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2006.09.19

涙ににじむ大月餅(豆沙大月餅:紅棉)

 スローフードが見直されている昨今ですが、ちゃちゃっと購入できて、公園でひと休み中、そぞろ歩きのお供に、軽くつまめる食べ物は重宝します。これはアメリカ風だとハンバーガー、フランス風にいくとクレープ、日本風だとあんまんとなりましょうか。それでは中華風は? 私は「胡麻団子」と「月餅」が二強だと思います。
 揚げたてカリカリの胡麻に、ねっちりもっちりした生地、不用意に噛み潰すと、油の熱がちっとも冷めていないあんが飛び出て、舌と上あごが「アチチッ!」となる胡麻団子。小麦粉の焼き色がほっこりとしていて、さまざまな意匠が凝らされた表面、いろいろな種類のあんを持っている月餅。どちらも中華ファーストフードの王座を占めるにふさわしい要素を有しています。
 甲乙付け難きこの二つのお菓子。この記事では「月餅」の方を採り上げることといたしました。決定打はビジュアルです。悲しいかな、胡麻団子は直径5cmほど、いずれもベージュもしくは黒の球でしかありません。その点、上に書いたように、月餅はその意匠のおかげで、ビジュアル面では一歩抜きん出ていると考えざるを得ません。
 何故、ビジュアルを決定打としたのかと問われると「ブログ記事では写真の力が大きいから」と答えるほかありません。メディアのせいです。胡麻団子が悪いわけではありません。胡麻団子及び胡麻団子ファンの皆様、責めないで下さいませ。

 中華街では、一歩進むごとに、胡麻団子か月餅が売られているように感じました。それくらいその二つは幅を効かせているのです。全部数えることはほぼ不可能でしょう。数百種類あるのか、数千種類あるのか…。
 そんな、胡麻団子・月餅の海の中で、私が選び出したのは、関帝廟通りにある「紅棉」さんの「豆沙大月餅」です。

豆沙大月餅・未開封
 大月餅!

 「大月餅」というくらいです。とにかく大きい月餅なのです。直径9cm! ものさしを取り出してください。両手の親指と人差し指で円を作って、直径9cmにしてみてください。そんなに大きいのです。そしてそれは紙のようにぺらぺらしているわけではありません。あんこと小麦粉がギュッと詰まった月餅なのです。私は思い返すだけでたらふくになってしまいます。

豆沙大月餅・開封
 でかい!

 ちょっとお行儀が良くないですが、この「豆沙大月餅」をファーストフード感覚で食べ歩きながら、関帝廟へと歩いていきました。

 すぐに関帝廟に到着しました。

 「紅棉」さんと「関帝廟」は思っていたよりも近かったのです。「豆沙大月餅」は、まだ3分の2くらいは残っています。

豆沙大月餅・厚さ
 厚い!

 「関帝廟」内はもちろん飲食禁止。むき出しの「豆沙大月餅」の食べかけを持ち込むことはできません。もう夕闇はすぐそこまで来ておりました。あまりのんびりしている時間はありません。私はあわてて「豆沙大月餅」を頬張りました。
 あんこはラベルに書いてある通り、真っ黒です。心底から真っ黒です。月餅そのものの心根は悪くないのですが、内側は真っ黒です。この真っ黒のあんこが、これまた、心底から甘いのです。「あ・ん・こ」と一文字ずつ区切って主張するくらいの密度の高い甘味を含んでいます。
 そして、月餅の生地は、みっしりとした小麦粉を固めたもの。口の中でほろっと崩れて、瞬く間にそこの水分を吸収していきます。あんこも固めの「もっくり」とした食感。「もっくり」と「みっしり」が口中で手を組むと、「もそねっとり」としたものができあがります。
 これを、頬張ったのですからたまりません。何度も何度も口をもぐもぐもぐもぐとさせても、水分を吸って「もっそもっそ、ねっとねっと」となるだけ、口の中で満遍なく練物化するだけで、なかなか咽喉を通過したがらないのです。

 甘い! とにかく甘い! いつまでも甘い!

 私は関帝廟の前で、大きくて、甘くて、丸い何かをもくもくと、そしてできるだけ早く食べるしかありませんでした。涙がにじんでいたかもしれません。

 教訓1:関帝廟に行く直前には、月餅はいただくべきではない。
 教訓2:月餅をいただく際には、飲み物を用意しておく。

 「豆沙大月餅」は落ち着いていただけば、甘党にはたまらない美味しさです。しっかりと練られた黒あんはざらつきのない、なめらかな甘さを感じさせてくれます。
 「紅棉」さんには、黒練りあんの他にも、くるみなど果実あんなどを詰めたものや白あんなど、数種類の月餅が用意されていました。甘すぎない月餅もお求めできます。でも、いずれも大きいので食べごたえはしっかりあると思います。


◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:豆沙大月餅(とーさーたーいえぴん)
 価格:¥450

・店舗データ
 店舗名:紅棉(こうめん)
 住所:神奈川県横浜市中区山下町190
 営業時間:10:00-20:00
 公式サイト:http://www.koumen.co.jp/
 アクセス:関帝廟通りを、関帝廟前から東(みなとみらい線・元町中華街駅方向)に、約150m。


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コメント

>kadoorie-aveさん
はじめまして。ようこそいらっしゃいませっ!
「勇気と迫力」というよりも月餅を甘く見ておりました。まさかあんな目にあってしまうとは…、です。
月餅の情報を深く調べずにいておりました。この記事を書く時、そしてみんたさんのコメントを拝見して、思いのほか、ずっしりくる食べ物だということが分かりました。脂分の多さがかなりポイントですね。次はさっぱりした中国茶と一緒にいただかねばと思った次第です。

中秋の名月のでかい月餅については、タイムリーにこちらで記事にしてくれていました(http://portal.nifty.com/2006/10/09/a/)。アヒルの卵入りの月餅がどのようなものかも分かりました。みっちりと黄身が入っているんですね。こちらもすっごくこってりしていそうですね。でも、見たら口にしたくなりました。

>ところで、重慶飯店にある大きなココナッツ餡の月餅....あれは、あれだけはやめようとしても一人で完食しちゃいます....。
これまた、なんとも美味しそうな情報を。なおさら横浜を再訪したくなりましたっ!

「月」と「餅」については、以前、勉強したことがあります。満ち欠けを繰り返すことから死と再生(不死)を象徴するものと考えられていたようです。それは中国に限らず、世界各地で同じように考えられていたようで、永久に死ぬことが無い人や動物が月の模様となったとする伝説がいろいろとありました。

投稿: 桜濱 | 2006.10.09 19:16

はじめまして。月餅のことを検索していて、こちらにお邪魔しました!なかなか勇気と迫力のある実践でビックリ♪
この大月餅は、元々のプレーンな大きさのものです。なぜなら、月餅はお月見(中秋節)のためのお菓子で、
本来は丸い形のものを家族や親しい人たちと切って分け合うものだからです。
(デコレーションケーキみたいに。映画「宋家の三姉妹」に出てきたような20センチくらいありそうなのが、
聘珍楼本店のショーウィンドウにありました。)
丸は満月と同じく、円満と安泰の印(だったかな...?)。
中国人の友人にきいたら、一人用のサイズのものより、大きなもののほうが(素材が同じでも)おいしいと行っていました。
実はねっとりしているものは、どちらかといえば飲み込みにくくプアール茶でもないとキツいです。
ねっとりは、ラードやごま油と糖分で出しますので、ちょっとこたえるはず...。
日本の中華街は月餅好きには天国なのではないでしょうか。
中華圏では、主にこの中秋節の食べ物ですし。中華街なら、中国の色々な地方の餡が揃っていますね。
私自身は、広東式の蓮の実餡にアヒルの塩卵の黄身が二個入ったのが好きです。黄身はお月様に見立てて入れるのです。
ところで、重慶飯店にある大きなココナッツ餡の月餅....あれは、あれだけはやめようとしても一人で完食しちゃいます....。
止まらないんです....。ながくなってごめんなさい。

投稿: kadoorie-ave | 2006.10.08 21:38

>みんたさん
月餅を甘くみておりました。ぱくぱくっ、ごっくりと行けるものとばかり思っていただけに、いつまでも続く、ねっとりねっとりの甘味は本当に涙が出そうになりました。次回は落ち着いた場所で中国茶と共にいただきたいものです。木の実あんのも美味しそうでしたので、一緒に買うことにしましょう。
私は昔は月餅はあまり好きではなかったので(もっそりとした食感のため)、お土産物でいただいたときでもあまり手を出しませんでした。なので、そんなに月餅にそんなに巡り合うことも無かったため、そんなにサイズがたくさんあることは知りませんでした。いつも見ていたのは、直径5cmくらいのものだったので、紅棉さんのモノの大きさに驚いたのです。
「馬拉糕」は初見の食べ物です! googleで見ました。蒸しカステラなんですね。ふんわりとしていて美味しそう! ココナッツ団子も魅力的です。次に中華街に行くときは、食べ放題のお店を狙っているので、この2つが味わえるところを探してみます。

あぁ、また横浜行きたくなりましたー。

投稿: 桜濱 | 2006.09.25 00:49

これは相当きつい目に…(もらい涙)
月餅は密度が高く甘味も油もそこそこきついものですから、崎陽軒ほか数店が出しているミニサイズ以外あまり立ち食いに向いたものではありませんね。そこをあえてなさったのは、甘党の面目躍如といったところでしょうか。でもつらい…せめて紅棉さんでよかった、重慶飯店だったら餡が油気の少ないポロポロのものだったので尚更つらかったでしょう。また、木の実餡だとさらにきついです。是非一度は、座ってゆっくりとお茶といっしょに味わっていただきたいものです。
実は月餅はかなりサイズに変化のあるものだとはご存知のことと思いますが、中村屋サイズのでさえもたしか紅棉さんにはないのでしたね。昔開港通りにあった工場でしか買ったことがないですが、直球勝負のお店でした。食事用に花巻ばっかり勝っていたのですが、実は本店ではあの蛋達が人気だとは、会社にいたころ知っていれば…(くすん)
よく通った店で、同じ饅頭や中華パイなのに外見を色々違えて作った楽しいところがあったのですが、なくなってしまいました。金魚やサルなど、食べるのちょっと…っていうものもありましたが、中国らしくて面白かったんですよ。
それから、次に中華街にいらっしゃるときは、月餅でなくて馬拉糕及びココナッツ団子(大福)の各店食べ比べをお勧めします。萬珍樓や聘珍楼など有名店のものは特に良いですが、製麺所のついた小さい店でもまったく違う味わいで飽きません。

…食べたくなったので買いに行きます(笑)

投稿: みんた | 2006.09.23 13:50

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