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2006.09.10

白玉あんみつの「温度のグラデーション」(宇治白玉クリームあんみつ:茶房 雲母)

 前回の最後に書いた「目的地」とは「宇賀福神社」。正式名称「銭洗弁財天宇賀福神社」。通称「銭洗弁天」。そうです。こちらの洞窟からの湧水でお金を洗うと、十倍、百倍、千倍、万倍にもなるという銭洗弁天様をお参りするのが目的…、いやお金を洗うのが目的だったのです。
 このために、私は銀行・郵便局からありったけの(とは言ってもわずかですが)お金を下ろして、「増えますように! 増えますように! 増えますようにっ!!」と念じながら、ひしゃくで数十回水を掬い、お札と硬貨を、水浸しにしました。水浸しの前に、お賽銭、二礼二拍一礼をきちんと致しましたが、今考えると、罰当たり甚だしいです。

 後日譚ですが、この洗ったお札は一枚ずつ窓際に置いて乾かすと、へなへなの頼りないものとなりました。でも、各所の店員さんは、偽札だと疑うことなく受け取ってくださり、ATMもきちんと認識してくれました。

 こちらでお金を洗っている様子は、あまりにあさましいので写真ではお見せできません。

 お話を戻します。
 思う存分、お金を洗った後、次なる甘味処を目指しました。
 銭洗弁天の坂を下り、降りた先にある隧道…、ここは「佐助トンネル」というようですが、静まり返って、やや湿り気を帯びた涼風が流れ、車が二台の車がようようすれ違えるくらいの幅のここは、「トンネル」と呼ぶよりも、「隧道」と漢字で書いた方が雰囲気が当てはまるような気がいたします。この隧道を抜けて、およそ50メートル。竹林に囲まれた落ち着いた雰囲気のお家が目に入ります。

茶房 雲母
 しっとりと落ち着いた雰囲気

 ふっ、と目の前に現れた桃源郷にあるお家のようなこちらが、甘味処「茶房雲母」さんです。
 外と同じく、内装も実に落ち着いていて、すみずみまでピシリと静けさが染み渡っているようです。
 和喫茶なので、甘味もカキ氷や、あんみつなどが主です。その中でも、一番のおすすめとなっているのが、手作りの白玉。この白玉がカキ氷やあんみつなどと組み合わされているのです。
 何種類もの白玉メニューがありましたが、店員さんに質問して、「クリーム」が「アイスクリーム」を指していることが判明したため、「宇治白玉クリームあんみつ」という総動員体制をうかがわせるお品に決めました。暑い中歩いてきましたので、賢明な判断であったと確信しております。

宇治白玉クリームあんみつ
 たっぷりとしていて福々しいです

 10分ほど後、届いたお盆には、「宇治白玉クリームあんみつ」に、小花が一輪、箸休めのお漬物少々に、黒蜜が添えられていました。実に粋です。

 大き目のこしあんの玉の周囲には、和の色彩。こしあんと同じくらい大きい白玉一つに抹茶味の白玉(矛盾がありますが、この書き方で通します)が4つ、それらに囲まれて、甘く煮られた褐色のあんずに、ちょこんと淡い色の桜ん坊。この桜ん坊と比較してみてください。白玉の大きさがお分かりいただけると思います。

 どこからいただけばよいのか迷いますが、まずは黒蜜を…、いやこれは黒蜜ではありませんでした。小さなガラス容器に入れられたものは深い深い色合いだったために分かりませんでしたが、白玉、アイスにくるりと掛けると、黒蜜ではないことが分かりました。これは抹茶蜜です。和の色彩と、味わいを崩さないように、黒蜜よりも甘さを抑えた抹茶蜜にしているのでしょう。これまた粋な心遣いです。

 それでは、主役の白玉からいきましょう。…ゆでたてなのがはっきりと分かる、ねっとり、ふんわり、そしてとろりとした口当たりです。ほっと心が落ち着く、優しいお味。抹茶白玉の方は、嫌味の無い苦味がわずかに香る上品さを持っています。
 2つ入ったあんずは、すっぱくて、しゃくっとした歯ごたえを持っていて、選びに選び抜かれたことが分かる相性の良さ。
 写真に見られる分でも、結構なボリュームがありますが、食べ進めていくと、「あんみつ」の本体である、かんてんと黒えんどう豆が登場します。ほろほろと崩れるかんてんと、ほくっとしたえんどう豆で、これまた新しい口当たりを感じさせてくれます。
 途中、甘さに倦む瞬間があります。そんなときは、箸休めの高菜漬けをちょっぴり口に含みます。すると再び、優しい甘さの感動に浸ることができるのです。

 この「宇治白玉クリームあんみつ」は、「温度差の美味しさ」であるとも言えます。ゆでたてで、まだぬくもりのある白玉、反対に、よく冷えて、周囲の熱で徐々に溶けていく抹茶のアイス、こしあんとあんみつ、果物は、彼らを繋ぎとめる役割を果たしています。このような温度のグラデーションを感じることができる甘味は、珍しいのではないでしょうか。

 見た目、味、温度、量。あらゆる面でたらふくになれました。膨らんだおなかをぽんぽん叩いていると、店員さんが一杯のお茶を持ってきて下さいました。このお茶は、塩気のある昆布茶です。最後の最後まで、素晴らしいおもてなしを見せていただきました。

 甘い喜びにひたっておりますと、後ろのお客さんと店員さんがお話をしていました。

「申し訳ありません。ご注文をもっとしっかりとお聞きしていれば…」
「いえいえ、僕が勘違いをしていたものなので…」

 どうやら、お客さんは沖縄からいらっしゃった方で、「ぜんざい」を注文されたようなのです。

 ぜんざい

 皆様はどのようなものを思い浮かべますか? 私にとってはお椀に入ったあん(私はつぶあん派です)に、お餅が入ったものが「ぜんざい」です。しかし、沖縄では、金時豆の上にカキ氷を盛ったものを「ぜんざい」と呼ぶのだそうです。店員さんとお客さんの間で、行き違いがあったのでした。

 沖縄の皆様、夏場に県外にご旅行する際はお気をつけ下さい。
 沖縄県外の皆様、冬場に沖縄にご旅行する際はお気をつけ下さい。

 お勘定は水に濡れた千円札で済ませました。店員さんは全てを分かっているという風で受け取って下さいました。


◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:宇治白玉クリームあんみつ
 価格:¥750

・店舗データ
 店舗名:茶房 雲母(さぼう きらら)
 住所:神奈川県鎌倉市御成町16-7
 営業時間:10:30-18:00
 定休日:無し
 アクセス:鎌倉駅方面からは、鎌倉駅西口から西に約100mにある市役所前交差点を右折。約150m先の交差点を左折(「ヘアーサロンキングダム」さんが目印)。直進して約300mの左手。
 銭洗弁天からは、坂を下った先をそのまま真っ直ぐ南へ約350m先の三叉路を左折(「みのわアパート(くずきりみのわ)さん」のある三叉路の次です)。そこから真っ直ぐ約350mの右手。
 佐助トンネルを抜けてからは、約50mです。


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コメント

>さわむらさん
残暑お見舞いどうもありがとうございます。ようやく灼熱の大地が鳴りをひそめて、涼しさを感じるようになってきました。

出来のあまりよくない白玉だと、硬くて、噛んだら「ゴロッ」と崩れたりしますが、「茶房雲母」さんの白玉は、もっちり、ねっちりとやわらか~い噛みごたえでしたよ。飲み込むのが惜しいくらい、いつまでも噛み続けていたかったです。

私も普通は和喫茶とか甘味処には足を踏み入れませんが、鎌倉の雰囲気で自然と立ち寄ることができました。美味しいもののためには「不似合い」なんて気になさらずに、どんどん乗り込んじゃいましょう。

温度で「おしるこ」か「ぜんざい」を分けているのですか!? 私は「おしるこ」はこしあん、「ぜんざい」はつぶあんだと考えておりました。調べてみると、関西地方ではこの分け方が通用しているようです。でも、基本は、小豆を煮たものの中に何か入れているものは「おしるこ」と呼ぶようですね。
カキ氷の「ぜんざい」。私はOKです。甘いからw

>みんたさん
こちらの他にも、鎌倉では数ヶ所の甘味処・喫茶店に立ち寄りましたが、本文にも書いているように、「茶房雲母」さんが一番粋だと感じました。お花を添えるなんて他ではありませんでしたよー。素敵でした。

「おしるこ」と「ぜんざい」の区別は上にも書きましたが、私は夫さんのご意見に近いです。「汁粉」だから「汁っぽい」もの、すなわちこしあん。そして「ぜん」「ざい」と濁音を含んでいるので、なんとなく「ごろごろっ」とした感じで、つぶあんだと思っております。ことばのイメージでなんとなくそのように思い込んでいるだけでございます。
Wikipediaの「汁粉」の項目を見ると、こしあん、つぶしあん、つぶあんの違いで、「御前汁粉」「田舎汁粉」「小倉汁粉」という呼び名になっているようです。「粒」が残っているだけで「田舎」呼ばわりするのもどうかと思います。

投稿: 桜濱 | 2006.09.13 03:50

丁寧なつくりの甘味に添えられた石竹一輪…さすが鎌倉です。
全体にガサツで愛想の少ない神奈川の(そこまで言うな地元民)こととはとても思えない美しい文章のレポを堪能させていただいていますが、まだ途中ゆえ簡単に。

冷たいのとあったかいので分けたら解りやすくていいですねー!
親からは「モチ入りが汁粉ないのが善哉」と教わって釈然とせず、夫には「汁粉はこしあん善哉は小豆の煮たやつ」と主張されこれまたもうひとつ。決め手がなかったのでいっそ沖縄流でいってしまいたいですけど、今後も関東から出ない予定なので無理でしょうねえ…

投稿: みんた | 2006.09.11 23:07

桜濱さん、こんにちは。
残暑お見舞い申し上げます。もう遅いか?笑。

抹茶味白玉がおいしそうです♪
クチャクチャっと噛み味わってみたいですー。

甘味処って行った事ないですー。
あんみつ食べながら談笑なんてしてみたいのですが、
私には不似合い極まりないよーな気が~。悲。

ぜんざいは絶対に“カキ氷”です。
温かいのがおしるこ。冷たいのがぜんざい。
金時豆=ぜんざい豆。普通ですが、…何か?(笑)

投稿: さわむら | 2006.09.11 02:54

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