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2005.05.24

稲妻に裂かれた男は怨霊と化す。

 今は昔のことじゃ。京の都、三条大路の北、東洞院大路の東の角は、鬼殿と呼ばれるところじゃった。その鬼殿には怨霊が住まっとったんじゃよ。

 その怨霊は、昔、まだこの京が都では無かった時分、鬼殿が建つ前には、大きな松の木が植わっとったそうな。

 ある日、その松のそばを弓矢を持った一人の男が通りかかったのじゃよ。その男が松の木にさしかかったとき、たちまち空が掻き曇り、稲妻が閃き、地に響く重い音が鳴り響く…。それとともに降りだした雨は一寸先も見渡せぬほどじゃった。
 あまりに激しい雨じゃったので、男はそこから進むことができなくなってしまった。雨を避けようと、男は馬を下りて、松の下まで馬を引き、木の下に近づいた。

 そのときじゃった。辺りが真っ白になったかと思うと、天を割るような音が落ちかかる。その雷は馬もろとも男を引き裂いてしまった…。
 雷に殺された男はそのまま怨霊になってしまったんじゃ。

 その後、都移りがあり、そこには家が建ち、人が住むようになったんじゃが、男の霊が去ることはなかった。今もそこにはそのまま男の怨霊がいると言われておる。なんとまあ長い間居ることよ。
 そんないわれがある所なもんで、そこではよからぬ事が幾度も起こると語り継がれておるんじゃよ。
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 『今昔物語集』巻二十七・第一話「三条東洞院の鬼殿の霊の語」というお話です。
 現代でも、怪談話のネタになる場所には、それなりのいわれが付きまとっています。それが真実かそうでないかは別にして。
 でも、そのような場所はなにかしら独特の雰囲気を持っているものです。その雰囲気がお話を生み、生まれた話を吸収して、またより強い気配を発するようになる…。場所と説話は循環するものなのでしょう。

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