『犯人に告ぐ』について告げる。
毎年末、恒例になっているミステリー本のランキング雑誌。特に『このミステリーがすごい!(このミス)』が知られていて、販売効果もあるみたいです。『このミス』発売直後は、『このミス』とランキング入りしているミステリーが平積みになっているコーナーが設けらる書店が多くなっています。
私は『このミス』などは、ぱらぱらめくってランキングを確認する程度で、本を買うことをはほとんどありません。ですが、今年の『このミス』を見て1冊気になる本があり、しばらく悩んだ挙句、その本を購入してしまいました。2004年週刊文春ミステリーベストテン第1位、このミステリーがすごい!2005年版第8位、ダ・ヴィンチ2004年ミステリー&エンタメ第10位。雫井脩介著『犯人に告ぐ』です。
まず『犯人に告ぐ』というタイトルに惹かれました。そして帯のあおり「犯人よ、今夜は震えて眠れ」。この台詞がどのように使われているのか…、すっごい気になる!この本はカバーと帯に力を感じました。ところが各ランキング発表後は帯が上のあおりから、ランキングの順位が書かれているものに変わってました。くっ、残念だ。もっと早めに買っておけばよかったな。
ミステリーを読んだのは綾辻行人著『暗黒館の殺人』以来です。『暗黒館の殺人』はとんでもない分量と入り組んだ構成のために、読了までに一ヶ月近くかかってしまいました。『犯人に告ぐ』は全く逆。帯に書かれた伊坂幸太郎氏の推薦文「一気読み! 二章まで読み終えた僕は、最高だねこれは、と興奮し、つづきが気になるあまり、風呂場でもよんだのでした」のような状態になり(さすがに風呂場には持ち込みませんでしたが)、二日で一気読みです。ストーリーに酔いました。とにかく続きが読みたくて読みたくて。
主人公巻島を取り巻く各者の思惑。犯人、マスコミ、キャリア・ノンキャリ、管轄…。劇場型捜査という実際にはありえないと思える設定をしていながらも、それがリアルに感じられる。著者の取材と文章力の賜物なのでしょう。
内容についてもっといろいろ書きたいのですが、ミステリーですので控えておきます。でも、書きたいなぁ。印象的な場面がいろいろあるのです。迫力のある場面がいくつも。二度読みしたくなります。
ただ一点、残念なことが。消化不良な部分があるのです。これも書きたくても書けない…。もどかしいです。
この残念な点があるにしても、読んで損はありません。久々に文章に引き込まれ、作品世界にどっぷりとつかることができました。
『犯人に告ぐ』 雫井脩介著 双葉社 ¥1600+税 ISBN 4575234990
『暗黒館の殺人 上』 綾辻行人 講談社 ¥1500+税 ISBN 4061823884
『暗黒館の殺人 下』 綾辻行人 講談社 ¥1500+税 ISBN 4061823892
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