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2006.08.09

主役くらい目立っているよ(ズコット:パティスリー アンブラッセ

 心地よい冷気が流れている大阪駅前の地下道から、一歩地上に出ると、じりじりとビルを人をアスファルトを太陽が焦がしていました。見る見る間に腕に汗の粒が湧き出してきます。Googleマップを印刷したものを手にして、慣れない大阪の街を彷徨します。
 電信柱や建物の角に貼り付けられた住所表示を当てにして、行ったり来たりすること20分。最初のお店「パティスリー アンブラッセ」にたどり着きました。
 近辺まで行っていたにもかかわらず、10数分の間、周囲をうろついていました。暑い。

パティスリー アンブラッセ外観
 『堂島プリン』というのが名物らしいです。次は食べよう

 ドアを開けると、涼風を身に受け、ショーケースの中の鮮やかな色彩が飛び込んできました。イートインであることを店員さんに告げた後、右に左に目を交わし、どれを注文するか考慮すること数分間。綺麗な半円を描いた「ズコット」と目が合いました。ズコットが頷いてくれたような気がします

 アイスコーヒーとのセット(ケーキの価格+¥300)にして、外の暑さを忘れていた頃に、ズコットの到着です。…あれ? ズコットを注文したはずなのですが…。

ズコット&黒ゴマソフト
 あれれ? 二つ出てきた。

 右にあるのはおまけ? それにしては、主役のズコットを凌ぐほどの存在感を示しています。「黒ゴマソフトクリーム」だっ! それだけで一品の規模のおまけが付いてきました。いきなり「食いだおれの街」の意地を見た気がします。
 ズコットは¥388。かなりのお手ごろ価格なのに、こんなにたくさんのおまけがついてくるなんて、なんだか申し訳ないような気がします。でも、きっちりいただきます。

 長いパフェ用のスプーンを使って、とろりと半溶けしたアイスをすくい、冷え冷えになったスプーンごと口に運びます。
 冷たい。もうそれだけで満足です。そして、甘い。切れのよい甘さです。黒ゴマの粒と、氷の粒が入り混じったシャリシャリ感がのどを過ぎる頃に、黒ゴマの香ばしさが現れます。暑い暑い日の、芳しい黒ゴマ。この日にもってこいのお味でした。
 これが、いくら食べても減らないくらいの量が入っているのです。こんなサービスをしてくださって本当に良かったのでしょうか。今になっても不思議でなりません。

 やっと、ここで主役のズコットの感想に移ることができます。
 生クリームの上にチョコレートパウダーをまとい、チョコレートの花びらで飾られた姿は、シックでありながらも、上品な艶やかさがあります。
 薄いチョコレートをまずは一枚。おや、結構な甘さを持つミルクチョコレートです。甘さに飢えていた私は、ひきつけられるようにもう一枚いただきます。甘い。美味しい。
 それでは本体はどうでしょうか。表面のココアパウダーの味はほとんど感じられません。表面の生クリームは固めのホイップ、チョコレートの花びらに比べると、抑えた甘さになっています。
 その内側にはさらりとしたスポンジ生地、さらにその中、ドームの中心には、複雑な食感のムースが隠れておりました。プチプチとした食感はチョコチップです。ピチリと噛み締めると、ムースよりも甘いチョコレートの味が広がります。さらにカリカリとした食感が出てきます。商品ポップによれば、このカリカリはクラッシュされた、アーモンドとヘーゼルナッツ。2種類の異なるナッツを混ぜることででカリカリはカリカリでも複雑なカリカリと複雑な香ばしさにしているのです。なんと細かい芸なのでしょう。このムースは疲れた体を癒すに必要充分なしっかりとした甘さを与えてくれました。良いです!

ズコット単体
 中身が見える写真を撮り忘れました。失策です

 φ75mmのドームを平らげた時には、黒ゴマソフトと、いろんな甘さと口ざわりを感じさせてくれたズコットのおかげで、心もおなかもたらふくになりました。

 このお店は、街の方々のオアシスになっているようで、地元の方と思しき2組の先客さんがいらっしゃいました。私のお隣さん、20代半ばと思われる女性二人組みのお客さんの会話を聞くともなしに聞いていると、

 「開けてー、閉めてー、開けてー、閉めてー、開けてー閉めたら、入れな~い」

というフレーズが飛び出しました。この瞬間、「あぁ、今、私は大阪にいるんだ」ということがしみじみと感じられました。街そのものが新喜劇になっているのです。

 外のゆらめく空気を窓越しに見ていると、もう、一品、二品、三品と注文して、ここから離れたくないという気分にさせられますが、他にもどうしても回りたいお店があります。お会計を済ませて、泣く泣く、太陽熱に熱せられたドアを開けたのでした。
 お会計時にネームカードと一緒にいただいた、お知らせの紙を見ると、

 「ケーキバイキング 2006年8月18日(金)二部制
  15:00~ 18:30~
  新作ケーキ
  ミルフィーユ・イチゴのパルフェ他15種類、さらにパスタ等のお口直しもご用意
  要予約
  お一人様90分 大人2,000円 小学生1,300円 幼児500円
  この案内をご持参でおみやげプレゼント」

 うらやまし過ぎて、本当に泣けてきました。


◎店舗・商品データ
・商品データ
 商品名:ズコット
 価格:¥388
 商品ポップ:スポンジ生地のドームにチョコチップ、アーモンド、ヘーゼルナッツを閉じこめました。

・店舗データ
 店舗名:pâtisserie embrasser(パティスリー アンブラッセ) 堂島店
 住所:〒530-0002 大阪府大阪市北区曽根崎新地2-4-7 酒井ビル1階
 営業時間:11:00-20:00(L.O.)(月-土),11:00-19:00(L.O.)(日)
 定休日:無休
 アクセス:JR大阪駅を南下、「桜橋交差点」を右折、「桜橋西交差点」を左折、そこから二つ目の交差点の左手。「桜橋西交差点」から徒歩約1分。
 公式サイト:http://www.restaurant-jp.com/cake1.html


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