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2006.11.16

荒んだ心を解きほぐす癒しのタルト(ラズベリーチョコレートタルト:フレイヴァ・フレイヴァー)

 学生をしておりますと、いろいろと調べごとをしなければならない場合があります。だいたいにおいて、目的の情報は自分が通っている学校の図書館で手に入れることができるようになっています。しかし、結構な数の本が揃っているとはいっても、完全というわけにはいきません。学校に所蔵されていない本が必要なときは、自腹で購入するか、他の学校にまで出向いて見せていただくということになります。
 ただいま、私が取り掛かっている事について、どうしても読んでおきたい雑誌が2,3あるのですが、所属の学校にはその雑誌が所蔵されていません。そのため、昨日はそれらの雑誌が所蔵されている近隣の学校までお出かけしたのです。
 近隣と書きましたが、バスと電車を乗り継ぎ、さらにはてくてくと歩いて、片道1時間ほどかかるところにある学校です。加えて、駅からその学校までは緩い上り坂になっていました。
 「あと少しで、あの本に、あの本を読めるのだ…!」と心中でつぶやきながら、軽く息を切らして坂を上りきると、当該学校の案内所が見えました。そこは案内所であり、守衛室でもあります。つまり、私のような怪しい人間がむやみやたらに学校に入らないように見張っているお部屋です。私は守衛さんに、自らの潔白を証明すべく問いました。

 「と、図書館はどちらですか?」
 「えーと、あの白い建物ですが、今日は推薦入試のためにお休みですよ」

 「…!」

 無駄骨。ひさびさに無駄骨を体験いたしました。
 守衛さんが仰ったことがどうしても納得できずに、教えてくださった図書館にこっそりと行ってみました。
 確かに休館日でした。しかも掲示されていたカレンダーを見ると、平日で休館日なのは、昨日だけでした。
 なんという運の悪さでしょう。やり場の無い暗い思いに苛まれました。自分が開館日の下調べをしなかったのが悪かったのでしょうか。しかし休館日は昨日だけだったのです。まさかの休館日だったのです。天を恨むべきなのでしょうか。それをしても、自らに返ってくるだけです。天を恨むわけには行きません。
 空模様とは反対に、どんよりどんより、荒んだ心で、息を切らしながら上った坂道を、すぐさま、再び下る羽目となったのです。

 さっき出たばっかりの駅が見えてきました。…あれ。あの綺麗なお店はなんだろう。行くときには気付きませんでしたよ。

フレイヴァ・フレイヴァー
 「がっかり」の心に灯火が!

 行きは、学校ばかりに目が行っていて、進行方向とは反対側にあったお店には気付かなかったのです。そして、帰りの方向では、裏にしたそのお店に気付いたのでした。以下が図解です。

図解
 目線とお店の位置についての図解

 絵はあまり描きたくなかったのですが、分かりやすくするためには、背に腹をかえられません。…分かりやすいでしょうか?

 こちらの「フレイヴァ・フレイヴァー」さんは、タルト専門のパティスリーです。お店に入ってすぐのショーケースには、10種類ほどのタルトが並んでいました。目線は彩り豊かなタルト達に釘付けです。ささくれ立った心が落ち着いていくのを感じました。

フレイヴァ・フレイヴァー 説明看板
 タルト専門で

 ショーケースを5往復ほどさせて、ようやく選んだのは「ラズベリーチョコレートタルト」。チョコレート好きの血が騒ぎました。

ラズベリーチョコレートタルト
 3色のコントラストが綺麗です

 綿雪のようにほんわりと上にのった生クリームは、舌になめらかで、優しい甘さ。さらに心が落ち着いていきます。生クリームの下には、ラズベリーソースが敷かれています。きゅっと口が締まるような酸味を持ったこのソースは、生クリームとしっくりとマッチしています。
 メインのガトーショコラ層は、濃厚なチョコレートの香り、カカオたっぷりのビター感です。チョコレート好きにはたまりません。ねっとりとしていて、生チョコレートを食べているような感覚です。
 甘い生クリームと、やや強めの酸味を持つラズベリーソース、そしてしっかりと詰まったチョコレートが組み合わせの味わいこそ、至福、口福。
 ベースのタルト生地は、サクサクのクッキータイプです。チョコレートのねっとりさとサクサクのタルト生地の組み合わせも、計算ずくめなのでしょう。ここまでくると、図書館が閉まっていた事なんて、どうでも良くなっていました。やり場のない鬱屈感でたらふくだったお腹が、幸福感でたらふくになっていました。

 店内は、オフホワイトをベースにした、柔らかい雰囲気に満ちています。タルトを食べ終わりましたが、ここでしばらくゆっくりしたいなぁという気分になってきます。コーヒーでもオーダーして、くつろぐことにしましょう。…あっ!

 「お金が無い」

 道すがら、お金をおろすのをすっかり忘れていました。背中を流れ落ちる冷たい汗。くつろぎの気分から、一気に緊張が高まります。
 あわてて財布を取り出して、中身を確認します。
 …幸いにして、タルトのお代金分の小銭は入っていました。コーヒーをいただいていたらアウトでした。冷や汗を拭う自分。

 図書館が閉まっていた上に、無銭飲食になるところでした。ギリギリセーフです。おみくじでしたら、小吉くらいでしょうか。

 図書館には、また行かなければなりません。開館スケジュールは確認しました。今度行くときは間違いなく開館しているはずです。そして、所持金に余裕をもって、帰りには、こちらでタルトとコーヒーをいただく予定です。その時は、きっと大吉の気分になることでしょう。


◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:Raspberry Chocolate Tart(ラズベリーチョコレートタルト)
 価格:¥420
 商品ポップ:フランス産のビターなチョコレートときび砂糖を使用したノスタルジックな味わいのガトーショコラ。ラズベリーの酸味と共に生クリームがやさしく包み込んでくれます。

・店舗データ
 店舗名:Flava・Flavor(フレイヴァ・フレイヴァー)
 住所:名古屋市守山区弁天が丘102
 営業時間:10:00-22:00
 定休日:日
 アクセス:名古屋鉄道・瀬戸線「大森金城学院前駅」を出て、踏み切りを渡って一つ目の交差点を右折してすぐ。


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コメント

>みんたさん
>手書きの図解がとってもなごみました。
どうしようもなく、恥ずかしいです…。芸術的才能がもう少し、あと少し、いや、今の数十倍あれば、このブログも華やかになるのでしょうが…。
もともと、「美味しい店を見つけるぞ」という目的も持って出かけておりましたので、上手い具合に見つけることができて、神の力を感じることができました。
今回のタルトは、実はメインのチョコレートよりも、上に乗っかっているクリームに惹かれたのです。一口食べて「おおっ! 美味いぞ!」と思うくらいに。今週中にはまた出向く予定なので、クリームが多めのタルトを選ぶつもりでおります。

投稿: 桜濱 | 2006.11.20 00:25

手書きの図解がとってもなごみました。
目標に向かって歩いていると大きなお店があってさえ気がつかない、よくわかります。帰り道に気がついて本当によかったですね。
素朴な感じが残る可愛いタルトが魅力的。
チョコ味とフルーツの組み合わせが実はあんまり好きじゃないのですが、伝統というか基本の組み合わせですよね。いいものを選んで食べて、今より好きになろうと思っています。

投稿: みんた | 2006.11.18 19:19

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