« 涼しさ飛び出る檸檬のバクダン(タルト・シトロン・キャラメリゼ:シェ・シバタ 名古屋店) | トップページ | 気がすむまで甘くて美味しいものを食べ歩く―涼風の横浜・鎌倉編 »

2006.08.24

満遍なき円満(今川焼き:ポッポ)

 ミスドから新グルメパイがでているようですが、現在、私、歯の治療中のため、感想が書けるようになるのは、しばらく先になりそうです。「ハムチーズパイ」「半熟ハムエッグパイ」「エビグラタンパイ」の3種類。早く食べたいです。
 このような事情のため、これからしばらくの間は、宿題にしていたものの感想などを書いていくことといたします。

――――――――――
 それでは、本題に移ります。

 いつも「ケーキが好き! ケーキが好き! 生クリームが好きなの!」と言っておりますが、和の菓子も好きです。

 生八つ橋に、おはぎに、大福に、どらやきに、たい焼きに、今川焼き。

 花などを象った、小さくて、綺麗な京菓子も素敵だと思いますが、どちらかというと、前掲のような、くつろいだ感のある和菓子が好きです。
 これらの菓子から、すぐに思い浮かぶのが、あんこの存在です。いずれも小倉あんが重要な位置を占めているのが分かるでしょう。かぶせられたり、はさまれたり、閉じ込められたり、粉と一緒に焼かれたり。あんこはTPOに合わせて、多種多様な使われ方をします。
 こうして見ると、「焼き度」が高いほど、よりくつろいだ菓子になっていることが分かります。換言すれば、焼かれたあんこ菓子は気軽に食べられるということなのです。
 おまつりの屋台を思い出しましょう。生八つ橋の屋台を見たことはありません。たい焼き、今川焼きの屋台は目にします。
 最もくつろいだあんこ菓子「たい焼き」「今川焼き」は、気軽さが持ち味のためか、ふとした場所で売られていることがあります。スーパーの片隅。しかし、出入り口付近。一番人目に付くところで彼らは焼かれています。そして、買い物を済ませたはずの人の財布の紐を緩めるのです。

 たい焼きと今川焼き。彼らの構成要素は変わりがありません。型が違うだけです。それだけの違いなのに、たい焼きの方が会話の種になることが多いように思われます。それは「たい焼き頭尾どちらを先に食べるか論争」が大きく関わっていることは、言を俟たないでしょう。
 生き物を象っているがために生まれる論争。たい焼きの持って生まれた宿命。そのためたい焼きには悲壮感が漂っているように感じられるのです。

 しかし、今川焼きにはそれがありません。前も後ろも、上も下も、裏も表もありません。焼印が押されて、上下裏表が決められている今川焼きがありますが、それは例外とします。どのような物事にも例外はつきものです。
 今川焼きは円形であるため、どこからかぶりついても、小麦粉の香ばしさと、あんこの甘さを、等しく得ることができます。たい焼きのように「尻尾は粉だけ」というようなことはありません(粉だけの部分も、あれはあれで美味しいとは思います)。
 円満。総てが丸く収まっている。それが今川焼きの良さでしょう。結婚式の披露宴に出てもおかしくないと思います。いや、出るべきなのです。

 ここで、一つ、注意書きを入れます。
 ここまで「今川焼き」と書いてきましたが、私の郷里では「回転焼き」という呼称が一般的です。こちらのサイト(『二重焼き』 http://hb2.seikyou.ne.jp/home/my-morita/ni/ni_top.htm)をご覧下さい。同じものなのに、これほどまでに呼称が異なっているのです。
 今回の記事では「今川焼き」という呼称を使うことといたしました。最も一般的であると思われると共に、今回の本題に深く関わっているからです。

 その本題とは、「『ポッポ』の今川焼きは美味しい」というものです。
 「ポッポ」とは、大手スーパーマーケット「イトーヨーカドー」さんのフードコートにあるファーストフード店です。「ほー。そんなお店があるのか」と思われる方も多いと思います。何故なら、イトーヨーカドーさんは、全国47都道府県中、25都道府県にしか店舗が無いからです。約半数の県の在住者の方は、イトーヨーカドーさん、そしてポッポさんに関わることが困難な状況にあるのです。
 そのような皆様方に、ポッポさんの今川焼きが美味しいということを伝えたいがために、今回の拙文を書くに至ったわけでございます。

 ポッポさんでの商品名は「今川焼」です。

ポッポの今川焼き(持ち帰り用)
 明記されています

 ポッポさんの今川焼きが、何故美味しいのか。第一にして、最大の理由は、作りたてであるということに尽きるでしょう。
 大手スーパーマーケットの、広いフードコートには、常に多くのお客さんがいらっしゃいます。その方々が、引きも切らず、注文をするのです。そのため、焼いては手渡し、手渡しては焼くを繰り返すことになるのです。そうなれば、自然と、作りたてをいただくことになるというわけです。

 作りたての今川焼きは、美味しいです。薄い皮の表面はパリッとしていて、でも周縁部の内側は鈴カステラのようにふわっとしています。
 「さぁ、食べよう」と手に取ると、まだアチアチで、右手、左手、右手と何度か往復をさせ、いくらか冷却させた後、歯を立てるのですが、中身はまだまだアチアチで、歯がジンジンと熱くて、舌がヒリヒリと熱くて、「こへは、もうひょっとはまひはほうはよはっは(これは、もうちょっとさましたほうがよかった)」と思うものの、時既に遅く、アチアチアチアチで甘甘甘甘のあんこが上あごに引っ付き、やけどして、皮がぺろりとはがれるという羽目になるのです。

 「そんな目に遭うのに、何故、今川焼きを食べるのか? しっかりと冷ましてから食べればよいではないか」

 そのような叱責は甘んじてお受けします。しかし、やけどするほどアチアチなのをいただいてこそ今川焼きだと思っております。アチアチの今川焼きとヒエヒエの今川焼きを食べ比べてみてください。味に雲泥の差があることがお分かりいただけると思います。

 持ち帰りの今川焼きは、ラップにくるんで、20秒ほど電子レンジで加熱してください。作りたての表面のパリッ感は失われますが、アチアチでジンジンの美味しさは復活させることができます。

ポッポの今川焼き(中身)
 たっぷりで甘甘のあんこ

 ポッポさんでは、調理行程を間近で見られるという魅力もあります。お客さんから、ほんの数十センチの目の前で、限界まで近づけば、目からほんの数センチ前で、次から次へと、今川焼きが作られていくのを見ることができます。
 一分の隙も無く、システマティックに、大量に、なおかつ、一つ一つに心を込めて、調理されている様子は、いくら眺めていても、飽きることがありません。
 仮に、今川焼き調理行程を見飽きたとしましょう。目を少し横にずらしてください。するとそこには、一分の隙も無く、システマティックに、大量に、なおかつ心を込めて作られている、お好み焼きやたこ焼きを見ることができるようになっています。もし、それらの調理行程を見飽きたら、再び目を元に戻してください。その頃にはまた今川焼きの調理行程が懐かしくなっているはずです。今川焼きが一分の隙も無く…、とエンドレスに楽しめるフードコート。眺めているだけでたらふくになれるフードコート。それが「ポッポ」さんなのです。

 「あぁ、今川焼き、たこ焼き、お好み焼きが、ぽっぽっぽっと出来上がっていくのをみるのは心地よいなぁ」

 ぽっぽっぽっと出来上がる?

 ぽっぽっぽっ?

 私の中で一つの疑問が生じました。

 …つづく


◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:今川焼き(小倉あん)
 価格:¥84

・店舗データ
 店舗名:ポッポ(イトーヨーカドー・フードコート内)
 住所:イトーヨーカドー各店(178店舗:2006年2月末現在)
 営業時間:イトーヨーカドーに準じる
 定休日:イトーヨーカドーに準じる


人気blogランキング クリックしてくださると、もっとたらふくになれます。

|

« 涼しさ飛び出る檸檬のバクダン(タルト・シトロン・キャラメリゼ:シェ・シバタ 名古屋店) | トップページ | 気がすむまで甘くて美味しいものを食べ歩く―涼風の横浜・鎌倉編 »

コメント

>チエさん
御座候の今川焼きは上品な甘みでおいしゅうございます。たしか「小倉あん」とか「黒あん」ではなくて「赤あん」でしたね。
「電子レンジ+トースター」技を使いたいのですが、現在の棲家にはトースターが無いのです。レンジのトーストでも良いのでしょうが、あれだと時間がやたらと掛かってしまいます。

投稿: 桜濱 | 2006.08.29 02:07

堺高島屋の中に御座候があり、回転焼きをおみやげにして我が家を訪れるお客さんが時々いました。
回転焼きがさめると、電子レンジでほんの少し温めてからトースターで焼きます。
皮がパリパリになっておいしいです。
たい焼きにもこの手を使います。

投稿: 藤田チエ | 2006.08.27 20:04

>みんたさん
九州にはイトーヨーカドーさんの店舗が無いために、いや、そもそも田舎であったために「フードコート」というもの自体に関わることがありませんでした(今は、実家の近くにフードコートを備えた複合商業施設ができています)。
そのため、回転焼きは専らたこ焼き屋さんで買っていました。たこ焼きと共に作られていたのです。中身はみんたさんのお書きになっていらっしゃるように、「小倉あん」「白あん」「うぐいすあん」が置かれていたと記憶しています。でも、「ポッポ」さんには私の好きなうぐいすあんが置いていないんですよね。残念です。
ポッポさんでは、待ち時間が結構とられることがありますが、作るところを見ていれば、それだけで満足。アートを見ている感覚です。

生八つ橋がそんなに新しい存在だとは知りませんでした。生八つ橋がメジャーになったのは「おたべ」の果たした役割が大きいでしょうね。新幹線車内でも「京都名物=八つ橋=おたべ」となっているようですし。
チョコレート掛けの硬い八つ橋…。そんなものまで出ていたとは…。甘そう。美味しそう(笑)

たい焼きの話が出ると「頭尾どちらを先に食べるか論争」が起こるように、あんこの話が出ると「つぶあん・こしあんどちらが好きか論争」が勃発しますね。私は…、決めがたい! スイスの如く中立の立場を取ることといたします。

投稿: 桜濱 | 2006.08.25 21:02

思えば、わたしが学生の頃(いにしえ)にはIY堂さんにはフードコートはあれど(そんな楽しいスーパーは少なかったので印象的でした)店名はついていなかったような気がします。でも今川焼きはありました。「大判焼き」という名前で、円形ではなく文字通り大判のような長円形でした。小倉・白・うぐいすと、あんこだけで3種類あるのが楽しかったです。
横浜駅にも昔から、焼くのを覗けるお店があり美味しくて主に地元民に人気です。こちらは「黄金焼き」。
名前の由来はいずれもきいたことがなく、とくに黄金焼きは由来の見当が付かないのですが、ほかほかのなごみスイーツに出会うと探索を忘れておりました。きっとこれからもそうです…誘惑に弱い。

生八つ橋は新顔(初登場から30年はたっぷり経ちましたが)なので、いまも我が家は「八つ橋」といえば琴の形の焼いたやつです。京都の方でも若いと「八つ橋は生」と思い込んでいるかたがけっこういらっしゃるのに、おかしいですね。そしてもっと新顔の、焼いたのにチョコをかけたものが大好きです(苦笑)

夏のせいか口どけのいい西洋スイーツをこのごろ毎日のように買い求めてしまうのですが、やはりほっとするのはあんこですねえ。
こしあんのやや水っぽいあっさりしたの(中部地方以西にお住まいのかたには赤福のって言うとわかりやすいかな)が好きですが(酒田の饅頭で育ったせいらしいです)ドッシリつぶあんは別格ですよね。
荒俣宏氏の「江戸っ子はツブアンじゃなきゃ。こしあんなんてただの芸術ですから」っていう言葉を伝え聞き、衝撃を受けたこと、いまだによく思い出します(笑)

作るところを見られる、というのでは、一歩進んだエンタテイメントになっているお店もありますよね。うんと小さい今川焼きがたの一口焼き饅頭を作る機械をウィンドウに置いて客引きをしているお店をたまに見かけます。神奈川だと平塚の「都まんじゅう」が知られた存在です。たまに通ると引き込まれるように見入ってしまうんです。そういうものも、誰かお仲間とご一緒できたら面白いなあと思っています。

投稿: みんた | 2006.08.25 00:49

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/44489/11588106

この記事へのトラックバック一覧です: 満遍なき円満(今川焼き:ポッポ):

« 涼しさ飛び出る檸檬のバクダン(タルト・シトロン・キャラメリゼ:シェ・シバタ 名古屋店) | トップページ | 気がすむまで甘くて美味しいものを食べ歩く―涼風の横浜・鎌倉編 »