「じゃがまるこ」―不思議で意外な相性の良さに驚くことしきり
「ミスドでじゃがいも? フライドポテトを出すの? へっ?甘いのなの!? じゃがいものなのに?」
と、疑問符だらけの第一印象になったのが、秋の新商品「じゃがまるこ」です。
「ファーストフード+じゃがいも→フライドポテト」の図式は、ごくごく自然の連想だと思います。表面がからりと揚がり、内はほっくりやわらかく、塩の粒をまとったベージュのスティックの一本を、親指と人差し指でつまみ上げ、ポイッと口中に放り込む。ファーストフード店のじゃがいもはこうであるべきという定義に一石を投じたのです。
まず、強調しておきたいのは、「じゃがまるこ」は紛れも無くじゃがいもです。ですが、
「じゃがまるこ」はスティックではありません。丸いです。まること言うくらいですから。
「じゃがまるこ」は、ほっくりとはしていません。
「じゃがまるこ」は、指でつまみあげません。つまみあげてもいいですが、わざわざそうしなくてもいいようになっています。
「じゃがまるこ」は、繰り返しになりますが、甘いのです。
3種類の「じゃがまるこ」。左から「はちみつ」「チョコ&プレーン」「アーモンドチョコ&プレーン」
今回発売された「じゃがまるこ」は3種類。それぞれ5粒(ミスド公式HPで、「個」ではなく「粒」と表現しているため、以下それに従うことにします)入りで、1粒は「D−ポップ」よりも一回り大きくみえます(比較用にD−ポップを買うのを忘れてました。見た目の印象です)。シュガーパウダーが振られたプレーン5粒に、別容器のアカシアのはちみつが付いた「はちみつ」、プレーン2粒に、シュガーの代わりに半面だけチョコレートコーティングが施されたものが3粒入った「チョコ&プレーン」、「チョコ&プレーン」のチョコが、「ポン・デ・アーモンド」と同じアーモンドチョコレートに衣替えした「アーモンドチョコ&プレーン」のラインナップとなっております。
まずは、どの「じゃがまるこ」にも入っている、基本となるプレーン粒の印象を。
上にも書きましたが、プレーンの甘みは表面のシュガーパウダーが受け持っています。グレーズにしなかったことで、甘さがずいぶんと抑えられていますね。「ポン・デ・ショコラ」もシュガーパウダー制を導入したほうが、生地のチョコ風味がより感じられたでしょうに。
シュガーの下の生地表面はでこぼことしています。このでこぼこがカリッとした衣の食感とはまた違った、さくさく感を出しているのです。このさくさく粒は、ロッテのクランキーチョコレートに入っているパフに似てますね。衣にパフを混ぜて揚げているようで、2種類の異なった軽い歯ごたえを実現しています。
「さぁ、じゃがいもを食べるぞ」という心構えをもって、半分だけ、ぱくりと噛んだところ、予想とは待った違った事態に驚かされました。てっきり、フライドポテトのような外側さっくり、内側ほっこりだと思っていたためです。外はサクカリはまだ心構えの範囲内だったのですが、内側がまったく違っておりました。ふんわりともっちりの中間的な感触だったのです。「ポン・デ」ほど、後引くもっちり感でもなく、「シュガーレイズド」などのイーストドーナツほど、強調されたふんわり感でもない。「前に食べたことあるような…」と考え、思い当たったのが、昨年の「もちっとドーナツ」です。「もちっとドーナツ」は中途半端な印象が否めませんでした。しかし、「じゃがまるこ」は衣のサクカリと中のふわもちのコントラストがはっきりして、噛む楽しみが大きいのです。
サクカリ→ふわもちという展開で、もっくりもっくりと噛みしめていましたが、ここまでは「どこがじゃがいもなの?」と問いたくなるくらい、「じゃがいも力(りょく)」が見受けられません。衣がカリッと揚がっているのは、じゃがいもの粉を使っているためらしいのですが、食べるほうとしては、説明を見ないと分からないのは無いのと同じです。
…などという理屈をこねくり回そうとした瞬間に、「じゃがまるこ」が唐突に「じゃがいも力」を発揮したのです。
ある程度、咀嚼をして、飲み込もうとしたあたり、口中から「じゃがまるこ」が姿を消そうとしたあたりで、強烈なじゃがいもの香りが広がります。ふかしたじゃがいものようなほっこりした香りと、軽く油を吸い、塩味と合わさったジャンキーなこうばしさ、じゃがいもの二つの魅力的な味わいが最後にやってきました。
「そうか、衣にじゃがいもを使うとこういう風になるのね」と、先ほどまでの理屈を吹き飛ばし、肯定的にうなずきながら2粒目に手を伸ばしたのでした。
「外サクカリ・内ふわもち」の構成
基本(プレーン)の味は以上のようなものでしたが、それに別の味が付加されるとどうなるでしょうか。
「チョコ」はシュガーよりも甘さが強く感じられ、後半のじゃがいも力が発揮される際の塩味の印象が薄くなります。じゃがいもの香りもチョコレートに負けてはいないものの、やや影をひそめる格好となりました。
対して「アーモンドチョコ」は、意外なほど生地の味との見事なコラボレーションを見せてくれます。「チョコ」よりも甘さが抑えられているのとともに、もともとのアーモンドと塩の組み合わせの良さのためでしょう。「ポン・デ・アーモンド」や「アーモンドリング」など、ほかのアーモンドチョコレート商品では成し得なかった味わいです。生地の塩味のおかげで、アーモンドチョコレートが「ここが私の適所」とばかりに生き生きと働き始めたようです。これぞ相乗効果といえましょう。
1種類だけ形態の違う「はちみつ」。プレーンの粒に別添えのはちみつを掛けるようになっています。ほかの2種類のように、「2粒だけプレーンで食べて、あとははちみつ付けて」といった食べ方もできます。はちみつは「アカシア」のものだそうで、はちみつ特有の、のどに焼け付くような甘さは無くて、生地の美味しさを打ち消すことない、さっぱりとした甘さが印象的でした。
「はちみつ」の容器を見て思い出されたのが「ミニとうふドーナツ」です。「ミニとうふドーナツ」は別添えのディップ容器のふたをはがして、指でつまんだドーナツを、直接、容器内に浸すシステムをとっておりました。あの方式でも、好きなように味の調節ができるようになっていましたが、食べ終わった時には指がべとべとになるという欠点がありました。
しかし、今回の「はちみつソース」は、「吉野家サラダドレッシング型・半分折り容器破裂中央噴出方式」をとっているため、手がべとべとになることなく、好みに応じてソース量を調節できるようになっています。
また、全種類プラスチック製フォーク付きですので、粉もチョコも手に付くことはありません。同形式だった「ミニとうふドーナツ」に比べて、ユーザビリティが格段にあがっていることもまた、好感が持てました。
発売前は、じゃがいもと甘いドーナツの組み合わせと聞き、「おかしなものを作ったわね。意外性だけで味は二の次になっているんじゃないの」と斜に構えておりましたが、一口食べて、「うたがって悪かった」と深く深く反省をいたしました。見事です。
3種類とも期間限定、「はちみつ」は特に「個数」限定となっています。無くならないうちに、まずは「はちみつ」で、不思議で意外なじゃがいもと甘みの相性の高さをお試しになってみてはいかがでしょうか。
書き忘れがありました。
「じゃがまるこ」は「あたためてから食べる」というのが正式な食べ方だそうです。それを知らずに、今回は温めなしで食べてしまいました。温めるとほっこり感が増すそうです。
・本記事からのトラックバック先
http://p-sanpo.seesaa.net/article/8610374.html
| 固定リンク | コメント (6) | トラックバック (1)
最近のコメント