本との七夕 その三
●いよいよ飾り付け
笹を手に入れるのに苦労しました。七月七日の前でしたら、そこここで手に入れることができたようです。ところが、八月も下旬になりますと、ありません。全く無い。本当に無い。ありません。ここまで無いとは思いませんでした。
困ったなあ……、と思いながら、調べると、生花店で扱われていることが多いということが分かりました。しかし、それも七月七日頃の話しです。困ったなあ……、と、とぼとぼといくつかのお花屋さんの店先をのぞいてみました。笹が生い茂っているはずもありません。困ったなあ……。
困ったなあ……、とぼやいてばかりでは仕方ないので、一軒のお花屋さんに入ってみました。綺麗な生花が並んでいますが、笹はやはりありません。
「ご、ごめんくださーい」
「はーい、ちょっと、お待ちくださいねー」
十数秒の後、お姿を現したマダムに、旧暦に合わせて七夕飾りを作りたい、よって笹を探し求めている次第をお伝えしました。すると、困ったお顔で、
「笹はねえ、もう、無いですねえ。市場にももう出ていないはずですよ。ううん、どうしようかしらねえ」
生花に囲まれて、困ったなあ、という二人。
ところが、一転、光明が。
「あら、そうだわ。うちのお庭の奥に、まだ切っていない笹があったはずだわ。もし、それで良ければ」
もしそれで、も、何も、それです。それが欲しいのです。是非是非、とお願いして、用意できたのがこちらの笹。
千金に値する笹です
今後、旧暦に合わせた七夕のおまつりを催すことをお考えの方は、あらかじめ笹を植えていらっしゃるお宅におうかがいして、予約しておくことをお勧めいたします。売っていません。
これを、隣の竹垣に竹立てかけるように、笹を立てかけます。
案外と、ふわりと先が広がるように見せるのは難しいです
紆余曲折ありましたが、準備完了です。みずみずしい笹が天への祈りを支えてくれるのです。まずは、色紙で作った長いのを飾ります。
夕暮れせまる中で、涼風にあおられて、まさに、笹の葉さらさら、です(後で、これが悲運をもたらします)。
次いで、じゃばらから変じた天の川と、かっこいい赤い菱形、カササギも飾りました。いよいよ気分が高まってきました。風はますます涼しく心地よくなっていきます。
色紙の飾り付けが終わり、スリップ短冊の飾り付けです。準備は万端整えておりましたので、素早く、糸を通し、つまようじを引っかけ、笹にくくりつけます。
次々に、くくりつけます。素早く。しかし、夕闇もそれ以上に素早く迫ってきます。
素早く、つまようじ、糸、絡む、風吹く、外れた、素早く、暗くなる、見えにくい、焦る、ヤブ蚊。……できました。
笹の葉、さらさら。飾りはなびき、短冊は舞う。
ここで、手持ちのデジカメの限界です。以降、心は満足感で明るいですが、写真は暗いです。
●飾られたスリップ短冊は……
暗闇に映えるタイトルです。
「たのしみは……」
甘いもの! 甘いものは楽しいです。
最新刊です。登場人物がいろいろするのが面白かったです。
コミカライズ版です。最新十巻。佳境に入りました。
桜とあれば、つい買ってしまいます。下の『浪漫図案』は、昔の商品ラベルやポスターなどの写真が満載で、眺めるだけで楽しい本です。
「伝染るんです。」や「中の人」などのことばは、どのような暮らしを送ることで生み出せるのか知りたいです。
豊島ミホさんは、今、電子書籍の可能性を試していらっしゃるようです。
「紙の本」でなければ成り立たない作品。きのこだらけの名作を集めた名作です。
他にも数冊分のスリップ短冊を飾ったのですが、笹の葉をさらさらさせすぎる風がひっきりなしに吹いていたため、ぶれた写真ばかりになってしまいました。以上がかろうじて判別できるものです。
できる限り広い範囲、興味の幅を持てるよう、本を読むことにしています。しかし、こうしてみると、かなり偏りがあることが分かりました。その反省を込めて、天に祈りを。
もっと本を読めますように。もっと本の世界が広がりますように。もっと本が親しまれますように。本よ永遠なれ!
とどきますように
―カーテンコール―
今回、ご登場いただいた、書籍諸氏です。ありがとうございました。
あ……、
お星様きらきら、金銀するの忘れてました。
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