variétés

2020/07/31

ジュタタミーズ、チュタタミーズ、イルタタミーズ、ヌタタミゾン、ヴタタミゼ、イルタタミーズ

 この単語を知ったのは、大学の授業――フランス文化について、少人数の演習かテキスト読解のようなものだったはず。ずいぶん前だ――で、先生がおっしゃった雑談からでした。
「畳を敷いたりする日本風の生活や、(悪く言えば)日本かぶれ、のようなことを、『タタミゼ』と言うんですよ」
 綴りは"tatamiser"。"tatami"(畳)に、第1群規則動詞式の活用語尾"-ser"をくっつけただけ。
 この単語を教えてもらった後、
「では、タタミゼの活用を練習しましょう」となり、「ジュタタミーズ、チュタタミーズ、イルタタミーズ、ヌタタミゾン、ヴタタミゼ、イルタタミーズ」と斉唱して、背中がもぞもぞするような奇妙な響きに、みんな、笑みがこぼれました。
 毎年1月下旬から始まるバレンタイン催事のカタログで、フランス語圏のショコラトリーが「日本風」のチョコレートを作っているのを見ると、柚子味、抹茶味がおおかたで、これらの商品名には、形容詞「ジャポネ(japonais)」が、使われることが多いようです。
 もし、抹茶や柚子のように、フランス語圏で日本風の酒の肴がはやるとして、その中に「たたみいわし」が入っていたら、日本風の酒の肴を食べる習慣をひっくるめて「タタミイワシゼ」呼ぶようになるのかもしれません。それだと綴りは、"tatamiiwasiser"……、いや、母音"i"の連続は"y"になるんだっけか……。あと、「タタミゼ」とは違って、活用語尾は"r"だけをくっつけて、第2群規則動詞式になるかもしれない。そうすると、その基本形たる不定詞はこうなるのか。

「tatamywasir(タタミュワズィール)」

 原型を留めなくなってしまった。ただ、フランス語っぽさは増しました。

タタミイワシ

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