落ち着き、泣き止んでくれそうな気がします。

鬼まんじゅう・シール
 お召し上がりの注意をうながすシール。丁寧な口調。実直そうな赤鬼


◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:鬼まんじゅう、鬼まんじゅう(皮付き)、鬼まんじゅう(黒糖)
 価格:各¥126

・店舗データ
 店舗名:鬼作堂・三越名古屋栄店
 住所:名古屋市中区栄3-5-1 三越名古屋栄店地下1階
 営業時間:三越名古屋栄店に準じる
 定休日:三越名古屋栄店に準じる
 アクセス:名古屋市営地下鉄「栄駅」南、「サカエチカ6番出口」直結。


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コメント

>チエさん
「鬼まんじゅう」は、「まんじゅう」というよりも「お団子」に近いです。生地に重曹が含まれていないので、「もっちり」「きっちり」した食感になっています。そこに「ぽくっ」としたおさつが加わるので、味に奥行きが生まれています。
「注意書きのあかおに」は、気が良さそうですよね。このシール、捨てるのが忍びないので、「ほぼ日手帳」に貼っておきました。

投稿: 桜濱 | 2007.04.11 04:39

まんじゅう、美味しそうですね。
注意書きの赤鬼、
なんだかかわいいです。
頼めば子守とかしてくれそう。

投稿: 藤田チエ | 2007.04.10 15:04

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