セシールの例のあれへの疑念。
8月7日のデイリーポータルZのトピックスで、カタログ通販のセシールのCMをとりあげていました。そうです。CMの最後にほにゃらほにゃら言っているの例のアレのことです。
答えを言ってしまえば、"il offre sa confiance et son amour."と言っていて、日本語発音にしてしまえば「いろふる さ こんふぃやーんす え そんなむーる」とでもなりましょうか。
私がちょっと気になったのが上の仏文の意味でして、検索するとだいたいが「信頼と愛をお届けする」とか「私たちは愛と信頼をお届けします」というような訳を紹介しているようです。
フランス語をご存知の方は、お気づきでしょうが、主語の"il"は普通は「私たちは」にはなりません。"il"は三人称単数男性の主語、日本語に訳す場合は「彼は」とする場合が大半でしょう。また、"offrir"("offre"の原形)に非人称用法はないようなので、"il"はきちんと人称の意味を持っていることになります。
もう一つ、気になるのが"et"で結ばれた二つの名詞に乗っかっている所有形容詞の"sa"と"son"です。これは「彼の」「彼女の」という意味になりますが、この場合は「彼の」でしょう。
これらを踏まえて、いま一度、例の仏文を私なりに和訳(直訳)してみると…
「彼は彼の信頼と彼の愛情を贈ります」
となります。………「彼」って誰だ?正体不明の「彼」の信頼と愛情を贈られても…。そして誰に贈るのだろうか…。
「『彼』ってセシールじゃないのかしら」という考えも当然のごとく出てくるでしょう。ところが「セシール(Cecile)」は、女性の名前ですので"il"は当てはまりません。
謎の「彼」"il"とは誰なのか?セシールと「彼」の繋がりは?サスペンスじみてきました。検索キーワードを工夫すればあっさり解決するのかもしれませんが。
ここまで、フランス語について云々書いてしまいましたが、専攻はフランス語ではございません。あっさりと間違いを指摘されたら恥ずかしいですが、前から気になっていたもので、ついここまで書いてしまいました。
最後になりましたが、株式会社セシールさんには、何の邪念も他意もございません。怒らないでください。
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