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2006.09.30

長い時に、ほのかに甘く包まれて(ミルクパン、ソンブレロ:ウチキパン)

 思い出すだけで楽しい気分になれた「横浜・鎌倉食べ歩き編」はようやく今回で終了です。 前回「みなとみらい21」地区という、おしゃれ極まりないところで、甘くて、冷たくて、美味しいものをいただきました。一度、おしゃれ地区を経験したために、心にゆとりができました。今回は、これまた、おしゃれ極まりない「元町」に出向いてみることにしました。一度おしゃれを経験したからといって、「元町」というおしゃれの代表に乗り込むなんて。怖いもの知らずとはこのことでしょう。こんな風にいい気になると後で痛い目を見ることになるのは、過去の経験で分かっているはずなのですが。

 横浜中華街から、中村川に架かる橋を一つ渡ると、とたんに雰囲気が変わります。それほど広くない道幅の元町通りには、高級ブランド店が待ち構えていました。咄嗟に私は、

 「場違った!」

と、悟りました。「クイーンズスクエア」「ランドマークプラザ」を通ったときのように、そそくさと早足で元町商店街を通り抜けることとしました。うっかり横を向いて、「スタージュエリー」「4℃」などの宝飾店などが目に入ろうものなら、太陽を望遠鏡で覗いた時が如く、目が焼きつくされることとなったでしょう。

 それでも、元町で甘くて美味しいものをいただきたいという気持ちは、どうにか残っておりました。しかし、商店街の中心でそれを決行する自信はございません。
 どうしたものやらと、元町通りの端っこでガイドブック片手に思案しておりますと、ちょうど良いお店を見つけました。元町通りに並行する仲通り、みなとみらい線・元町中華街駅に近いところにパン屋さんがあるのです。

ウチキパン
 外観はシンプル

 こちらの「ウチキパン」さんは、ショーウィンドウに書かれているように、なんと、1888年、明治21年の創業。横浜一の歴史を持つパン屋さんなのです。

 お店の中は、芳しく、ほの甘い香りに包まれており、おしゃれに圧倒された私は、ようやくほっと息つくことができました。そして、ようやくいつもの調子を取り戻して、たらふくになろうとトレイとトングを持って、パン探しの開始です。

 おしゃれに疲れた体には、ベーシックな、軽い甘さのパンが適しているだろうという、我ながら素晴らしい判断によって、こちらの二つを選びました。

ミルクパン・ソンブレロ
 伝統を感じるたたずまい

 左は「ミルクパン」。ポップには「卵、ミルク入りソフトパン。やさしくなつかしい母の味です♪」と書いてあります。これを目にしただけで、ゆりかごに乗ったような心持ちになりました。
 お味も見た目のとおりの奇を衒わない、昔ながらのパンを感じさせてくれるものです。表面にグラニュー糖が若干量まぶされていて、甘味はほんのりとただようくらい。弾力のある表面を口にすると、内側の生地はその反対。ふわりと歯を受け入れてくれます。その内側の生地には甘味はほとんどありません。しかし、ばっさりと味気無いものではなく、ミルクの柔らかさが伝わってきます。

 右は「ソンブレロ」という名前です。これは、南米の方々が良く用いるつばの広い帽子の意味のスペイン語だそうです(Wikipedia「ソンブレロ」の項より)。その名前の通り、とんがり帽子のような形のこのパンは、さっくりとしたクロワッサン生地でできています。パイやクロワッサンのような生地の場合、いただく際にはどうしてもポロポロと細かい生地がポロポロとこぼれ落ちてしまいますが、この「ソンブレロ」は、生地同士の結束が強く、普通のパンに近いものとなっていて、粉がポロポロにならずにいただくことができました。
 山高部分にうっすらとグレーズが掛かっていて、それが甘さをもたらしてくれます。でも、こちらも甘さは控えめ。生地の軽さと相俟って、パクサクと口が動いていきます。内側が普通のパンに近いため、クロワッサンのように「サクサク」としたものではなくて、「外サク内フワ」の食感でした。

――――――――――

 これで、私の横浜・鎌倉旅も終わりです。新幹線に乗るために、元町中華街駅で帰りの路線を調べます。

 …分からない。

 あまりに複雑すぎて、どの路線に乗ってよいものやら、さっぱり分かりません。券売機横に荷物を置いて、腕組みをして路線図をしばらく見上げていましたが、一度見て分からないものは、二度見ても三度見ても分かるはずがありません。
 結局、券売機近くの改札口で駅員さんにお尋ねすることにしました。駅員さんが親切御丁寧に教えてくださっていたところ、一人の御婦人が怪訝そうな面持ちでいらっしゃったのです。

 「あの…、先程から、ずっとあそこにバッグがあるんですが…。気になります…」

と、おっしゃいました。その御婦人が指差す先には、券売機横で悩む際に置いた私のバッグがありました。

 元町マダムの皆様からは、私のバッグは不審物に見えることが分かりました。
 「自分におしゃれはまだ早い」と涙に顔を濡らしながら、新横浜駅から名古屋へと向かったのでした。


◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:ミルクパン
 価格:¥100

 商品名:ソンブレロ
 価格:¥120

・店舗データ
 店舗名:ウチキパン
 住所:神奈川県横浜市中区元町1-50
 営業時間:9:00-19:00
 定休日:月
 公式サイト:http://www.uchikipan.com/
 アクセス:みなとみらい線「元町・中華街駅」を元町通りに沿って(南西方向に)約70m。最初の交差点を左折して約60m。交差点の右手側。


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コメント

>みんたさん
駅員さんは、石川町駅側からの路線も説明してくださったのですが、頭がこんがらがってよく理解できなかったのです。みなとみらい線で元町中華街駅までやってきたので、その反対方向で戻ることしか考えていなかったのです。新幹線のチケットも持っていたのに…。惜しいことをしました。

元町は、横浜旅の最後の残り時間を埋めるために立ち寄ったために、あまり時間を割けませんでした。鎌倉でも、中華街でも、みなとみらいでも、まだまだ行き足りないところが山ほどあります。「あぁ、鎌倉・横浜、また行きたいなぁ~」とたびたび思っておりますよ。

投稿: 桜濱 | 2006.10.02 21:55

ああ~っ、惜しい!
元町にいらしてのお帰りにみなとみらい線を使うなんて…ウチキパンからだと反対はじまで通りを抜けて、JR石川町駅からいらっしゃれば新横浜までは楽でしたのに(しかもすでに新幹線の乗車券をお持ちでしたら切符も買わなくていいし)。そんなに気取った町でもありませんのに、余程歩くお気持ちをそいだのかしら。今回ほど「ご一緒できれば」と思ったことはないです。

ぜひまたいらして、町のどまんなかに長い歴史を誇って存在している老舗「喜久屋洋菓子舗」で気軽な名物ラムボールを試していただきたいです。
http://www.motomachi.or.jp/html/SSG_pop.php?item_no=1079

それから、元町ではないですが、レーズンサンドなど日もちのする焼き菓子が有名な「かをり」もレストランのある本店でのみ買える生ケーキ数種が大変よろしいです。あとは馬車道十番館と…ああ~もどかしい(苦笑)わたしってば古いなじみの町を威張って紹介するくせに、みなとみらい地区の新しいモール群のほうが余程気取って見えるのでまったく知らない店ばかりです。これもダメですね(汗)

投稿: みんた | 2006.10.01 18:06

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