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2006.09.27

気品に満つる神々のケーキ(アンブロワジー、ブラジエンヌ・エス:ガトー・ド・ボワ)

 よく、野球の世界は「西高東低」と言われております。しかし、この夏、甲子園を沸かせたのは、西東京代表の早稲田実業と南北海道代表の駒大苫小牧高校と、どちらも東日本の学校でした。
 ケーキの世界には「西高東低」はありませんが、日本の東西ともにケーキの有名店がひしめいている地域があります。東は東京の都市圏、西は神戸とする考えに差し支えないとご賛同いただけると、後のお話が進めやすくなります。もちろん、これらの地域以外にも美味しいことで有名なお店はたくさんあります。そのようなお店の一つ、ケーキに関する催事の常連店、奈良西大寺の「ガトー・ド・ボワ」さんもJR名古屋タカシマヤ「パティスリー&ブーランジェリーコレクション」に出品されていました。

 「ガトー・ド・ボワ」さんと言えば「アンブロワジー」。オーナーシェフ・林雅彦さんが1991年に「フランス製菓ワールドカップグランプリ」を受賞したケーキです。

アンブロワジー
 しっとりと落ち着いたたたずまいですが…

 見るからに気品に満ちた輝きを放っているではありませんか。全体がチョコレートに覆われて、シックないでたちであるものの、内から放たれる豪奢な雰囲気は、見ているだけで圧倒されます。
 まず、目を奪われるのが、デコレーションのチョコレートの花びらです。薄くしなやかなチョコレートの造形に見惚れます。まさに花びらそのもの。これをつぶさないことには味わえないというのが、なんとも悔しい限りです。一枚一枚と花びらをはがして口に入れると、舌の上ですらりとほどけて、姿のとおりのしなやかな甘さにまた惚れ惚れとしてしまいます。
 花びらをはがすといよいよ本体です。見た目はかっちりとチョコレートのコートを、かっちりと身にまとっているようですが、その正体はとろけ出ずるなめらかなチョコレートの湖。この濃密なチョコレートソースは、洗練された強いカカオの香りと、それを妨げない甘味をさっと出して、さっと消えていくのです。後味には、微かな芳香。強い香りと甘味があったはずなのに、それが一切残りません。

アンブロワジー・カット
 なめらかなチョコレートソース

 内側のチョコレートムースは、ソースとは反対に、ほんわりと軽くて、さっぱりとした甘さ。そして、ワンテンポ置いて、軽い苦いを呈してくれます。ソースとムースの相乗効果は計り知れません。
 土台のチョコレートのスポンジ生地には、しっとりと洋酒がしみこんでいて、これもまた、別のチョコレートの風合いの別の面が見られるようになっています。
 中心には、ピスタチオの実が入ったのババロアです。「ここでいきなりピスタチオ?」と思ったものの、木の実の締まった芳ばしさは、計算しつくされたアクセントとして働いています。
 土台の上にはフランボワーズのソースが潜んでいました。わずかな薄い層でありながら、後味でしっかりと酸味を出していて、これもまた良いアクセントとなっています。

 数種類のチョコレート、ピスタチオのババロア、フランボワーズのソース、洋酒と、一見するとまるでつながりがないような組み合わせですが、これらを一度にいただくと、不思議と総てが完全なるまとまりをもって、口の中で軽やかに舞うのです。

 なんだか、胸が熱くなってきました。これは洋酒のせいだけではないはずです。心がたらふくになるとは!

 この感動を、じっくりとしばらく味わった後、もう一つのケーキ「ブラジエンヌ・エス」をいただくことにしました。
 こちらは、コーヒーのお味がメインとなっています。カフェラテのムースはきめ細かく、その上の層の、コーヒーのゼラチンと一緒にいただくと、深いコクと香りが胸に広がります。

ブラジエンヌ・エス
 灼け付くブラジルのイメージなのでしょう

 さらりと軽いスポンジは、コーヒーの香りを邪魔しない程度に、ほのかな甘味を後で感じさせてくれました。
 このケーキは、全体的に甘さよりも、コーヒーの上品な香りを楽しむのが良いようです。
 トッピングやムースにナッツ類が混ぜられていて、アクセントを楽しめるものの、ややインパクトに欠けるようです。これは、いただく順番が良くありませんでした。インパクトが欠けているという感をいだいたのも、あまりに「アンブロワジー」の印象が強すぎたからなのだと思います。それほど「アンブロワジー」は「凄いケーキ」でした。

 「アンブロワジー」の価格は630円。他のケーキに比べると、頭一つ抜き出ているお値段ですが、それを気にして、これを味わわないのはあまりに惜しいことです。催事等で見つけたら、すぐさま確保しなければならないケーキの一つでしょう。


◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:アンブロワジー
 価格:¥630

 商品名:ブラジエンヌ エス
 価格:¥420

・店舗データ
 店舗名:GÂTEAU DE BOIS(ガトー・ド・ボワ) 西大寺本店
 住所:奈良県奈良市西大寺南町1-19
 営業時間:9:00-19:00
 定休日:無休
 公式サイト:http://www.gateau-de-bois.com/
 アクセス:近鉄奈良線大和西大寺駅南から、右手(北東)方向に約100m。2度左折した後、約50mの右手。西大寺の向い側。


※JR名古屋タカシマヤ催事 「2006 パティスリー & ブーランジェリー コレクション」
 JR名古屋駅隣接、JR名古屋タカシマヤ10階 '06.09.20-'06.09.25


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