ひらがなとカタカナの元の字
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』を観てきました。TV版では『新世紀エヴァンゲリオン』だったのが、「ヱ」「ヲ」になったのにはなんらかの理由があるらしいですが、ネタバレになるのもどうかと思うので、ここでは言及しないでおきます。
本来の理由はなんであれ、現状ではほとんど使われなくなった「ヱ」や、助詞以外での「ヲ」の用法を見ると、目を惹きますね。
もともとは、「ヰ」「ヱ」「ヲ」などのワ行音も一般名詞で使われていましたが、今は一般的でありません。
これがもっとさかのぼるとどうなるでしょうか。
ひらがなは、万葉仮名の草書体を簡略にかいたものです。なので、もともとは漢字だったということですね。カタカナはどうでしょうか。これも万葉仮名の字画の一部分を略して作られたものなので、漢字でした。
ひらがなの漢字は、草書体なので、崩し字です。漢字を崩して崩して、流して流して、現在のひらがなになりました。
一方、カタカナは、万葉仮名の「一部」を抜き出したものです。その抜き出した部分は、元の漢字の「途中の部分」ではありません。必ず、初画か終画を抜き出しています(ものによっては、草書体や行書体の初画や終画、全画)。例を挙げますと、初画を抜いたものは「ト」は「止」の最初の二画です。また、終画を抜いたものは「奴」→「ヌ」などがあります。
それらを一覧にしてみました。
ひらがな
あ…安 い…以 う…宇 え…衣 お…於
か…加 き…幾 く…久 け…計 こ…己
さ…左 し…之 す…寸 せ…世 そ…曾
た…太 ち…知 つ…川 て…天 と…止
な…奈 に…仁 ぬ…奴 ね…祢 の…乃
は…波 ひ…比 ふ…不 へ…部(旁の阝) ほ…保
ま…末 み…美 む…武 め…女 も…毛
や…也 ゆ…由 よ…与
ら…良 り…利 る…留 れ…礼 ろ…呂
わ…和 ゐ…為 ゑ…恵 を…遠
ん…无
カタカナ
ア…阿 イ…伊 ウ…宇 エ…江 オ…於
カ…加 キ…幾 ク…久 ケ…介 コ…己
サ…散 シ…之 ス…須 セ…世 ソ…曾
タ…多 チ…千 ツ…州 テ…天 ト…止
ナ…奈 ニ…二 ヌ…奴 ネ…祢 ノ…乃
ハ…八 ヒ…比 フ…不 ヘ…部 ホ…保
マ…末 ミ…三 ム…牟 メ…女 モ…毛
ヤ…也 ユ…由 ヨ…与
ラ…良 リ…利 ル…流 レ…礼 ロ…呂
ワ…和 ヰ…井 ヱ…恵 ヲ…乎
ン…尓
このようにして、元の漢字を知っておくと、ひらがな、カタカナを上手く書けるようになります。特にひらがなは「流れ」が分かるので、バランスの良い字を書くことができます。
さて、「ヱヴァンゲリヲン」を元の漢字に当てはめてみたらどうなるでしょうか。カナが出来たころ(平安時代)には、濁音符がなかったので、それを省かなければなりません。また小書きのカナもありません。しかし、HTMLではフォントを小さくできるので、その方法で「ア」の小書きを書いてみます。
『恵宇阿尓介利乎尓 新劇場版:破』絶賛公開中。
イメージがずいぶん変わりました。
『破』はいいところで終わったので、次回作に期待しています。
・参考文献
『国語学』 築島裕 東京大学出版会 1964/05 ISBN:413082001X
『広辞苑 第五版』 新村出 岩波書店 1998/11/11 ISBN:4000801112
更新履歴
2018/05/22
参考文献の前に置かれていた区切り線(―)を削除しました。
第1段落の「TV版」を全角文字表記から半角文字表記に変更しました。
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